今日も無事に仕事が終わり、荷物を持って学校から出て家に向けて帰っていると向かいの道からサイズがぴったりの服を着た女性が歩いてきている……あれはルコアさんだろうか。そういやこの前の時も服があんな感じだったような
「おや、美隆君じゃないか。こんなところで会うなんて奇遇だね」
「こんばんはルコアさん、今回は何しにこっちへ?」
「トール君の様子を見に来たのとこの間の話の続きでもしようかなと思ってね」
「……そうですか、せっかくですから歩きながら話しましょう」
そう言って横に並んで歩きだす
「この前も話しましたが、俺は魔力を持った人間です。でもそれだけじゃそちらの世界では特に珍しくもありません」
「そうだね、こっちでは珍しいけど僕たちにはこれといって珍しくもなんともない。だけど君には僕でも見たことない変わったことがある」
「……わかってはいると思いますが、俺はこの人生が初めてというわけではありません」
「人間には稀に前世の記憶を持っていたり、生まれ変わって二度目の生を送っている人もいる……けどね美隆くん」
「君みたいに記憶と経験を持ちながら、何度も生まれ変わるということはあり得ないんだよ」
ルコアさんが目を見開き、真剣な表情でそう言う
「だけどいるんですよ、ここに例外が」
「人間が大好きな天使からもらった
淡々と自分のことについて話していく
「よく君は心が壊れなかったね」
「……支えてくれる仲間が少なからずともいたから、かな」
「そのおかげで今の自分があるといってもいいぐらいだ……本当に感謝してる」
「綺麗な話で終わるわけでもないんだろう、人間の汚い部分も沢山見る機会はあったと思うけど?」
「……えぇ、それは沢山見ましたよ。嫌という程ね」
ある時は信じてた仲間に裏切られたり、ある時は人身売買や奴隷等、酷い目にあってきた
「それでも君は、人間を嫌わずに普通に接してるね。どうしてだい?」
ルコアさんが不思議そうな目でこちらを見てくる。
「それは……やっぱり支えてくれたり、大切な人たちがいたから、ですかね」
「こんな俺でも、一緒にいてくれた人や好きになってくれた人がいたから……今もこうしていられるんだと思います」
「ふーん、じゃあいろんな人に感謝していかないとね」
「……はいっ」
「ふふ、さてそろそろ帰らないとトール君も心配してるんじゃないかな?」
ルコアさんに言われて周りを見ると、もう辺りは真っ暗だった。
「あっ……もうこんな時間……せっかくだしルコアさんも来ます?」
「じゃあご厚意に甘えてお邪魔させてもらおうかな」
俺たちは家に向けて歩いていくのだった。ただ、家に帰ったらトールから浮気かと疑われて説明するのに少し時間がかかってしまったけど、こういう平和な日常は悪くないよなあ