心月流抜刀術を継ぐ者が行くIS   作:一刀斎

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第21話 石矢魔の噂は大抵一人がやっています

 

 

 突発的な天災との邂逅が終了した午後。

 

 

 朝早く帰ったため、鍛錬をまだ行っていないから鍛錬の準備をする。

 家の道場で久しぶりに行う素振りは気分が良くなる感じがする。IS学園ではここまで静かになることがないからだろうな……。

 

 

 いつも通りの二時間の鍛錬を終えて、シャワーを浴びた後焱姫を連れて自分の部屋の確認をする。

 

 葵ねぇが俺の荷物を送ってくれたということは、物が動いているという事だ。……まあ、葵ねぇの事だから元に戻しているだろうけどな。

 

 

 部屋の確認も終わり何もする事がなくなったので光太と遊ぶ事にした。

 最近俺らを真似て空獅子とか使っているみたいだからちゃんと使える様に教えてみたが理解してくれただろうか……。

 

 

 

 

 そんなこんなで帰省二日目……。

 

 道場で鍛錬の途中で家の玄関の方で呼び鈴が鳴った。

 

「……お邪魔します」

 

「翡翠ー、遊びに来たよー!」

 

 

「……あれ?返事がない」

 

「留守か?」

 

 

「どうした?葵の知り合いか?」

 

「え、いや、あたしら翡翠の友達で……」

 

「ほう…翡翠の方か、あやつ二股しておるのか……」

 

 二股発言するじーさんに慌てて否定を入れる二人。

 

「ひ、翡翠とは、ま、まだそうゆう関係では!」

 

「そ、そうよ!まだそうゆう関係じゃないわ!」

 

「つまり、そうゆう関係に成りたいということじゃな」

 

 

 ニヤリ、と意地の悪い笑みを浮かべるじーさんと、顔を赤くする二人。

 

 

「ああ、翡翠なら今、姉の葵と道場で鍛錬するところでな、覗いてみるか?」

 

「「……お願いします」」

 

 

 

 

 

 

 カンッ!カンッ!カンッ!

 

 

 木刀と木刀がぶつかり合う音が道場に響き渡る。

 

 

 打ち合いを始めて結構経つが、お互い有効打を当てずに何度も打ち合っている。

 

 

 カンッ!カンッ!カカカカカンッ!カカカカカカカンッ!

 

 体が温まってきた事で段階を上げていく。

 

 葵ねぇも合わせて段階を上げて対応してくる。

 

 ……IS学園では自重していたが、やっぱり葵ねぇやじぃちゃんと打ち合うのは楽しいなぁ。自然と口角が上がって行くのが分かる。

 

 

 カカカカカカカカカンッ!カカカカカカカカンッ!

 

 

 七天芙蓉の要領で攻撃を繋げているが平行線のようだ。

 

 カンッ!カンッ!カンッ!

 

 息継ぎをするために一時離れて呼吸を整える……うん?打ち合いに集中してたから気付かなかったが、視線を感じるな。

 

 視線を感じる方に顔を向けると驚いた顔をしている。鈴と箒がいた、どうしたんだろうか?

 

 

「あの、翡翠とそのお姉さんっていつもああなんですか?」

 

「まあ、いつもよりは控えめではあるがな。普段ならあれよりも激しくやりあっておるぞ」

 

「……ならば私の時は、かなり加減されていたのか……」

 

 

 いやぁ、普通加減するでしょ。この速さに付いてこれる人がいるならそうするが、一般人は先ずムリだろうからな。

 

 

「翡翠、鍛錬はいいからこの娘らの相手をせんか」

 

「わーったよ。鈴、箒、悪いがシャワーと着替えに行くから少し待っててくれ」

 

「あ、うん。大丈夫」

 

「こちらが押し掛けて来たんだ。そのぐらいは平気だ」

 

 

 木刀を持ったまま道場を出てシャワーを浴びに家に向かう。

 

 

 

 

「翡翠って二股してるの?二人公認の?」

 

「あたしらと翡翠ってそんな風に見られるんだ……」

 

「気が抜ける……」

 

 

 

 

 シャワーを浴び、数少ない和服ではない服装に着替えて外に出る。

 

 

「翡翠、和服ではないのか?」

 

「学園じゃあ、和服だけだったけど普通のもあるんだ」

 

「まあ、これともう一着ぐらいしかないけどな。それよりも、家の場所よく分かったな……教えてなかったのに」

 

「ネットで調べたら出てきたのと、意外と近かったから遊びに行こうってことになってお邪魔したんだ」

 

 

 ネットって便利ですね……。

 

 

「あ、そういやぁ、箒。昨日お前の姉さんが来てたぞ」

 

「そ、それは本当か!?」

 

「おう。俺に会いに来たらしいんだがな。何故か知らんがじぃちゃんに喧嘩売って返り討ちにされて昼飯食って帰ったけどな」

 

「なんか…すまない…」

 

「気にせんでもいいって。じぃちゃんに負けて涙目だったけどな、あの兎。今度会ったらそのネタで弄ってやるつもりなんだが箒もするか?」

 

「……考えておく」

 

「……て言うか箒の姉さんって篠ノ之束博士よね。指名手配されているのに暢気なのね…」

 

 

 それから鈴の提案で中学の同級生の親がやっている食堂に行く事になった。三駅程の場所にあり丁度お昼の時間になっていた。

 

 

「いらっしゃい…って鈴じゃねぇか。久しぶりだな」

 

「久しぶり、弾。今日は友達とここに食事に来たのよ」

 

「そうなのか、取り敢えず何名様で?」

 

「三人だからテーブルの方行くわよ」

 

「奥の方が空いてるからそこ行ってくれ。注文決めたら呼んでくれ」

 

 

 如何にもな大衆食堂って感じだな。こういう雰囲気は割りと好きだな。

 

 

 食べる物を決めきれないので鈴が注文したものを俺と箒は、真似をする。

 

 

「そう言えば翡翠ってあたしらよりも一つ上なら高校行ってたんだよね?何処の高校だったの?」

 

「うん?ああ、石矢魔って所だ」

 

「アンタ石矢魔の生徒だったんかよ!?」

 

 

 さっき鈴と会話していたダンだったけ……。

 

 

「弾、石矢魔って所知ってんの?」

 

「知ってるも何も、石矢魔っていったら全国の不良高校の中でも最凶と云われてる全校生徒が不良の高校だぞ!他校の不良が攻めて来たのをたった一人で倒して全員土下座させたとか、裸の赤ん坊を背負った不良がいたり、木刀で窓ガラスとか切断する奴とか、人が壁や地面に減り込ませたりとか、校舎を全壊させたりとか、一年生が不良を纏め挙げたりとか、色々言われてる高校だ」

 

 

 ……聞いてみるとほとんど男鹿のことじゃねぇか、それ。

 

 

「へ、へぇー。じゃあ翡翠もそうだったの?」

 

「俺は彼処じゃあ珍しいまともな方だったけど…木刀の話は俺と俺の姉の事だから。まあ、向かって来るバカどもを子連れ番長と一緒にブッ倒すぐらいはしてたよ」

 

「子連れ番長ってアバレオーガのことですよね?知り合いなんすか?」

 

「知り合いも何もダチだよ。アバレオーガとエメラルドリッパーの名で広まってた思うんだがな…」

 

「アンタがエメラルドリッパーなのかよ!?」

 

「まぁな、あ、俺の名前は邦枝翡翠だ。二番目の男性IS操縦者だ」

 

 

 アバレオーガとエメラルドリッパー。いつの間にか付けられていた通り名、確かあの恥将が名付けていたんだっけ?

 

 

「あ、ああ、アンタが一夏が言ってたもう一人の男性操縦者か……俺は、五反田弾って言います」

 

 

 おっと、ここで織斑の名前が出てくるか……。

 

 

「弾、一夏と会ったの?」

 

「昨日家に来たぜぇ。IS学園行ってもアイツの恋愛事だけの鈍感具合いは、何も変わってないみてーだな。そういや鈴は……ってどうしたその顔」

 

 

 鈴の顔が物凄く渋いって言うか、苦いって言う顔になっているな。事情を知ってる身としては複雑な気分に成るよな。

 

 

「弾…蘭に言っときなさい。アレと恋人になりたいなら覚悟しといた方がいいって。あ、後、あたしは下りたってとも言っておいて」

 

「はぁ?!おい、マジなのかよ鈴!何があったんだよ!」

 

「一夏の頭って本当に恋愛事だけ別の事に変換するみたいでさぁー、正直言ってもうムリ。なんか冷めちゃったんだよねー」

 

「ああ、一夏が最近鈴の付き合いが悪いって言ってたけどそう言う事か……。そりゃあ悪くなるだろ……(新しい好きな人の方を優先するのは当たり前だろうに……)」

 

 

 弾は良い奴だな……。古市と同じ感じがするな苦労人というな。

 

 

 会話していて途中で頼んでいた定食が運ばれてきた。野菜炒めだけど美味しいな……。

 

 そして、食べ終わって話の続きをした。

 

 

「弾と言ったな、一夏は他人の考えを否定して正すと言う奴だったか?」

 

「篠ノ之さんだっけ……鈴が居なくなってからも別段そんな事はなかったハズだと思うんだがな。何だ?アイツが人の考えを否定して自分が正しいとでも言ったのか?」

 

「ああ、翡翠の考えは間違っていると言っていた。それに、一夏の行動と言動に矛盾が有ったりしたか?」

 

「いやぁ、俺が知っている範囲内ではそんな事はなかったハズだ。正義感が強い奴だし、邦枝の考えが一夏の頭じゃあ納得いかないってだけだろ」

 

 

 それだけならいいんだけどな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園に無事戻り、GWも終わりまた授業が始まると同時に厄介事がまた訪れることになっていたのをまだ知らなかった。

 

 

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