PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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むっちゃ怪しい女からむっちゃ怪しい物を渡された

 

 

 

 アークスシップの、アークスが任務地である惑星へと向かうキャンプシップに乗り込む入り口。そこに、ゲートエリアと呼ばれる場所がある。

 アークスが任務を受注する手続きを行う、管理官が並ぶクエストカウンター。

 アークスが負傷した時に治療を受けられる、ドクターやナースが控えるメディカルセンター。

 アークスがクラス変更の際、体内のフォトン組織を変える設備が整うクラスカウンター。

 アークスが個人的に集まるチームを作る時に、その手続きをするチームカウンター。

 加えて、椅子が円形に並べられた広場なんてのもあり、アークスが任務への待ち合わせや即時的な準備を行えるようになっている。

 ……ちなみに、クラス適性があって最初からほとんど変えることのない第二世代と違って、得意クラスを模索する第三世代はクラスカウンターに通うことになるだろうが、俺にはその必要はない。

 なにせ、戦闘中であれ自分の体内のフォトン組織を変えることが出来るのだから。

 というか近接も射撃も法撃も、全て出来るように自分の身体をフォトンを制御して弄くっているのだから、変える必要がないのだ。

 それもまた、俺の秘密の技術の一つである。

 一応公的には、ファイターということにしてある。

 ちなみに、俺達はまだ許可が下りていないが、クラスはメインとサブの二つを選ぶことが出来る。フォトン組織を二つのクラスのちょうど中間に調整して、二つのクラスを扱えるようにしているとのこと。色で言えば、赤と青を混ぜて紫にしているようなものだと考えていい。

 それでも似たり寄ったりなクラスを選んで特化しようとする奴がほとんどらしいが。

 その時はテクターがサブクラスってことにしておこう。

 

 

「さて」

 

 

 キャンプシップからロビーに移る通用口であるゲート前で、ゼノ先輩は一つ伸びをする。

 

 

「無事に戻ってきたことだし、ロビーでのんびりすっか!」

 

「だめ! 報告が先!」

 

「はいはいわーってるよ。うっせえなぁ……」

 

 

 夫婦かな?

 そんなことを考える俺と、アフィンを見て先輩は言う。

 

 

「ま、そんなわけでルーキー達。俺がお守りしてやれるのはここまでだ。こうやって知り合ったのも縁だろ。何かあったら声掛けてくれ」

 

「ええ。その時はよろしくお願いするっす」

 

「んじゃ、またな」

 

「がんばってね」

 

 

 先輩二人が激励を俺達に送り、ロビーの奥へと歩いていく。

 

 

「……はぁ。嵐のような人だったな。いや、嵐のような出来事って言うのか?」

 

「そうだなー。あの人達自身はまともっぽいから、嵐なのは出来事の方だろ」

 

「なにはともあれ、疲れた」

 

 

 くたびれた様子で、アフィンが言う。

 まぁ、色々とあったからな。俺も考えなきゃいけない事増えたし。

 悪いことばっかりってわけじゃないのは、救いだけどよ。

 ナベリウス以外の惑星にも修了任務のために行った同期はいるけど、そっちはどうだったんだが。

 

 

「ここってアークスのために用意されたロビーってとこだろ? ショップなんかはもちろん、休憩するための施設なんかもある筈だからさ」

 

 

 アークスロビーは、ここゲートエリアの他にも、アフィンの言うショップが立ち並び、休憩する施設もあるショップエリアなるものがある。

 そこの説明は……行ってからするか。 

 

 

「俺、ちょっとロビー回って頭を冷やしてくるよ。色々あり過ぎて頭がぐっちゃぐちゃでさ。相棒はどうする?」

 

「そうだなー……とりあえず、マグを受け取って、チームの申請して、ちょっくら買い物したら、ルームで寝るわ」

 

「相棒は余裕だなー……」

 

「あんなん見せられたから、気が急いてな。チームも申請だけならすぐだし、買い物もちょいとディスク買うくらいだ。それやり終わったら、ゆっくり寝られる……ふぁあ~」

 

「……もう寝た方がいいんじゃね?」

 

「いやいや、やることやっとかないと」

 

「そっか。じゃあまたな、相棒」

 

 

 そう言って、アフィンも手を振りつつ、先輩達とは違う方に去っていく。

 

 

「さて。とりあえずマグとチーム、と……」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「思いの外、早めに終わったな」

 

 

 左肩の上に浮かぶマグを見つつ、ショップエリアへ到達。

 マグは、正規アークスになったと伝えるとほんとにポンと渡してくれたし、チームも新しく作ると言ったら、申請書類を渡されて終わりだ。

 新しくチームが設立し、俺がチームメンバーを集めているということだけはアークスの掲示板に載せておいてくれるらしい。

 しかし、チーム名か。

 後で変えることも出来るらしいけど、あんまポンポン変えても定着しないだろうし、最初が肝心だよな。

 他にも、どんなチームにするかとか、どんなメンバーを募集してる? とかいう項目も。

 チーム自体は俺以外にメンバーがいなくても運用できるが、それだともうチームではない。

 

 

(かといって、誰でもいいってわけにもいかないし……)

 

「いらっしゃいませ」

 

 

 俺の目の前にあるディスクショップで、売っているディスクのラインナップに目を通しつつ考える。

 やっぱり面接とかも入れてみるか?

 入団希望者が増えたら面倒そうだけど、信用のおけるメンバーが増えたら分割して面談すればいいだろうし。

 そうなったら、試験なんかも入れてみるのもいいかもな。

 別に少なかったら少なかったで、少数精鋭のチームにしてもいいだろう。

 夢が広がる。

 なんて考えていると、アイテムショップの方で叫び声が上がった。

 

 

「素晴らしく運が無いな、君は」

 

「ぬぉおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 アイテムショップの店長らしい、もじゃもじゃ髪なヒゲのおっさんの前で、白髪でガングロのちょび髭なおっさんが膝を折っているという、醜い光景である。

 

 

(……ご愁傷様)

 

 

 心の中で冥福を祈る。

 このショップエリアには、様々なショップが並んでいる。

 アークスが使用する武器を売っていたり。

 惑星で拾われた過去のアークスの正体不明の遺留品を鑑定したり。

 防具であるユニットや、コスチュームを売っていたり。

 アークスが現地で使う回復や支援のアイテムを売っていたり。

 PA(フォトンアーツ)やテクニックを習得するためのディスクを売っていたりだ。

 で、さっき叫び声が上がったアイテムショップだが、奇声が上がったにも関わらず、それを気に掛ける者はいない。

 それもその筈。ああいったことはあそこでは日常茶飯事だからだ。

 店に金を払い、施設を使って武器やユニットを強化する。それがアイテムショップの役割だ。

 上級者になると、武器に組み込まれた因子を、他の武器の因子と組み合わせて特殊な強化を齎したりもする。しかしその成功率は、その武器やユニットによってまちまち。武器やユニットが強ければ強いほど、特殊な強化であればあるほど、成功率は下がり、かかる費用は上がる。

 このアイテムショップの鬼畜な所は、失敗しようと素材となる武器やユニットを戻すことなく、使った大金も返すことなく、ただあの煽ってるとしか思えない言葉を吐く所だ。店長はあのような態度だが、唯一の店員である女性はかなり気弱な性格で、責めるに責められないという嫌なバランスをとっている。だというのに、やはり武器も防具もアークスの命を預けるものであるわけだから、この施設に通わずにはいられないのだ。そして、低い成功率に夢を見て、大金を注ぎ込む。そうして貧困に陥ったアークスが、何人もいるのだそうだ。

 一時期暴動が起きかけた(起きる前に武力的に制圧された)と言われる程のアークスの魔窟と化しているのだ。あそこは。

 

 

(ま、俺には関係ないんだけれども)

 

 

 俺の秘密の技術の一つ、自作武器。

 施設などなくとも、自前の道具と素材さえあれば武器もユニットもその他諸々もお手の物。強化も改良という形で行う事が出来る。

 一から全部作り上げる必要があるが、自分の望む物を最高の状態で、材料費以外の費用を掛けずに手に入れることが出来る。

 そして市販の物にはない特殊な機能や、能力などを組み込むことが出来るのだ。

 ……これがバレたら、俺はきっとアークス達の憎しみを一身に受けることになるのだろう。

 

 

「それじゃあ、この一通りのPA(フォトンアーツ)と、初級テクニックを全部ください」

 

「かしこまりました。ですが、よろしいのでしょうか? 新人アークスがこれだけ買うと、他の施設にお金を掛けられないのでは……?」

 

「いいんです」

 

 

 むしろアイテムショップを利用することがないから、金はこの先有り余るだろうから。

 回復アイテムも支援アイテムも一通り揃ってるし、武器も防具も素材として買うことはあるだろうが、今買う程じゃない。コスチュームなんてオシャレするのは、金が貯まってからでいい。

 それより、士官学校でいくつかしか選ばせてもらえなかったPA(フォトンアーツ)やテクニックの方が先だ。

 双小剣用にレイジングワルツとワイルドラブソディ。テクニックでフォイエとバータ、ゾンデとレスタ。それだけである。

 早めに習得して、カスタマイズも出来るようにしたい。

 

 

「お買い上げ、ありがとうございました」

 

 

 ショップの店員の挨拶を受けつつ、俺は帰路に移る。

 さて、カスタマイズその他は明日以降にやるとして、今日はもう寝るか。

 アークスになると、それぞれ自分の部屋を持つことが出来る。

 マイルームと呼ばれているそこでベッドを転送したら寝よう。部屋の飾りつけや運び込みも明日以降だな。

 そう考え、自分のルームの場所を確認しようとスクリーンを出そうとしたところで。

 

 

 

 急に、いた。

 

 

 

 目の前にいきなり現れた筈なのに、まるでずっと前からそこにいたかのように。

 白衣を着た研究者のような女性が、俺に背を向けて存在していた。

 

 

「……待っていた」

 

 

 その女性は、そう言って振り向く。

 

 

「否。この表現は認識の相違がある。待たせてしまった、だろうか」

 

「……誰だ、お前」

 

 

 見覚えがない女だった。

 三つ編みを編み込んで団子を作ってアップに纏め、前髪は七三に分かれた黒髪で、理知的なメガネを掛けた女性だ。

 しかしその奥にある瞳は、理知的と言うよりは感情が希薄といったほうがしっくりくる色を持っている。

 白衣の胸元にある証明写真に写った彼女の方が、人間味を感じるくらいだ。

 美しいと、そう言えるのは確かだろうが、人間の女性に抱くそれではなく、人形に対して抱くそれに近い。

 

 

(いや、それ以前に……)

 

 

 姿は見えている。

 声も聞こえてる。

 なのに―――探知に引っ掛からない。

 

 

「私の名は……シオン」

 

「シオン……?」

 

 

 やはり、聞き覚えの無い名前だ。

 俺はこんな女を待たせてなどいないし、待ってもいない。

 しかし彼女は、希薄な感情の瞳で、真っ直ぐに俺を見据える。

 まるで―――俺をずっと前から知っているかのように。

 

 

「私の言葉が貴方の信用を得る為に、幾許かの時間を要することは理解している」

 

 

 なんだ、こいつは。

 確かにここにいる筈なのに、俺の探知の中では存在せず、ここにいる他の人間も、彼女のことを気にも留めない。

 俺だけに見えてる幽霊だとでも言うのか?

 

 

「それでもどうか、聞き届けてほしい。無限にも等しい思考の末、私が見出した事象を」

 

「……わざわざ難しい言葉でお茶を濁そうとするな。誰だ、じゃその答えだってんなら聞き直す。お前は―――なんだ? 何者だ?」

 

「私は観測するだけの存在。貴方への干渉は行わない。行えない」

 

 

 …………何者だ、でもその訳の分からない答えか。

 

 

「だが、動かなければ道は潰える」

 

「道、だあ?」

 

「故に私は示す。あらゆる偶然を演算し、計算し、ここに表す」

 

 

 そして彼女は、その右手をこちらに差し出す。

 そこには、光る何かが輝いていた。

 ただ光っている何かとしか表現できないそれは、彼女の右手を離れ、宙に浮かび、そのまま俺の腕にあるデバイスへと吸い込まれていった。

 

 

「な……っ!? おい! 今のは!?」

 

「偶時を拾い集め、必然と為す。そのものをマターボードという」

 

「マター……ボード?」

 

「わたしは観測するだけの存在。貴方を導く役割を持たない。だが、マターボードは貴方を導くだろう」

 

 

 彼女はそう言う。

 その瞳で、未だ俺を見据えている。

 

 

「……私の後悔が示した道が、指針なき時の、標となることを願う」

 

「…………」

 

「未だ信用も信頼も得られずと推測する。貴方のその思考は正しく正常である。私もそれを、妥当と判断する」

 

 

 …………疑われることは承知済みってか。

 見透かされてるみたいで不愉快だ。

 

 

「しかし、私はそれでも貴方を信じている」

 

「ふざけんな」

 

 

 思ったまま、そう言ってやった。

 

 

「お前の後悔だかなんだか知らねぇが、導くなんてえらっそーに。俺が何かを決めるのは、俺の欲望に従って、だ。信じるのは勝手だが、お前の望む通りに俺が動くと思ってんじゃねぇ」

 

「……それでいい。貴方は、そうであるべきだ。私もまた、それを望んでいる」

 

「……チッ」

 

 

 こいつ……どこまで見透かしてやがる。

 

 

「私は貴方の空虚なる友。どこにでもいるし、どこにもいない。質問はいつでも受け入れよう」

 

 

 そう言って、彼女はまた背を向けて。

 その時にはもう―――彼女の姿は見えなくなった。

 

 

「……いつでも受け入れるっつって、すぐ消えんのかよ」

 

 

 どーせ今何か質問したところで、その答えを信じられやしねぇけどな。

 非現実的な出来事だった。

 修了任務の疲れで白昼夢を見てたのかとさえ思えるが……。

 

 

(ま、夢じゃねぇんだろうな)

 

 

 スクリーンに浮かび上がる、マターボードの文字。

 いくつかあるメニューに新しく項目が追加されたかのように、そこにあった。

 そのファイルを開き、中身を表示させる。そこには、どこに向かえ。何々を拾え。誰と話せ。そういう旨が書かれている。

 まるで、俺にこう動けと指図しているかのような、不愉快極まりないものだ。

 

 

「……いいぜ、乗ってやるよ。俺の好奇心に従ってな」

 

 

 これが罠だってんなら、それも上等。

 正面から打ち破ってやる。

 

 

「ま、なんにせよ明日だな」

 

 

 そうして俺は、マイルームへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 




実際にゲーム内でハクメイみたいな存在がいたら、ボッコボコのボコにしないと気が済まないと、自分でも思います。


これからハクメイが戦っていくにあたってオリジナル武装は重要なものになりますが、皆さんがハクメイやその他のキャラに使ってほしいと考える武装などありましたら、どうぞご意見ください。展開などに合わせて、作中に登場するかもしれません。
活動報告にアンケートを載せますので、そちらでどうぞ。
武器名や、その特徴。機能や能力など事細かに記してくだされば、こちらが楽です(暴言)
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