心月流抜刀術を継ぐ者が行くIS   作:一刀斎

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第6話 最低限の礼儀

 道場の入口に着くと中から、織斑と篠ノ之だっけか?の声が聴こえる。

 

 

 篠ノ之って聴いたことあるな、勿論ISを作った奴じゃなくて……。何処かで聴いたことがあるんだよな。

 

 

「……っ!?邦枝さんか……」

 

「あれ、ひ…邦枝…はどうしてここに?」

 

 昼の時、親しくもないのに名前で呼ぶな、と言ったが効果があまり無さそうだ。普段から誰でも名前呼びにしているのだろう……。

 

 

「自己紹介した時にも言ったが、俺は剣術、抜刀術をやっているからな。この道場を使うから視に来たのと、昨日振れなかった分をやろうと思ってな」

 

「邦枝さんの流派は何ですか?」

 

「邦枝で構わんよ篠ノ之。そんで、俺の流派は心月流だ。……篠ノ之流剣術か?」

 

「知ってたんですか……」

 

「いや、今思い出した。何年も前にじぃちゃんが闘った人が篠ノ之という名だったからな」

 

 そういえばじぃちゃんが連絡がとれないとか言ってたような……。

 

「邦枝…一度だけ手合わせしてもらえないだろうか。千冬さんが自分よりも強いと言ったその剣の腕を知りたい」

 

「いいぞ。本気も全力も出さないが真面目に相手してやるから、かかってきな」

 

 制服から道着と袴を着て竹刀を持ち、向かい合う。

 

「防具は着けないのですか?」

 

「防具などは俺にとって動きを阻害する邪魔でしかない。故に防具は着けない」

 

 

 近くに居た剣道部の子に合図を頼み手合わせを開始する。

 

 

 

 基本に忠実な良い動きをしている。

 

 だから、残念に思う。

 

 今の篠ノ之が振るう剣は、ただの八つ当り。

 

 俺の心を動かすことはない。

 

 

「どうした、篠ノ之箒。お前の剣はその程度か、俺との打ち合いに八つ当りなんぞしやがって」

 

「なん…で」

 

「ああ?俺と打ち合っているのに他の事を考えているのが丸分かりだ。剣の打ち合いに他の事を考えてんじゃねぇ、相手に対する最低限の礼儀すら出来んのか?」

 

「わ、私、は……」

 

「悪いがヤメだ。今のお前との打ち合いは、ハッキリ言って時間のムダだ。八つ当りしか出来ない剣ならとっとと剣を地面に置け」

 

 背を向けて道場を出ようとするが……。

 

「うおおおぉぉぉ!」

 

『主さま、後ろ』

 

「…分かってる」

 

 俺の頭に当たりそうだった大振りの唐竹割りを後ろも見ずに横に動いてかわす。

 あんな大声で、しかも足音も響かせて来るなんて……。かわして下さいって言ってるもんだろ。

 

「謝れ!」

 

「……は?誰に?」

 

「箒に決まってるだろ!」

 

 何故、俺が謝らないといけない。

 謝るのは篠ノ之の方だ。俺は、真面目にやっていたのに、篠ノ之は別の事を、たぶんお前の事を考えていたと思う。

 

「知るか。謝るのは篠ノ之の方だ。俺の時間を徒に削ったことをな」

 

「勝負しろ!俺が勝ったら箒に謝れ!」

 

 こいつ、篠ノ之より剣が弱い癖にナニを言ってんだ?

 俺に勝ちたいならお前の姉を越えてからにしろっての。

 

「はぁ~……、勝手にすれば?」

 

「うおおおぉぉぉー!」

 

 またバカみたいに胴ががら空きの唐竹割りか……。

 

 弐式百華乱れ桜の足運びでかわし、背中に回って殺気を込めて心臓のある位置を軽く突く。

 

「はい、お前は今死んだ」

 

「……は?」

 

 

「何今の……」

「かわしたと思ったら心臓を突いた?」

「体がブレた様に見えたんだけど……」

「レベルが違い過ぎてる」

 

 

「悪いがオメーのチャンバラに付き合う程暇じゃあないんでな。行かせてもらうぞ」

 

 結局、全然剣振れなかったな。

 

 寮の近くで振っておくか……。

 

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