心月流抜刀術を継ぐ者が行くIS   作:一刀斎

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第11話 どうやって守る

 

 

 ピットに戻り、翠鴉を待機状態にする。

 

 

 左の二の腕に黒い羽とエメラルドの装飾があるアームレットになっていた。

 

 

(これが翠鴉の待機状態で良いのか?)

 

 

〈その通りです。もう少し時間があれば、もっと凝った物に出来るのですが……〉

 

 

(大丈夫だ。これはこれで気に入ったよ)

 

 

 俺はあんまりアクセサリーとかは着けないから丁度良いかもな。

 

『邦枝、先程の試合は見事、と言っておこう。次の織斑との試合は直ぐに行けそうか?三十分は休憩をとるがどうする』

 

 スピーカーから織斑先生の声が聴こえてきた。

 

 さっきのオルコットとの試合は正直に言って、そこまで疲れていない。MK5(マジで空気読めない五人組)を相手するよりはいい。精神的に疲れるんだよなアイツら、出てきた瞬間に破岩菊一文字を叩き込んでしまうほどに……。

 

 

「休憩は無くて良いです。このままエネルギーの補給だけしてすぐに出ます」

 

 

『分かった。補給が終わり次第出てくれ……ああ、後試合が終わった後、一度ISを渡して貰う。確認をしなければいけないからな』

 

 

「あぁー、なんか仕事増やしてすんません……」

 

『全くだ』

 

 

 

 SEの補給が終わり翠鴉を纏ってアリーナに出る。

 

 

 灰色なISを纏っている織斑が既にいた。

 

「悪いな、補給に時間が掛かっちまった」

 

「おい、翡翠。さっきの試合はなんだよ……」

 

 また名前呼びかよ……。反省するつもりも直す気無いなこいつは。

 なんだよって言われてもねぇ……。

 アクシデントはあったが、結果的にISの形態移行させる事が出来てオルコットを倒す事が出来た試合だったと思うのだが……。

 

 

「なんだって言われても意味が分からん。もうちょい詳しく言え」

 

「だから!無抵抗の相手を一方的に攻撃して彼処まで傷付ける必要性があったのかって訊いてるんだよ!」

 

 

 始めっからそう言えよ……。肝心な部分が一つも入ってないだろうに……。心を読めるエスパーじゃあないんだから省くな。それじゃあ、何も伝わらんと思うのだが……。

 

〈マスターの考えの通りかと〉

 

《ワタシも主さまにサンセー、言葉にする事で心を通わす事も出来るんですよー》

 

 焱姫の言葉に同意する。

 言葉にする事で俺は焱姫を受け入れる事が出来て暗黒武闘フルシンクロの悪魔になる代償がなくなる事が出来た。……悪魔にならなかったが制御出来ていない時に使った後、何故か女体化したんだっけな……。あれはキツかった。

 烈怒帝瑠のメンバーが俺を着せ替え人形にしようと押し掛けてきたからな……。

 サラシと特効服で葵ねぇとお揃いの恰好にされたっけ。あの時の葵ねぇが俺の胸見た時の何とも言えない表情が忘れられない……。

 

 

「俺からすれば闘っている最中に無抵抗になるのは、もうどーにでもしてくれって言う事だと思っている。後、試合を終わらせる為に攻撃しただけだろ?確かに俺の攻撃でボロボロにしたが、ISの試合じゃあよくある事だろ?」

 

「違う!痛めつけてボロボロにするなんて間違ってる!お前の考えは間違ってる、俺がその考えを正してやる!」

 

 外野がキャーキャー五月蝿い。口だけのイケメンの言葉がそんなにも良いのか?

 織斑先生に悪いが、コイツは歪んでるとしか思えない。

 自分の考えが正しいと疑わないのだろうな。でなきゃ、人の考えを間違っているって決めつけて、人の考えを正してやるって普通言うかな?

 分からん、コイツが何を考えているのか……。

 

 

 

 織斑の言葉に合わせたかのように試合開始のブザーが鳴る。

 

 

 

「うおおおぉぉー!」

 

 手に持っていた近接ブレードをまたしても上段に構えて真っ直ぐ突っ込んでくる。

 

 後ろに飛んで、壁際まで後退する。

 あんなにスピード出して急に止まれるのか?

 突っ込みながら降り下ろされる剣よりも速く動いて後ろに回り込む。

 

「ガァ!?く、くそ!避けるな!」

 

 やっぱり止まれずに壁にぶつかったな……。

 攻撃が来たら受け流すか、避けるのが基本だろ?鍔迫り合いなんてしたくねーよ、刀が刃毀れするだろ。

 

 攻撃を避けながら翠鴉の武装をチェックする。

 

(翠鴉、量子変換されてる武装って……)

 

〈イエス、打鉄の時に入っていたものを改造しました。木刀は強度だけ上げ、六本のブレードの内二本は腰の刀に、もう二本は鎖と統合して特殊格闘武装に、残った二本は、ブルー・ティアーズを参考にソードビットにしました。薙刀と日本刀を統合して斬馬刀にしてみました〉

 

 

(マジかよ!スゲーな翠鴉!)

 

〈エッヘン、です〉

 

 翠鴉とのやり取りを一旦終えて、斬馬刀『天魔』を呼び出す。

 

「こっからは俺も攻撃するぞ!ぶっ飛べ!心月流抜刀術壱式改!」

 

 俺の声に織斑が驚くが遅い。

 

 振り上げた天魔を勢いよく振り下ろし剣撃を飛ばす。

 

「破山菊一文字 追閃(ついのせん)!」

 

「ぐあっ!?」

 

 避ける事もできず、攻撃が当たり地面に落ちて砂煙りが舞う。

 通常の壱式よりも威力がある攻撃を正面から受けたんだ。大ダメージだろうな。

 

 

〈マスター、相手のIS「白式」の一次移行を確認しました〉

 

(……つまり? )

 

〈搭乗者織斑一夏に合わせた専用機にやっとなった、と言うことです〉

 

(さっきの俺の様な感じか……。なら武装が追加されている可能性があるな)

 

 

 砂煙りが止むと、灰色のISから白のISになった物を纏った織斑が立っている。

 

 

「俺は世界で最高の姉を持ったよ」

 

 手に持った近接ブレードを見て、織斑がそう言った。

 

「俺も、家族を守る。とりあえずは、千冬姉の名前を守るさ!」

 

 

 何を言っているんだ?家族を守る?その程度の力で?

 

 お前の強さはISありきの力だろ……。

 

 ……と言うかどうやって守るつもりだ?ISを使って守るつもりか?考えない頭と一般人程度の力で?石矢魔の弱い不良にすらやられそうなのにか?

 

「これで、お前に勝つ!そしてみんなを守る!」

 

 さっきよりも速い動きで近付いてくる。 

 この程度なら……。

 

「零落白夜ー!」

 

 

〈マスター!当たってはいけません!〉

 

 翠鴉の言葉を聞いて全力で避ける。

 

(おい、翠鴉。零落白夜って織斑先生のISが持つ能力じゃねーのかよ!?)

 

〈解りません。恐らく白式に備わった単一仕様能力だと思われます〉

 

 長引くと面倒だな。

 とっとと試合を終わらせよう。

 さっき武装を確認していた時に見つけた機構を使って決める。

 

(翠鴉!)

 

〈展開装甲、起動〉

 

 腕と足、主翼、副翼の装甲が開いて翡翠色の光りが出て輝いている。この状態だと、エネルギーを大量に消費するが、それに見合う速さが出せるらしい。

 

 持っていた天魔を上に投げる。

 織斑も釣られて上を見ている。

 ハイパーセンサーがあっても咄嗟の判断が素人に出来るわけがないだろう。

 

 黒蓮を構え、技を繰り出す。

 

 ─────伍式水無陽炎!

 

 螺旋状に飛ぶ斬撃に当たった織斑は、錐揉み回転しながら吹き飛ぶ。

 

「うわぁーー!?」

 

 落ちて来る天魔をキャッチした勢いで次を放つ。

 

 

 ─────壱式改破山菊一文字追閃!

 

 追撃でさらに吹っ飛び、壁際まで行った。

 

 次で終わらせる。

 

 天魔を仕舞って、黒蓮を構えて突っ込む。

 

 立とうとする織斑に重い一撃を。

 

 

 ─────弐式百華乱れ桜!

 

 

 降り下ろされた攻撃が当たり勝者と敗者を決めるブザーが鳴り響く。

 装甲が元に戻り、漆黒の姿になる。

 

 

「今のお前じゃあ何にも守れんよ。今でもその姉の名に守られてる限りはな……」

 

 

 倒れている織斑を放って、ピットに戻る。

 

 

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