「人間っていうのは老廃物で服が汚れるんですねぇ……ふふ、劣等種」
トールがそう言って俺のワイシャツをシワが付かないように伸ばしている。……悪かったな劣等種で
「……俊介さんの老廃物、」
すると、俺のワイシャツを舌でペロリと舐める。あいつ俺のワイシャツ舐めやがった!?
「うーん、残ってないなあ……」
トールが残念そうな顔をする。
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「なあ、トール」
「なんですか、俊介さん?」
「家事をしてくれるのはとても助かるが、でも……」
「直接舐めた方がよいと? どこを?」
「そうだなぁ……首とか? って違うわ!!」
思わずノリツッコミをしてしまう。おっといかんいかん 、
「まあトールの性癖の話は置いておくとして……問題は洗濯の仕方だ」
俺がそう言うとトールは驚くような顔をして、
「ど、何処が間違っていましたか!? 間違っているのは脆弱でありながらドラゴンに戦いを挑む人間の生き方そのものではないでしょうか!?」
「過去の体験を絡めないでくれ」
「では何処が……っ!」
「じゃあ手順を追って考えてみようか」
トールが洗濯の手順を考える。
「まずポケットの中を透視能力で確認しました」
うん、まだ普通だな。俺も魔法を使って確認するし。
「色物は分けて洗い、洗剤も種類を変えて洗いました」
うんうん、普通だな。
「あとは……傷みやすい生地は口洗いで、」
「おいィィィィィ!!?」
なんだ口洗いって! どういうことだよ!
「汚れのみを溶かす唾液が出せるんですよー」
「汚いわ! ビジュアルどうにかしてくれ!!」
つまり、俺は今までトールの唾液が付いた服を着て学校にいってたわけか……
「このままでということですか?」
「それはいけない!! 18指定になってしまう!」
「私はいいんですよー?」
まずい、このままでは本当に18指定になる!
「あっそういやさ!トールっていつも同じ服着てるよね?」
俺は話題を逸らそうとする。
「まぁ鱗ですし」
「鱗なのか……」
ドラゴンの鱗って確かに騎士団でも防具とかに使ってたがそういう使い方も出来るのか……
「……まあ、とりあえず私服は持ってて損はないでしょ」
俺は服が入った紙袋をトールに差し出す。トールは服を取り出す。ピンク色のブラウスに水色のミニスカである。
「おおー」
「日頃のお礼だと思ってくれ」
「だ、大丈夫ですか? あとで生け贄とか欲しくありません? あ、トールの生き血啜ります?」
「俺は悪魔か何かか?」
俺がそう言うと、トールが首横に振りながら
「とんでもない! 俊介さんは天使ですよ! でも
「誰があんな奴に仕えるもんか、とりあえず着てみてくれ」
俺がそう言うとトールが着替え始める。俺の目の前で着替えるのは止めて欲しいな……そしてトールが着替え終わる。
「どう?、サイズとか大丈夫?」
「大丈夫ですけど、なんで私のサイズを知ってるんですか?」
「すまん……寝てる間に身体測定をしたからな」
俺がそう言うとトールが「えっ!?」と言いながら「何故その時に私は起きれなかったんだ……!」と言っていた。あぁ……怒りはしないのね。
「この服、大事にします!」
そう言ってくれると嬉しいな。おっともうこんな時間か
「それじゃあ、今日は歩いて仕事に行くから、トールは衛生観念で調べておきな」
「そんなっ!? 私には飽きたっていうんですか!」
「そんなことはないさ、トールは俺の為に衛生観念について調べてくれ、出来るよな?」
「はい、お任せ下さい!」
俺がそう言うと、トールが胸に手を当て自信満々に言い切る。ちょろい……
そう言って俺は扉を開け、外に出る
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「……うーん、イマイチよくわかりませんねぇ……」
パソコンとやらで調べているが、よくわからない。あっそうだ!
「ファフニールさんに聞……『コロ……「やめておこう」
そう言って電話を切る。うーんどうしましょうか……
「物知りのケツァルコアトルさんに聞いてみよう……もしもしエヘカトル?」
『トールお嬢ちゃん? 久しぶりだね』
「ええ、はい実はかくかくしかじか」
『ふーん、それは綺麗汚いの問題じゃないね……そういえばニーズヘッグ君っていたよね?』
「あぁ……あの年中木の根っこかじってる……」
『世界樹ね』
そう訂正されてしまう。間違ってはないと思うけどなぁ。
『ニーズヘッグ君の毒の牙でいくら汚染しても女神達に浄化されるから木は清潔なわけだけど』
「……でも何か残ってる気がする……呪いとか」
『うん、そうだよね。君のいう俊介君もそれを気にしたんだよ』
なるほど、やっぱりケツァルコアトルさんは物知りだなぁ……
「ありがとうございます、ではこれで……」
『トール君』
そう言って電話を切ろうとすると、ケツァルコアトルさんがこう言ってきた。
『人との生活は楽しいかい?』
「えぇ……とても」
「曇って洗濯物が乾かないじゃないですか……よーし!」
ドラゴンの姿に変身して、ブレスを何発か発射する。すると雲が一瞬で蒸発し、青空が見える。
「これでよし!」
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「先生、外が急に晴れたよー!!」
「おぉ、そうだな……」
トールの奴、ドラゴンブレスを撃ちやがったな……もうちょっと自然にやれなかったか?……まあいいか。
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「よーし、乾いた!」
そう言って干していた服を取る。
「……匂いならいいよね♡」
私はできる限り、俊介さんの匂いを嗅いだ。
後々、またお話することになるのは別の話だったり……