PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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【Episode1-2.5】 『闇に触れる雛鳥』
秘密と仲間と暗躍と……


 

 

 

 

 

 オレがきろくを始めて、今日で72回目になる。

 

 

 

 

 

 ナンバー:72

 天気:はれ

 きろくしゃ:モア

 リーダーと、ジェネとの三人でチームを組んだ。

 リーダーってのは名前ばっかりで、じっさいはオレがチームをまとめているようなもんだ。

 だって、リーダーは強いけど、ちょっとなんかなぁ……。

 オレの事すぐ子ども扱いするし、いじわるだし、口がわるいし。

 

 

 

 

 

「おまけに、ジェネはぽやぽやしてて抜けてるんだもんなぁ……!」

 

 

 ほんとうに、あんなんでアークスになれたのがふしぎなくらいだ。

 そりゃまぁオレはまだせんとうはぜんぜんだけど、オレがいなかったらチームとしてやってけないや。

 せわのやけるふたりだぜ。

 

 

「セラフィさんも言ってたし。オレがふたりを引っぱらないとな!」

 

 

 オレはそれを送って、画面をとじる。

 その時、遠くからオレをよぶ声が聞こえた。

 

 

「モアー! モアー! どこですー? どぉーこーでーすー?」

 

「ん、ジェネ……?」

 

 

 さっき言ってたメンバーのひとり、ジェネの声だった。

 

 

「ジェネ、どうしたんだよ?」

 

 

 ものかげから出て、ジェネの方へととんでく。

 オレを見つけたジェネは、にこにこ笑って言う。

 

 

「任務ですよ、モア! ひとりで、どこいってたんです?」

 

「いま、日記を書いてたんだ!」

 

「日記……ですか? へぇー、すごいですね!」

 

 

 へへん! そうだろ!

 マメなんだぜ、オレ! ふたりとはちがってな!

 

 

「どうして、日記を書こうと思ったんです? 日誌なら、チームのもあるのに」

 

「どうして……って……えっと……」

 

 

 それを聞かれると、こまるぜ……。

 けど、言うわけにもいかないんだ。

 だってこれはひみつだって言われてるから。

 けっきょくオレは、言いわけも浮かばないまま、怒るようにうそをつく。

 

 

「どうしてでも、いいだろ! 任務なんだろ? はやく行こうぜ!」

 

「はい! ハクさんは、もうゲート前で待ってますよ! 張り切って行きましょう!」

 

 

 じょうほうを、しゅうせきして持ちかえる。

 それがオレが作られた理由だからって、ふたりに言ったら、どうなるんだろう?

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 オレたちの任務は、ナベリウスの森林エリアでいじょう発生したダーカーのむれをたおすこと。

 弱いこたいばかりだって言うけど、数が数だからこれ以上あつまる前にとうばつしなきゃいけないんだって。

 んで、リーダーは―――

 

 

「ソニックアロウ!!」

 

 

 そのむれのどまん中で、あばれまわってた。

 今もリーダーのPA(フォトンアーツ)で、バカでかい剣から出たしんくーは? がダーカーの前足をきってる。

 

 

「そらもうひとつ!!」

 

 

 もういっぱつそれをやって、もう一体のダーカーも前足をきられた。四ほん足のそいつらも、前の二ほんきられたら立ってられなくて、バランスをくずしてたおれる。リーダーは持ってるバカでかい剣で、たおれたそいつらをぶっつぶしてた。

 なんつーか、すっげーらんぼうだよな。

 なのにけがとかはぜんぜんしないんだ。あんな大きい剣をぶんぶんふり回してるのに、こうげきをよけたりふせいだりするのがすっげー上手い。こいつらのことをザコだって言ってたけど、リーダーはちっともゆだんとかしないんだ。ダーカーがりょうがわから二体おそいかかってきても、リーダーは右は剣をつきたててふせいで、左は火を出してはんげきしてた。

 すきがないって、こういうこというのかな?

 オレたちも負けてられねぇぜ!

 

 

「はぁっ!」

 

「てやぁっ!」

 

 

 オレはジェネといっしょに、むれのそとからダーカーをたおしてく。

 こうすると、オレたちがたたかってるがわははさみうちになるから、オレたちはちょっとだけらくなんだって。

 ……どまん中にいるリーダーはそのぶんあぶないけど、あぶないくらいじゃないときたえられないって言ってた。

 このまえのPD(フォトンドライブ)っていうのもつかわないし。「あれはそんなホイホイつかえるもんじゃない」って。ほんとかな?

 ダーカーのこうげきを下にとんでよけて、コアをさす。

 ダーカーはきえてった。

 

 

「どんなもんだい―――っ!」

 

 

 じまんしてやろうって思ってジェネを見ると、ジェネにダーカーがおそいかかってた。

 ジェネはほかのダーカーとたたかってて、気づいてない。

 

 

「ジェネ!」

 

「!? モア!」

 

 

 そのあいだに入って、こうげきをふせいだ。

 ダーカーのつめがオレのクレイモアとぶつかる。

 いったぁー! これすっげーじんじんする! けがはしなかったけど!

 ジェネは目の前のダーカーをたおして、おれがぼうぎょしてよろけたダーカーも、コアをきってたおす。

 せ、せんとうちゅうだもんな! ゆだんしちゃだめだってば!

 そう思ってほかをさがしたけど、もういなかった。

 

 

「……あれ?」

 

「なにしてんだ? ダガン共ならお前らがやったので最後だぞ?」

 

「…………」

 

 

 なんつーか、オレの気合はどうしたら……。

 って、それよりジェネだってば!

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……!」

 

「ジェネ、だいじょうぶか?」

 

「……はい、大丈夫です!」

 

 

 ジェネはにっこり笑う。

 ヘトヘトだって、見りゃわかるのに。

 

 

「たく。俺がど真ん中で引き付けてやったっつーのに。要反省だな」

 

「ごめんなさい、ハクさん」

 

「むっ。リーダー! ちょっとはほめてやってもいいだろ?」

 

「いつもいつもそれじゃ、甘やかしてるって言うんだ。足手纏いになりたくないんだろ?」

 

「もちろんです! あ、モア、さっきは……えっと」

 

 

 ジェネは、オレの方を向いて、言う。

 

 

「いつもありがとう」

 

「え……?」

 

「さっき、わたしのこと庇ってくれたでしょう? それに……いつも優しくしてくれて、ありがとう」

 

 

 ……手はまだじんじんしてたけど、なんかうれしくなった。

 でも、それも言えなくて、オレはぷいっと顔をそらす。

 

 

「……べ、べっつに、ふつうだろ!」

 

「ツンデレか」

 

「な、なんだよ! もんくあるか!?」

 

「いや、別に?」

 

「ふふ」

 

 

 ジェネは笑う。

 ジェネはいっつもそうだ。たたかったあとでもニコニコして、ぽやぽやしてて。

 それで―――

 

 

 

 

 

「……モアと、チームが組めてよかった。仲間になれて、よかった」

 

 

 

 

 

「……なか……ま」

 

 

 ―――それ、で……。

 

 

「そ、そうだ……! 仲間なんだから、とーぜんだろっ!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ジェネは、抜けてるしたよりないし……それに、ちょっと変わってると思う。人の話をすぐ信じるし、がんばりすぎてよくヘトヘトのクタクタになってるし……」

 

 

 今日もオレは日記を……ほーこくしょを書く。

 

 

「でも……ジェネはすごくいいやつだ」

 

 

 任務はじゅんちょーにおわって、けっきょくだれもけがしなかった。

 オレがチームをまとめてるおかげだ。

 ……いや、わかってるんだ。

 ほんとは、ほんとならリーダーとジェネのふたりでだって、ちゃんとやれるんだ。

 今回ジェネがあぶなかったのだって、リーダーがジェネとはなれてたたかってたから。

 はなれててもオレがフォローするからだいじょうぶだって、リーダーが信じてくれたんだ。

 でも、オレは……。

 

 

 

 

 

 ナンバー:84

 天気:はれ

 きろくしゃ:モア

 きょう、ジェネがオレを仲間だって、そう言ってくれた。

 ジェネは、いいやつだ。

 リーダーも、いじわるだけどいいやつだ。

 なのに、オレはふたりに言ってない、ヒミツがある。

 ふたりといると、楽しい。

 でも、ヒミツにしてることがある。

 だから、むねのところがチクチクする。

 オレには、ウェポノイドには心なんて、ないって言ってた。

 なのに、痛いんだ。おかしいな。

 いつか、ふたりに全部話せたらいいなって思う。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 という文面で送られてきたメールを、ハクメイは細部まで目を通す。

 

 

「あんにゃろうめ。これで意地悪って書かれるの何回目だ?」

 

 

 持っている手帳に、文面そのものと、報告書から読み取れた情報を書き出していく。

 彼は自分の記憶力に信を置いているが、文字にすることで新しく気付く事もあるのだと経験で分かっているので、こうしてメモする習慣をつけている。幼い時分から続けていることもあってその量は膨大だが、捨てたものは一つとして無く、今でもアイテムパックと繋がる倉庫の中に眠っている。

 書くことを書き終えると、ハクメイは手帳を閉じる。

 

 

「秘密ねぇ。情報集め以外になんかありそうなのが気になるが……ま、今日も問題なさそうだし、このままでいいか」

 

 

 送り主がモアだという記録を残すようにデータを改竄し、本来の送り先に送る。

 彼はこうして、情報を集積して持ち帰るという任務を持つモアの報告書を改竄し、怪しまれず、矛盾が起きず、しかし自分の都合のいいように、情報を誤認させている。

 先日のPD(フォトンドライブ)の件もこうして改竄することで、「現段階ではゼノに比べてあまりに未熟なもの」と送り先に認識させていた。

 最初から完全に出来てるのだと露見すれば、連中のことだ。あの手この手を仕掛け始めるだろう。

 この一手も、モアと同じ場所に居合わせてモアが報告書を送ると同時に、自分のメール通知が聞こえたりすれば、怪しまれるのは必然だ。しかしそれは起きない。元々モアは、これを書く時はバレないように一人で隠れるのだから。

 いずれはPD(フォトンドライブ)以外の技術についても露見する事だろう。

 だが、今はまだその時ではない。

 その為にも、目を付けられるのはまだまだ先延ばしにしなければならないのだ。

 

 

 

 彼がやっていることは、チームメンバーのプライベートを覗くという、後ろ指差されてもおかしくない事。

 モアの、誰かしらに無いと言われている心の内を、土足で踏み荒らす行為だ。

 だが、彼に罪悪感は一欠片どころか粉塵でさえもない。

 自分が不利益を被ると分かっていながら、他人に遠慮するような男ではないのだから。

 自分より他人を優先する事など、彼にはないのだから。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 E.M.A研究所

 

 0792-コードC:E.M.A研究所第一科製造班潜入成功。不審な情報を入手。

 

 

 

 1205-2コードS:緊急連絡。E.M.A研究所が爆破された。

 

 

 

 1224-コードA:研究所職員『208893』。生体反応を確認した。

 

 

 

 ―――ブルーノ―――

 

 

 

 

 

 そして、闇が表れ始める。

 

 

 

 

 

 




設定だけ投稿だと騙したみたいなので、短めに投稿。
次からは章の終わりまでには完成させとこう……。
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