PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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強くなりたい、その理由は

 

 

 

 バカップル先輩s’を横目に歩いて、途中戦闘を交えていく。

 今はフォンガルフをリーダーにしたガルフの群れとの戦闘中だ。

 

 

「てやっ!」

 

 

 モアが振るったクレイモアが、ジェネが仰け反らせたフォンガルフの牙を数本、根元から切り取る。

 今回はモアにも参戦させた。

 群れを見つけた時はまた俺のデバイスに隠れようとしたが、そうはさせず、強制的に外で戦わせることにしたのである。

 実力を試しに来たのに、本人が戦わなかったら本末転倒だし。

 作戦としては、俺が多数を相手取り、ジェネとモアのコンビでリーダーを狩る形だ。今もジェネが作った隙をモアが突いていっている。

 戦闘前はガキンチョらしくビクついていたが、いざ戦闘になって攻撃する時は、ガキンチョらしく思い切りがいい。つっても威力は全然だけどな。

 小型とはいえ、大剣のクレイモアでフォンガルフの牙数本ってどうよ。顎割るくらい出来ないかね。

 

 

「ガァアッ!」

 

 

 俺が相手をしてる奴等の内一匹が、俺からターゲットをズラし、先に二人を倒してリーダーに助太刀しようと襲い掛かろうとするが。

 

 

「ゾンディール」

 

 

 磁場を発生させるテクニックで周りのガルフ共と一緒に引き寄せる。

 集まったガルフに押し潰されないように上に跳び、二人に襲い掛かろうと跳んでいたガルフの尻尾を掴む。

 

 

「つれないことすんなよな」

 

 

 集まった地点の真横に着地し、そのままガルフを振り回して、ガルフ共に上から叩きつけた。

 右手に持っていたエレキを仕舞い、フレアを呼び出す。

 密集したガルフ共に並列起動のフォイエを―――喰らわせようとして、思い留まり、普通にチャージして放つ。

 

 

「フォイエ」

 

 

 叩き潰したガルフ共に放つ。

 

 

「フォイエ」

 

 

 放つ。

 

 

「フォイエ」

 

 

 放つ。

 

 

「フォイエ」

 

 

 放つ。

 

 

「フォイーエ」

 

 

 放つ。

 

 

「フォーイーエ」

 

 

 放つ。

 消し炭になったので終わり。

 やれやれ。時々制限かかってんの忘れそうになるな。気を付けないと。

 二人の方も終わってたようで、こちらに歩み寄ってくる。

 ガルフとフォンガルフの違いがあるとはいえ、集団相手にした俺と個体を相手にした二人が同じなのは、ジェネには防御に専念してもらったからだ。

 二人のフォーメーションとしては、ジェネが前で敵の攻撃を防ぎ、隙が出来たところを後ろのモアが攻撃する、というもので、役割を完全に分けることでそちらに専念できるようにしたのだ。この実験でモアの攻撃力を確かめると同時に、防御が疎かになりがちなジェネの特訓にもなる。

 

 

「お疲れさん」

 

「……ふぅっ! はぁ……はぁ……」

 

 

 ジェネから返事はなく、息も絶え絶えだった。

 ……攻撃せずに防御だけしてもこれか。

 傷自体は大したことないんだが、な……。

 

 

「なぁジェネ、大丈夫かよ? すっげーしんどそうだけどさ……」

 

「…………」

 

「リーダーも心配だよな! なっ!!」

 

「え? ああ、うん」

 

「なんでちょっととまどいぎみなんだってば」

 

「すみま……せん。……っ、こんなんじゃ……ダメなのに……」

 

 

 息を整えながら、ジェネは言う。

 

 

「フォトンの扱いが……下手で……、いつも途中でバテちゃうんです……」

 

「? 扱いが下手……?」

 

「…………」

 

 

 まぁ。

 それはしゃーないと言うべきなんだが。

 

 

「こんなんじゃ、ダメなのに。早く立派なアークスにならなきゃ……」

 

 

 両剣―――コートダブリスの柄をジェネは強く握る。

 強く、強く。

 噛み締めるかのように。

 

 

「誰かに、守られる存在じゃなくて……」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

『逃げるんだ……。どうか、お前だけでも生きてくれ、ジェネ……』

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「みんなを、守れるように……なりたいんです」

 

(…………はぁ)

 

 

 やれやれ。

 間違いなくさっきのゲッテム野郎の言葉を気にしてるな。

 あんな奴気にしてもしょーがないだろーに。

 

 

「……おい、リーダー!」

 

「はい、リーダー」

 

「リーダーならこういうときに、がつんとかっこよく、はげましてやれよ!」

 

「えー俺ぇ?」

 

「嫌がんなってば!」

 

 

 いや、別に嫌がってるわけじゃないが……そういうのは言い出しっぺの法則ってのがね?

 とはいえモアに任せても不安だし。俺から言わせてもらうか。

 

 

「ジェネ」

 

「は、……はい……っ」

 

「てい」

 

 

 足払い。

 

 

「はわぁっ!?」

 

 

 俺の足に逆らわず足を払われ、横にずっこけようとするジェネの腕を掴み、倒れるのを防ぐ。

 組体操みたいに斜め45度になったまま、ジェネが問い掛けてきた。

 

 

「な、なにを……?」

 

「足元がお留守だぞ、ジェネ」

 

「え?」

 

 

 ぽかんとした顔のジェネを、引っ張り上げて立たせる。

 

 

「お前があんにゃろうに言われたこと気にして、焦って強くなろうとしてんのは、分かってる」

 

「! そ、そんなことは……」

 

「ないって?」

 

「……ない、こともない、です……」

 

 

 まぁ気持ちはわからんでもないけどな。

 実力不足なのは分かってたろうし、加えて戦闘ですぐバテる点もある。戦闘技術は一般くらいだが、継続戦闘が出来ないのはアークスとしては痛い。

 ムカつくが、心底ムカつくが、実力は確かにあるゲッテムからすりゃ、弱いのは確かだろう。

 が、それだけだ。

 

 

「そうやって上ばっか見上げて、急いで力を得たって、強くなったとは言わん」

 

「……そう、ですね。焦っても、すぐに強くなれるわけじゃないですよね」

 

「ああ。そんな隙だらけの力なんざ、格下に足掬われて終わりだ」

 

 

 事実、そういう奴等の足を掬い上げて、俺はのし上がってきた。

 

 

「あのゲッテム野郎に言い返したきゃ、しっかり土台を固めた力で強くなれ。これでもリーダーだし、そんぐらい待ってやるさ」

 

「……ハクメイさん」

 

「そうなりゃ俺も安心して楽できるし」

 

「……最後のはぜったいいらなかったってば」

 

「うるせーぞ足手纏い筆頭」

 

「な、なんだとこんにゃろー!」

 

「ふふっ」

 

 

 腕をぐるぐる回して突貫してくるモアの額で指で押さえてると、そのやり取りがおかしかったのか、ジェネが零すように笑う。

 ちゃんと息も整え、姿勢も整え、ぺこりと頭を下げてきた。

 

 

「ありがとうございます! おかげで、ちょっと元気出てきました」

 

「そらよーござんした」

 

「ったく! 世話のやける二人だぜっ! おーい、さっさといくぞー! ついてこーい!」

 

 

 とか言いながら一人先に飛んでいくモア。

 

 

「あ! モア! 一人で先に行ったら危ないですよーーー!」

 

「うわぁぁぁあああああーーーーーーー!!!」

 

「あーあ、言わんこっちゃない」

 

「言ってる場合じゃないです! 早く助けないと!」

 

 

 全く、世話の焼けるガキンチョだ。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「わぁー!」

 

 

 草原のような地帯を抜け、森林の奥深く、山にほど近いエリアに辿り着く。

 この近くの山を抜ければ、凍土エリアに到着だ。

 かといって、山を登って降りるわけではない。この先にある山を突き抜ける洞窟を潜っていく予定だ。

 木漏れ日が差し込む森林を歩きながら、ジェネは感嘆の息を吐く。

 

 

「ナベリウスの森林は、いつ来ても美しいですね! そうだ。モア、はぐれて迷子にならないようにしてください」

 

「なっ! なっ! オレ、そんなに子どもじゃないやいっ!」

 

「あれ? さっきは子どもだって自分で言ってたのに……」

 

「都合のいいガキンチョだこと」

 

「なっ、ば、ばかにしたなぁーーー!?」

 

 

さてさて、目的の洞窟までもうすぐってとこだが、その前に。

 

 

「セラフィさん。この先の敵性反応はどうですか?」

 

「くぬっ、くぬっ! リーダー避けんなってば!!」

 

「モア! さっきから思ってましたけど、すぐに暴力に訴えるのは良くないです! 乱暴な男の子は嫌われちゃいますよ!」

 

『えっと……』

 

「あぁ、この二人は無視していいんで」

 

『はぁ……それでは敵性反応ですが、この先に大型エネミーが二体います』

 

 

 大型エネミー、か。

 それも二体ってことは……。

 

 

「ファングパンサー、パンシーの共棲エネミーですか」

 

『はい。周囲にエネミーの反応が見られないことから、恐らくこの二体の縄張りなのだと思われます』

 

「なぁなぁ。ダーカーじゃないなら、無理に倒さなくてもいいんだろ?」

 

「そうですね……。なんとかやり過ごせないでしょうか?」

 

「別に俺はそれでもいいが……」

 

 

 ただ、探知にかかるこの反応は、なぁ……。

 洞窟前に屯する共棲エネミーは、俺としても初めて感じる反応だ。しかし、それでもわかる。

 この反応は、ダーカーのものだ。

 

 

『……いいえ。出来たら討伐していただきたいと思います』

 

「どうしてですか?」

 

『この二体は……恐らく浸食されています』

 

「え……? 浸、食……?」

 

「し、しんしょくって、ダーカーにしんしょくされたってことだよな?」

 

「他にないだろ?」

 

『放置しておくと、原生種の生態系が狂ってしまう恐れがあります』

 

 

 原生種達は各々の食物連鎖で生態系が成り立っていて、普段であればそれが狂う程死滅するようなことはない。一体が捕食できる数には限界があるのだから。

 しかしそれを狂わせるのが、ダーカーとその浸食。

 生きる為に捕食するのではなく、ただ殺戮する生物へと変える。

 散った命をただ無駄にする。

 それを未然に防ぎ、生態系保全を為すのもアークスの仕事だ。

 

 

『浸食種―――ブーストエネミーは、通常よりも凶暴で手強い敵となります。十分注意してください』

 

「セラフィさん、オレがふたりを守ってやるから、安心していいってばっ!」

 

「!!! わ、わたしだって頑張ります!」

 

『…………』

 

「…………」

 

『ハクメイさん。……頑張ってください』

 

 

 俺だけにそう言ったセラフィさんは、きっと間違ってないだろう。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

(さーて、どうしたもんか)

 

 

 もうすぐ共棲エネミー達と遭遇するというところまで歩きながら、俺は思考する。

 

 

(PDは見た目の変化はないけど、身体能力がいきなりズバッと変わったらバレるだろうし、並列起動もノー。探知はリサさんと違って、傍で使ってるのにこの二人は気付く様子もない。オリジナルディスクは……この二人なら自作武器と一緒で言い訳利きそうだが)

 

 

 ちなみに自作武器についてはパティエンティアと同じように、隠れた職人(架空)から製作依頼を出して作ってもらってるように言ってある。

 尊敬と羨望の眼差しで見られただけで、疑いの目は欠片も無かった。

 ……悪いことではないけど、純粋過ぎてハクメイさんは心配です。

 

 

(クラス制限もあることになってるから、武器も使えるものが限られてくる)

 

 

 ウォンド系の自作武器はまだ無いから、使える武器は四つ。

 電剣『エレキ』。

 回炎『パイロソーサー』。

 冷拳『フロスト』。

 分具『スプラッシュ』。

 

 

(まぁ向こう次第だが、この四つでも全部使うかは分からんがね)

 

『みなさん! 浸食された共棲エネミーと間もなく遭遇します! 十分警戒してください!』

 

 

 問題は、二体いるということだ。

 こちらは二人―――あ、モアがいるから三人か。一応―――で戦う。数の上なら三対二だが、そもそも大型エネミーは複数人のアークスが集って一体相手にするのが基本だ。数で劣るなんて以ての外。互角でもこちらが新人だらけじゃ無謀と言える。

 俺はまぁ、この前のロックベアと縄張りを争う程度の個体なら、やれるだろうとは思う。

 しかし、ジェネ。

 戦闘能力は一般アークス程度のジェネは、どうしたものか。

 

 

「ジェネ。モアのチップは、お前に移しておく」

 

「は、はい」

 

「モア。戦う間はチップの中でジェネのサポート。チャンスがあればお前もチップから出て、刺しに行くつもりでいけ」

 

「わ、わかったってば」

 

 

 セラフィさんからの通信を聞いて、二人の顔に緊張が走る。

 とりあえずはこれでいい。

 気休め程度だが、モアのサポートでジェネも強くなる。

 後は、どう立ち回るかだ。

 

 

「! 二人共、止まれ」

 

 

 木々が途切れ、広い所に出ると言う手前で、手を二人の前に翳し、止める。

 隠れろ、という合図を出し、俺と一緒に二人も隠れる。

 モアはチップの中に入り、ジェネのデバイスに収まった。

 

 

「? あ!」

 

『あ、あれ……だよな?』

 

 

 草が生い茂る広場の真ん中。

 そこに聳え立つ二本の大樹。

 その上に、いた。

 

 

「ファングパンサー、ファングパンシー……」

 

 

 こめかみに浸食核が植え付けられた、巨大な紫色の豹が一匹ずつ。

 俺達が隠れる木々を見下ろしていた。

 

 

 

 

 




ぶっちゃけこの二体との戦闘をどう展開するか、なんにも考えてないです。

PSO2って忙しいゲームなので、こっち書く時間があんま取れないですよね。パソコンもほぼ無傷で帰ってきたとはいえ、一時修理に出してましたし(言い訳)
長いスパン空けると自分の作風忘れちゃうから注意しないと……。

マルガレータを可愛がりたい。
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