PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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不気味なダーカー。不穏なる影

 

 

 

 

『ハクメイさん。聞こえていますか? 私です。ロジオです』

 

「聞こえてるぞっと」

 

 

 ナベリウスの凍土エリアに降り立ち、通信機に耳を傾ける。

 今回はセラフィさんではなく、ロジオの指示に従って探索を行う。そして奥地へと辿り着いたら、採掘機を転送して地質データを取ってくる算段だ。

 地図データは持っているが、現在地の把握はサポート無いとキツイからな。

 地図と見比べながら探索するだけなら問題ないが、戦闘しながら長距離を移動したりすると、広い惑星じゃすーぐ迷子だ。

 

 

『改めて、依頼を受けて頂いてありがとうございます。データはこちらで取得しているので、ハクメイさんはとりあえず奥地まで進んでください。道が険しいので、お気をつけて』

 

「おうよ」

 

 

 ロジオの言う通り、凍土エリアの道は森林エリアに比べて凹凸が激しく、道が険しい。

 背の高い岩が散らばっているだけでなく、それが雪に覆われて見分けがつきにくくなっているのが原因だろう。

 モアは飛んでるからいいが、ジェネだったらすっ転ぶかもしれんな。注意しないと。

 凍土エリアにいる原生種は、毛皮に覆われた小さい雪男風のイエーデ、それがロックベア級に成長したキング・イエーデ。凍土に適応したタイプの狼のガルフル、その群れのボスであるフォンガルフル。イエーデと同じく毛皮に覆われたゾウのマルモス、そしてキング・イエーデと同じくそのマルモスが成長したデ・マルモス。そして、森林にいた共棲エネミーの凍土版、スノウパンシー、スノウパンサー。ファングパンサーとファングパンシーが紫の体毛に黄色の鬣だったのに対して、この二体は水色の体毛に青い鬣を持っているらしい。

 そのほとんどが、森林エリアの原生種が凍土エリアに適応するようになっただけの個体なので、森林の時と同じように対処すれば問題ないだろう。

 

 

「さてと、奥地を目指して真っ直ぐゴーと行きますか」

 

『はい。……ところで、ハクメイさん』

 

「ん?」

 

『防寒具を着けていないようですけれど……その、寒くはないのでしょうか?』

 

「ああ。そのことか」

 

 

 俺は今、森林エリアの時と変わらない戦闘服である。

 いくらかの温度変化には適応できるとはいえ、気温マイナス一桁、酷い時は二桁にまでなるこの凍土エリア。ジェネとモアがああだったように、防寒具が無いと相当厳しい環境だろう。先程言った対処も、普通ならばこの寒さのせいで実力を発揮できず、森林の時とは違った環境に苦戦を強いられるだろう。

 普通ならば。

 しかし俺は普通ではないので。

 

 

「ま、ちょっとしたテクニックの応用みたいなもんだ」

 

『はぁ……。応用、ですか』

 

「道すがら話してやってもいいが、それよか奥地に急いでくれた方がお前も……お?」

 

 

 話しながら、左右に分かれる岐路に着いたところで。

 その交差点で、空間から突然現れる形でダーカーが現れた。

 上空に、プリアーダが二体。

 

 

「っ」

 

 

 アイテムパックからエレキとスプラッシュを呼び出す。

 構えて、相手の出方を窺うが……。

 

 

「――――――」

 

 

 プリアーダは俺を認識し。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「あ?」

 

 

 二体揃って、俺から見て左の岐路へと飛んでいく。

 振り返りもせずに飛んでいく様子を見送り、俺も構えを解いた。

 

 

「…………」

 

『今のデータは……ダーカー、ですか? アークスを見つけたら襲ってくると資料にはあるのですが……』

 

「……俺の事はきっちり認識してた。けど、今はそれどころじゃないって感じだったな」

 

 

 不倶戴天の敵同士であるアークスを認識して尚、それより優先順位が高い()()を遂行しようと……?

 

 

『何かを探していたんでしょうか……?』

 

「……なんでそう思うんだ?」

 

『あ、いえ。ただの勘というか、思い付きで言ってみただけです。お気になさらず』

 

「勘、ね」

 

 

 この男、中々勘が当たりそうだからな。案外馬鹿に出来ないかもしれん。

 探していた、か。

 この近くの反応は原生種とダーカーのものしか感じないから、傷付いたアークスの追撃って訳じゃないな。

 

 

『……なんだか不気味です。お節介かもしれませんが、十分注意して進んでください』

 

「ああ……しかし、探していたとすると何をだろうな?」

 

『さぁ……。探していたといえば、このところダーカーが何かを探しているという噂がありましたね?』

 

「そうなのか?」

 

『はい。ナベリウスだけでなく、他の惑星でもそのような動きを見せるダーカーがいたと、アークス間で話しているのを聞きました。今のがそうなのでしょうか?』

 

「ふむ……」

 

 

 そう言われても、判断する材料がない。

 アークスとしてはダーカーを討伐する為に追走するべきかもしれないが……俺としては依頼優先で行きたい。

 とりあえず俺はダーカーが向かった方とは真逆の、岐路の右側へと向かった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 この辺りはイエーデの群生地、というよりは縄張りだったようだ。

 襲ってきたので撃退。

 キング・イエーデも出てきたが、変わらず撃退していく。

 え? その描写はって?

 向かってくるその頭から油をぶっかけて焼いただけだけど、わざわざ語るほどのこと?

 いやーよく燃えたよ。毛皮だから。

 一、二体くらいは焼かずにその毛皮を剥いでやったけど。

 

 

『この辺りなら、データの収集場所として申し分ないと思います』

 

 

 奥地へと辿り着くと、ロジオから通信。

 イエーデばかりだった反応も今は無くなり、周囲にエネミーの反応はない。

 この分なら、採取も問題なく行えるかな。

 

 

『お手数ですが、指示する各所のデータを収集してもらえますか?』

 

「おう。パパっと終わらせちまうか」

 

 

 ロジオの指示に従い、ポイント地点へと向かう。俺が近くに来たら、その場にロジオが採掘機を転送。採掘機を操作して、データを収集していく。

 ……操作方法は士官学校で習うけど、これモアはちゃんと操作できんのかね。

 一般基準でも複雑ではないんだが、初見だと苦労しそうだし……。なんで押しとくだけで採掘できるようにしなかったのか。転送とかの技術は生み出すのに、謎だ。

 なんて考えながらも、手は休ませず、あっという間にデータ収集が終わる。

 

 

「うっし。こんなとこか」

 

『ハクメイさん、聞こえますか? 私の欲しかったデータは一通り集まりました』

 

「そらどーも」

 

 

 思った通りパパっと終わっちまったな。

 これであの報酬なんだから、いい仕事だ。

 

 

『とはいえ、途中に現れたダーカーについては一切不明です。動向を探っても見たいですが、情報が無ければ危険ですし、無理はよくありませんよね……』

 

「無理、とは思わんが、まぁ地質学者にゃ関係なさそうだろ。専門が違うんだし」

 

『それはそうですが……。ともあれ、なんとも気持ち悪いですがまずは何事もなく調査が終わった事をよしとしましょう。そう、何よりもまず、貴方が無事で良かったです』

 

「心配性なやっちゃな……」

 

 

 まぁ現場の危険度は非戦闘員には計り知れないし、たかが地質調査とナメてかかる気もないんだが……その辺が原因で命を落とす奴もいたんだろうな。

 新人が死ぬのって、強いエネミーに出くわしたことより弱いエネミーに囲まれてってのが多いしな。新人特有のイキりが表に出て、雑魚を狩ってる内に良い気になって周りを見ない傾向があるんだとか。そういう意味じゃ、上には上がいるんだと思い知らされた仮面野郎との遭遇は僥倖だったのかもな。

 感謝する気はこれっぽっちもないが。

 いずれアイツより強くなって、今度は俺が苦汁をペロペロ舐めさせてやるが。

 

 

「さて、帰りますか」

 

 

 探知範囲内に反応がないのを確認し、俺はテレパイプでキャンプシップに戻った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 そしてその姿を、ハクメイの探知範囲外から眺める影があった。

 半径500m、その更に遠くから見ているにも関わらず、影はハクメイの姿を事細かに捉えている。

 テレパイプに乗り、転送によって姿を消すのを確認し、その影も振り返り、どこかへと消えていった。

 

 

 ―――その手に、白い杖のような何かを持って。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「万事において、全てを選ぶことは不可能。光陰の後を見定めた諦念も必要である」

 

「……最近姿を見せないと思ったら、これか」

 

 

 アークスシップに戻り、ロジオから報酬を受け取り、モノメイトの補充でもしようかとショップエリアをふらついていたら、シオンが話しかけてきた。

 何が切っ掛けで現れてるんだか、こいつは。

 ……まぁ、大方マターボードとやらなんだろうけどな。

 このところは見ていなかったので気紛れのように見てみたが、知らずの内にマターが埋まっていたらしい。

 ロジオのオーダーもその一つで、それを終えたから現れたってところか?

 

 

「事象は蝶の羽が如く揺らぎ、流転する。時として不意になる事もある。だが、それは決して無為ではない」

 

「んー……バタフライエフェクトってやつか?」

 

 

 西で蝶が羽搏くことで起こした風が、東で竜巻となって現れる。

 過去起こした小さな出来事が、未来に大きな影響を及ぼす、というものだ。

 

 

「貴方は迷わないでほしい。その為に、私と私達が居る。その為だけに、私は居る」

 

「前もそれ聞いたけどさー……おまえ以外に誰かいるように見えないんだけど? 俺には見えない誰かでもいるの?」

 

 

 などと話していると。

 

 

「あれ? ハクさん?」

 

「ん?」

 

「リーダー? こんなとこで何してるんだ?」

 

 

 ジェネとモアが横合いから現れた。

 ふむ。

 疲れた様子はないし、きっちり休んでるようでよし。

 今は買い物中ってとこかね。

 

 

「特に何してるってわけでもねーよ。そういやモア。お前にやったグラインダー、ちゃんと使ってるか?」

 

「バッチリだってば! これでもう足手纏いなんて言わせないかんな!」

 

「はいはい。期待しとくよ。泥船に乗ったつもりで」

 

「大船に乗ったつもりでいろよ!!」

 

「ふふ。頑張りましょうね、モア! ところで……」

 

 

 ジェネは、俺から視線を外し。

 こう言った。

 

 

 

「こちらの方は、どなたでしょうか?」

 

 

 

 ……は?

 

 

 

 

 

 




体調悪くて家にいる時、病院に行った後は寝るか執筆するしかない自分。
ログインだけでさえする気が起きない。
とりあえず昨日より大分マシになって、診察からしても大事無さそうです。
でも以前としてだるいので安静にしときます。
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