湖の魔術師 作:さら
暗い路地裏を抜けてエレインは通り道で買ったクレープを食べながら学園都市の中で五本の指に入るぐらいの超エリート校であると同時に世界有数のお嬢様校である常盤台中学、統括理事長アレイスター=クロウリーの居城とされている窓のないビルなど多くの建物が並んでいる第七学区の大通りを歩いていた。
「……次…何処に行こう?」
そんなことを呟きながら辺りを見渡すとふと玩具屋が目に入った。確か学園都市にはバードウェイが前に学園都市で買った攻略に行き詰まっていると言っていたゲームの攻略本があったはず。『宵闇の出口』の皆のお土産は買ってあとはバードウェイのお土産を何にしようと考えたところだったのでちょうどよかったのかもしれない。
そう考えたエレインはクレープをすぐさま完食し、その玩具屋の中に入るとそこには色々な玩具が並んでいた。
人形遊びに使うような人形、スポーツカーやヘリコプターのラジコンなど普通の玩具屋でも見られるものの他に…
「ワンワン、お嬢さんお綺麗だワン」
「……機械の犬?」
学園都市でしか見られなそうなナンパをしてくる人工知能を搭載した犬型のロボットなどがあった。
まぁ、そんなことよりゲームの攻略本とエレインはそこら辺を見回っているとウニのようにツンツンしている黒髪を持つ学生服を着た何処かぱっとしない少年と
「……『
この二人は現在、魔術業界ではかなり有名な二人であり少女の方はイギリス清教所属の『魔導図書館』、その頭の中には10万3000冊に及ぶ魔導書の原典が記憶されており、それを全て得ることが出来れば『魔神』に至れるという話だ。イギリス清教がそんな危ない代物を学園都市に置くのを許した理由がこの少年の持つ『幻想殺し』という力である。
その力は凄まじく魔術、超能力問わず異能の力なら何でも打ち消してしまうその持ち主の真名通り神を浄化し、魔を討ちはらしてしまうほどでその有効範囲は右手首までと狭いものの自分たち魔術師にとって驚異的なものである。
どんなに念入りに作られ、強力な魔術を使うための触媒である『霊装』であってもあの右手に触れられたら砂で作ったお城のように脆く簡単に崩れ去ってしまうのだ。
そんな魔術師に対応する手段とあの金髪の少年のように学園都市にも魔術業界に精通している人物もいることからイギリス清教も安心して学園都市に『禁書目録』を置くことができるのだろう。
まぁ、こんなこと自分には関係ない話だとエレインはバードウェイの攻略本を探そうとした瞬間に彼女の瞳は二人の間にある
学園都市で絶賛放送されている超機動少女カナミンが大好きなエレインは吸い寄せられるようにカナミンのステッキに近づいていった。
◇◇
上条当麻は同居人インデックスがカナミンというアニメキャラクターのステッキを欲しいと駄々を捏ねたので仕方なくインデックスと共にこの玩具屋に来ていた。
「とうまー、ステッキあったんだよ」
「はいはい、どれどれ」
上条はインデックスが持ってきたステッキが入っている箱を受け取り、値段を見るとそこには4700円+税と書かれていた。
勿論、こんなものを買ってしまったら、たたでさえこの暴食シスターのお陰でピンチ寸前の家計が本当に崩壊してしまう。
「よし、帰ろうインデックス」
「えー、とうま。買ってよ。買って。買って。買って」
ステッキを元にあった場所に戻して帰ろうとする上条にインデックスは駄々を捏ねるが、ここでインデックスに屈してしまうほど上条は甘い性格をしていない…というよりこのインデックスのわがままを通してしまうと死活問題になりかねない。
「あのなぁ~インデックス、そんなものを買うほど上条さんの家計は裕福な状況ではありません。むしろ、財政難な状況なんだよ。断じて上条さんはそんなものを買うことを許しません」
「むー、でもこれを買ったらとうまだってカナミンに変身できるんだよ」
「できたとしても俺は変身しねーよ!!」
そんな夫婦漫才のようなやり取りを二人はしていると上条の視線にインデックスより年が少し上っぽい綺麗な白い無垢なワンピースを着た金髪に透き通るような白い肌に碧眼の何処か神秘的な雰囲気の見るからに外国人の美少女がこちらに近づいてくる。
「……いいものを見つけた」
外国人とは思えないようなかなりうまい日本語でその言葉とは裏腹に余り感情を感じさせない表情こ少女に上条は少し違和感を感じていた。
『いいもの』この少女はここにある何かしらの物を見てそう表現した。これが普通の少女だったらそこら辺の玩具で済ませてしまうものだが態々このような外国人の少女が警備の手が厚い学園都市に入ってまで欲しい玩具などあるのだろうか。
もしかするとインデックスを狙いにきた魔術師であるかもしれないと上条は思考に耽っている隙に少女がインデックスに向けて左手を伸ばしていた。
「くっ、やっぱりインデックスを狙ってきた魔術師か!」
急なことで反応に遅れた上条は少女の前に立ちはだかろうとするが間に合うはずもなく、少女の左手はしっかりとインデックス……ではなく、インデックスの後ろにあるカナミンのステッキが入っている箱が握られた。
「え?」
予想外なことに驚いた上条はそのまま不幸なことに躓いて少女の慎ましいサイズの胸を掴んで周りから見るとこの男の人ヤバイと思われるような体制に倒れてしまった。
しかも、倒れた時に少女の無機質な瞳と目があってしまいさらに罪悪感に駆られた上条はすぐさま少女の上を退いて、その場で少女に向かって地面に頭をつけて日本特有の謝罪Japanese土下座をする。
「すいませんでした!!」
「…故意でやったことではないし…貴方はちゃんと謝ってくれた…私が許さない道理はない。…それに禁書目録を守る役目を持っている貴方はそれくらい警戒しておいてもいいと思う」
「って言うことはお前はやっぱり魔術師なのか?」
「…うん…私は一応『宵闇の出口』のリーダーをしている魔術師…エレイン=スタンガム。……よろしく上条当麻」
「『宵闇の出口』……?」
魔術業界に精通していない上条は聞きなれない組織名に?マークを浮かべているとその疑問にインデックスが代わりに得意気に答えた。
「確か英国に存在する『黄金』系の魔術結社の一つだよ。数年前まで『宵闇の出口』は無駄遣いが多くて、貴重な資源を無駄に消費する組織だったんだけど幼い少女がリーダーになってからまともな魔術結社に移り変わったって言うところなんだよ」
「それでそんな黄金系の組織のリーダーがこの町に何のようなんだ?」
「……観――――」
話している途中で黒い影がエレインを拐ってかなりの強度を持つ特殊ガラスをぶち破ってそのまま外に消えてしまった。
その余りに突然の出来事にインデックスと上条はただ呆然とその場で立ち尽くすしかなかった。
◇◇
「……何の用……イギリス清教の聖人?」
学園都市の河原に連れ去られたエレインはいつもと変わらない無表情ながら少し不機嫌そうな口調で自身を拐った張本人であるイギリス清教の『必要悪の教会』所属の世界に数十人しか存在しない生まれた時から神の子に似た身体的特徴・魔術的記号を持っている人種、通称『聖人』である長身の黒髪を白いリボンでポニーテールにした女性、神裂火織に問いただした。
「たまたま学園都市に来ていたら貴女が出没したという情報を聞きましてねあのときの借りを返しに来たんですよ。まさかと思いましたがやっぱり貴女の狙いはインデックスだったんですね」
「……貴女は勘……」
「問答無用ッ!!」
エレインの話を遮って神裂は持っていた七天七刀で刹那の速度でエレインを斬りかかった。