「確かこんな感じで……あっ」
「テレビだとこう……あれ?」
なにやらリビングの方から賑やかな声が聞こえてくる。
何をやっているんだろうか……気になったから少し覗いてみるか
そう思いながらリビングのほうへ向かうと
「恐らくこう!……うーん違いますね」
唸りながら家にあったスプーンを力任せに曲げるトールとカンナ
「あーあ……何やってんの二人とも」
「シュンスケ、あれ!」
「あー……なるほど」
カンナがテレビのほうを指さすと○○先生の超能力特集といった番組が映っていた。
「超能力……珍しいの?」
「超能力!? 人間には隠された力があるんですか!?」
トールが驚きながらそう言うと1人でぶつぶつと独り言を言いながら考え出す。
絶対何か勘違いしてそうだよな……本当はただのトリックなのに。
いやまあ、探せば本物はいるかもしれないけどテレビのは絶対違うと思う。
「スプーン曲げなら……ほら」
スプーンを1つ手に取り、力を入れずにぐにゃりと曲げる
「えぇっ!? まさかシュンスケさんも超能力を!?」
「シュンスケ、すごい!」
それを見たトールとカンナが驚きながらも曲げたスプーンをまじまじと見ている。
「いや……これはただのマジックで……」
「下等生物である人間が使えるのにドラゴンである私たちが使えないなんて許せません! 行きますよカンナ!」
「おー」
俺が事実を話そうとするもトール達は話を聞かずに外へ出て行ってしまった。修行でもするつもりなのだろうか?
「それにしても……久しぶりに一人だな」
しんとした部屋を見渡しながらポツリと呟く。
「それにしてもトール達がこの世界にやってきたということはいずれ他のやつらも……」
もしこの世界にドラゴンたちがやってきて戦争になったら一瞬で人間はやられるだろう。騎士団の奴らが大勢でやっと倒せるかぐらいのをこの世界の勢力で倒せるわけがない。
正直ブレスと魔法で終わりな気がする。そう思うと騎士たちってやばすぎではと思う。
「正直もしものことを今考えても仕方ないが、やっぱり俺は平和に過ごすことができないんだな」
諦めに近い言葉を吐くと身に付けているペンダントを触る。
こいつもいざというときのために使うんだから鍛錬しなきゃな。こいつのおかげであまり魔力量を気にしないで戦えるかもしれないし。
「……最悪の展開を考えるのはよそう」
思考を振り払うように頭を振るわせて、俺はトール達の帰りを待つのだった。
尚、帰ってきたトール達にネタバレしても結局のところ完全には理解してもらえなかった。