少年と少女は海色の夢を見る   作:カウン

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こんにちは。
今回も暇つぶし程度にどうぞ!


Sea Liberation Strategy 5

目の前の少女は静かに息を繰り返し、起きる様子がない。

 

彼女がこうなってしまったのは自分のせいだ。

 

「はぁ……。」

 

自分自身に呆れ、今日何度目かのため息を吐く。

 

「ため息ばっかしてると幸せが逃げますよー…ってそんなこと言ってる場合じゃ、ないですよね…。」

 

病室の入り口を見るとそこには蒼龍が立っていた。

 

「……飛龍は?」

 

「あー、ひりゅーは新しく来た艦娘にここの施設の案内をしてますよ。」

 

道理で妖精さんが騒がしくうろうろしていたのか。

 

「そう…、他のみんなは?」

 

「時雨ちゃんと不知火ちゃんは目立った被弾はなかったから妖精さんのメディカルチェックで済ましましたよ。」

 

蒼龍はドアを閉め、私の隣の椅子に座った。

 

「吹雪ちゃんは入渠が終わって今はベットで安静にしてます。」

 

「わかったわ…。」

 

上からの命令を無視するべきだったのだろうか?

 

本当に私が正しかったのだろうか?

 

考えれば考えるほど、悩みの種は尽きるどころか増え続けていた。

 

「…提督、あまり思い詰めないでね。」

 

蒼龍からの一言に驚き、蒼龍の方を向く。

 

「え、なんでわかったの?」

 

そう言うと蒼龍は私の鼻をつついて笑った。

 

「そんな難しい顔してたら誰でも分かりますよ。」

 

思っていたほど自分は顔に出るタイプのようだ…。気を付けないと…。

 

「あと、寝てませんよね?無理にとは言いませんけど寝てください。」

 

蒼龍の問は正しく昨日今日と寝ていなかった。でも──

 

「でも、彼女をこうしてしまったのは私の責任だ。だからせめて、彼女が起きたときに直ぐに声をかけたい。」

 

──おかえり。よく頑張ったね。って。

 

「提督の気持ちはよーく理解出来ますけど、起きたときに隣で提督も倒れてたとかだったら、洒落にならないんですから、今日は寝てくださいね!」

 

そう言い残すと、蒼龍は怒って出ていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね、夕立ちゃん。私たち(二航戦)が行ってたら何か変わってたのかな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、怜香、起きてるか?」

 

「んぁ……父さん?」コクリコクリ

 

……どうやら眠くなってしまったようだ。

 

そんな私を見て父さんは呆れた表情をした。

 

「はぁ…そこまで無理をする必要はないだろうが。」

 

「そうは言っても…。あ、」

 

反論しようとして立ち上がろうとしたが、足元がふらついて倒れそうになった。

 

「ほれ、言わんこっちゃないだろ。」ガシッ

 

倒れそうになったところを父さんが押さえてくれた。

 

「怜香は昔から色々と溜め込む癖があるからな。気を付けろよ。」

 

そう言って椅子に座らされる。

 

「ごめん…。」

 

「今夜はしっかり寝ろ。これは上官からの命令でなく父の願いだからな。」

 

「うん…。」

 

 

 

 

気がついたら夕方になっていた。父さんが立ち上がったので「帰るの?」と話しかけた。

 

「本部に呼ばれててな。悪いが長居は出来ないんだ。」

 

「そう、気を付けてね。」

 

父さんは振り向いて頭を撫でてきた。

 

「お前もな、怜香。約束(・・)にこだわるのは良いが、自分を大切にしろよ。」

 

「………わかってるよ。」

 

答えると父さんは手を離し帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父さんが帰ってから数分後、外はバケツをひっくり返したような雨が降っていた。

 

「夕立か…。」

 

今私は執務室に居た。流石に起きるのを待っていて執務をしないわけには行かない。

 

「かなり激しいですね…。」

 

と隣の今日の秘書艦である飛龍が呟く。

 

「これ、提督のお父様大丈夫ですかね?」

 

父さんはああ見えて、忘れ物が多い。多分だが、傘も持っていないだろう。

 

「届けた方がいいね。行こう。」

 

そう言って執務室を出ると廊下の奥から妖精さんが走ってきた。

 

「どうしたんですかね、なんか頼んでました?。」

 

と聞かれたが、思い当たるものはなかった。

 

妖精さんに話を聞いてみると、どうやら夕立が目を覚ましたようだ。

 

すると、飛龍が気を効かせて、

 

「傘なら私が届けてきますよ。早くいってください。」

 

と任されてくれた。

 

「ごめん。」と言い残し、私はいてもたってもいられず走って向かった。

 

病室を開けるとそこにはベットの上に寝ているはずの少女が、起きて窓から外を眺めている。

 

「あ、提督さん。」

 

寝不足のせいか、視界が歪む。それでも夕立の方へと向かう。

 

「心配かけてごめ「おかえり。よく頑張ったね。」ポロポロ

 

音をたてて降っていた(夕立)は気にならなくなった。

 

「うん…、ごめんなさい。」

 

夕立も私の背中に手を回してくれた。そのまま私の瞼は落ちた。

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