PSO2 ~煌々たる白明~   作:クビキリサイクル

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特徴的過ぎる担当官達とエンカウント

 

 

 

「ビィィ!」

 

「ビィ!」

 

「ビィィイイ!」

 

 

 俺が見上げる空には、アギニスが三体、円を描いて飛んでいた。

 ただ飛んでるだけなら気にする事ないんだが……ありゃ俺を狙ってるな。

 どの角度から俺を狙って飛び掛かるか、決めあぐねてるって感じだ。

 

 

「ハン。先制していいんってんなら、文字通り飛ぶ鳥落とす勢いでやってやるよ」

 

 

 今はルベルトもトイレで席を外してるし……あれでいくか。

 ライトランスをアイテムパックに仕舞い、新たな武装を取り出す。

 

 

「気砲『プレスキャノン』」

 

 

 自作武器の大砲。

 砲口の反対側が膨らんでいるだけの、大した特徴もない緑と赤で彩られた大砲だが、こいつの真価はそっちにはない。

 照準をアギニス共の軌道に合わせ、チャージして、PA(フォトンアーツ)を放つ。

 

 

「ディバインランチャー」

 

 

 爆音は極小。

 砲弾は無い。

 だが―――二拍置いて、アギニス達が吹き飛んだ。

 

 

 

「「「ビィァアアアアア!!!」」」

 

 

 

「チッ」

 

 

 それぞれの方向へと吹き飛んでいくアギニス共を見て、舌打ちを一つ。

 二体は直撃したが、一体は爆風で一時的に体勢を崩しただけだな。

 見立て通りその一体のアギニスは姿勢を整え、こちらへと飛んでくる。

 照準を合わせ、もう一度放つ。

 同じく砲弾は無いが……直撃だ。

 アギニスは断末魔さえ上げる間もなく、吹き飛んだ先の木のシミになった。

 

 

「いっちょあがり」

 

 

 気砲『プレスキャノン』。

 見えない砲弾を放つ大砲。

 その正体は風のテクニックを組み込んだ自作武器であり、砲弾は気圧そのものだ。

 この大砲の膨らんだ部分に風を圧縮して詰め込み、撃ち出す。そして対象と接触した瞬間、空気の砲弾が炸裂。通常の砲弾と変わらない威力を生み出し、PA(フォトンアーツ)となってもそれは変わらない。

 マイナス点は特殊弾を撃ち出せない(撃ち出そうとすると、空気の砲弾で無くなってしまう)ことだが……それでも見えない砲弾の利点は大きい。

 早寝早起きして、今朝方作った甲斐はあったな。

 大部分は出来てたが、風のテクニックのディスクが無かったからな。

 

 

「さーて、マターは大体集まったし……討伐はいったん休憩して、ギャザリングでもしてみっかな」

 

 

 展開したPM(フォトンマップ)に集中。

 ギャザリング―――釣りや採取に良さそうな場所を探す。

 

 

「……先客がいるが、ここかな」

 

 

 なんならちょろっとコツみたいなの聞いてみるか。

 基本は士官学校で押さえてるけど、実践は初めてだしな。

 昨日の実戦と同じように。

 おいそこ。親父ギャグかよとか言わない。

 とりあえずのんびり釣りから始めてみようと、水場がある場所へと向かう。

 探知した通り、そこには先客がいた。

 

 

「どもっす」

 

「や、こんにちは」

 

 

 釣竿を泉のような小さい水場に垂らすその人は、目が窺えなかった。

 耳に掛けているが、中心では繋がっていない色付きのグラサンを着けているからだ。

 ハット帽を被っていて頭頂部もまた窺えず、後頭部は多数の三つ編みで編み込まれている。

 全身が赤と黒で構成されたコーディネイトなんだが……なんか怪しい商売やってそう。

 第一印象で全てを決める気はないが、あまり近寄らない方がいいかもしれない。

 しかし、そこは俺。声を掛けた以上はここに居座ってやるとも。

 

 

「こんにちは。ここには釣りに?」

 

「そうだよー。お、なんだか初々しい顔をしているね。もしかして、ちょうどこの前ナベリウスに行っていた、とか?」

 

 

 軽い感じでそう言われた。

 ……新人はわかるが、ナベリウスで修了任務を終えたことまでわかるのか。

 黙っていると、その人は続ける。

 

 

「どうやら図星みたいだね。じゃあまずは、無事で良かったねと言っておこうか」

 

「まぁ、ダーカー襲撃には驚きましたけども、弱小個体でしたし」

 

「そういうわけじゃないんだよねぇ」

 

「?」

 

「いやさ、この前のダーカー大発生時に、救援に向かった有名なチームがあっけなく全滅しちゃったらしくてね。そこから生還したってのはそれだけで誇れることだよ」

 

「……全滅?」

 

「そ、全滅。13人ものチームが、一人残らず。リーダーの右腕だけが発見されたようだよ。あ、比喩表現じゃなくて、文字通りね?」

 

 

 つまり、残りは死体さえ残らなかったと。

 死体を食い荒らされたんだとしても、そんなこと有り得るのか?

 いや違う。

 そうじゃない。

 

 

「しっかし、解せないのはその全滅だ。熟練のチームで、ただのダーカーに負けるとは思えないんだが……」

 

 

 そう。()()ってことだ。

 チーム総がかりでも勝てない相手と遭遇したのであれば、逃走に踏み切る筈だ。まともに考えて。

 任務は討伐ではなく、救出なのだから。

 熟練であればその判断も早かったろう。チームの誰かが殿となって誰かを逃がす判断だってするだろう。

 にも関わらず、誰一人として逃走に成功せず、全滅させられた。

 それは即ち―――

 

 

(熟練のチーム13人全員が、逃げる間もなく一瞬で命を落とした……?)

 

 

 そんな攻撃力を持った怪物が、あの場にいたってのか?

 

 

「ま、真実の追求はきっと誰かがやってくれるかな。まずは自身の無事を喜ぶべきだ」

 

 

 その人が釣竿を振り上げると、糸の先に魚がいた。

 それがキャッチされ、バケツに放り込まれると、その人は立ち上がる。

 

 

「ただ、小康状態だったダーカーの動きが活発化してきてるのも事実。気を付けるに越したことはないね」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

『お待たせいたしました、先生!』

 

「いや、まぁギャザリング中だから別に待ってもいないけど」

 

 

 さっきの赤い人―――クロトと言うらしい。―――は、俺に釣りのコツを簡単に教えていくと、そのままどこかに行った。

 あまり集中せず、のんべんだらりと過ごしながら待つのがいいらしい。

 俺としても休憩のついでにやっていることだから、集中力を割かないのは有難い。

 それにしても、有名チームを全滅させた怪物か…………。

 

 

(探知にはそれらしき反応はなし……。そもそも、アークス側でそんな生体反応が確認されたんなら、ナベリウスは立ち入り禁止区域に指定されて、もっと強いアークス―――それこそ六芒均衡が動いたっていい筈だ)

 

 

 となると、そいつはもうナベリウスにいないのか?

 現れたナベリウスに常駐せず、他の惑星を転々としている、と。

 

 

(とはいえ、ダーカーだとするならいきなり目の前に現れたっておかしかない。警戒を上げとく必要はあるな)

 

「ルベルト。まだしばらくはギャザリングしとくから、他の事やってていいぞ。また狩るってなったら呼ぶから」

 

『了解いたしました! お気遣い痛み入ります!』

 

 

 ルベルトとの通信が切れる。

 さて、何匹釣れるかなっと。

 ……ん? 誰か来るな。

 

 

「……こんにちは」

 

 

 声を掛けられた方を向くと、そこにはテクニック職らしい長いコートを着たニューマンの女性がいた。

 薄い紫がかった髪で、前髪パッツン、襟首辺りで切り揃えた、所謂ボブカット。その頭にはヘッドギアが装着されている。

 小柄だが、スタイルは普通くらいという、大人しめなイメージがある人だ。

 

 

「あ、こんにちは。そちらも釣りで?」

 

「……いいえ。通り掛かっただけ。……最近、ナベリウスに来るアークスが増えているわね。……この前、ダーカーがいっぱい出現して以来、と言うべきかしら」

 

「んー。まぁそうっすね」

 

 

 確かに、昨日のダーカー大発生によって、ナベリウスに対する任務は増えている。

 通常の任務もありはするが、基本的にはダーカーを間引くことが主目的だ。

 

 

「……実はこれ、あまり良くない傾向。アークスがいっぱいいるというのは、そこが危ないっていうことだから」

 

 

 ……そのアークスでさえ立ち入り禁止に指定される所が一番危ないと思うけどねぇ。

 まぁ、そんな場所はもう滅多にないけども。

 

 

「けどま、アークスとしては活動できる場所ってのが明確だからいいかもですけどね」

 

「……私もアークスだけど、出来るなら、アークスとしての活動をしなくてすむようにしたい」

 

 

 その人は、胸にそっと手を当てて言う。

 

 

「……それがきっと平和ってことだから」

 

 

 ……平和、か。

 そうなったら、俺もなんか違う仕事することになんのかね。

 必死こいてなった仕事が、出来たら無い方が良いってのもな……。

 ま、どーでもいいか。

 

 

「……自己紹介が遅れたわ。私はマールー。一応、フォース、テクターのクラス担当官」

 

「お」

 

 

 担当官。

 そのクラスに対して深い理解があり、優れた戦績を叩き出す人が選ばれる者達だ。

 クラスに対しての理解が浅い新人に、実地で共に戦うことでクラスに対しての理解を深めさせることを目的とする。

 テクニック職とは思っていたが、まさか担当官だとは。

 

 

「……あなたのクラス、聞いてもいいかしら?」

 

「俺? 俺は一応ハンターメインで、サブにフォースですけど」

 

「……そう」

 

 

 何故だか、ジト目を向けられている気がする。

 

 

「……ハンターって、なんていうか、むさ苦しいと思わない?」

 

「…………えぇ」

 

「……いちいち前に出て射線や視界を遮ったりするし、掛け声もうるさいし……」

 

「いや、掛け声は個人差では……」

 

「……なにより、何も考えずに突っ走る人が多くて、正直理解不能」

 

 

 …………こうまで言われるとは、ハンターに何の恨みが。

 というかそれらの不満点って、他と連携が取れてないだけなんじゃ……。

 いや、よそう。

 変な地雷を踏みたくない。

 

 

「……その点、フォースは良い。静かに動き、溜めて一撃必殺。とっても効率的」

 

「…………」

 

 

 代わりに高速戦闘についていけないのがフォースですけどね。

 

 

「……選ぶのならフォース。覚えておいて損はないわ。じゃあね」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「お、ご同輩か。最近はナベリウスに来るアークスも増えてきているんだな」

 

 

 マールーさんが去り、魚を三匹程釣り上げていると、新しく人が現れた。

 緑髪のポニーテール。前髪を二房だけ垂らした、大柄な男だ。黒い戦闘服に包まれた肉体は鍛え上げられたそれで、ハンタークラスなのが見て取れる。

 

 

「こんにちは。さっきも聞きましたけども、一人に出会ったくらいでそう判断するもんすか?」

 

「この前のダーカー大発生までは、道中で誰かと会うなんてほとんどなかったんだぞ」

 

「へぇ……」

 

 

 そういうもんか。

 

 

「ただ、多くのアークスがいるというのは、危険という事の証左でもある。本来は、誰も来ない状態がベストだな」

 

 

 ……ん?

 

 

「ま、オレ達としては飯の食い上げに困ってしまうが、平和で済むなら、その方が良い」

 

 

 ……さっき聞いたこととほぼおんなじなんだけど。

 やっぱアークスってその思想が一般的なのかね。

 色んな事したいからアークスになった俺が、少数派なんだと思い知らされる。

 

 

「……あんたと同じこと言ってた人がいたよ」

 

「それは気の合うことだな」

 

 

 うんうん、と頷かれる。

 

 

「自己紹介が遅れたな。俺はオーザ。ハンター、ファイターのクラス担当官だ」

 

「おお」

 

 

 またも担当官か。

 連続で担当官に出会うとは、余程このナベリウスに来ているアークスが多いということなのかね。

 

 

「ちなみにお前のクラスを聞かせてもらってもいいか?」

 

「ハンターがメイン、フォースがサブです」

 

「うむ、ハンターメインはいいな。ダーカーとの戦いは体力勝負。そうなると、最も有利なのは肉体強化に優れたハンターだ」

 

 

 正確には、肉体が最も強くなる形にフォトンの体組織を組み替えられた、なのだが。

 そこから更に体内のフォトンを流動、活性化させて、肉体の全てを強化するのがPD(フォトンドライブ)だ。

 

 

「レンジャーやフォースでは、途中で息切れしてしまい、肝心な時に力を発揮できないぞ」

 

 

 おっと?

 

 

「特にフォースはダメだ! フォースは!」

 

 

 おおっとぉ?

 

 

「肝心要のタイミングで、息切れで攻撃できないなんて言語道断」

 

「えぇ……」

 

「その点ハンターは、武器と己の肉体を頼りに戦う。息切れの心配も無用、安心だ」

 

 

 その分遠距離攻撃してくる敵に滅法弱いんですがそれは……。

 

 

「迷ったらハンター! 覚えておくといい。それじゃあな」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

(担当官同士って仲悪いのだろうか)

 

 

 オーザさんが去っていき、ギャザリングも程々にして歩きながら、俺はそう考えていた。

 自分のクラスに愛着があるのは良いことだが、かといって他のクラスを非難するって、担当官としてどうなんだろうか。

 むしろ他のクラスと一緒にどう立ち回るのかということが重要なのではないだろうか。

 アークスとしての根幹はそう変わらなさそうだから、争いに発展したりはしないと思うけれど。

 

 

(あの人達、現場で遭遇して共闘ってなった時に、ちゃんと連携して戦えんのかね)

 

 

 クラスなんて一長一短。そこを補い合ってこその連携だろうに。

 ま、考えても仕方ないか。

 残りのマターは……ロックベアくらいか。

 岩に覆われた外皮を持つ大型エネミーで、並みの攻撃を適当にぶつけてるだけじゃ勝てない。新人アークスの登竜門みたいなやつだが、はてさてどう攻略したものか。

 定石通り、岩に覆われてない顔部分を狙って攻撃するのが一番だろうけど。

 

 

(っと、誰か来るな)

 

 

 曲がり角がある地点に辿り着き、その先からアークスらしき反応が探知にかかる。

 結構前からこの反応はキャッチしていたが、まさか合流するとは。

 素通りするのもあれだし、挨拶していくか。

 そうして立ち止まっていると、向こう側から人影が現れ―――

 

 

 

 銃を構えられた。

 撃ってきた。

 

 

 

「あっぶなぁぁぁ!!?」

 

 

 横に跳んでギリギリ銃弾を躱した。

 後ろ側で樹木に銃痕が刻まれる音。

 え!? 実弾!? 実弾撃ってきましたよこの人!?

 

 

「誰ですかあ? ……ってなんだあ、アークスじゃないですかあ。ビックリさせないでくださいよう」

 

「いや今完全にビックリさせたのそっちだよね!? 驚かせるどころかお亡くなりにさせるつもりだったよね!?」

 

「リサはね、狙撃手なんです。背後に立たれるのが嫌いなんですよう。気を付けてくださいねえ」

 

「真正面に立ってましたけど!?」

 

 

 なんなのこの人話通じない!!

 リサと名乗るその人は、黒髪赤眼の女性キャストだ。

 キャシールとも言うんだっけ?

 病的なまでに白いスキンで、イオニアシリーズ……だったか? のパーツを一式固めている。それなりに膨らんだ胸部の谷間にネクタイらしきものが挟まっていたり、二の腕が晒されていたり、太ももがバッチリ視界に入ったり、かなり扇情的な格好をしているが、それに心惹かれないのはキャストのメカメカしたフォルムが原因ではないと思う。

 というか、目が怖い。

 わざと見開いてるのかとばかりに凝視してくるし、口元に浮かんだ三日月のような笑みも恐怖心を呼び起こす。

 可愛い美少女、美女は種族関係なく愛でる対象だが、この人はお近づきになりたくない。

 

 

「これはこれはどうもすみません! なんだかさっきから不愉快な感じがしてて、リサ気が立ってたんですよお。よく確認もせずに撃っちゃいたくなるくらいに」

 

「ふ、不愉快な感じ?」

 

「なんというかですねえ。誰の視界にも入ってない筈なのに、じーっと見られてるというか、探られているというかあ。見えない何かに身体をまさぐられてるみたいで、とおってもイライラしてたんですよう」

 

「…………は、はぁ」

 

 

 背中に冷や汗が滴り落ちる。

 この人……もしかして、俺の探知に気付いてたのか?

 俺の支配下にあるフォトンだったとはいえ、俺の操作を受けている以外は大気中のフォトンと変わらないというのに、それを感じ取ってたと。

 それもフォトンの扱いが他種族に劣るキャストの身で?

 どういう勘をしてんだこの人。

 

 

「でもお。今のが当たってたら、あなたがリサが撃ったひと第一号になってたんですねえ? そういう意味では惜しかったですねえ」

 

「……こっちはあなたが俺を撃ったアークス第一号になるところで、非常に危なかったんですが」

 

 

 ていうか、惜しかったって。

 出来るなら人を撃ってみたいと思ってんのかよ。

 

 

「これはこれは自己紹介が遅れてしまいましたあ! ちょっと発散できたのでしちゃいますねえ。リサはリサですよお。レンジャーとガンナー、射撃を扱うクラスの担当官なのです」

 

「ガッデム!」

 

 

 また担当官!

 また担当官ですよ!

 担当官の中にまともな方はいらっしゃいませんか!?

 

 

「あなたはあ、ハンター? レンジャー? フォース?」

 

「あ、っと。俺は」

 

「まあなんでもいいですかねえ」

 

 

 ……流されてもた。

 

 

「さて、ハンターやフォースのみなさんに言わせてみれば、レンジャーは火力が足りないと言われますねえ」

 

「は、はぁ……」

 

「それはその通りなんですよう。銃はですねえ、一撃必殺とはいかないんですよねえ」

 

 

 急に始まったレンジャー講義。

 俺を新人と見てのことだろうか。

 確かに、それはそうだ。

 弱い個体の弱点を撃ち抜くというなら話は別だが、基本的に射撃は一発一発の威力が打撃や法撃に見劣りする。近接専門のハンターや、前衛の援護と回復、一部テクニックの射程距離などを加味して中距離での戦闘が主になるフォースなどと違い、オールレンジで戦えるのがレンジャーの強みではあるが、その攻撃は敵を削るという表現がしっくりくる程些細なものだ。

 なんだ。

 ちゃんとクラスの弱点も考慮してる人ではある―――

 

 

「でも、それがいいんです。そうじゃないと、いけないんです」

 

「おや?」

 

「だってだって、敵は敵ですよ? 苦しんで苦しんで苦しんで苦しんでもらわないとだめじゃないですかあ」

 

「おやおや?」

 

「だから、リサは銃が大好きですねえ。大きな敵も、小さな敵も、分け隔てなく、苦しめられる銃が大好きです」

 

「……………」

 

 

 そんな理由でレンジャー選んでる人初めてだわ。

 俺も銃使うけど、火力が足らない方がいいなんて初めて聞いたわ。

 

 

「……ドン引きですねえ。でも、リサの言っていること、そんなにおかしなことですかあ?」

 

「えぇ……と」

 

 

 おかしいと言えば上から下まで全部おかしいけれども。

 

 

「それにしても銃って、ほんとうにいいですよねえ……」

 

 

 無邪気に、だからこそ悍ましく、うっとりした表情で持っているアサルトライフルを撫でるリサさん。

 

 

「感触は残らないし、敵は踊るように倒れていく…………なんともたまらず、ぞくぞくしませんかあ?」

 

「…………」

 

「すべてを支配している感じで……。ああ……そんなこと話していたらまたやりたくなっちゃいましたよう」

 

「あ、はい」

 

 

 殺ると書いてやりたくなったんですね、はい。

 なるべく回り込む形で道を開ける俺。

 この俺が自ら道を譲るとは、中々希少なシーンだと言えよう。

 

 

「それじゃあ、リサは行ってきます。ごきげんよう、ごきげんよう」

 

 

 そうして、リサさんは俺が来た道へと消えて行った。

 …………………。

 …………。

 ……。

 

 

「やっぱ独学が一番だな」

 

 

 なんでもできる俺スゲーって思っとこう。

 さて、ロックベアの捜索を続け―――ん?

 

 

(……この大きさは、大型エネミーだな。ファングパンサー達の速度じゃないから、ロックベアか)

 

 

 探知に新たに反応したものに対し、そう判断する。

 加えて。

 

 

(アークスが二人。交戦中か?)

 

 

 

 

 

 

 




リサさんマジ(キチ)天使。

本編だとクロトのこのイベントは結局なんだったん? ってなってますけど、こっちではキッチリ正体出てきます。勘のいい人はもうわかってると思いますが。
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