PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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足早に帰宅帰宅ぅ

 

 

 

 

 

 わたしは、クエストカウンターという設備の前まで来ていた。

 以前ハクメイと話していた、アフィンさんという人に、お礼を言う為に。

 クエストカウンターはわたしがいつもいるメディカルセンターからも見える場所なので、そんなに遠出するわけじゃない。だというのに、フィリアさんはメディカルセンターを離れる時は一言言ってほしいって言う。ハクメイが帰ってきて、それを迎えに行った時も、勝手にどこかに行かないでくださいって怒られた。心配してくれるのは有難いけど、あの人ちょっと過保護過ぎないかな。

 怖い感じは、まだそこら中にある。

 何度か話した人は少しだけ、大丈夫になったけど……ハクメイくらいに話せるのはいない。

 

 

(……ハクメイ)

 

 

 今もきっと、危ない所で闘っているあの人を思い浮かべる。

 戦うこと自体はあまり苦にしていないようだけど、危ない目に遭ったらって、いつも心配。

 ジェネちゃんやモアくんもいるけれど、ハクメイはあまり頼りにしていないみたい。

 でも、ジェネちゃんのことは将来性に期待してるって言ってた。

 よくわからないけど、ハクメイの力になってくれたらいいな。

 そう心の中で願ってる内に、クエストカウンターの受付に話し掛けようとしていたアフィンさんの元に辿り着く。

 

 

「おっ、確かマトイだったな。どうした?」

 

「……あ、ぅ」

 

 

 や、やっぱりスムーズに話せない……。

 ハクメイの昔からの友達って聞いてるから、ちょっとは大丈夫だと思ったのに。

 

 

「あ、もしかして相棒にちゃんとお礼言っとけって言われて来たとかか?」

 

「あ、……はい」

 

 

 困っていると、アフィンさんは察したように言う。

 

 

「あの、どうして」

 

「んー。相棒ってさ、そういうのキッチリしておかないと気が済まないタイプでな。自分にも他人にも」

 

「そう、なんですか」

 

「別に礼なんていらないのにな」

 

 

 ……この人は、知ってるんだ。

 ハクメイの、わたしが知らないところ。

 昔からの友達と、会ったばかりのわたしとじゃ、それは当然だろうと思うけど。

 なんだか、ちょっと羨ましい。

 

 

「おれのことは、相棒から聞いてるのか?」

 

「えっと……一番最初にわたしを発見してくれた人だって、聞いてます」

 

「って言っても、足先がチラッと見えただけで、ちゃんと発見したとは言い難いんだけどな。でも、無事でよかったよ。あの辺、ダーカーがうろついてて危ないところだったからさ」

 

 

 ダーカー。

 あらゆる生物を喰らい尽くす存在。

 アークスの不倶戴天の敵。

 ハクメイの、敵。

 

 

(……なんで、ダーカーって聞いただけでこんなに胸がざわつくんだろう)

 

 

 ハクメイは強い人だとジェネちゃんに聞いてるから、簡単にやられてしまうなんて思ってない。

 私自身も、ハクメイなら大丈夫って信じてる。

 なら、このざわつきはなんなんだろう。

 

 

「どうした?」

 

「……なんでも、ないです」

 

 

 心配そうに声を掛けるアフィンさんに、そう答える。

 

 

「そっか。でも、なんかあったら言ってくれていいからな。まぁ、相棒が気に入ってるみたいだから、心配はないと思うけど」

 

「……気に入ってる、ですか?」

 

「おう。相棒さ、優しい奴って思ってるだろ?」

 

「……優しいです」

 

 

 少し、ムッとした言い方になってしまった。

 失礼かもしれないけど、まるでハクメイが優しくないみたいな言い方だったから。

 倒れていたわたしを助けてくれて、その後も様子を見に来てくれるハクメイが優しくなかったら、誰が優しいと言うんだろう。

 

 

「まぁ優しいけど、それって気に入った相手にだけなんだよな」

 

「え?」

 

「気に入らない奴にはすっげーぶすっとした顔してるし、どうでもいい奴はとことんどうでもいいってスタンス。お蔭様で士官学校時代も俺以外に友達出来なかったんだよなぁ」

 

「……ハクメイが」

 

 

 誰にでも優しいってわけじゃ、ないんだ。

 ジェネちゃんも優しい人だって言ってたから、てっきり根っこからそういう人なんだと。

 

 

「そこ行くと相棒、マトイのことはすっげー気に入ってるみたいだからさ。仲良くしてやってくれよ。あいつ、ああ見えて構ってちゃんだから」

 

「か、構ってちゃん……」

 

 

 ……全然そんなイメージないけど。

 むしろ構われる側だと思ってた。

 ほんと、わたし何も知らないんだなぁ……。

 

 

「あの、今ハクメイさんと仰いましたか?」

 

 

 わたし達の会話に入る横槍。

 アフィンさんが話し掛けようとしていたクエストカウンターの人の隣、そこに立つ赤髪の美人さんからの声だった。

 

 

「? あなたは?」

 

「申し遅れました。私、ハクメイさんがリーダーを務める試験チームの担当官、セラフィと申します」

 

 

 礼儀正しく、ぺこりと頭を下げるセラフィさん。

 試験チームって確か、モアくんみたいなウェポノイドっていうのとチームを組むっていう、ハクメイが言ってたのだっけ。

 その担当官ってことは、今ハクメイ達をモニターしてるのはこの人ってことかな。

 

 

「あの、ハクメイ達は大丈夫でしょうか?」

 

 

 心配が先駆けて、様子を聞く。

 セラフィさんはそれに、にっこりと笑って答える。

 

 

「心配ないですよ。先程もナベリウスの共棲エネミーと戦闘になりましたが、怪我も軽度で勝利しましたから」

 

「け、怪我したんですか!?」

 

「あ! いえ! ほんとに! 本当に軽度ですから! その場の手当で治る程度のものですから!!」

 

「……マトイって、ほんっと相棒のことになると目の色変わるっていうか」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

『―――というわけですので、マトイさんを安心させる為にも気を付けて帰還してください』

 

「気を付けるも何も今から帰るとこですけど……」

 

 

 ていうか心配させたのあんたじゃねぇかよ。

 共棲エネミー共をぶっ倒した後、俺達は洞窟の暗闇を歩くことになった。

 光源はマグの照明機能があったから確保できたが、それ以外が全く見えない。そんな中でも俺は探知があるから問題なかったが、他二人は僅かばかりの光源に頼り切るしかなく、それ以上に二人揃って暗闇が苦手だった。

 モアが強がっていたが、何か物音がするとすぐさまチップに入ろうとしやがる。しかし、度胸付けということもあってチップに入るのは禁止した。恨みがましい目で見られたが、自分の影にビビると俺の頭に乗る始末。こいつほんと大丈夫かね?

 ジェネは入った時から俺の腕にひっついていた。当然そのスイカさんは俺の腕に押し当てられる訳だが、モアのように強がれさえしないくらいにガクブル涙目だったので、指摘するのはやめた。決して感触が惜しかったからではない。例え今日の戦闘を忘れることがあってもこの感触は忘れないけれど、ないのだ。

 そんな風にビビり二人にひっつかれて、特に何事もなく数十キロ。

 遂に俺達はナベリウス森林エリアを抜け、凍土エリアへと辿り着いたのである。

 後はテレパイプに乗っかって帰還するのみだが。

 

 

「さささささ、さぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ」

 

「す、すすすっす、すっごいさぶさですすすねねねねね。ここ、凍っちゃい、そううぅですすすす」

 

「その名の通りってやつかね」

 

 

 二人が言うように、凍土エリアは寒冷極まる凍り付いた大地だった。

 辺り一面見渡してみても、雪の白か、氷の透明しか色がない。天候は雲のかからない晴れだというのにこれだとは、曇ったり吹雪いたりしたらどんなものやら。

 しっかし、山を隔ててるとはいえ数十キロでこうも気候が変わるとは。惑星の神秘ってのは凄まじいものだね。

 さっきまで感じてた女体の神秘程じゃないけどね。

 イカンイカン。こういうのは帰ってからにしないと。

 

 

「んじゃ、さっさと帰るか。凍土エリアも一目見れたことだしな」

 

「そそそ、そうだななな! おお、おおおおれはまだまだへへへへっちゃららららだけどどどど!!」

 

「そういう強がりはちゃんと喋れるようになってからにしてくれる?」

 

「ふぅ……ふぅ……はぁー……。ぼ、防寒着が必要ですね。このままの格好だと、探索にも支障が出ちゃいます」

 

「んー。まぁそうだな」

 

「?」

 

「いいいいいいから早く早く!」

 

「さっきの強がりはやめたん?」

 

 

 モアが急かすので、とりあえずテレパイプを出す。

 足早に乗り上げ、キャンプシップで温まりながら俺達は帰還した。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「おかえりなさい!」

 

 

 アークスシップに戻ってすぐ、マトイが駆けつけてきた。

 他に目もくれず俺の元へとやってきて、俺の身体を隅々まで見渡してくる。

 

 

「……なんぞ?」

 

「大丈夫? 傷跡残ってない? 怪我したって聞いたから、心配したんだよ?」

 

「セラフィさんか……」

 

 

 あの程度の怪我をわざわざ伝えたのか……。

 

 

「あ! 服が破れてる! もしかして、これ? 大丈夫? 痛くない?」

 

「あー、まぁ傷付けられた時はともかく、今はなんともないから」

 

 

 事実、俺の胸の傷は完全に塞がっていて、痛みも痒みもない。

 とはいえ服につけられた穴までは塞がらないので(塞げるけど、普通は塞げないので)この戦闘服は修復の必要があるから、とりあえず替えのやつ買っとかないとな。

 それにしても、同じく今は完全に塞がって綺麗な身だとしても一応ジェネも怪我してたんだが、そっちには目もくれないのね。

 お互い友達と認識した筈だが、まだまだ優先度は俺の方が高いらしい。

 

 

「そっか。よかった……」

 

「えっと、ただいまです。マトイちゃん」

 

「あ、ジェネちゃん。おかえりなさい」

 

 

 マトイの勢いにちょっと気後れした風なジェネに、今気付いたという風なマトイ。

 この辺はスムーズになってきたんだよな。前は他の奴相手だと相槌ばかりだったらしいが。

 『はい、わかりました』『そうなんですね』『わかりました。それでは、そのように……』とかなんとか。

 どこの事務員だっつー話だよ。

 んで、モアは……。

 

 

「なーマトイ。勝手にメディカルセンター離れてていいのかー?」

 

「あ、モアくん。大丈夫だよ。今度はフィリアさんにもちゃんと話したから」

 

 

 こっちは割りと最初からスムーズ。

 ジェネはちょっとジェラってる顔だ。

 

 

「そういやマトイ。ちゃんとアフィンにお礼言ったか?」

 

「……うん。なんとか。あの人は、お礼なんかいいって言ってたけど」

 

「言いそー。ならいいか」

 

「おれい?」

 

「ああ。マトイを発見した時に一緒にいた奴だからな。何もせずに恩知らずと思われんのもと思って」

 

 

 まぁあいつは気にしないの一択だろうが、お礼に行った方が評価は上がるだろう。

 記憶もなく、会ったばかりの俺に縋りつくような状況だ。俺にとっても信用のおけるあいつくらいには心を開いておいた方がいい筈だ。

 

 

「んでこれからだが、とりあえず呼び出しがあるまでは自由ってことで。ジェネ。お前はしっかり休養取れよ」

 

「えぇっ!? わ、わたし、まだまだ頑張れますよ!?」

 

「強がったところでバッテバッテなのはわかってんだ。疲れを残したまま任務に出ても足手纏い。肝に銘じなさい」

 

「……はーい」

 

「んー、おれはどうすっかな?」

 

「……あの、あのさ……。ちょっとだけ、お願いがあるんだけど……」

 

「んあ?」

 

 

 悩むモアを横目に、控えめに声を上げたマトイを見る。

 

 

「迷惑じゃなければ、色々な星の話聞かせてほしいの」

 

「星の話?」

 

「迷惑なんてこと全然ないですけれど、どうしてです?」

 

「もしかしたら、それで何か思い出すかもしれないし……。それに、みんながどういう星でどういう体験をしたのか、興味あるんだ。ここだと、検査ばっかりで気が滅入っちゃうし」

 

「ふむ。つっても、俺等もまだナベリウス以外には行ったことないしな」

 

「ナベリウスの話でも……ううん。聞きたいな。ナベリウスでのことも、あんまり覚えてないから」

 

「そーかい」

 

 

 まぁ発見された星とはいえ、ずっと倒れてたしな。

 この前の花じゃ何も思い出さなかったようだが、それ以外の何かで思い出す切っ掛けにはなるかもしれんし。

 日記を見せるでもいいが、俺達の口からも聞きたいんだろう。

 ナベリウスで経験したことと言えば、そうだな……。

 

 

「ナベリウスにはまず、岩石に覆われた大熊と紫色のでっかい豹がいます」

 

「……くまさん? に、ひょう?」

 

「なんでまずそれなんだってば……」

 

「ナベリウスは緑がいっぱい溢れてて、きれいな花が沢山咲いているところがあるんです。空気も澄んでいて、とても気持ちのいいところなんですよ」

 

「あ、お花ってこの前の?」

 

「はい! マトイちゃんがナベリウスに降りられるようになったら、一緒にお花畑に行きたいですね」

 

「そっか。……うん。いつかみんなで行けたらいいな」

 

「それにさそれにさ! こーんなすっげーでっかい木だってあるんだぜ!?」

 

「おっきい木?」

 

「ああ。俺が燃やしたやつね」

 

「ちょっとリーダー黙ってろってば!」

 

 

 その後特に思い出すことはなかったそうだが、マトイの楽しそうな顔は可愛いからよしとしよう。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 所変わって。

 ショップエリアに一人で来てみた。

 

 

(が、いないか)

 

 

 全くあのシオンめ。

 質問はいつでも受け入れるっつってたくせに、基本的にお前が用あるときにしかいねぇじゃねぇかよ。

 ブーストエネミーについての資料も、ロクな物がないし。それはまたなんか考えるとして。

 

 

「どうすっかなー……」

 

 

 ジェネはともかく、俺は今回疲労溜まってないから、早めに寝るのもなー。

 なんてぼやいていると。

 

 

「お、ハクメイ」

 

「あ、ゼノさん」

 

「奇遇だな、こんな所で」

 

 

 一人で散歩している様子のゼノさんと出会った。

 

 

「あれ? エコーさんは?」

 

「いねーよ? 今は俺一人、っつーか、俺がいるのにエコーがいなくちゃ変か?」

 

「変ですね」

 

「即答かよ」

 

「なんつーか、俺の認識じゃ二人はもうセットなんですよね。パティエンティアが片割れいなかったら何かあったのかの勘繰りますし」

 

「ああ。あの情報屋姉妹だっつー? まぁ俺もエコーも長い付き合いだけどよ、お互い一人になりたい時くらいあんだろ」

 

 

 ぶっちゃけると、ゼノさんがどこ行こうとエコーさんの方がついて回ってるイメージですけどね。

 お互いナベリウスで鉢合った時の事には触れない。

 わざわざ話題に上げたくないだろうし、この人相手にからかっても効果薄そうだし。

 

 

「ナベリウスでの任務は終わったんです?」

 

「おう。そういや聞いたぜ? 新チーム結成して、リーダーやってるんだってな」

 

「まー試験チームの試験的運用ですから、俺が作ったチームとは言い難いですけどねー」

 

 

 今回の試験は一応の成功を見た。

 モアと任務を共にすることで、ウェポノイドがアークスに友好的、協力的であることの証明。その第一段階は今回果たされたので、これから徐々にウェポノイドがアークス内に浸透していくとのことだ。実力はまぁ……個体差があるってことで。

 まだ俺達試験チームの運用は続くそうだが、それもいつまでやら。

 

 

「確かウェポノイド……だったか。お前さんも、何かと色々と押し付けられていきそうなスタートになっちまったな」

 

「押し付けられたって本気で嫌だったら断固拒否しますけど」

 

「そうか?」

 

「ええ。今回は中々面白そうなものだったんで受け入れただけです」

 

「そりゃ良かった。けど、困った事があったら遠慮すんなよ? 後輩を助けるのが先輩の務め、だからな」

 

「それも師匠の教え、ですかい?」

 

「おう。俺の今の生き方は師匠あってのもの。そう言っても過言じゃないぜ」

 

「じゃー早速、お願いしたいことがあるんですけど」

 

「うん?」

 

 

 首を傾げるゼノさんに、言う。

 

 

 

 

 

「時間あるようなら、この後模擬戦してくれませんか? 今の俺が、アークスとしてどの程度なのかを推し量りたいので」

 

 

 

 

 

 




頭の中のストーリーを文章にするってムラがあってすごく大変なんですが、本職の人はこれを締め切り前に収めないといけないんだから大変なんだなって思いました(小学生並の感想

EP5ももうそろ双子編に入る模様。
正直謎だらけのDFなので、どういう存在になるかが気になるところです。
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