PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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女に花を贈るって、理想を押し付けるみたいであんま喜ばれないかと思ってたが、案外そうでもないらしい

 

 

 

 

 

 翌日。

 俺はショップエリアに来ていた。

 用は……まぁディスクの買い漁りかな。

 ルベルトのオーダーを受けてると、金にどんどん余裕が出てきてるからな。孤児院に幾らか送っててもお釣りが十分過ぎるくらい。良い金ヅルだ。メセタヅルとも言う。

 ……近接クラスは、ある程度買えそうかな。射撃クラスは今の所、PAを必要とする感じじゃないし。テクニックは欲しいが、属性は揃ったから応用は利くし。となると、優先順位的には……。

 

 

「あっ、いたいた!」

 

「お?」

 

 

 悩んでいると、声を掛けられた。

 

 

「やっほー! アークス一の情報屋! 『パティエンティア』のパティちゃんですよー!」

 

「パティ、とティアか」

 

「わたし達、情報屋とは名ばかりで、正直パティちゃんがただ喋りたいだけだよね」

 

「そんなことないよ! 情報を提供する相手は選んでるもん! 今はアナタと専属契約!」

 

「断ることの出来ない一方的な押し付けでごめんなさい。飽きるまでは付き合ってあげて」

 

「謝るこたねぇよ」

 

 

 双子の美少女が向こうから話しかけてくるとか、むしろこっちがお礼を言いたいくらいだ。

 飽きるまでと言わず、どんどん付き合わせてほしい。

 

 

「って、ん? 専属契約?」

 

「そーそー! なんかみんな、あたしの話全然聞いてくれなくてさー? 情報提供しようにも受け取ろうとしてくんないの」

 

「なので、この前のあなたの武器を作ってた人への製作依頼の情報も回らず仕舞い。うちの姉がごめんなさい」

 

「あたしのせい!?」

 

 

 ありゃ。ダメだったか。

 まぁいいか。元々金策の一つ程度だったし、ルベルトっていう予定外のメセタヅルが出来たから、一つや二つ無くなったところで問題なし。

 しかし……なんつーかあれだな。

 マトイといい、ジェネといい、フィリアさんといい、セラフィさんといい、この二人といい、ついに俺にもモテ期が来たか? 士官学校時代はあまりピンと来るのが周りにいなくて、アフィンと一緒に恋愛模様を眺めてる方が楽しいくらいに出会いが無かったからな。

 ん? エコーさん? あれは既にゼノさんの女みたいなもんだからノーカン。

 他人の女を奪う気はこれっぽっちもない。

 寝取りはニャウである。

 同じ理由でウルクもシーナと呼ばれていた少女もノー。

 マールーさんは、なんというか……近接クラスも扱う俺には取っ付きづらいというか。

 リサさんは………………なんかもう色んな意味でアカン。

 

 

(出会いがあったところでものに出来なきゃ、モテてるとは言い難いんだがな)

 

 

 オラクルの結婚制度は、割とゆるふわだ。

 何よりも結婚して子を産み、人口増加に貢献するのが第一。

 流石に自分の意思を決定できると判断される年齢に達していないような子供はダメだが、遺伝子さえあれば同性でもオラクルの技術で子を成すことが出来るし、ハーレムでも逆ハーレムでも、ちゃんとやることやって子を産んでいけるのなら問題はない。

 制度的にはオーケーでも、実際にハーレムを構築できるような魅力を発揮出来るような奴がほとんどいないから、一般的とは言い難いけど。

 俺? 俺はまぁ強欲だから、そういう願望がないわけではないよ。

 ただまぁ、ものにしたい女が複数いるからハーレムを作るのと、ハーレムを作りたいから女を囲うのとじゃ、意味合いが全然違うと思うのよね。

 好きでもない女と結婚したところで、負担なだけだと思うし。

 アークスシップっていう閉鎖空間で何故そんなことが出来るのかと言うと、言ってしまえば出来るのではなく、そうしなければならないのだ。

 なにせ元あった人口の多くは、ダーカーの襲撃によって削減されてしまったのだから。

 むしろ出生率よりもダーカーの襲撃による減少率の方が高いから、試験管ベイビーなんてもんが出回る程に。

 40年前の大戦争と10年前のダーカー大規模襲撃で大幅に人口が減少して、その後は襲撃が比較的落ち着いていたから、なんとか出生率に回復の兆しが見えていた。が、ナベリウスの大発生以来、各惑星でダーカーの発生率が上昇してるようだし、これからはオラクル側の婚活の後押しがより一層強くなるかもしれん。今のところは襲撃もないようだが、それも今の内だろう。

 

 

「今回はどんな話が聞きたいの? アレの話? コレの話?」

 

「どれの話?」

 

「いーよいーよ、何でも聞いてよ! おねーさんが何でも答えちゃうから!」

 

 

 大きな胸をどんと張り、パティは言う。

 それを尻目にしながら、ティアは俺の傍に近寄り、小声で話してくる。

 

 

「ごめんなさい。どうも、パティちゃんがあなたを気に入ってしまったみたいなの」

 

「え、そうなん?」

 

「たぶん、前の機会にきちんと話を聞いてくれたから、かな?」

 

 

 そいつは光栄だが、女の子、それもパティのような美少女が話しかけてきて、それを聞かないとか、有り得るのか?

 いるとしたら、同じ男の風上にも置けん。

 風下に流されて、そのまま谷底にでも落ちればいい。

 

 

「心配しないで。情報は私が調べたから確かだし、見返りも要求しないから」

 

「そりゃ有難いが……情報屋としていいのか?」

 

「さっきも言ったように、パティちゃんが喋りたいだけだから。パティちゃんのハイテンションは……まあ、諦めてほしいかな」

 

「え、可愛くない?」

 

「……そう言ってくれるあなたは、貴重だと思う」

 

 

 今までの苦労を吐き出すように、溜息をつくティア。

 双子の美少女姉妹なんだから胸を張ればいいのに。

 

 

「むっ、ティアと二人でナイショ話? あたしも混ぜてよー!」

 

 

 パティが割り込むようにずずいっと、顔を俺とティアの間に差し込んでくる。

 

 

「混ぜるも何も、新しい情報の話をすればいいじゃない」

 

「うーん、そうだなぁ……。あ、こういうのがあるよ。危険のアークスの話!」

 

「危険なアークス?」

 

「アークスって一口に言うけど、みんながみんな、正義の味方ってわけでもないんだよねー!」

 

「そらまぁ、そうだわな」

 

 

 かくいう俺も、正義の味方とかじゃ全然ないし。

 正義? 何それ? 食えるの?

 

 

「戦い大好き! 敵味方関係ない! ってテンションのチームや、いちいち難癖つけてくるチームとか! むー! なんだか思い出すだけで腹が立ってきたなぁ!」

 

「パティちゃんの私怨はさておき……アークスの大多数は規律を守り、正しき行いをする人達よ。ただ、組織の肥大化に伴って、一部が徐々に腐敗してきているの。性格よりも、力が求められる世界だし、仕方がなくもあるんだけどね」

 

「一部、ねぇ……」

 

 

 まぁ、一部と言えば一部か。

 

 

「しつこいヤツはほんとしつこいから、目をつけられたりすると面倒だよー! 気を付けてねー!」

 

「…………」

 

 

 脳裏に浮かぶのは、ゲッテムハルト。

 あの仮面野郎を相手にして、楽しめそうだとか抜かしてた狂人。

 そして、「お前とヤるのは、まだ早そうだな」という言葉。

 

 

(目をつけられるってんなら、もう手遅れだよなぁ……)

 

 

 仮面野郎に夢中で俺の事は忘れてる事を願っておこう。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 所変わって、ナベリウス。

 オーダーを受けて、俺とジェネは緑豊かなこの惑星を歩いていた。

 

 

「…………」

 

 

 隣を歩くジェネの顔は、暗い。

 さっきの話を聞いてからというものの、ずっとこの調子だ。

 別に自分がどうこうする話でもないのに、な。

 

 

「やっぱ、気になるか? さっきの話」

 

「……はい。まさかマトイちゃんが……その…………記憶喪失、だったなんて」

 

「記憶喪失、か」

 

 

 メディカルセンターの検査の結果、マトイは「記憶障害」だと診断された。

 世の常識や言葉など、一般的なものにはなんら問題はない。ただ、自分と自分の周り。自己的なことは全く覚えていなかった。

 霞が掛かったようなそれを思い出そうとすると、頭に痛みが走る。実際にその様子を本人と話していて見たが、拒絶反応でも起こしているようだった。

 覚えてたのは、自分と、俺の名前だけ。

 

 

(覚えてた……てのが、おかしいんだよなぁ)

 

 

 ナベリウスで救助する以前に、俺とマトイに面識はない。

 救助の時に俺の名前を聞いていたのだとしても、それを「覚えていた」と表現するのは違和感がある。

 俺がもっと幼い頃に出会っていたから、俺が覚えていないだけと考えるのが一般的だろうが、それはないだろう。

 ()()()()()()、それはない。

 そもそもマトイは俺と同年代。あったとしたところで、マトイだけが覚えてるのは疑問点だ。

 

 

(となると、面識はなくとも、資料を読んだ事があるとか、そんな所か?)

 

 

 だが―――

 

 

『あなたの名前だけ覚えてたから……縋ってしまって、迷惑だよね……』

 

 

 そんなことねぇよって言っても、気を遣わせたと思われてしまった。

 実際にそんなことないんだけどな。

 マトイみたいな美少女で、しかも良い子に懐かれてて、悪い気など起こりようもない。

 それは、まぁ今後の課題として。

 

 

(資料で読んでただけの存在を覚えてる。縋りつく。そう考えるのもおかしいよなぁ……)

 

 

 どう考えても矛盾が生まれる。

 前提条件からして間違ってるような……ピースが欠けたままパズルを組もうとしてるかのような。

 

 

(……ま、これ以上考えても仕方ないか)

 

 

 情報が足らないのに想像だけ膨らませても、仮説しか生まれない。

 そうすることで備えられることもあるが、今回の場合はそうじゃない。なにせ、事は本人の問題なのだ。何かしてやろうと考えても、それの手伝いしかしてやれない。

 俺はそう割り切ってしまえるが……ジェネはそうじゃないのだろう。

 

 

「記憶がない、って……どんな気持ちなんでしょう」

 

 

 隣を歩くジェネが言う。

 

 

「記憶を失くす程のことが、マトイちゃんにあったなんて……」

 

「可哀想、か?」

 

「…………はい。マトイちゃん、あんなに良い子なのに」

 

 

 トラウマのようなものかもしれない、とフィリアさんは語っていた。

 記憶を閉ざしてしまう程の辛い出来事があったから、思い出せないし、思い出そうとすれば頭痛がする。

 そうじゃない可能性もあるが、原因を知らない以上、それ以上はどうとも言えない。

 もしかすると。

 そう考えただけで、ジェネは自分が痛いかのような顔をしているのだ。

 

 

「マトイちゃんは必ず思い出すって言ってましたけど……、もしかしたら、思い出さない方がいいのかも」

 

「……そんなん」

 

 

 タタタン! っと。

 銃声がした。

 

 

「ひゃわぁ!!?」

 

「おっと」

 

 

 ジェネは大袈裟なくらいに驚いていたが、俺は前から捕捉していたので、大したリアクションは取らなかった。

 あ、しまった。探知は秘密なんだから、もっと驚いた方が良かったか?

 音の発生源の方を見る。

 案の定、そこにはリサさんがいた。

 

 

「ふふっ、びっくりしましたかあ? ごめんなさい、今のは冗談ですよお」

 

「び、びび、びっくりしました……ア、アークスの人ですか?」

 

「どうも、こんちわ」

 

「ああ、そちらはともかく、あなたは驚いてませんねえ。やっぱり気付かれちゃいましたか」

 

 

 前回と同じく、赤い瞳を爛々と輝かせているリサさん。

 本当に当てる気はなかったらしく銃口は明後日の方を向いているが、しかし死角から銃声が聞こえたらそら驚くだろう。

 

 

「えっとぉ……どちら様でしょうか……?」

 

 

 ちょっと引き攣り気味のジェネが問う。

 

 

「この人はリサさん。レンジャー・ガンナーのクラス担当官で、見ての通りクレイジーなお人だ」

 

「クレイジーとは失礼ですねえ。確かにリサは狂ってますが」

 

「自分で自分を狂ってるって言う人が言っても説得力ないですし、この前迷いなく俺に銃弾撃ってきた人が言いますか?」

 

「あれはただのうっかりですよう。ひとを撃ったら怒られてしまいます。でも、撃ったことないのはひとだけなんですよねえ。どんな風になるんでしょうねえ」

 

 

 ジェネが一歩下がった。

 俺は二歩下がった。

 

 

「もしも、ダーカーがひとの肉体を乗っ取って襲い掛かってきたりしたら、それは撃ってもよさそうですねえ」

 

「え……?」

 

「んー…………」

 

 

 いや、まぁ。

 確かに撃ってはいいだろうけど。

 リサさんは小首を傾げながら続ける。

 

 

「原生生物だってなんだって、乗っ取られたら倒すしかないんですから、それがひとになっても同じですよねえ。そうなったら敵というわけですし、撃っても問題なさそうですよお? やってみたいですねえ、ふふふっ」

 

「そ、そんな……でも」

 

「もしもそういうのを見かけたら、ぜひぜひ教えてくださいねえ。ではでは、ではではでは」

 

 

 ジェネの小さな反論も耳に入らず、リサさんはひらひらと手を振って去って行った。

 その背中が見えなくなってから、ジェネは言う。

 小さく零すように。

 

 

「……ダーカーに浸食されたら、それが人でも……倒さなきゃいけないんでしょうか?」

 

「まぁ、そうだろうな」

 

「っ……!」

 

「つっても、アークスが浸食されることなんざそうそうねぇだろ。溜まる因子は浄化するし、最悪コールドスリープで集中浄化する技術もあるんだからな」

 

「……でも、アークスじゃない人は」

 

「アークスシップに現れたらすぐにアークスが駆けつけて、アークスが応対する。それじゃなきゃ、浸食じゃなくてそのまま殺されるだけだろ」

 

 

 あまり愉快な話じゃないだろう。

 俺みたいに他人はどうでもいい奴ではなく、ジェネは優しい奴だから。

 

 

「それが嫌なら、お前が守れば?」

 

「……はい!」

 

 

 決意を新たにしたような、ジェネの返答。

 まぁ、笑顔ってわけじゃないが……沈んだ顔よりはマシか。

 …………まさかこれを狙って、あんな性質の悪い冗談かましたわけじゃないだろうな。

 

 

(本気だとしたら、無闇矢鱈に関わらん方が良いと思うけどね……)

 

 

 人型のダーカー。

 ()()()()()()()なんて、ロクでもないもんに関わるのは。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 用事を済ませて、シップに帰還。

 

 

「えー、マトイー。マトイはおらんかねー」

 

「マトイちゃーん。いませんかー?」

 

 

 迷子を捜すようにマトイを呼びながら、ゲートエリアをジェネと共に練り歩く。

 まぁある意味迷子と言えるかな。

 記憶の。

 なんてことを考えてると、メディカルセンターの方からマトイが駆けてくる。

 やっぱそっちか。呼んだりせずに直行しときゃよかったかな。

 

 

「おかえりなさい。どうしたの? ハクメ、イ……」

 

「マトイちゃん。ただいまです」

 

 

 ジェネの姿を見て、固まってしまうマトイ。

 周り見なさ過ぎだろ。

 

 

「……こんにちは」

 

「あぅ……その、ですね」

 

 

 淡々と告げられた挨拶に戸惑うジェネ。

 ふむり。

 俺はフィリアさんに預けるつもりだったが、ここで直接渡してもいいかな。

 

 

「ジェネ。あれ、あれ」

 

「あ、はい。それじゃあ、ハクメイさんから」

 

「え?」

 

「いや、なんで俺から。渡すのはお前への警戒心解こうってのが主目的だろうがよ」

 

「こういう時、男の人から渡した方が、女の子は嬉しいものなんです。わたしはおまけでもいいですから」

 

「……何の話をしてるの?」

 

「あー、その、な……」

 

 

 訝し気に首を傾げるマトイ。

 渡す、かぁ。でもなー、なんかなー。

 そもそもこういうの「女はこれ渡しときゃ喜ぶもんだろ?」みたいに適当な奴だと思われそうだしなぁ。

 とはいえ、今更それ言ったら無駄足を踏んだことになるしな。

 ジェネの「絶対大丈夫ですっ」って言葉を信じてみることにするか。

 

 

「マトイ」

 

「?」

 

「はい、これ」

 

 

 アイテムパックから、花束を取り出した。

 

 

「え…………?」

 

 

 急に現れた花束に驚いたのか、マトイはさっきとは違う形で固まる。

 いや。常識的なことは知ってるって言ってたから、アイテムパックは知ってるか。とすると、急に花束渡されて戸惑ってるって感じかな。

 抱えた花束を渡すと、マトイは表情を固めて花束を凝視しながら、両手を差し出して受け取る。

 

 

「…………」

 

「あー、あれだ。昨日言ってたお土産。ナベリウスでお前が喜びそうなもんってのが、これくらいしか浮かばなくてな」

 

 

 まぁ本当は、フィリアさんの依頼で摘んできたのだが。

 記憶喪失の人間は、失くした記憶の中で出会った人、物を見て、触れることで、記憶を取り戻すこともある。それこそ本当に些細なことでも。

 なので、倒れていたナベリウスに生えている花を見て、何か思い出すのではないかと思ったフィリアさんが、俺に依頼してきたというわけだ。

 そこでジェネも同行させて、ジェネからも花を渡すことでマトイの警戒心を和らげることができるのではないかと思い、誘った。

 で、ジェネが「贈るなら、花束にしたらいいと思います!」と言うので、ジェネの選別を乗り越えたこの黄色い花の束を持ってきたというわけだ。

 花束用の袋も買って、ジェネの指導の下、束ねてきたわけだが……さて、反応は如何に。

 

 

「……ハクメイ」

 

「ん?」

 

「ありがとう……。……すごく、すごく嬉しい」

 

「……お、おう」

 

 

 やっべ……。

 今のはにかんだ笑顔、可愛すぎか。

 赤らめた頬も、花束をきゅっと抱き締める仕草も、俺の心を掴んで離さない。

 萌えを超えて蕩けそう。

 そんなマトイの頭に、花の冠が添えられる。

 

 

「! ……これ」

 

「わたしからは、お花の冠です! マトイちゃんに似合うと思って」

 

 

 俺の花束とは違う、色とりどりの花の冠。

 ジェネは花の扱いに関しては俺より上だ。

 俺も作ってみようかと思ったが、どう頑張ってもジェネのより不格好だったし。

 添えられた花の冠を、マトイは見上げる。

 

 

「……可愛い」

 

「えへへ。それが似合うマトイちゃんも、可愛いですよ?」

 

 

 嘘偽りなく、満面の笑みでジェネは言う。

 実際にジェネの作った花の冠は、マトイに似合っていた。

 どういう色で、どういう配分で作れば、マトイに一番似合うか。真剣に悩んでたからな。その甲斐あったというものだろう。

 

 

「喜んでもらえたら、嬉しいなって。どう、でしょうか?」

 

「……あの」

 

「はい」

 

「……ありがとう」

 

「……! はい! どういたしまして!」

 

 

 おお、今度は敬語じゃなかった。

 俺の時とはちょっと見劣りするが、ちゃんと喜んでるのが分かるくらいには感情が出てた。

 

 

「どうですか、ハクメイさん! 言った通り、お花は喜んでもらえました!」

 

「んー、でも女の子なら誰しもってわけじゃないだろ?」

 

「何を言っているんですか! ハクメイさんみたいにカッコいい男の人から花束を贈られるのは、全乙女の夢です!」

 

「やだ! 女の子から外見褒められるの初めて! すごい嬉しい!」

 

「え!? そうなんですか!?」

 

「素で驚かれると余計照れる!」

 

「ハクメイは……カッコいいよ?」

 

「褒め殺される!!」

 

 

 

 

 

 




まずはゼノとエコー、結婚おめでとう。
ストーリーがそこまで追い付いたら絶対ツッコミ入れてやる。

ここでのオラクルの結婚制度は要するに、「ハーレムでもなんでもお好きにどうぞ。それが出来るんならな!」みたいな感じです。制度的には出来るけど、実際に出来るかは別ってやつです。そも、現役アークスが結婚する空気はないようですし。

社会人になったので、この前の母の日に奮発して花束を贈りました。
喜ばれました。
花の世話とか面倒くさがりそうな母だったので、意外です。
やっぱり女性に花は嬉しいものなんですかね?
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