皆さんには感謝しかありません!もう土下座して寝ます!
…すみません、できません。
迅に呼び出され、予知を受けてから約2ヶ月が経った。
最近おかしなことが起きている、と小町は思った。
ネイバーからの侵攻を受けているこの三門市では、門誘導装置というハイテクな機材を使って市街地に門を開かせないようにしている。
そのかわり、警戒区域という隔離された場所に門を開かせ、そこでボーダーたちが侵入してきたネイバーを撃滅する、という流れ。
けれどおかしい。最近、市街地に門が出現し始めている。
そう。イレギュラー門だ。
「これも迅さんの言っていたゴタゴタのうちなんですかね…」
全く面倒臭い。小町は深いため息をつきながら、イレギュラー門から出てきたネイバーを撃滅すべく、足を動かした。
―side小町
そろそろ『ゴタゴタ』が始まる気がする。いや、確実に始まるだろう。
この間、三輪先輩とすれ違ったとき、三輪先輩が城戸司令と話している過去が視えたのだ。
なんか見張るとか言ってる。ネイバーと接触の可能性とか言ってる。絶対これあのメガネと遊真が関わってるじゃん。
で、今日。
新作のゲームを買いに行こうと思って家を出ると、三輪先輩とよーすけ先輩の姿を見てしまった。
「…」
本来なら興味なしでスルーしていたところだが、三輪先輩の記憶にあのメガネが出てきたので気になってあとをつけることにした。
しばらくつけていると、後ろからポン、と肩を叩かれた。
「よっ、ぼんち揚食う?」
「…迅さん」
驚かさないでほしいですと抗議するが、迅さんに笑って流されてしまう。と、迅さんの記憶を視て、私は確信した。
「…彼らを邪魔しに行くんですね」
「あ、視えた?まあね、秀次たちにとっては邪魔かもね」
「だから嫌われるです。まあ、他にも理由はあると思いますが」
「派閥が違うからねぇ」
迅さんは困ったように言う。迅さんは仲良くしたいと思っているようだが、当の本人が拒絶しているため無理だろう。
「でも珍しいね?小町が自分から厄介事に首突っ込むなんて」
「今厄介事って言いましたね。…気まぐれです」
そう言って私は三輪先輩たちにつけられている少年に視線を移した。迅さんは不思議そうに私に訊く。
「…知り合い?」
「どうでしょう」
迅さんの質問に曖昧に返す。どうせ視えているのだろうし、答えても迅さんに得することは無いからだ。あと、個人的に教えたくない。
「嫌われに行くんでしょう?頑張ってくださいね」
「違うから!今邪魔してほしくないから本部に戻すだけだよ」
「それが嫌われる原因です」
迅さんの暗躍を苦手とする人は多い。目的が分からず、手のひらで踊らされているように思えてくるらしい。
私には過去を視るサイドエフェクトがあるため、迅さんが動いている目的は分かるが、他の人にとってはそうでないので、厄介なのだ。
「あ、そうだ。今日は予定空けとけよ。大仕事があるからな」
「残念ですが今日は一日中ゲームする予定なので忙しいです。無理ですね」
「とかなんとか言ってお前はちゃんと来てくれるさ。おれのサイドエフェクトがそう言ってる」
「…仕事なら」
仕事、とはおそらくイレギュラー門のことだろう。
「じゃあ行ってきまーす」
「逝ってらっしゃい」
「今なんか悪意を感じた」
「気のせいです」
迅さんは私の脇をすりぬけ、メガネをつけ回しているA級様のところへ向かう。
そして、私にしたように三輪先輩たちの後ろに回り驚かせた。
「…」
「…」
なにかを話している。聞こえないが、迅さんが紙を差し出しているところから、今日わざわざ用意した命令書を渡しているのだろう。迅さんはそのまま去っていく。三輪先輩たちは忌々しげに迅さんの背中を睨んでいたが、命令には逆らえないのか、本部に戻っていた。
「まーた嫌われた」
私はそれを見届けたあと、家に戻ろうと踵を返した。
家に帰って着替え終わったあと、自分が何のために外に出たのか思い出すことになる。
―side小町
迅さん率いるラッド掃討作戦が開始され、3時間は経ったと思う。
『よーし、作戦終了だ。お疲れさん!』
迅さんの声が通信越しで響く。
私はそれを聞いて、ふぅと体から力を抜いた。
「お、終わった…」
「乙~♪」
そう言って私の頭にカフェオレを乗せてきたのはよーすけ先輩。
「お疲れさまです。いただきます」
「マジ疲れたよな~数千はいたんじゃね?害虫」
「これらはトリオンに還元されるそうですから、鬼怒田さん的にはウハウハですね」
「なんだっけ、ちりもつもれば…」
「山となる、です」
「そうそれ!」
相変わらず楽しそうだ。この人が怒ってるところなんて見たことない。何をしても大抵笑って許してくれる。私がかなりきつく言っても「こいつー!」と頭を撫でられ終わる。いい人だ。
「お疲れさまです、三輪先輩」
たまたま通りかかった三輪先輩に挨拶をする。三輪先輩は気づいてくれたようで私に返してくれた。
「…お疲れさま、木影」
「小町でいいと言ってるじゃないですか。…なにか難しい顔をしていましたが、どうかしましたか」
「…いや、大丈夫だ」
大方、迅さんのことだろう。今日あの人に邪魔されていたのはバッチリ見ていたし、今でも視えている。彼の心の中には苛立ちの炎が渦巻いていることだろう。
「先輩がイラついている理由なんてネイバーか玉狛か迅さん関連ですよね。迅さんになにか言われました?」
「…」
無言。まあ答えは言わずとも知っているので構わないが。
「今日迅さんに邪魔されたんだよなぁ。任務だからなにをとは言えないけど、秀次がイラついてんのもそれ」
「陽介、木影…小町に聞かせることじゃない。悪いな。そんなにイラついてるように見えたか?」
「先輩は常に眉間にシワがよっているのでアレですが、今日はいつもよりオーラが出てました」
「そ、そうか。自分ではそんなつもりはないんだが」
無自覚か。いつもそんなだから後輩たちに怖がられるのだ。ネイバーが関わっていなければ優しい人なのだが。
この人の過去は飽きるほど視た。誰よりも鮮明に、まるで、ついさっき起こったことのようにハッキリと。
つまりそれは、彼が過去に、姉に、復讐に囚われ続けているということ。
「三輪先輩」
「なんだ?」
「たまには、笑ってください」
「…」
じゃないとこっちまで気分が重くなる。復讐とかそんなのはどうでもいいが、私にまで迷惑をかけるのはやめてほしい。
三輪先輩は黙ったまま。それでもじっと三輪先輩を見つめ続けていると、三輪先輩はふいっと顔を背けた。
さらに見つめ続ける。先輩は根負けしたように言った。
「…努力します」
「はい。頑張ってください」
私が満足げに頷くと、三輪先輩はますますそっぽを向いた。視界の隅でよーすけ先輩が笑っている。
私にとっては笑い事じゃないので、そしてなんか不愉快だったので、とりあえず脛を蹴っ飛ばしておいた。
「色々書き貯めたので早いうちに投稿できると思いまっすてへぺろってぃ☆ミ」とか言っていた過去の自分を殴り飛ばしたい。
遅れてすみませんでした
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