心月流抜刀術を継ぐ者が行くIS 作:一刀斎
Side織斑千冬
邦枝が殺気を放って教室を出て数分。
やっと生徒たちが落ち着きだした。
(衰えたか……現役時代強さのままだったなら勝てただろうが、濃い鍛練をしていない今、邦枝には生身で勝つことはないだろう。辛うじてISでなら勝てるだろうが、それは言い訳だな……)
「千冬姉!」
すぱぁーんっ!
「織斑先生だ。これで何度目だ?貴様の頭は、鳥頭か?それとも学習能力が無いのか?」
学園で公私混同は駄目なことすら分からんのかこの愚弟は……。
「お、織斑先生…。何で言われっぱなしなんだよ!アイツより千冬ね──」
すぱぁーんっ!
「──織斑先生のが強いだろう!」
まぁ、素人目ならば世界最強の名を持つ私が強いと思うだろうが上には上がいる。
一夏にとって私は、誰にも負けない最強というフィルターが掛かっているだろうがな。
身近に学園長という私でも勝てん達人が居るんだ。
それに邦枝の弟を除く家族全員が私や束よりも強いだろう。特に祖父の一刀斎さん、八十を越えているのに衰えが見えない。そんな人に教えられている邦枝は弱いか?否だ。
剣の才とそれを腐らせない弛まぬ努力が邦枝にはある。
「いや、邦枝の言う通りだろう。現役時代の強さのままならば生身でも勝てるだろうが衰えがある今のままでは負ける。剣の腕は、私よりも上だ」
「そ、そんな……」
「篠ノ之、剣を使うお前は邦枝の剣に勝てるか?」
「勝てないと思います……。邦枝…さんは、右手に持っていた定規で…二人を斬る準備を一瞬で終わらしていました」
篠ノ之の奴、よく視ていたな。
邦枝は、机を割ったと同時に抜刀の準備を終わらしていた。
私が声を掛けなければそのまま斬っていたかもしれない雰囲気だった。
「その通りだ。私が声を掛けなければそのまま斬って捨てられていたかもな」
一夏とオルコットの顔が青くなっていく。殺気を向けられただけで良かったと思うべきだな。
「まぁいい。授業の続きを再開するぞ」
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
Side 邦枝翡翠
生徒手帳に載っている地図を見ながら用務員室に足を運ぶ。
『主さま~。待ってくださ~い』
「姿見せるんじゃないぞ、
『そんな事分かってますよ~。何処ぞのエロバカ狗と一緒にしないでください』
中級悪魔の八汰烏と呼ばれている俺の相棒だ。悪魔らしくなく俺に惹かれたという理由だけで力を貸してくれる。三対六枚の翼を持つカラスの姿をしている。そしてメスだ。
暗黒武闘のシンクロ度合で翼が生えたり、黒炎を斬撃に乗せることも出来る。
コンコンコン……。
「どうぞ」
「じーさん、久し振り」
「おや、翡翠君ではないですか。どうし…ああ、そういう事ですか……」
十蔵のじーさんは俺の持つ机を見て察してくれたみたいだ。
「腕が上がっていることに喜べばいいのか、それとも学園の備品を壊した事を怒ればいいのか……」
「一応言っておくが、わざとじゃないぞ。」
十蔵のじーさんにここまでの経緯を話す。
「女権団の襲撃を返り討ちにして病院送り、一番目の男性操縦者とイギリス代表候補生のイザコザに巻き込まれてイラついて机を割ったと……」
十蔵のじーさんの顔が疲れが出ている。何でだ?
「話が飛躍すれば国際問題待ったなしですね。後で織斑先生に確認しないといけませんね」
「じーさん、用務員じゃねーのか?何でじーさんが話聞くんだよ」
「うん?ああ、確かに私は表向きは用務員ですが、裏はこの学園の学園長やってるんです」
「うわぁ~それって、誰も物理的に勝てないじゃん」
この人、じぃちゃん並に強いからな。
俺と焱姫の暗黒武闘フルシンクロしないといけないだろうな。
「この話は内緒ですよ」
笑ってるが、圧を出している。やっぱり強いな。
「授業に出ないのですか?机の予備なら直ぐに持ってきますよ」
「俺は元々不良高校の不良ですよー。今日はもうメンドイからここでサボるわ」
「サボってもいいですが、確り勉強はしてください」
そう呆れながらもお茶を淹れてくれた。