誰の目も視ない少女   作:十六夜月乃

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何でワールドトリガーの隊員って皆名字呼びなんでしょうね?
親睦とか深めるならまずは名前呼びでしょ

始まりまーす


3月20日 訂正しました


第3話 勘弁して

太刀川と個人ランク戦を(30本)行い、ヘトヘトになって食堂に向かう。

本当はランク戦をやる気は全く無かったのだが、太刀川のキラキラした瞳に耐えきれずしぶしぶブースに入らざるを得なくなってしまったのだ。

 

「うう…吐きそうです…」

 

テーブルに突っ伏しため息をつく。10本くらいで満足するかなと思っていたが甘かったようだ。

 

「疲れてんなぁ、小町」

 

ポンと小町の肩を叩いたのはA級の米屋陽介。一部の人たちから「槍バカ」と呼ばれている。こいつも戦闘バカだ。

チラリと顔だけ動かして米屋を見る。

 

「…よーすけ先輩、見てたですか」

「太刀川さんとのランク戦?見てたよ」

「…なら分かるですね。今日はもうランク戦しないですよ」

「そんなっ!?」

 

米屋が悲痛に叫ぶ。小町はプイとそっぽを向いた。

 

米屋の顔を見たとき、小町の目には彼の過去が視えた。

太刀川と小町がランク戦しているのを楽しそうに観ていたこと、しんどそうだな~とか考えながら笑っていたこと。そして、小町とランク戦したいなと思いながら声を掛けたこと。

 

小町は自分のサイドエフェクトを使いこなしていた。小さい頃から常に他の過去を視ているため、その時の感情まで読み取れるようになってしまったのだ。

 

「なーなー、戦ろうぜー」

「ちょっ…やめてください、揺さぶらないでください!ただでさえ疲弊してクタクタなんですから…!…分かった、分かりました!一本だけなら付き合うですから!だからやめてください吐いてしまいます…!」

 

ガクガクと米屋に揺さぶられ、小町の脳がシェイクされる。小町の返事を聞いて、一瞬嬉しそうに顔を明るくさせたが、すぐ真面目な顔になって言った。

 

「5本」

「…」

 

米屋の言葉に小町は口を閉ざす。

 

「…3本で勘弁してください」

「オッケー!じゃあ行こう今行こうすぐ行こう」

「分かりました、行きますからひっぱらないでほしいです」

 

 

 

 

小町と米屋は別々の部屋に入る。

 

「もう、今日は厄日です…」

『オレにとってはいい日だから』

「はあ…」

 

小町は重いため息をついて米屋に訊く。

 

「よーすけ先輩はA級、こまちはB級。これってイジメですか?」

『ちげーよ。イジメってほどオレとお前の実力変わんねーだろうが』

「そうですか?」

『そうだよ。お前さあ、そろそろどこかの隊に入れよな。風間さんとか加古さんとかいるじゃん。それが嫌なら自分で隊を作るとか』

「絶対嫌です」

 

キッパリと否定する小町。米屋は分かっていたようで『言うと思った』とだけ言った。

 

『まあいいや。さっさと始めようぜ』

「了解です」

 

その言葉を最後に、小町の目の前は光に包まれ、一瞬にして市街地の景色が映し出される。

目の前には米屋がいた。これから始まる戦いに心を踊らせているようだ。

 

「先手、いただきますよ」

「どーぞどーぞ」

 

 

タンッと軽く地を蹴る。通常の肉体であればあり得ないほどの距離を一瞬で移動した。小町は弧月を抜き、米屋に向かって構える。

 

米屋は慌てない。槍を振り回し小町を近づけないように動く。小町は弧月で迫る槍を弾いて距離をとる。

だがすぐにグラスホッパーを起動し目にも止まらぬ速さで動き回る。死角がとれれば弧月で頭を斬り落とそうとするがやはりA級。簡単に弾かれてしまう。

 

「…」

 

小町は動じない。こんな小細工で首が獲れたら逆に困る。小町には、米屋の「癖」が視えている。

 

(やりにくいな)

 

米屋は素直にそう思う。本気で獲りに来てるわけでもないし、だからといって手を抜いているわけでもない。なにか狙いがあるのは分かるが、こちらの動きを全て予測されていて小町の首を獲ることができない。

 

まるで、迅を相手にしているかのようだ。

 

「幻踊弧月」

「させません」

 

これも読まれていた。簡単にかわされ、かすり傷も付かない。米屋は舌打ちをした。

小町はスッと目を細める。

 

「…そろそろ」

 

そろそろ、米屋は小町の攻撃に慣れてきた。対処が早くなってこちらが防戦一方になっている。

だが、それも小町の計算通り。

 

小町のサイドエフェクトは、過去を視る能力。迅の未来を視る能力に比べたら、戦闘で有利なのは火を見るより明らかだ。

けれど、小町がA級と渡り合えているのは、小町の情報処理の速さが理由である。

 

過去を視る能力と言うが、正確には「記憶を視る能力」である。その人が覚えていなければ視ることができない。

だが、覚えていなくても、記憶の情報量は多いなんてものではない。

 

それを小町は、必要な記憶だけを取捨選択し、その記憶を元に情報を分析する。その作業が恐ろしく早い。

いくら情報を分析しても、体がついていかなければ意味がないのだが、小町のセンスのおかげでA級と渡り合えている。

 

このサイドエフェクト、そして小町の能力を知っているのは一部の人間だけである。米屋が知っているはずがない。

 

「旋空弧月」

 

斬撃を伸ばし、米屋の槍の刃を斬り飛ばす。

 

「…!くっそ!」

 

米屋は慌て、新しい槍を作り出す。その時間を稼ぐために距離を取ろうと後ろに下がる。

その瞬間を小町は見逃さなかった。

 

「テレポート」

 

試作トリガー、「テレポーター」を使い、一気に米屋の懐に入る。

 

「んなあっ!?」

 

急なテレポートに米屋はすっとんきょうな声をあげる。小町はためらいなく弧月を降り下ろした。

 

「ゲームオーバーです…よーすけ先輩」

 

 

 

 

「いやぁ、やられた~。相変わらず強いな小町は」

「あのあとこまちに勝っておいて何を抜かすですか」

「いやいや、そのあと引き分けだったじゃん?」

 

結果は一勝一敗一引き分け。B級がA級と戦った結果としてはかなりいい方なのではないだろうかと小町は思った。

 

実際、小町と米屋のランク戦を観ていた人たちは驚きおののいていた。

風間と加古が小町を引き入れようとする理由が分かったとばかりに。

 

「もう一戦する?」

「ぶっとばしますよ、遠慮するです」

 

懲りずに再戦を申し込んできた米屋をあしらいながら、小町は逃げるようにランク戦のロビーをあとにした。




トリガー紹介
<メイン>
弧月
旋空
グラスホッパー
シールド

<サブ>
テレポーター
グラスホッパー
シールド
バッグワーム

―――――――――――――――――――――

ここからあとがきです。
ドンパチシーン書くのめんどくさい!上手く表現できない!そして疲れた!
ドンパチシーンを分かりやすく、面白く書いてる方マジ尊敬っす…

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