可奈美の兄ちゃん   作:日々空回り

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俺の息子ってやつは

 

五年後…

 

あれから五年が経ち、可奈美はさらに美少女となった。あの幼少期から想像できた通り、やっぱり美人になったな。俺?俺は変わらず普通のまま。

その後の可奈美はあの日からの勉強が身を結び、無事に美濃関学園祭付属関小学校に入学して、今は立派な小学生五年生になった。俺は地元の公立小学校から中学校へと進学し、そのまま普通の公立高校へと進学を決めた。

今の季節は十二月、寒空の朝日が昇る下で俺は昔からの稽古を続けていた。

 

「お兄ちゃ〜ん」

「ん、どうした可奈美」

 

可奈美の声で、俺は稽古をやめ鞘に刀を戻す。。可奈美の格好は、小学校の制服で、とても愛らしい。うん、今日も可愛いね!

 

「今から舞衣ちゃんと、遊びに行ってくるね」

「ん、了解。舞衣ちゃんってことは、舞衣ちゃんの家まで行くんだろ?送って行くよ」

 

 

そう舞衣ちゃんも可奈美と同じ小学校に通っている。まあ、それが元で可奈美があそこの小学校に行くって言ったんだから、無事に合格できてなにより。別に可奈美と一緒の学校に行きたかったわけじゃないから‼︎

 

「ううん、大丈夫だよ」

「そうか。今日はどこに行くんだ?」

「舞衣ちゃんの家に行ってから、博物館に行くの」

「博物館?…ああ、刀を見に行くんだな」

「うん!今御刀の展覧会やってるから、一緒に舞衣ちゃんと見に行くの‼︎」

 

可奈美はそう言って庭の門を開ける。

 

「それじゃあお兄ちゃん行ってきます‼︎」

「ん、行ってらっしゃい。遅くにならずに、帰ってくるんだぞ」

「はーい!」

 

そう言って可奈美は走りだし、俺の視界からいなくなっていった。

 

「さてと、それじゃあ…続きを始めるか」

 

そうして、俺は鞘から刀を抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ったぞー」

 

午前中に仕事を終わらし、俺こと、衛藤晋作は帰ってきた。ちなみに俺の仕事は漁師で、今日も海に出ていた。

 

「んん、お帰り」

 

リビングのソファーで横になって出迎えてくれたのは、衛藤家の長男、剣だ。

 

「おお、ただいま。可奈美はどうした?」

「舞衣ちゃんの所に遊びにいってる。今日は早かったね」

「舞衣ちゃんってのは、柳瀬さんとこの娘さんから」

「ん。」

 

剣は俺との受け答えを終えると、再びソファーで伏せる。

 

可奈美は素人の俺から見ても、剣の才能に溢れている。毎日の稽古を楽しみながら行なっているのは、その証拠故なのかもしれない。だが、それでもこの目の前で横になっている剣には遠く及ばない、そう俺は確信を抱いている。そう思っているのは、俺だけでなく亡き最愛の妻、美奈都もそう言っていた。

最初の頃は剣は嫌々ながら、美奈都の稽古に付き合っていた。いや、付き合わされていたと言う方がいいな。嫌がる剣に美奈都は刀を持たせて、稽古という名の家族間のスキンシップを図っていた。あれは面白かったなぁ。可奈美と一緒になって縁側で美奈都と剣の稽古を見ながら、お茶を飲むのが日課だった。一方剣はというと、涙をこらえながら、美奈都に向かっていった。そして、ある日剣がこう言いだしたんだよな、「今日は母さんに勝てる気がする。ってか勝つ。それで毎日の稽古は終わり」。俺と美奈都は顔を見合わせ笑い、可奈美は顔をキラキラさせてた。剣は今まで見たことのない構えから、そして美奈都から一本をとった。

 

ージリリー

 

俺は電話がなったかは、昔のことを思い出すのをやめた。

 

「電話だ」

「俺が出る」

 

剣が電話に出ようとしていたが、俺が代わりに出ると言うと、剣はソファーに再び寝転ぶ。

 

ー剣は昔からこんな性格である。基本的にはものぐさで、事なかれ主義である。ー

ーだが、そんな剣が唯一と言っていいほどの行動原理があるー

 

「はい、衛藤です。え、あ、はい。…は?は、はい。すぐに向かいます」

 

俺は電話を戻すと、ソファーに横たわる剣に告げた。

 

「剣、落ち着いて聞いてくれ」

「改まってどうしたんだよ?」

 

ソファーで寝ている剣のところに向かい、俺はそう告げる。

今思えば、剣にはこのことを伝えずに俺の中だけで片をつければよかった。

 

「柳瀬さんの娘さんと一緒に、可奈美が誘拐された」

 

 

 

剣は目を変えると、ソファーから飛び起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーそれは、妹の可奈美であるー

 

 

 

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