あばばばば((((;゜Д゜)))頑張ります
オサムと食べたはんばーがーとやらの味が忘れられず、学校帰りに今度は1人(とレプリカ)ではんばーがー屋さんに来た。
このテリヤキとか言うやつうまいな。ぽてととめっちゃ合うわこれ。
「相席、よろしいですか」
「ふむ?」
突然話しかけられた。声のする方…つまり横を見ると…。
…?
「はんばーがーがしゃべった?」
「違います、こまちが喋ってるんです」
目の前にはトレーにはんばーがーを山のように乗せ、顔がはんばーがー化した小さな少女。…おれが言えることじゃないけど。
「アイセキ…?まぁ、いいよ」
「相席の意味が分かってないようですね。相席というのは、こういったご飯を食べるところで見知らぬ人と同じ席になるということです。よろしいですか?」
「ほほう。どうぞどうぞ」
おれがアイセキの意味を理解していないと気づき、律儀に説明をしてくれた。
少女は「失礼します」と言うと、そっとトレーをテーブルに置いた。
……。机、揺れたんだけど。どんだけ重いんだあれ。ざっと見ても20個近くあるんだけど。
「…それ、全部食うの?」
「食べます」
おれの質問に即答すると、少女は行儀よくはんばーがーを貪り始めた。おれがぽてとを食い終わる頃には山のようにあったはんばーがーは残り2、3個ほどに数を減らした。
……ヤバくね?
「…あれ?そういえば同じ制服だな。もしかして…」
「そうですね。同じ中学です」
「やっぱり?」
「隣のクラスの空閑遊真くん、ですね」
「ほほう?ご存知でしたか」
おれの名前を見事に当てたとは驚きだ。
「不良にやり返した白いチビと学校中で噂になってますよ。白髪ってだけで目立つのに、不良にケンカ売ったなんて格好の話題のネタです」
「別にケンカ売ったわけじゃないけどな」
「勝手に警戒区域に入って不良の足を潰しといて何を言う」
「!」
びくりと体がはねる。見られていたのか。
だが、一体どこまで?確かにおれはアイツの足を潰した。そして、あの後。トリオン兵が出てきて、オサムが立ち向かった。
けど、オサムじゃ倒せなくて…
「“おれが黒トリガーを使った”ですね」
「――っ!」
ガタン、と椅子を押し立ち上がる。
『黒トリガーと言ったぞ。彼女はボーダーかもしれない』
レプリカがおれの耳元で言う。レプリカの言う通り、黒トリガーという言葉を知っているのはネイバーかボーダーくらいのやつだ。ネイバーなんてこの町にはほとんどいないだろうし、ボーダーの可能性が高い。
おれがじっと少女のことを睨み付けていると、少女は至極落ち着いた様子でおれに椅子に座るよう促した。
「…見てたの?」
椅子に座り直し、訊く。
「ええ。――“視”ました」
「…」
少女は最後のはんばーがーを口に放り込むと、ふっと笑った。
「そう睨まないでください。貴方がネイバーだとして、こまちには関係ないです。確かにこまちはボーダーですが、上に報告する気はありませんよ。でなければこうしてのんきにハンバーガーを食べているはずがないでしょう?」
嘘は、ない。自身がボーダーだということも、報告しないということも。おれは少し警戒を解いた。
――が。
「しかし便利ですね。『嘘を見抜く』サイドエフェクトですか。この世に溢れる冤罪が無くなるいい能力です」
「な――」
なぜ、どうして、どうやって。おれのサイドエフェクトのことまで知っているのだろう?誰にも話したことなんてないというのに。
すると、少女はペコリと頭を下げた。
「すみません、“視”えてしまいました。…貴方の過去を」
「過去?」
「…こまちばかり知るのは不公平ですね。では自己紹介をば。こまちは木影小町と言います。貴方と同じ中学3年生で、隣のクラスです。そして、『過去を視る』サイドエフェクトを持っています」
過去を視る。なんて辛いサイドエフェクトなのだろう。そんなことを思う。感情が表に出ていたのか、コマチは小さく息をついた。
『…なるほど。そのサイドエフェクトのおかげでユーマがネイバーであることや不良とのこと、黒トリガーなどの情報を知ることができたのか』
「…コマチ、ね。おれの自己紹介は…いる?」
「いえ、視たので大丈夫です。…そちらの、レプリカさんのことも」
『…』
「ああ、出てこなくて大丈夫ですよ。人目もありますし。あなたとのお話は、またいずれ」
『了解した』
コマチに敵意が無いことが分かったのだろう。レプリカも警戒を解いた。
コマチはきちんと嘘偽り無く話してくれたし、こちらに危害を加える気もないようなので、少し探ってみよう。
「なあ、コマチはボーダーなんだろ?ネイバーであるおれのこと恨んだりとかしてないの?」
「いえまったく」
「そ、そう」
「確かに家族は殺されました。けどまあ…大して思い出もありませんし」
そう言い放つコマチの声にぞっとする。先ほどまでの声のトーンとは寸分も変わらないはずなのに、その声にこめられた感情がちっとも感じられなかったからだ。
「ふむ…サイドエフェクトのせい?」
「まあそうですね。これのおかげで小学校にもなかなか通えず。気分次第で休んだり早退したり休んだり…」
「それ、ほとんど行ってないよね」
「否定はしません」
あれか。こっちの言葉で言う、にーとってやつか。
「なので、ボーダーの偉い人に遊真のことを話すつもりはありませんよ。面倒ですし」
「…それ、本音?」
「…そこまで見抜くですか。半分は、そうですよ」
「もう半分は?」
おれの問いにコマチは言いづらそうに目をそらす。
「ほら、その…君が信頼してるメガネにも迷惑がかかるでしょうし」
「メガネ…もしかして、オサムのこと?」
「ええ。お節介なメガネのことです」
「知りあい?」
「……」
無言。言いたくないならいいけど。
オサムにコマチのこと話そうかと言ったら全力で拒否された。念も押された。何した、オサム…
「では、名残惜しいですがこまちはこれで。これから昼食ですので」
「あーそっか、おひるごはん…え?はんばーがー食ったよね?」
「あれで満腹になるとでも?」
えっと、なると思う…。
はんばーがー20個近く食っといてまだ入るのか。そんな小さい身体にどうやって詰めこむというんだ。
「それでは。お話楽しかったです。また学校で会いましょう」
「じゃあな」
―
少女は歩く。うつむきながら、必死に思考を巡らせている。
「…ああ、ああ。なんて…」
可哀想なのだろう。どうにかその言葉を飲み込む。
彼の過去はあまりにも酷い。久々に気分が重くなった。おかしいな、過去には視飽きたと思ったのだけれど。
「あのセクハラ無職が言っていたゴタゴタとは、彼のことですか…」
ああ、ああ。なんて――
――面倒臭い。
小町は重いため息をついて近くの牛丼屋に入っていった。
ようやく遊真を出すことが出来ました!
学校にイレギュラー門が開く前のお話ですね。
基本的に小町は中立です。したくなーい、めんどくさーい、やるなら勝手にやってれば?的な。
……おい、主人公。しっかりしてくれよ。
話が進まねぇだろがい!
ちゃんと活躍させますので、気長に待ってくれると嬉しいです!
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