PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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もうちょっと、こう……予兆的なのをさぁ……

 

 

 

「なんていうか……意外です。ハクさんにも怖いものがあったんですね」

 

「実物を見たことないから意外だとか言えるんだよ。あれは恐怖心を忘れててもそれを思い出させるヤバさだ。モアだったら漏らすまである」

 

「漏らすかっ!!」

 

 

 アークスシップに帰還し、ゲートエリアを歩く俺達。

 さて、逃げ帰るように戻ってきたが、この後どうすっかなぁ。

 とりあえずテレパイプでも買い足しとくか。

 

 

「俺はちょっとショップエリアに行ってくるけど、お前等はどうする?」

 

「わたしは、マトイちゃんに会いに行きますね! もっともっと仲良くなりたいです!」

 

「おれはセラフィさんのとこ。今日はもうなんもないだろ?」

 

「そうだな。とりあえず今日は凍土エリアに行きたくねーし。他の惑星も、もうちょいお前等が戦闘に慣れてからだな」

 

 

 ナベリウスでの任務が多くなっているとはいえ、アークスが赴く惑星はそれだけではない。かといって慣れていないエネミーを相手にするには、ちょいと経験値が足らんのだ。ジェネはこれでもアークスとしての訓練を積んでるだろうが、モアはそうじゃない。ま、俺からしたらどっちも初心者だが。

 言うて俺もあんま偉そうなことも言えんか。

 ゼノさんにはボロ負けしたし、仮面野郎には戦う気も起きない。

 あいつと打ち合ったゲッテムも相当だろうし……ムカつくけどな。

 

 

「んじゃ、買い物終わったら俺もマトイに会いに行くわ。また後でな」

 

「はい。きっと、マトイちゃんもハクさんを待ってると思いますよ」

 

「そんじゃなー!」

 

 

 三人それぞれ向かう所に向かい、分かれる。

 俺もゲートエリアからショップエリアへと転送するテレポーターに向かい、ショップエリアを目指す。

 テレポーターに乗り、転送が開始された所で、呟いた。

 

 

「さてと、他に買うような物は―――」

 

 

 

 

 

 ブラックアウト。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「そしてそこに来てくれたのが、ハクメイさん! 貴方なんです!」

 

(――――――ん?)

 

 

 視界が開けると、目の前には興奮した様子のロジオがいた。

 場所は……目指してた通りにショップエリア。だが、転送される地点ではない。転送事故が起こったにしては、何事も無さすぎる。

 そもそも、いきなり転送された俺にいきなり興奮気味に話し掛ける程、ロジオは精神障害が起きてる奴でもない。

 いや、そうじゃない。

 そもそも、というなら本当にそもそも。

 ロジオとこの様子と言葉に()()()()()()()()

 

 

「お願いします! 時間のある時で構いませんので!」

 

「…………」

 

「……あの、やはり駄目でしょうか?」

 

「……ああ、いや。依頼は受けるよ。ちょっと他に考えることがあっただけ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「森林エリアは後回しで、情報がより少ない凍土の方に、でいいんだよな?」

 

「はい。これから言おうと思っていたのですが……話が早くて助かります」

 

(そりゃ一度した話だしな)

 

 

 マターボードを開く。

 シオンから渡されたそれは、全て埋まっていた。

 

 

(……結論。まーた時間転移したわけね)

 

 

 二回目とはいえ、俺も落ち着いたものだ。

 ロジオからはマターボードは見えていないが、何も言わずディスプレイを投影させた俺に首を傾げている。

 が、それに構うのは後だ。

 ……前回の時間転移では、あいつ自身もマトイの救出が目的だったと考えて。今回も何か目的、時間を巻き戻してまでやりたい事がある筈だ。

 あの時は、ナベリウスの広場から伸びた三つの道の内、真っ直ぐ進んだのが転移前。右に曲がったのが転移後。

 いわば運命の分岐点と言えるあの場所で、右に曲がった時にマトイの救出が達成された。

 ならば、今回この時間、この場所に転移させて、元の時間までに分岐があるとするなら―――

 

 

「なぁ、ロジオ」

 

「はい。なんでしょうか?」

 

「調査に俺以外の奴連れて行くけど、それは問題ないか?」

 

「勿論です。ご協力して頂ける方が多ければ、それだけ調査も捗りますし、貴方も安全でしょうから」

 

「それはどうだかね」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「あーいたいた」

 

 

 日誌にはこの辺でマトイと話してたとか書いてたから来てみたが……ものの見事にドンピシャである。

 メディカルセンター前には、にやけ顔を押さえながらくねくねしてるジェネと、その前でちょっち困ってる風のマトイ。そしてその横で呆れた視線を向けるモア。

 傍目から見たら「なんだこれ」状態である。

 日誌でも何が起こったのか訳わからん感じだったが……まぁいいか。可愛いし。

 声を掛けに行く。

 

 

「おーいお前ら―」

 

「あ、ハクメイ」

 

 

 俺を見つけ、マトイは喜色満面という顔をする。

 もー、愛い奴め。

 とてとてと俺の傍に近寄るマトイ。ジェネもようやく俺に気付いたようで、俺に挨拶する。

 

 

「こんにちは、ハクさん。今日はどうしたんです? あ! わたしはちゃんとお休みしてますからね!」

 

「それなんだがな……ちと依頼を受けたんだが、それにお前らも連れて行こうと思って。作業自体は簡単だし、かるーく経験させとこうと」

 

「依頼?」

 

「ああ、凍土エリアで」

 

「ええっ!? マジかよ、なんの準備もしてねぇぞ!?」

 

「そう言うと思って、ほれ。用意しといてあるから」

 

 

 ジェネ用の毛皮のマントと、モア用の毛皮のスカーフを取り出す。

 これに加えて暖を取る用の薪とかもアイテムパックに仕舞ってあるが……まぁこれは帰還できなくなるような緊急用だ。出番がないのを祈っておく。

 火種はフォイエればいいとして、燃やす物がないと焚火も出来ないからな。

 それぞれ渡して、依頼内容について話していると、マトイが横から話しかけてくる。

 

 

「……なんだか、用意周到だね。そんなに寒いの? 凍土エリアっていうところ」

 

「そうですね……。一面真っ白! 氷と雪の銀世界! とっても幻想的! なのはいいんですけど……」

 

「寒すぎて凍るかと思ったぜ……。でも、こんなにもこもこのマントがあれば、それもかいけつだな!」

 

「…………」

 

 

 フラグが立った。

 そんな気がする。

 

 

「うう、なんだか聞いてるだけで寒いね……。みんな、気を付けてね?」

 

「は、はい! よーし! 頑張りますよ!」

 

「よっしゃー! そんじゃ、しゅっぱーつ!」

 

「おー」

 

 

 三人揃ってマトイから元気をもらったので、ゲートへと向かう。

 ……さて、とりあえずこの二人は連れて行く形にはした。

 あと気になる事と言えば……あれだよな。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「うん、知ってた」

 

「さ、さ、さむすぎだってば!」

 

「いいい今更ですけど、ウェポノイドも……寒さを感じるんですね。うぅ……ざ、ざむい……グスッ!」

 

 

 いやほんと、焼き直しみたいなやり取りだわ。

 時間が巻き戻ってるんだから、当たり前っちゃ当たり前なんだけどね。

 結局毛皮にしたのは無駄だったか。まぁ、そこまで目くじら立てる事でもないか。

 

 

「ジェネはいいじゃんか! オレなんか、半そで! 半ズボン! だぞ!」

 

「そ、そうですけど……すごく寒いですよ! あ」

 

「一緒にマントの中に入るってのは無しな」

 

「ええっ!? なんで分かったんですか!?」

 

「お前の考えぐらい俺にはお見通しだよ。たく、一応モアにも反応するものはあるんだから、下手にそういうことするとモアがお前で色を覚えちまうぞ?」

 

「? 色なら、モアにも分かりますよね? ほら、あの雪の色が白です」

 

「そんなの見りゃ分かるってば……」

 

「マジかこいつ……」

 

 

 結構ストレートに言ったつもりなのに、この程度の言い回しに首を傾げるのか。

 うーむ。

 多分だけど、周りの奴からそれとなく注意を促されてもこんな感じで流しちゃったんじゃねぇのかな。

 ジェネの両親は幼い頃に死んでしまったと聞いたが。その後育てた奴、どんな教育してんだ。

 

 

『……あの、よろしいでしょうか?』

 

「あーすまんすまん。通信は届いてるぜ、ロジオ」

 

『改めて、依頼を受けて頂いてありがとうございます。データはこちらで取得していますので、みなさんはそのまま奥地まで進んでください。道が険しいので、お気をつけて』

 

「おうよ」

 

「が、がんばるけど……寒すぎるっ。うううう……まつ毛が凍るぜ」

 

「寒いと言うと寒くなると、聞いたことがあります。寒くないと言えばきっと……!」

 

「このレベルの寒さは、気持ちのもちようとかそういうんじゃないと思うってば……?」

 

「……そうでしょうか? モアは、寒さに弱いんですね」

 

「だからってやっぱマントに入るってのも無しな」

 

「あう。やっぱり、ハクさんにはなんでもお見通しなんですね……」

 

 

 まぁ未来から来たんだから当然っちゃ当然だ。

 さて、そろそろあのダーカー達と遭遇した分岐路だが……これ以上話すと体温調節のテクニック応用について話すことになる。別にそれを話すのは構わないが、その後くっつかれる―――のは、非常に惜しいが、ここで急に立ち止まるのも不自然だしなぁ。

 そう悩んでる内に、分岐路に辿り着く。

 

 

「ていうかリーダーは―――ん?」

 

 

 何かを言い出そうとしたモアだったが、目先の空間が歪んだのを見て、言葉を止める。

 そうして、前回と同じようにプリアーダが二体姿を現した。

 

 

「! ダーカー!」

 

 

 ジェネが両剣を構える。モアもクレイモアをその手に持ち、俺もポーズとしてエレキを呼び出す。

 が、やはり前回と同じく、その二体は俺達をしっかりと認識しながらも、興味なさげに視線を外し、俺達から見て左側への道へと消えて行った。

 

 

「あれ?」

 

「飛んでっちまったぞ? なんでだ?」

 

「ふむ……」

 

 

 こいつらを連れても結果は変わらず、か。

 探知反応も前回と変わりなし。ロジオの言ってた通り、何かを探してるのかね?

 ロジオから通信が届く。

 

 

『今のデータは……ダーカー、ですか? アークスを見つけたら襲ってくると資料にはあるのですが……』

 

「はい。わたし達に気付かなかったわけじゃないです」

 

「けどなんか……それどころじゃないって感じだった。なんか探してたのかな?」

 

「ああ、お前もそう思うか」

 

「ってことは、リーダーもか?」

 

「ま、ただの勘だけど」

 

「……あの、追ってみませんか?」

 

 

 おずおずと、ジェネがそう提案する。

 

 

「なんだか気になります。もしかしたら、他のアークスの人を追ってるのかも……」

 

「げぇっ!? それだったらヤバイじゃんか! 助けに行かないと!」

 

 

 まぁ、こう言うだろうなとは思ってた。

 ジェネの言う可能性は低いだろうが、しかしこの時間に転移した以上、放っておくにはこの事象はあまりにも不自然だ。

 

 

「ま、俺はそれでいいけどよ。ロジオはいいか? 依頼は後回しになっちまうが」

 

『いえ。可能性と言えど、人命には代えられません。予定地点とズレてもデータは取れますので、お構いなく』

 

 

 この辺は俺が自分一人で納得してたから提案も何もしなかったが、ロジオはジェネの提案に反対はしなかった。

 

 

「それでは、行きましょう!」

 

 

 そうして俺達は、ダーカー達が向かった岐路の左側へと向かった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 身体を温めるという目的もあって、少しハイペースで先に進む。

 ダーカー達も余所見をしていてファーストアタックを楽に仕掛けられる。攻撃すれば反撃はされるが、しかしかなり楽に倒すことが出来た。

 しかし、ジェネの息は上がっていた。

 

 

「っ、はぁ……、はぁ……」

 

「なぁリーダー。ジェネがちょっと疲れてきてるってば!」

 

「へ、平気……です。これくらい……」

 

「疲れた援軍が来たって、助けられる側は安心できねぇだろ。歩きながらでいいから、レーションとモノメイトくらいとっとけ」

 

「うぅ……」

 

 

 平気って言ってるのに……とでも言いたげなジェネの視線を受けつつ、少しペースを落として歩く。

 レーションはアークスの携行品の一つで、栄養補給用のアイテムだ。

 ベジタブルレーション、ミートレーションなど、味と栄養素がそれぞれ違う種類があるが、食感はゼリーみたいなもの。腹は膨れるが、食った感じはしないだろう。

 とはいえ職業柄、呑気に料理を食べてる場合でもない時はあるので、仕方ない。

 レーションとモノメイトを交互に口にするジェネを見ながら、思考に入る。

 

 

(さて、ここで一つ考えてみるか。シオンの目的について)

 

 

 まずは前回の時間転移と、今回の時間転移を照らし合わせてみよう。

 場所はエリアが違えど、同じナベリウスの地。それに前回はキャンプシップから降り立った時に起きたが、今回はアークスシップ内で時間転移が起こった。どちらもテレポーターでの転移中によるブラックアウトでだ。戻る時に転移はなかったが、ブラックアウトは同じく起こっている。

 前回は十字路がある広場でダーカーの発生が起こり、その時聞こえた声と、引っ張られる感覚に従った結果、仮面野郎と遭遇し、マトイを救出するに至った。

 今回は聞こえる声も、引っ張られる感覚もない。しかし不自然な行動をするダーカーを追って、今ここに至る。

 そもそも、何故マターボードが埋まった?

 今回は集めようと思って集めたわけではなく、こいつらとチームとして行動してたらいつの間にか埋まっていたのだ。

 意識的かどうかは関係ない、のか?

 時間転移する前に来た時と、時間転移した後では、俺が持っている情報に違いがあったのは確か。今回もそうだとすれば、持っている情報はなんだ?

 メルフォンシーナがゲッテムハルトに日常的に置いて行かれる事。疫病神のような発言。ポニテの少女。小さい六芒均衡。ジェネにもシオンが見える。モアには見えない。数日後には凍土エリアに仮面野郎がうろついてるらしい。ジグさんは情熱を取り戻せるような武器を探して―――

 

 

(……まさか、創世器か?)

 

 

 創世器。

 六芒均衡に選ばれたアークスが振るう武器の名称だが、しかしここで一つ考えてみよう。アークスでトップの実力を持つ六人から六芒均衡が選ばれるが、ならそれが持つ創世器は六本しかないのか?

 答えは「ノー」である。

 例えばレギアスの『世果(ヨノハテ)』。まずレギアス以外に扱えるかが疑問だが、これを扱えるハンタークラスでなければ六芒の一を継ぐ事は出来ない。しかし、クラスによって限定されるならば、それは純粋なトップ6内にいるとは言えないだろう。俺達第三世代はともかく、第二以前の世代はゼノさんのように無理でもしなければクラスを変えることは出来ないのだから。

 だから正解は、『創世器は六本だけではない』。

 かといって無限にあるわけでもないし、ある程度限定することはあるのだろう。知られているのは六本だけだが、アークス側の事情で秘匿されている創世器もあると考えられる。しかし、大昔に作られたのだ。この前も言ったように、戦死した創世器持ちが落とした創世器が、行方知れずという可能性だってある筈だ。

 そして、数多の武器を手掛け、六芒均衡の創世器のメンテナンスを引き受け、その目を肥えに肥やしたジグさん相手では、並大抵の武器で情熱を取り戻すなど不可能。考えられる可能性としては、それくらいしか思いつかない。

 ……しかし、創世器か。

 それっぽい力など感じないし、例えばそれを探して六芒均衡がナベリウスに来てるのだとしたら、人知れず回収したいにしてはあまりにも人選が酷い。

 暑苦しく人助けに奔走するヒューイはもとより。小さい方も、目立ちたくないにしてはあまりにも戦闘が派手だ。他を隠す為の篝火のようなものだとしても、同じナベリウスに来るよりは他の惑星に派遣する方が効果は高い。

 第一、創世器持ちが戦死するような場所に、新人の俺達が向かって―――その時。

 

 

 

 

 

 音が聞こえた。

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 

 思わず、足を止める。

 ……なんだ、今のは。

 

 

『ハクメイさん、どうされましたか?』

 

 

 通信のロジオからの声。勿論これではない。

 

 

「いや、なんか変な音が聞こえてきてよ」

 

『音、ですか? いえ、こちらのデータには何も検出されていませんが……』

 

「え? 聞こえませんでしたか?」

 

「? 二人とも、何言ってんだ? オレにはなんも聞こえてねーってば」

 

 

 ロジオとモアには聞こえず。

 俺とジェネには聞こえた。

 ……この組み合わせって。

 

 

「……ジェネ。お前には聞こえたのか?」

 

「あ、はい。なんだか、キィンっていう、変な音が」

 

「で、モアには聞こえなかったと」

 

「そうだぜ」

 

「………」

 

 

 やはり、シオンを認識してた組と、認識できなかった組か。

 となるとこの音は、シオンのものと同系統の何か……? それとも、シオン自身……?

 

 

『あ、ああっ! みなさん! あれを見てください!』

 

 

 一人思考に耽る俺の耳に、ロジオの通信が響く。

 俺達が進む先にある、凍土の崖に囲まれた広場のような、その中心を見る。

 そこには、宙に浮いた結晶体のようなものがあった。

 

 

「……なんだ? ありゃ」

 

『なんでしょうか。人工物……みたいですね』

 

 

 一人でにゆっくり回転をするそれに、近付いていく。

 危険なものは感じないが、どう考えても怪しい物体だ。だというのに、何の警戒もなく俺はそれの目前に立つ。

 音がもう一度鳴る。

 鼓動を、感じた。

 俺のものではない。その結晶体に、生命を感じたのだ。

 

 

『アークスの残留物……? ……にしては不自然な気がします』

 

「でも、なんかキレーだな! しんぴてき、って言うのか?」

 

「はい。でも、なんでしょう。この感じ……」

 

「…………」

 

 

 後ろで喋る二人に目もくれない。

 俺はその結晶体に手を伸ばす。

 表面に硬い感触は無く、どころか手は何の抵抗もなく沈んでいった。

 そして、その更に中心にある何かを掴む。

 結晶体が、一際強く輝いた。

 

 

「「わっ!」」

 

 

 光はほんの一瞬で消え、それに合わせて結晶体も消える。

 

 

 

 

 

 俺の手にあるのは、一本の杖だった。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 持ち手であろう場所は白い帯を渦巻き状に伸ばし、片方は途中で折れ、片方は花弁が開いたような装飾を付けた場所から渦が広がり、そしてまた途中で折れたような、どう考えても壊れた形である。

 創世器のような凄まじい力は、感じない。

 お目当ての創世器でなくてガッカリ―――という気は、何故か起きなかった。

 

 

『パラメータ的には、武器でしょうか? それにしては、形がおかしい……。壊れているのでしょうか?』

 

「こんな武器、見たことないって。壊れてるにしろさ」

 

「…………」

 

 

 ジェネだけは何も言わず、俺の隣に来て、その杖を眺める。

 

 

「ジェネ?」

 

「…………なんでしょう、これ。見覚えは無い筈なのに、なんだか、すごく懐かしい……初めてハクさんと会った時みたいな…………」

 

 

 その時。

 

 

「ッ!!?」

 

 

 バッ、と後ろを振り返る。

 そこには。

 

 

 

 

 

 剣を構えた仮面野郎がいた。

 

 

 

 

 

 




始まりの村から一歩外に出た時に魔王が現れたかのような、絶望的なエンカウント。



活動報告にて、ちょっとしたアンケートを取っております。
みなさんがどんなウェポノイドストーリーを見たいかコメントしてくだされば、そのウェポノイドの外伝ストーリーを基盤に閑話を作りたいと考えています。
なお、入手できていない、ストーリーを知る手段がないなどの理由で採用できないこともあります。その辺はご勘弁を……。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=195460&uid=152969


感想欄で言及があったので、追記

キャラさえ出揃っていれば、ウェポノイドの武器やカテゴリの出現時期などは考慮しなくて構いません。
ただし、モア、シュトラ、カラミティなどの、ストーリーに関わるウェポノイドは、そのストーリーに絡める形で登場させます。
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