おめでとう時雨!!(関係ない)。
とりあえずこれで、不知火とIowaの話は終わりになります。それでは、どうぞ!!。
水平線の彼方に沈む夕日を眺めていた。静かにゆっくりとした時間だけが過ぎていく。
眺めているとあの人を思い出す。まるで太陽のような明るさを持ったあの人を。
「確か、いつも会っていた時間が夕方だったわね…。」
教えてもらっていたことを思い起こす。陣形のこと、艦載機のこと、そして艦娘のこと。それは今でも私の中に生きている。
「Hi!Admiral!!帰ってきたわよ!」
顔を上げるとIowaが立っていた。声を掛けてもらうまで気がつかなかった。
背中には不知火を背負っているようだ。
「ん、お帰りなさい。なんともなかった?」
すると、Iowaは聞かれたことを待っていたと言わんばかりに話し始めた。
「
背中の不知火は、なにがあったのか疲れはてて寝息をたてている。
「不知火、どうかしたの?」
そうIowaに聞くとあー、と答えてから「泣いたのよ。シラヌイ。」と呟いた。
「し、不知火が泣いたの!?」
私は出先で何かあったのか、と焦り聞いた。
「No,problem.Admiralが思っているような事は起こっていないわ。」
それを聞き、胸を撫で下ろした。だが、何故不知火は泣いたのだろうと不思議に思う。
「じゃあ、なぜ不知火は泣いたの?」
その一言を言うとIowaは怒りと悲しみの混じったような顔をした。
「…彼女が抱えてた秘密を知らなかったの?」
そう言われて、理解した。不知火の誰にも話したくないとまで行った過去を。
「いえ…不知火からはこれを黙っていて欲しいと言われたからね。」
「そうよね…普通は話したくないわこんな事…。」
私が知っていたことがわかるとIowaは短くため息をつき、私の横に不知火を背負ったまま、腰かけた。
横に来たIowaの顔を見つめると、目元がうっすらと腫れていた。
それを見て不知火が
「この子の過去を聞いて、どう思った?」
私は純粋にIowaの意見が聞きたかった。過去に不知火達と戦った彼女の意見が。
「私は、その提督が許せないわ。シラヌイのお姉さんを踏みにじるような事をして。」
彼女は戦場で見せるような殺意剥き出しの表情で拳を握っていた。その拳からはキリキリと音がなり、今にも血が出そうな勢いだった。
「Iowa、落ち着いて。そのは男は
そう、その男、『
「そう…それでも、気分は晴れないわね…。死んだからってなくなるものでもないもの…。」
と言って、握っていた拳をパッと開いて、自分の顔の前に持ってきて見つめている。
「……Iowaはさ、優しいんだね…。」
心からの言葉だった。昔戦っていた敵だったはずなのに、もう気持ちを切り替えて…。
「…当たり前よ…。こんな子を放っておく方がおかしいわ。」
爽やかな笑顔でそう返された。
「…それもそうね。」
その笑顔に私も笑い返し、私たちは立ち上がった。
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「んぁ…ここは…?」
寝ぼけた目を擦りながら体を起こす。体の沈みからからしてベットだろう。首をゆっくりと回すと、直ぐに漫画のポスターが目に入った。
「Oh!?shiiiiiit!!!!」
声のした方からカチャカチャと何かをいじるような音と銃声がなっていた。
そちらを見るとIowaが頭を抱えて唸っていた。
「こいつ……建築うまずぎるわ!!cheatよ!cheaterよ!!」
いつもこんななのだろうか、と軽く呆れつつIowaの様子を見守っていた。
すると、Iowaは視線に気がついたのか、振り向いてこちらを見てきた。
「!、シラヌイ、起きたのね?」
今やってたゲームに八つ当たりするように電源を切り、
Iowaは私の方に向き直る。
「はい……。あの、先程はすみませんでした…。寝てしまって運んでもらうなんて…。」
そう言うとIowaは立ち上がってコップにインスタントのココアを注いでくれた。ミルクも混ぜてもらったようだ。
「cocoaよ、これを飲んで落ち着くと良いわ。」
渡されたココアはいつも飲むものとは比べ物にならないくらい甘い。それでも、私は、それがむしろそれぐらいで良かった。
ゆっくりと飲み干してから、Iowaを見て、口を開く。
「私は、もう、これ以上、失うのは怖いんです…。それでも、私、アイオワさんを信じます。」
これが、私の答えだ。過去に怯えていたら、陽炎に合わす顔もないから。前に進むために。
「シラヌイは強いわね。私だったら立ち直れないと思うわ。」
そう言って返してくれた。ずるい、そんな表情をするなんて。視界がゆっくりと歪む。
「
Iowaなりの気遣いなんだろう。私としても形として現れた方が安心できる。
「えぇ、約束です。私を残して先にいかないでくださいよ?」
「Of course!!絶対よ!!」
私たちは約束した。これだけじゃ、心もとないかも知れない。でも、私とIowaには、見えないなにかで繋がったようにも感じた。
「何ですか?指切りの仕方に落ち度でも?」
「そんな固い表情しないの!もっと笑って!」
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一方、提督室にて、怜香はIowaと不知火に買ってきた物を確認していた。
「うん、私の頼んだ小説も、吹雪の欲しがってた雑誌も、その他もろもろしっかり買ってきたようね。」
こういう雑貨が軍から送られてくることは勿論無い。なので月に一回、買い出しと言う項目で、艦娘たちに遊びに行かせるついでに買ってきて貰っていた。
「蒼龍と飛龍は洋服…、Iowaは……なにこれ?ゲームっぽいわね。」
その日、私は思い出した。
「これが、今日の請求書ね。どれどれ……。」
パフェと言うものが尋常じゃないくらいに高いことに。
「ひ、一人で1500円!?嘘でしょ……?」
今後、パフェは1000円以内にしようと決意する怜香だった。