心月流抜刀術を継ぐ者が行くIS   作:一刀斎

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第17話 手遅れと新たに始まる

 

 

 いつも通り五時に起きて鍛錬をする準備を調えて行く前に鍛錬に行って七時頃に戻る、という置き手紙を書いてから部屋を出る。

 

 

 

 何時もの通りに体を解してから技の確認に移ろうとしたが、視線を感じたから翠鴉のハイパーセンサーを起動させて確認する。

 

 覗いていたのは、更識(痴女)だったので無視することにした。

 

 だってさぁ~……。

 

 なんて言うか……親の仇を見る様な顔でこっち見てるし、何故か殺気がメッチャ出てるし……。

 

 

 後、呪詛を吐く様に簪の名前を呟くな……。

 

 

 簪と仲悪いのは、オメーせいだろ。……たぶん。

 

 

 俺は知ってるぞ、オメーの携帯の待受画面がどう見ても盗撮した感じの簪の写真だって事をな。簪にチクるぞ。

 

 

 ヘタレシスコンの癖に外聞は良くしてたんだろうが簪には部屋でのオメーの事、暴露してるからな、その内簪から残念な人を見る目で見られるのも時間の問題だぞ。

 

 

 私の簪ちゃんを盗ったとか言うな、励ましただけだっての……。

 

 後、簪はオメーのではないだろ……。

 

 寝取るとかハーレムとか女誑しとか言うな……。

 

 

 

 

 

 …………………………。

 

 

 

 

 

 

 この学園、俺の胃に恨みでもあんのか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

////////////////

 

 

 

 Side凰鈴音

 

 

 

 あれ?何であたし何時の間にベッドの上で寝てたんだろう?

 

 

 隣のベッドには箒が寝てる。

 

 なんだろう……口元が緩んで見えるのは気のせいかな?

 

 

 床の上に置かれている寝袋と甚平だっけ?が置かれている。

 

 

 そうだった……もう一人の男性操縦者に頭撫でられて思いっきり泣いてそのまま寝落ちしたんだった。

 

 

「うぁぁぁ~……」

 

 

 恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい!

 

 

 目の前であんなに泣いて、そ、そそそれに…抱きついちゃったし……。

 

 

 ほぼ初対面なのにあたしは何やってんだー!

 

 穴があったら入りたい……。

 

「鈴、起きてたのか」

 

「あ、箒。……その緩んでる口をなんとかしなさい」

 

「なな、なんだと!?」

 

 両手を頬に当てて確認している箒に訊いてみた。

 

「箒は、好き…なの?彼が……」

 

「彼…翡翠の事か?…そう、だな。好きに、なってしまったのかもな……。私も鈴と同じ様に一夏の事が好きだった。でも…今は、昔助けられたからという理由で、思い出を美化していたんだと思う。久しぶりに一夏に会ったときは嬉しかった……でも、一夏は行動や言動が矛盾している。翡翠の考えを間違っていると否定して正すと言った。まるで自分の考えが正しい、間違っていないと言っている様で……それを聞いたら熱が冷めたんだ」

 

 

 二番目の男性操縦者の名前は、ヒスイって言うんだ。

 

 

 そして、箒の口から出た彼が好きだと言う言葉。

 

 驚くのは、箒が言う一夏の事だ。

 

 一夏の奴…他人の考えを否定していたの?そして正す?

 

 正義感が強いのは知っていた。でも、他人の考えを否定する奴だったけ?

 

 弾や蘭に訊いた方がいいかな。千冬さんにも訊いた方がいいかな?

 

 

「そう、なんだ……。箒はその…ヒスイが好きなんだよね。やっぱり、人の事を分かってくれる所?言葉にして欲しい事を言ってくれる所?包み込んでくれる所?それとも全部?」

 

「どう、だろう…たぶん全部、だと思う。私の事を分かってくれた、正直に思った事を言葉にして言ってくれた、たぶん無意識だと思うが昨日の鈴の様に頭を撫でてくれた。嬉しかった……」

 

 

 確かにヒスイはあたしの気持ちを分かってくれた。

 

 あたしも悪いんだと、泣いて気持ちを切り替えろと、言葉にしてくれた。

 

 頭も撫でてもらった。

 

 正直に言って箒と同じ事をされているよね、あたし。

 

 

「そっか…うん、決めた!」

 

「何を決めたんだ?」

 

「箒、アンタには負けないって事に決まってんでしょ!」

 

「な、なんだ、と……!?」

 

 そう、決めた。初恋は気付かれる事なく終わった。

 

 ヒスイだって切り替えろって言ってたからね。気持ちを切り替えなきゃね!

 

 彼に恋をした。チョロいって言われるかもしれないけど関係ない。

 

 だから、絶対振り向かせてやるんだから!

 

 

 

 

 

「それで当の本人は何処に?」

 

「置き手紙があるな…七時に戻って来るようだ」

 

「あっ、じゃあそれに合わせて朝食作ろっか。先ずは胃袋を掴まなきゃ!」

 

 

 

 

『(主さまの胃…大丈夫かなー…?自業自得なんですけどー……心配ですー。葵さーん、彼女出来て欲しいとか言ってましたけど、ハーレムになりそうですよー)』

 

 

 

 

 

 

/////////////////

 

 

 

 Side邦枝翡翠

 

 

 更識のお蔭で胃にダメージを受けながら鍛錬を終わらせて戻る前に更識に向かって妖星剣舞を放っておいた。

 

 

 更識の声がしたけど無視して部屋に戻る。

 

 

 ドアノブに手を置いた瞬間、中に人がいる事を思い出す。

 

 …トントントン。

 

「入るぞー」

 

 

「あ、おかえりー」

 

「おかえり、翡翠」

 

「ん?ただいま?二人とも起きてたか……あ、そういえば、凰とは自己紹介してなかったな。邦枝翡翠だ、歳は一つ上だがよろしく」

 

「あはは…あたしは凰鈴音。鈴で良いわ」

 

「了解、俺のことも翡翠でいいぞ。……と、シャワー浴びて、食堂行って飯食わんとな」

 

 

 石矢魔なら時間を気にせず食えるのに……。最近俺との組み手で、勘を取り戻しつつある織斑先生がいるから逆らわない方がいい。

 

 

「それなんだが……」

 

「あたしと箒で朝食作ったから」

 

「そうなのか?すまんな、わざわざ用意してくれて」

 

「大丈夫だ。私達が好きでやったことだからな」

 

 

 冷蔵庫にろくな食べ物がなかったハズだったんだがな。

 

 卵雑炊……胃に優しいな……。

 

 ありがたいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラス対抗戦まで鈴と箒と一緒にアリーナで闘ったり、簪のいる整備室にジュースなどを差し入れに行ったりしていた。

 

 

 そんでクラス対抗戦当日。

 

 一回戦は、鈴対織斑だった。

 

 

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