心月流抜刀術を継ぐ者が行くIS   作:一刀斎

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第14話 さめる

 食堂の方で織斑のクラス代表就任記念パーティーをしている。

 

 

 俺?

 

 そんな面倒なの出るわけないだろ?

 

 現在、寮の屋上でヨーグルッチと苺大福を飲み食いしながら暗黒武闘の感覚を忘れない様にスリークォーターまで使い過ごしている。

 

 悪魔に成ることはないから頻繁に使っているが、便利なんだよな。

 スリークォーターまで行けば影に潜る事も出来るようになるしな。フルシンクロは細かい事がやりにくいから大抵はスリークォーターまでしか使わないが……。

 

 

「しっかし、屋上は人が来んくて良いなぁ。ちょうど良い静けさで星がよーく見える」

 

『そーですねー。家だと微妙でしたからねー』

 

〈こうして空を、星を観察するのは初めてです〉

 

 

「そりゃあ、アイスは格納庫に入っていて、夜はIS動かさんもんな」

 

 

 翠鴉と呼んでいたが、それは機体としての名前だからISコアとしての名前を付けた。

 単純に翠鴉をひっくり返しているだけだが……。

 

 けど、アイスは気に入ったみたいなのでそう呼ぶことにした。

 

 

「そーいやーよ、アイス?」

 

 

〈何でしょうか、マスター?〉

 

 

「織斑先生が言ってた、展開装甲ってどの国も開発してないって本当か?」

 

 

〈本当ですよ。生みの親である篠ノ之束が開発していたデータだけ抜き取って私が作り上げました。ちなみに翠鴉は、第四世代になります〉

 

 

 ………………ん?

 

 なんかスゴい事暴露したぞぉう。

 

 

「え?つまり、それって勝手にデータ盗んで勝手に作ったんかよ……大丈夫か、それ?」

 

 

〈大丈夫だと思いますよ?篠ノ之束は、自身が決めた身内以外は認識しないみたいなので〉

 

 

「性格破綻者か……。というか、なんでアイスがそういうの知ってんだよ」

 

 

〈ISのコアネットワークで調べました。近くに暮桜と白騎士が居りましたので意外と簡単に調べることが出来ましたよ〉

 

 

 あれれれー?

 

 またとてつもない爆弾投げたぞコイツ。

 

 

「おい、アイス。暮桜は百歩譲ってまぁ分かる。織斑先生の専用機だからな。だがよぉ、白騎士がなんで近くにいるんだ?アレは翠鴉と同じ全身装甲だし、持つ奴がいるわけ……」

 

 

 白騎士って十年くらい前の話だろ。

 篠ノ之束がずっと持っているならまだ分かる。いるであろう協力者が持っているのも分かる。

 

 いや、待て。

 なんでそのままである必要性があるんだ。

 分からない様に作り替えればいい話じゃねーか。

 

 

〈マスターの考え通りです〉

 

 

『どーいうことー?主さまー、ワタシ分からないですー』

 

 

「白騎士を、いや、白騎士に使われていたコアが別のISのコアになってこの学園の誰かがもってんのか!」

 

 

〈はい、ですが簡単なアナグラム、言葉遊びです。レベルの低い物だと個人的に思います〉

 

 

 レベルの低いものだと?

 白騎士のアナグラム、しろきし…しろしき?

 え、そういう事?

 あり得なくは無いか……専用機持ちは全体で見ても少ない。俺も入れて七人のハズだ。

 その中で白を冠するのは一つだけしかない。

 

「白式のコアが白騎士のコアってことか……」

 

 

〈そうですよ。今回の実習時の事をここに来る前に笑ってあげました。乗り手の理解の無さと弱さで苦労しますねっと〉

 

 

 性格わるっ!?

 

 アイス、お前…そこまでドSだったのかよ……。

 

 

〈私の性格は、マスターの性格を反映していますので、ブーメランと言うものですよ?〉

 

 

 オゥ、リアリィー?

 

 

『そういえば、主さまって、男鹿さんみたいに襲ってきた不良に土下座させたり、オーバーアタックしてますよねー』

 

 

〈流石です、マスター〉

 

 

 おいおい、俺が土下座させるようになったのは、男鹿と会ってからだぞ?

 死体蹴りはたまにしてたけどさ……。

 

 

 ガチャ……。

 

 

 おっと、誰かが来たみてーだな。

 取りあえず暗黒武闘を止めるか。

 

 

 

 

////////////////

 

 

 Side篠ノ之箒

 

 

 最近どうも私はおかしいのかもしれない。

 

 

 一夏の事が好きなハズなのに、一夏が他の女の子と喋るのが嫌だったハズなのに、今はあまり興味が無いかのように感じられない。

 

 

 彼に出会って、剣を交えて見透かされ、彼の剣を握る理由を聞いて、私の事を見てくれたからか?

 

 だとしたら私は軽い女かもしれないな……。

 

 

 彼と言葉を交わす一夏の言動と行動がおかしいと思えてきた。

 

 正義感の強い奴だと思っていたが、一夏は自分の考えを盲信していると思える。

 

 

 クラス代表決定戦で言った彼の言葉は正論だった。闘いをすれば傷つけ合うのは常にあることのハズだ。

 どんな人でも分かる様な事だと思う。

 

 

 だが、一夏は否定した。

 

 一方的に攻撃をするのは間違っている?

 

 ISバトルでは、相手のSEをゼロにするまで闘う。なら、それは正しいのではないのか?

 

 

 彼の考えを間違っていると言ったが、一夏の考えに間違いがないと言えるのか?

 

 

 彼と話がしたかったが、一夏を警戒してかすぐに消えてしまう。

 

 彼処まで険悪な雰囲気だったのに、一夏はその事を忘れた様にいつもの通りに話しかけようとしている。

 彼ではないが、私でも呆れてしまう。

 

 

 恋愛事だけ鈍い癖に、他の事は鋭いのは何故だ?不思議でしかない。

 

 いったい何人の女の子の好意を的外れな事に置き換えてきたのだろうか。

 

 

 

 一夏のクラス代表就任記念パーティーを早々にお手洗いに行くと言って抜け出して屋上へ向かう。

 

 

 彼が───翡翠が屋上に備え付けられているベンチに座っている。例のカラスも一緒だった。

 

「ん?箒じゃねーか。どうした?食堂の方に居ると思ったが……」

 

 まだ四月の夜は冷えるのだが、和服をはだけさせて翡翠の鍛えた体が見えるのは目に毒だ、目のやり場に困る。

 

 

「少し風に当たりたくてな……」

 

「そうかい。まぁ、そこに立っているより座ったら?」

 

「そうだな」

 

 そう言いながらベンチを叩いている翡翠の横に座る。

 

 

 

 

/////////////////

 

 

 

 Side邦枝翡翠

 

 

「ヨーグルッチと苺大福だが食うか?」

 

「あ、ああ頂く……どうした、そんな意外そうな顔は……」

 

「うん?ああ、箒は織斑が好きだから一緒にいたいと思っていたからな。織斑を放ってここに来るのは意外と思っただけだよ」

 

 あれ?なんか気不味い感じがする……。

 

「それ…なんだが、確かに好きなハズだったのだが……今は分からないんだ」

 

「分からない?どういう事だ?」

 

「翡翠と手合わせした当たりから一夏の行動や言動に疑問を持っていたんだが……クラス代表決定戦で翡翠の考えを間違っていると否定して、言外に自分が正しいと言っている一夏を見たら熱が冷める感じがしたんだ」

 

 最近すぎるなそれは、思い出を美化していたのかもな。まぁ、姉である織斑先生ですら織斑の考えに疑問を持っているからなぁ。

 

 

「思い出を美化していただけだろ?そこまで思い詰めなくてもいいだろ。気にし過ぎは毒だ、覚めたなら新しい恋をしてみればいい。俺は箒を応援するよ」

 

 

 

〈(篠ノ之箒の頭を優しく撫でていますね。焱姫さん、マスターは天然の女誑しと呼ばれる存在なんですか?)〉

 

『(主さまの回りに普通な女の子が居なかったのが原因だと思いますよー?諌冬ちゃん位しか普通な女の子がいませんでしたからねー。鈍くはないと思うけど、接し方が分からないだけだと思いますよー)』

 

 

 ヨーグルッチと苺大福を食べ終えて、顔を苺の様に赤くした箒とも別れて自室に戻る。

 

 更識が自身の荷物を片付けていた。

 

「更識どうした?荷物なんか片付けて、この部屋から出ていくのか?」

 

「まぁね。元々翡翠くんの護衛という理由で一緒になったけど、その必要性がないみたいだから移る事にしたの」

 

 開かれた扇子に生徒会長権限の文字がある。ただの職権乱用のようだ。

 

 

 …………と言うことは、一人部屋になるということか。 

 

 

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