誰の目も視ない少女   作:十六夜月乃

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かなり間が空いてしまいました……

飽きた訳じゃないです!
ただ、イベントで忙しかっただけなんです!
そして、被虐のノエルやってただけなんです!
うえええええい!リベリオかっこよすぎいいい!

……待っててくださった皆様、マジで申し訳ないです
あと、いろいろと端折りました。いちいち台詞打つのめんどくさいんだもん……


第9話 トリオンモンスター(後編)

「ええっ!?木影、女だったのか!?」

 

修の声が警戒区域に響き渡る。遊真と千佳は訳がわからないとばかりに首をかしげ、怪訝な顔をしている。

そして、小町はというと、「女だったのか」なんて失礼なことを言われたというのに、怒るどころか「言うと思った」と言わんばかりにため息をついていた。

 

「…だから、会いたくなかったんです」

 

小町はそうごちるともう一度大きなため息をついた。

 

***

 

トリオン兵に襲われそうになっていた千佳を遊真が救出し(小町はただ見ていた)、修と合流。修は警戒区域に入っていた千佳を叱ると、遊真に千佳の紹介を、千佳に遊真の紹介をした。

そして、修は見たことのない少女を見つめ首をかしげ、聞いた。

 

「ええと、あなたは?」

「…」

 

だが答えない。聞こえなかったのか、と修は眉根を寄せてもう一度聞く。

 

「あの、お名前は…」

「…」

 

そして答えない。修は汗を頬に垂らし、困ったように「あの…」と言うが少女は何も言わない。

千佳が助け船を出そうと口を開いたが、遊真が止めた。面白そうだからだ。

 

「…」

「…」

 

無言。修はオロオロと明らかに困り果てている。

少女はちらりと遊真を見た。遊真は楽しそうに笑っている。少女はふぅと息を吐くと、修と初めて目を合わせた。

 

「…私のこと、見えるの?」

「!?」

「「ぶふっ!」」

 

思わず吹き出した千佳と遊真。修は訳がわからないとキョロキョロと辺りを見回している。と、そこで必死に笑いをこらえている千佳と遊真を見つけ、少女が言った言葉が冗談だと気づく。

 

「な、なんだ…嘘か…」

「驚きすぎだろオサム…ふふっ」

「し、しょうがないだろ!空閑たち何も言わないし…!あぁ、幽霊に話しかけてたのかと思った…」

「すみません、つい」

 

少女は素直に謝る。修はいいえと首を振った。

 

「…それで、お名前は?」

「…」

「いや、そこで黙らないでくれ!」

 

再び笑い出す遊真たち。修は不満げに2人を睨み付けた。少女は悪びれもせず呑気にあくびをしている。

 

「あの…本当に教えてください…」

「おぬしに名乗れるものなど持ち合わせてはおらぬよ」

「かっこいい…じゃなくて!」

 

ビシッと手をツッコミの形にして叫ぶ修に、少女は満足したのか、うむと頷き口を開いた。

 

「すみません、面白くて」

「勘弁してくれ…」

「では紹介をば。空気です」

「はー、成る程空気さん…空気さん!?」

「噛みました。小町です」

「噛む要素あった!?」

 

まるでコントか何かのようにツッコミとボケを繰り広げる小町と修に、遊真たちは大爆笑。

小町は満足げにペコリと遊真たちに向けお辞儀をする。パチパチと拍手が上がった。修は疲れたのかどことなく暗い。

 

「はぁ…なんで名前聞くだけでこんなに疲れなきゃいけないんだ…」

「おれらは楽しかったよ」

「空閑たちだけだろ!」

「すごかったね修くん。芸人さんみたいだったよ」

「千佳まで!」

 

そう叫ぶが、2人が楽しそうならいいかと許してしまう修は限りなくM寄りだと思う。

と、そこで修はふと疑問に思った。今、この少女は小町と言ったか?僕の知る限り、小町なんて珍しい名前、1人しか知らない。そんなよくある名前だとは思えない。

 

「あの、上の名前は?」

「…」

「それはもういいよ!教えてくれ!」

「木影」

 

そう言ったのは小町ではなく、遊真だった。そろそろ飽きたらしい。

 

「おい」

「なんだよ、別に減るもんじゃないじゃん…ぎゃーいたいいたい無言で首絞めるのやめて!」

 

小町に首を絞められ悲鳴をあげる遊真。修の視界からは小町の顔が見れないが、千佳の怯え具合から、憤怒の形相になっているであろうことは想像にかたくない。

 

「…木影?」

 

ぽそりと修が呟く。聞いたことのある名前だった。木影小町。知っている。たしか、同じ小学校の同級生だった…

 

「ええーーー!?」

 

そして、冒頭に戻る。

 

***

 

「…女だったのかってどういうこと?」

「小町さんは女の子だよ?」

 

あまりにも失礼なことを叫んだ修に、千佳が責めるように言う。

 

「あなたが小町のことを男だと勘違いしていることは分かっていましたが、こうも驚かれるとさすがに傷つきます」

「え、こ、木影?だって…あれ?」

「ええ、あなたの記憶にある木影小町で間違いありません」

「だって性別が…」

「まだ言うか」

「性転換…?」

「はったおしますよ」

 

失礼すぎる。千佳はボソッと言った。遊真も口には出さなかったが同感だった。

つまり修は、小町のことを男だと思いこんでいたようだ。

 

「で、どういう関係?」

「小学校の同級生です。まあ、中学校も同じなのですが、小町は極端に修を避けてましたから。…こうなることが分かってたので」

「すみません…」

 

修が力なく謝る。顔面蒼白で、だらだらと冷や汗を流している。いや、冷や汗はいつものことだった。

 

「思えば昔からあなたはそうでしたね。女の私に『木影ー、体育の更衣室はこっちだぞー』とか『木影、そっちは女子トイレだぞ』とか…」

「気づけよオサム」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

土下座しそうな勢いで頭を下げる修に、小町はため息をついて「もういいです」と許した。

 

「それで?なんで集まったんでしたっけ」

「あー、そうだった。空閑に千佳のことで相談があって」

「ふむ、相談?」

 

遊真の問いに、修は「そうだ」と首肯する。今までと打って変わって真面目な空気になる。

 

「こいつは、ネイバーを引き寄せる人間なんだ」

 

***

 

「動くな、ボーダーだ」

『!!』

 

明らかに別の声。全員がびくりと跳ねる。修と千佳はおそるおそる、遊真は眉をひそめ、小町は全くの無表情で声の主の方を振り向く。

 

「…三輪先輩」

「俺もいるぜ~」

「…」

「無視!?」

 

米屋の悲痛な叫びをスルーし、小町は眉根を寄せて油断なく三輪を睨み付ける。それに対し三輪は小町ではなく、千佳の方を睨み付けていた。

 

「…何をしている、木影」

「それはこちらの台詞ですね。何日か前から修のことをつけていたようですが、ボーダーからストーカーに転職ですか?おめでとうございます」

「…ふざけるな」

「三輪先輩、小町がふざけているように見えますか?」

 

その言葉に三輪の眉根がギュッと寄せられる。修はハラハラとそれを見ていた。

 

「…何のご用でしょう」

「決まっている、ネイバーを見つけた。処理をする。それだけだ」

 

「「トリガー起動」」

 

三輪と米屋がその言葉を発すると同時、2人の姿が一瞬にして戦闘服に変わる。その様子に遊真は身構えた。

 

「さあて、ネイバーはどいつだ?」

「そいつだ。ボーダーの管理下にないトリガーを使っていた」

「えっ?」

 

そう言って三輪が指したのは遊真…ではなく、千佳の方だった。その言葉に千佳は戸惑い、修は慌てふためく。

 

「ち、ちがいます!こいつは…」

「ちがうちがう。おれだよ、ネイバーは」

 

修の言葉を遮り言う遊真に、小町は目を見開く。

 

「ちょっと…」

「悪い。でもごまかせないじゃん、これは」

「…ち」

 

小町は小さく舌打ちをする。それは遊真に対してではない。自分に対しての苛立ちからくるものだった。

―私が、もっと気を配っていれば。

―私が、もっと警戒していれば。

―私が、もっと…

そんな思いが、駆け巡る。やりきれない思いが、脳を満たす。小町は血が出るほど唇を噛んだ。

 

「コマチ?」

「…!…はい、なんでしょう」

「大丈夫?」

「…問題ありません」

 

こみ上げる嘔吐感をどうにか抑え、答える。遊真は何か言いたげだったが、小町の鋭い視線に何も言えなくなった。

三輪が訊く。

 

「…間違いないか?」

「間違いないよ」

 

遊真は即答する。小町は目を細め、じっと三輪を睨み付けていた。

 

ドン!と音がする。修は何が起こったのか理解できなかったのか、吹っ飛ばされた遊真を見て戦慄した。――三輪が、遊真を撃ったのだ。

 

「な――なにしてるんですか!」

「ネイバーは人類の敵だ。放っておくわけにはいかない」

「…おいおい、おれがうっかり一般人だったらどうする気だ」

 

拳銃で撃たれたのにも関わらず、けろりとした顔で起き上がる遊真。修は目に見えてホッとし、三輪はちっと舌打ちをした。

 

「なあ、迅さんって人知らない?知りあいなんだけど」

「そ…そうです!迅さんに聞けば分かるはずです!こいつが悪いやつじゃないって!」

 

修の懇願した言葉に、三輪は顔に憤怒の表情を浮かべた。小町ははぁと息を吐く。

 

「やっぱり一枚噛んでたか…裏切り者の玉狛支部が…!」

「え…?」

「コマチ、解説」

「簡単に言うと、迅さんは三輪先輩に嫌われてるということです。迅さんは三輪先輩を嫌っているわけではありませんが」

「ほほう」

 

なるほど、と遊真が頷く。ということは説得は絶望的だろう。

 

「三輪先輩、遊真は小町の数少ない友人なのです。…見逃してくれませんか?」

「見逃すと思うか?」

「はぁ…」

 

大きな嘆息。ですよね、とでも言いたげだ。

一方米屋はというと、「自分で数少ないとか言うなよ!」と笑っている。

 

「退け、木影、三雲。俺たちは城戸司令の命で来ている。邪魔をするなら…」

「するなら、なんでしょう?」

【!!】

 

ビクリ、とその場にいた小町以外の人間が驚く。否、怯えた、といった方が正しいのかもしれない。それほどまでに、小町から凄まじい怒のオーラが溢れている。

 

「小町の…友人を、殺す?言ってくれますね、三輪先輩。言いやがりましたね?」

「ひっ…」

 

千佳が小さく悲鳴を漏らす。修や遊真でさえ軽く引いている。

 

「やべぇ、めっちゃキレてね?」

「……」

「ガチギレモードの口調だろ今の…」

「……」

「ああなったの、俺が小町のおやつかっさらったとき以来だぞ」

「……。…いや、何をしてるんだお前は」

「あ、しゃべった」

 

米屋が茶化すように言うが、その頬には一筋の汗が流れている。内心めちゃくちゃビビってるようだ。

 

「過去に縛りつけられて、前にも後ろにも進めねー男が、偉そうに何言ってやがるんです?それこそ、――ふざけるな」

 

その言葉に、三輪や米屋だけでなく、修たちまで息を飲む。

小町は瞳に憤怒の炎を宿しながら、言った。

 

「トリガー、起動」

 

 




小町のパラメーター乗せるの忘れてた

木影小町
トリオン:8
攻撃:7
防・援:11
機動:7
技術:7
射程:2
指揮:4
特殊戦術:4 total50

こんな感じです。防御・援護が高いのはサイドエフェクトの恩恵ですね。

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