女主人公のカントー制覇旅   作:ムイコ

3 / 10
第2話  トキワの森

 

マサラタウンより少し発展しているが、のどかな田舎町のトキワシティ。

何回か訪れた事があるのでここの地理は結構知っている。

忘れられがちだが、トキワシティにはジムがある。

一応、様子だけでも見るかとジムに寄ってみたのだが……

 

「いつ来てもこのポケモンジムは閉まっとる。いったいどんな奴がリーダーをしとるんじゃろか?」

 

掃除のおじさんが一人だけいた。やはりそうだろうなと肩を落とす。

ジムリーダーがいなくては挑戦も何もできない。

 

ポケモンジムは基本的に8つあり、それぞれのジムによって使用されるタイプが決まっている。

そこのジムリーダーを倒し、ジムバッジを手に入れ全て集めることがポケモンリーグの四天王と対戦することの条件である。

 

四天王に勝つと今度はチャンピオンと対戦するのだが、現在そのチャンピオンの座は不在だ。

チャンピオンになることを目指すトレーナーにとってジムリーダーに勝つことは必須であり、またバッチを持っているトレーナーほど色々優遇されたりする。

ポケモンリーグに挑戦するかはまだ決めていないが、バッチを集めることは損ではないだろう。

 

ニビジムのタケシ、ハナダシティのカスミ、クチバシティのマチス、タマムシシティのエリカ、ヤマブキシティのナツメ、セキチクシティのキョウ、グレンジムの禿げた人。

7人のジムリーダーはカントー中で芸能人並に有名であるのに、トキワのジムリーダーは使用ポケモンのタイプどころか名前すら不明である。

 

トキワのジムリーダーはボイコットすることに命を懸けているのだろうか?

 

ポケモンリーグも何か対処しろよと思うが、そこは大人の事情があるのだろう。

そもそも、チャンピオンが不在なのも絶対ここのジムリーダーのせいだ。

ジムリーダー無しでどうやってバッジを手に入れるんだ。

顔も知らないジムリーダーに心の中で悪態をつくと私はトキワジムを後にした。

 

 

 

* * * *

 

 

 

トキワジムに行けないのはしょうがない。

取りあえず、トキワの森を抜けてニビシティに行くか。

歩けるところまで歩いて今日はトキワの森で野宿。

もしかしたら、日が暮れるまでにニビシティに着くかもしれないし。

 

フレンドリィショップでキズくすりとどくけし、モンスターボールを買っておく。

 

 

早くてもジムへの挑戦は明日以降にしよう。

タケシはいわタイプの使い手。

それまでにヒトカゲを訓練しなければ……あれ?

 

 

 

ほのおタイプっていわタイプに弱くなかったっけ?

 

 

 

嫌な汗が大量に出てくる。

ボールの中からヒトカゲが怯えている。

……どうして、気付かなかったんだろう。

このままでは完全に詰む。

バッジを一つも手に入れることなく、私の旅は終わってしまう!!

 

 

 

* * * *

 

 

 

そう簡単に対策など思いつく筈はない。

トキワの森にくさタイプのポケモンがいるかもしれない。

そう思って森に入ったが、見事にむしタイプしかいなかった。

ピカチュウもいたのだが、でんきタイプではいわタイプに対抗できない。

 

そもそも、ピカチュウは捕まえる気が起きない。

実家でお母さんがピカチュウを飼っているが、気性がかなり荒い。

その可愛らしいビジュアルでピカチュウ愛好家は多いが、小さい時から散々な目に遭わされていた私にとってはピカチュウは苦手なポケモンだ。

レベルの高いポケモンは実力のないトレーナーのいう事を聞かない。

いつかバッジを全部集めていう事を聞かせてやるという野望も私が旅に出る理由の一つである。

 

 

……少し、話が逸れた。

とにかく、私はいわタイプ対策を思いつかないままトキワの森で夜を迎えた。

キャタピーやビートルを倒している間に覚えた新技『ひのこ』でヒトカゲが拾い集めた薪に火をつけ、マシュマロを焼く。

 

「カゲー」

 

褒めて、褒めてと言いたげにヒトカゲが自慢げに私を見る。

……うん、やっぱりヒトカゲ選んでよかった。

 

ヒトカゲを膝に置き、撫でてやる。

焼いたマシュマロを一つやると、嬉しいのか尻尾の炎がゆらゆらと揺れる。

取りあえず、明日の朝にニビシティに行こう。

いわタイプ対策はジムを見てからでも遅くは無いだろう。

 

そうと決まったら今日は早めに寝よう。

パリパリの保存食を齧り、ゴミをビニール袋にまとめる。

使った場所にゴミを残さない。

これぞレジャーの基本である。

 

 

そして、ヒトカゲを寝かそうとボールに手をかけた途端。

 

「カゲッ!!」

 

突然、ヒトカゲは膝から飛び降りると森の中へと駆けて行った。

……あれ、脱走じゃないよね?

何かを感じ取ったのだろうか。

 

呆然としていると生ぬるい風がぶるりと身を震わせた。

……このまま一人で森の中にいるのも不安なのでヒトカゲを追いかけることにした。

 

 

 

* * * *

 

 

暗い森の中をぽつんと火が灯るヒトカゲの尻尾がちょこまかと動く。

速い――療養開けの身にこの森を走るのは辛い。

しかし、ここでヒトカゲを見失えば冗談無しで遭難である。

脇腹が痛くなるのに耐えながら私はでこぼこした道なき道を走っていく。

 

そして、もう限界だと心中で4回目のギブアップをしかけた時、木々のない、開けた場所にたどり着いた。

 

「……カゲ」

 

ヒトカゲが声を潜め、とある場所を指差す。

そこには巨大なスピアーが3匹いた。

何かを取り囲んでいるようだ。

ヒトカゲに尻尾の灯りを頼りに目を凝らすとそこには一匹の小さなキャタピーが触角を出して威嚇をしていた。

 

キャタピーは敵に襲われると強烈な臭いのする触角を出して威嚇すると図鑑に書いていた。

もしかして、ヒトカゲはその匂いを感知してここまで来たのかもしれない。

私の指示を待っているのか、ヒトカゲは私をチラチラと見ている。

 

ヒトカゲのレベルアップのために数々のむしポケモン達を倒してきた私があのキャタピーを助けるのはエゴなのかもしれない。

だが、わざわざ襲われている所を見なかったとこにするのも寝覚めが悪い。

 

 

 

――『ひのこ』で焼いてしまえ!!

 

 

 

「カゲー!!!!」

 

指示を出すと同時にヒトカゲの口から大量の炎が噴射される。

……これはひのこの威力じゃないような気がする。

そして、キャタピーを燃やしていないか些かどころかかなり不安なのだが。

 

 

取りあえず、ひのこをヒトカゲに止めさせると黒焦げになったスピアーが地面に落ちる。

キャタピーは取りあえず無事なようだ。

思わずため息を吐くと、図鑑が電子音を鳴らした。

 

どうやら今の不意打ちというか戦闘でヒトカゲのレベルが上がったようだ。

……このスピアー達。どうやらかなり高レベルだったようだ。

図鑑のバグかと思うくらいにレベルが一気に上がっている。

夕方位にひのこを覚えたヒトカゲがメタルクローまで覚えてしまった。

 

 

「キュピー」

 

キャタピーが触角を引っ込めて嬉しそうに鳴いた。

お礼を言っている……かもしれない。

 

 

やはり、見捨てずに助けて良かった。

 

 

キャタピーとヒトカゲの頭を撫でてそう実感した瞬間。

 

 

 

 

――雲一つない満月の空を何かが覆い隠した。

 

 

 

 




技はFRLGの第三世代基準で行きます。
次は初のジム戦です。
タケシはゲーム版だと違和感感じますね。

チャンピオンロードのライバルを無視してしまいましたね。
あと、マンキーの存在忘れていました。
初代緑だと出ないですし……LGではどうなっているのでしょう?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。