学校で校長先生や理事長に説明するとあっさりとカンナの転入が認められた。
色々資料にサインしてから提出すると、カンナのクラスは俺が担当をしている2組に決定された。なんでもその方がカンナも気楽に過ごせるとか
あっさり決まったのは良いのだが、戸籍が美隆カンナという名前にしてあったので先生方から揶揄われた。その度に俺は否定するも何故だか温かい目で見られる。
挙句の果てにはカンナから
「シュンスケ……父?」
等と言ったため余計に職員室が騒がしくなった。
俺は何とか職員室から抜け出し、自分のクラスへと向かう
「はぁ……」
朝からこんなに疲れるなんて……早く教室に言ってカンナを紹介したら一休みしたい。
そんなことを思いながら歩いていると、3年2組と書かれた教室へと到着する
「ここがカンナちゃんのクラスだよ、そして先生は俺ね」
俺がそう言うとカンナは「おー」と目をキラキラさせながら教室に入るのを楽しみにしている
「じゃあ入るから後ろから付いてきてね」
そうして教室に入ると生徒達からおはようございます、といった挨拶の声で溢れる。
「さて、みんなにお知らせだ。今日から新しい友達が増えます」
「美隆カンナです……よろしくお願いします」
カンナの自己紹介が終わってからチョークを持って黒板にここで作った名前を書く。
「かわいいー」
「どこから来たの?」
「ウシシル島」
「外国!? すげーっ!」
教室が子供たちの声で賑やかになる。やっぱり転入生となったら色々と知りたいよな。
それにしてもカンナ、ウシシル島って……小学生だから知ることはないだろうけどだいぶやばい海域の場所にある島だから住めるのか……? 伝承のカンナカムイ的には居住地で間違いないんだけども
そうして朝の会は終わり、授業が始まる。
カンナに問題を当ててみるも、やはり小学生の問題は簡単すぎるのか止まることなく余裕で答えを書いていく。
俺が正解だと言うと他の生徒はすごいやらカンナさんって頭いいんだねといった言葉が聞こえてくる。
そして体育の授業では、ドッチボールで男子と女子のチームで分けていたのだが、次々と男子が女子チームにボールを当てて外野に出していく中でカンナがボールを受け止めるとボールを男子に(ドラゴンとしては)軽く投げてどんどん外野へ出していく。
そして数分後、男子チームの内野に誰もいなくなったので女子チームの勝ちになる。
「カンナさんすごーい」
「カンナさんはなんでもできるんだね!」
カンナはちゃんと馴染めてるな、よかった。でも結構目立っているからそれを良しとしない人が出てこなければいいけど……
そんなことを思いながら午前中の授業が終わり、給食の時間になる。
カンナは転入したばかりなので給食当番は来週にしてあるし、どこから持って行ってどのくらい入れるかを教えないとな
みんなの元に給食が行き届いた後、みんなで手を合わせてから感謝の意を込めていただきますと言ってみんな食べていく。
給食って大人になると子供の時より楽しみだよな……理由はよく分からないけど
そして給食を食べ終わり、みんなでご馳走様と言ってから食器を片付ける。
カンナを見ると、みんなと上手く馴染めているのを見て安心して職員室に戻る
戻ると、他の先生方が顔をにやけさせながら朝のことを説明してよとなので
外国にいた従兄弟の子供を預かっていて、学校に通わせる為に連れてきた。
こんな感じでとりあえず嘘を混ぜつつ説明する。すると納得したのかカンナについては聞かれることはなくなった
一息つきながら残りの時間を過ごしていく。外を見るとトールが見回りの先生に追われているのを見かける
ホントに来てたのか……でも何やってるんだ。
そんなことを思いながら昼休み終了のチャイムが鳴ったので教室へ戻っていく。
午後の授業も何事もなく終わっていったのだが……何故か一人の生徒がカンナにベッタリだった。何があったんだろうか……?
学校が終わって生徒達が帰った後、次の授業で必要なプリントや書類を作って纏める。
そして定時になったのでお先に失礼しますと声を掛けてから学校を出る
「お疲れ様です、俊介さんっ」
校門の前で待っていてくれたのかトールが俺に声を掛ける
「待っててくれたのか……ありがとうトール」
「いえいえ、これもメイドとしての仕事なので!」
そう言ってトールは認識阻害を掛けてから元のドラゴンの姿に戻ると俺はその背中に乗って家へと帰る
「相変わらず早いよな……」
「えぇ、ドラゴンは速さでも負けませんから!」
そう言って胸を貼って自信満々にするトール
家に入るとカンナが入口の方まで走ってきて
「シュンスケおかえりー」
と出迎えてくれる。
「あぁ、ただいま」
そうしてトールが作ってくれた晩御飯をみんなで食べてからカンナに学校は楽しかったか聞くと
「うん、たのしかった」
「それはよかった……あ、これ入学祝いね」
バッグから最近人気のマスコットキャラ、ペーリアくん(モチーフは知らないけど形はうさぎっぽい)のキーホルダーをカンナに差し出す
「……ありがとうっ」
嬉しそうにキーホルダーを握りしめるカンナ
「俊介さん私のはーっ!?」
それを見てトールは自分の分はないのかと催促する
「あー……そうだな、こっち来て」
手招きでトールをこちらに来るようにお願いする
「なんでしょう!?」
トールは期待したような目でこちらに寄ってくる
「……いつもお疲れ様、ありがとうね」
トールの頭に手を置いて優しく撫でる。
やばい、これ凄く恥ずかしい……顔が熱くなってる気がする。
トールも驚いた顔をしつつもピクリとも動かずに撫でられている
「は、はいっ おしまい!」
撫でるのをやめ手を離そうとすると、トールが俺の腕を掴んで
「……まだ、やめないでください」
上目遣いでトールがお願いしてくる。ぐっ……でも恥ずかしいし……
「ダメですか……?」
「これでやらなかったら俺の方が悪いみたいじゃないか……しょうがない、もう少しだけだぞ」
「ありがとうございますっ」
「シュンスケ、私も撫でてー」
トールがお礼を言うとカンナも撫でて欲しそうにこちらに寄ってくる
「ったく、しょうがないなぁ」
そう言って俺は2人の頭を数分ぐらい撫で続けたのだった。