可奈美の兄ちゃん   作:日々空回り

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本編〜原作〜
逃走ってやつは


「初めまして、そちらで大鳥劔で通られせてもらってるものです」

「ふん…」

 

折神紫に皮肉ぶった挨拶を刀越しにする。っち…‼︎流石に一振りで二振りの刀を抑えるのは厳しいものがあるか。瞬時に俺は刀の力を緩め、後方へと飛び可奈美ともう一人の女の子を守るように立つ。親衛隊は俺の登場に戸惑い折神紫の指示で手を出せないでいる。

 

「お兄ちゃん⁉︎どうしてここにいるの⁉︎」

「どうしてって約束を守りに来たんじゃん。可奈美、まさか忘れたの?」

「忘れるわけないよ‼︎っていうかお兄ちゃんに聞きたいことがたくさんあるの⁉︎」

「んー、俺も可奈美に言いたいことがたくさんあるんだけどとりあえずは…‼︎」

 

キィン

 

「ほう。私を前に随分と舐めてくれる」

「舐めてるわけじゃない、余裕があるってんだよ」

 

折神紫が可奈美達を切ろうとするので、俺は再び彼女立ち会う。…よし、これなら逃げれる。

 

「可奈美‼︎今から隙を作るから、その子と一緒に逃げろ‼︎」

「…うん‼︎わかった‼︎」

 

いい返事だな、可奈美。俺がニカッと笑ったのが気に入らなかったのか、折神紫は両手に力を入れた。

 

「その態度が舐めていると言うのだ」

「だったら舐めなれないようにしろよ」

 

キィン

 

刀と刀が離れ、折神紫は再び俺を斬り伏せようとする。だけど、俺の狙いはお前自身じゃない。俺の狙いは、

 

「跪け」

「お前がな」

 

その腕だ。

 

「鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)」

 

キィィィィィィン‼︎

 

「むう…‼︎」

 

一層強い音が鳴り、折神紫は大きく後退した。

 

「いまだ、逃げr「お兄さぁぁぁぁぁぁぁぁん‼︎」まじかよ⁉︎」

「きゃっ…⁉︎」

「うぇぇぇぇ⁉︎」

 

俺を呼ぶ声がして、俺は刀を納刀し可奈美ともう一人を抱えて堂内から大きく後退する。

 

「ふふふ♡やっと会えたね、お兄さん♡」

 

俺が飛び去ると俺たちがいた場所、そこに顔見知りが刀を振り下ろしていた。危ねえ、もう少し遅かったらバッサリだったな。

 

「そういえば親衛隊もいるんだった…」

「お、お兄ちゃん‼︎」

「離してください‼︎」

「おお、悪かったな」

 

可奈美と女の子を離すと、堂内からさっきの顔見知りが出てくる。

 

「久しぶり♡お兄さん♡」

「そんなハートマークはいらん」

 

燕結芽(つばくろゆめ)、それが彼女の名前だった。

 

「お兄ちゃん、あの子と知り合いなの?」

「可奈美、なんでそんなに声が怖いの?」

 

可奈美の声が低くなったのはなぜか知らないけど俺は淡々と結芽との関係を話す。

 

「旅の途中に出会っただけの関係だ」

「んふふふ♡あんなことはこんなことしたくせに、お兄さんのいけず♡」

「よーし、その口切り落としてやる」

 

だが、結芽の元にまで行けず俺は次の行動をする。

 

「時雨蒼燕流守式七の型 紫吹き雨」

 

刀を両手で握りしめ、円を描くように刀を振り抜く。すると、可奈美たちを襲おうとしていたものたちを牽制することができた。

 

「チッ…」

「油断も隙もありませんわ」

「こんなことで取られたら、なんのために俺が出張って来たかわからんだろ」

 

可奈美を襲ったのは二人、親衛隊の獅童真希と此花寿々花だった。その奥に目をやると、親衛隊最後の一人、皐月夜見が折神紫を解放していた。

 

「全員お揃いってか…」

 

表面上は余裕を崩さず、握る刀に力を込める。さてと、どうするかな。頭の中で何通かのプランを試し…よしこれにしよう。

 

「可奈美、まだ元気か?」

「…!うん‼︎」

 

相変わらずいい返事だよ。ニカッと笑うと、それが気にくわないなったのか、獅童と此花が牙を立てる。

 

「何をニヤニヤしている…‼︎」

「俺の性分でな、気に障ったのなら悪いな。ま、謝る気は無いけど」

「その減らず口閉じさせてもらいますわ‼︎」

「可奈美もう一回俺が気をひくから、その間に逃げれるな?」

「…もう一回会えるよね?」

「あまり前だろ。俺が可奈美との約束破ったことあるか?」

「ない!」

「じゃあそんな感じで、な」

 

可奈美は女の子に…っていうかこの子十条姫和ちゃんじゃん、どうりで見覚えがあるわけだよ、姫和ちゃんに逃げ出すタイミングを指示している。

 

「逃げれるとでも?」

「逃がしませんわ」

「早く遊ぼう♡」

「一人目的履き違えてないか?」

 

俺のツッコミなんて聞く気なんてなく、親衛隊は俺たち目掛け強襲する。だけどそんなことはさせない。

 

「飛天御剣流土竜閃」

 

ゴン

 

技名とともに俺は、地面に向かって刀を打ち付ける。打ち付けられた地面は、そのまま石となり親衛隊を襲う。

 

「グッ…」

「なんですの…⁉︎」

「あはは♡」

 

親衛隊たちはその場に足を止め、岩を刀で切り伏せる。だけどそこには確かに空きが見えるぞ。

 

「可奈美‼︎行け‼︎」

「うん‼︎行こう、姫和ちゃん‼︎」

「っ…‼︎この恩はいずれ返します‼︎」

 

俺の合図で可奈美止め姫和ちゃんはこの場から離脱した。残るのは俺と親衛隊四人そして、各校の大勢の刀使だった。

 

「貴様…自分が何をしでかしたのか分かってるのか⁉︎」

「妹、その友達、逃す」

「何を片言で言っておりますの⁉︎」

「報告は電報かなと思うて」

「やっぱり面白いね‼︎お兄さん♡」

「結芽が一番めんどくさい」

 

はあっとため息をつくと、結芽が襲いかかってくる。

 

「さあ、やろうよ♡お兄さん‼︎」

「仕方ないから少し遊んでやるよ。かかって来いや」

「やったぁぁぁぁ‼︎」

 

キィィィィィィン‼︎

 

刹那、会場に甲高い金属の音が鳴り響く。

 

「お、少しは腕を上げたな。頑張ってるなー」

「こんなもんじゃないよ‼︎もっともっともっともっともっともっともっともっとぉぉ‼︎」

 

結芽のラッシュを俺は静かにそして冷静に対処する。いや、本当に強くなったなー。こりゃ可奈美も勝てんわ。…ま、だからと言って俺に勝てるわけじゃないけど。

何度かの切り結びを終えて、俺と結芽はお互いに離れた。周りを見る限り、俺と結芽の斬り合いを見てレベルが違うと感じたのか指をくわえて見てる。

 

「いやーまいったなー全く」

「棒読みで言うかなー、まだまだお兄さんには届かないなぁ」

「結芽も目が全然死んでないじゃん]

「楽しいからねー♡さあ、もっと遊ぼう♡」

「だが断る」

 

俺は瞬時に納刀し、結芽を迎えるため構える。この構えは俺が最も得意としてる構え、抜刀術だ。

 

「その構え…‼︎」

「来いよ結芽、お前の最強でぶつかって来い」

 

しんと会場が静かになる。流石は刀使、頭では分からなくても体でわかるらしいな。

だけど、結芽だけは最高の笑顔で身を震わせる。

 

「……やった」

「………」

 

結芽が何か言うが、俺は目を閉じ集中する。

 

「やったやったやったやったやったやった‼︎お兄さん、もう一回それを見せてくれるんだね‼︎」

 

目は閉じているが気配で分かる。

…⁉︎こりゃあ、へえ‼︎一度集中を解いて目を開けると、そこには想像した通りの構えをした結芽がいた。

 

「その構え…どこで覚えた?」

 

結芽の構えは左手を前に出し、右手で刀を握り引き絞っていた。

 

「お兄さんを倒そうと思ったら、これに行き着いたの♡」

「いいね。たまんねえよ」

 

一度口角を上げ、俺は再び集中に入る。結芽も今までの笑みをなくし、構えに集中する。

 

「牙突」

 

そして結芽は消える。いや、消えてはいないが写シを張った刀使の極限のスピードは目視では困難なほど速度を上げていた。

だけど、俺も負けるわけにはいかない。カッと目を開き、結芽の刀めがけて抜刀する。…速度は重さ、いかに結芽が刀使であろうと直線の攻撃を横からの攻撃それも重さが十分なものには対応できなかった。

 

キィィィィィィン‼︎‼︎

 

音が弾け、結芽はその結果に驚く。だけどな結芽、俺にはもう一撃残ってるぞ。

 

「飛天御剣流双龍閃」

「ゴハッ……」

 

俺のもう一撃は鞘だよ、結芽。

飛天御剣流の抜刀術は隙のない二段構え、記憶したか?

 

会場が結芽の敗北を信じられないが、俺は知ったこっちゃない。

 

 

 

 

「これ挨拶だからな。次こそその首もらうからな、大荒魂」

 

 

 

 

 

 

そう告げて俺は会場を後にした。

 

 

 

 

 




ー鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)ー
【登場作品】
家庭教師ヒットマンリボーン
【使用者】
スペルビ・スクアーロ
【詳細】
刀を打ち付け、その衝撃で相手の腕を麻痺させる。その衝撃は原作曰く、腕を金属バットで殴られるようらしい。

ー飛天御剣流土竜閃ー
【登場作品】
るろうに剣心
【使用者】
緋村剣心
【詳細】
刀を地面に叩きつけ、岩や石を吹き飛ばす。刀というリーチが定まった飛天御剣流における数少ない遠距離技。

ー牙突ー
【登場作品】
るろうに剣心
【使用者】
斎藤一
【詳細】
突き技の極限を極めた剣技。本家はその速度から回避も難しいが、今作では結芽の熟練度と剣の剣技に敗北した。

ー飛天御剣流双龍閃ー
【登場作品】
るろうに剣心
【使用者】
緋村剣心
【詳細】
人斬り抜刀斎の由来ともなった抜刀術のうちの一つ。作中の剣の言う通り、飛天御剣流の抜刀術は隙の生じぬ二段構えの原型ともなっている剣技。

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