Roselia Fantasy Online 作:ゆるポメラ
「…貴女のお望み通り、
「…うむ。実に満足しているぞ」
彼女は我と同じ物語の書き手。
物語の書き手の経歴としては、彼女の方が先輩なので、我が彼女を敬わなければならないのだが、彼女に対等に接して欲しいと言われ、今もこうして砕けた口調で我も話している。
最初はかなり戸惑ったが……
「それにしても急にファンタジー関連の物語を読んでみたいと聞いた時は驚いたぞ」
「迷惑だったか?」
「いや。寧ろ逆だ。この物語を読みたいと言うやつは、我が覚えてる限り、数人もいないからな」
「…ほう、意外だな。ファンタジー関連の物語は人気があると私は思っていたが……」
それは我も思った事。
結局のところ、人の子が読むジャンルは千差万別なのだ。
これは趣味にも言える事だがな……
「ところで、NFOと呼ばれる娯楽は面白いのか?」
「我にとってNFOは居場所の1つであり、貴女が言ったように楽しめる娯楽だ。興味があるのか……?」
「うむ。そなたに読ませてもらったこの物語を読んでみて余計にな♪」
退屈に1分1秒に耐えられない"尊厳なる観劇と戯曲と傍観の魔女"である彼女が、NFOに興味を持つのは珍しい。
…ふむ。そういえば、何かに興味を持つ事自体が奇跡だと以前、彼女の巫女が言っていたな……
「なら試しにやってみるか? 我も魔女になってからは、やってなかったからな……」
「そうなのか? ざっと、どの位やってないのだ?」
「あれから何百年だからな……覚えてない。少なくともログインボーナスは貰いに行ってたがな……」
偶にはクエストを受けるのも悪くはない。
そう思いつつ、NFOを起動させる準備をする。
我が持ってるのは旧式タイプなので、準備も比較的に楽だ。
「ところで……オンラインゲームは初めてか?」
「うむ。何もかもが初めてだ。私が知っているのは、配管工の兄弟が活躍するゲームくらいだな」
「貴女の時代だと、それくらいになるのか……」
我と同じ魔女……
正確には"造物主階層"の魔女でも時代が時代ならば、娯楽の進化にも影響が出るのが不思議なところだ……
「…操作方法は大丈夫か?」
「先程、読ませてもらった物語に操作方法も書いてあったからな。初心者の私でも一通りは出来るぞ?」
「その自信は何処から来るんだか……」
NFOの基本的な操作等は、一昔前に燐子に訊いて我が纏めただけだがな……
職業の特徴等もそうだ。
そう考えた時、我の領域に来客がやって来た。
見知った顔だったので、招き入れる。
「いらっしゃい。入るといい……」
「ええ。お邪魔するわ……って、なんであんたがここにいんのよ、フェザリーヌ・アウアウローラ」
「…猫よ。アウグストゥス・アウローラと何度も言っておろう」
この2人のやり取りは挨拶みたいなものだ。
我は何度も見慣れたものだ……
初めて直で見たのは、5月31日だがな……
「メルは今日いないのかしら?」
「すまぬな。メルは今、我がお使いを頼んでいてな……今は不在だ」
「そう……残念ね」
「だが、あと少しすれば帰ってくる筈だ。良ければ座って待つのはどうだろうか?」
「ならお言葉に甘えさせてもらうわ」
そう言うと彼女……ベルンことベルンカステルは空いてる席に座った。
彼女も我と同じ魔女で、"奇跡の魔女"と呼ばれている……
「それで? アウアウは何をしてる訳?」
「あぁ。我が書いたファンタジー関連の物語を読んだ後に、NFOというオンラインゲームを実際にやってみたいと言い出してな……」
「あのアウアウが? 珍しくない……?」
「ベルンがその反応をするのも無理もない。我も驚いたがな……」
今も熱心にNFOをプレイ中のフェザリーヌ。
職業は……タンクか。
紗夜がモンスターやボスを前にすると盾を構えてたのが今でも懐かしい……
「私も読んでみていい?」
「構わぬぞ?」
我がそう言うとベルンはフェザリーヌが読んだ先程の物語を読み始めた。
そして一通り、読み終わると……
「ねぇ。この物語って続編とかあるの?」
「続編か? まぁ…あるにはあるが……」
「読ませてもらってもいいかしら?」
「…ほう。その物語には続きがあるのか? なら私も読んでみたいぞ」
「アウアウ。あんたゲームはどうしたのよ」
「クエストを終えて、セーブをし終えたところだ。続きは後でというやつだ」
あの様子だと気に入ってくれたみたいだな。
それだけでも我としては喜ばしい事だがな……
「先に2人に先に言っておくが、この物語の続編は好みに分かれるぞ?」
「…ん。分かったわ。過度な期待はするなって事ね?」
「そう言われると私としては余計に見たくなるではないか♪」
過度な期待をされても我としても困るのだが……
さて。物語の盤面を開いて、初手配置を決めねばな……
あこは姉とお出かけ。
紗夜は空き時間を利用してギターの練習中。
リサが屋上で友人と昼食中。
友希那は野良猫と遊んでるって事にしておこう。
そして燐子は……アレをRoseliaのみんなに内緒でやってる事にしておくか。
「…我が名において、物語の開始を宣言する」