ダリフラ18話……もうアレです。分かってはいましたが、ちと落としすぎやしませんか?
しかも、ミツルとココロの記憶が幼少期のヒロみたいに消されちゃって……。
でも、ヒロがゼロツーと乗って記憶を取り戻したのなら、まだ可能性はある筈! 自分は二人の記憶が戻るって信じてます!!
晴天。
特に荒れた様子もない冴え渡る天候の下で、13部隊によるフランクスの機動訓練が幕を開けていた。
ゴローとイチゴのペアが搭乗する青のカラーリングを基調とした、頭部装甲の隙間から出ているピンク色の髪のような部位で、顔半分を隠しているのが特徴的な機体。
『デルフィニウム』。
ゾロメとミクのペアが搭乗するピンクのカラーリングを基調とした、ツインテールのような部位を特徴の機体。
『アルジェンティア』。
フトシとココロのペアが搭乗する黒のカラーリングを基調、ロングコートのような重装甲を有する機体。
『ジェニスタ』。
最後に、紫のカラーリングを基調とし、顔の部位にバイザー。両腕に扇形フィン〈ウィングスパン〉が特徴として映える機体。
『クロロフィッツ』。
計四機のフランクスが初めてプランテーションの外側に広がる世界の大地へと、足を踏みしめた。
「イチゴ、平気か?」
「うん。問題ないよ」
ゴローがイチゴに気遣いして、何らかの支障が無いかを確認するが、本人としてはこれと言って特に異常はないらしい。
「コ、ココロちゃん。俺、ちゃんと上手くできたかな?」
『ふふっ、大丈夫だよフトシ君』
不安げなフトシの問いかけにココロは、通信でジェニスタの顔を用いてほっこりと笑顔で問題ないと告げる。
基本的にフランクスはピスティスルと一体化に等しい状態にあり、顔に映し出される表情はピスティルのそれである。フランクスの機体がダメージを負えば、その全てがステイメンではなく、ピスティルへと負荷されてしまうのだ。
ジェニスタのココロが手を口に当てて微笑む中、ジェニスタの隣にいたアルジェンティアにパートナーのミクと乗るゾロメが挑発的に割って入って来た。
「へっ、この程度で浮かれてんじゃねーよ! あの泣き虫ヒロに一歩先越されたが、二番手は俺様だからな! 特にイチゴ、ゴロー!」
アルジェンティアが隣にいたデルフィニウムへ指差して負けん気を溌剌とさせながら宣言する。発せられた声はゾロメのものだった。
「二桁組のお前らにはぜってー負けないからな!」
「は、はは……元気だなゾロメは」
『味方同士で争ってどーすんの』
そんなゾロメに対し、ゴローは苦笑を零す他なかった。ゾロメが自分やイチゴといった、所謂『二桁の番号』のコドモに対抗意識を燃やしているのは前から知っていたのだが、やはりこう改めて言われると苦笑を浮かばざる得ないものだ。
そんな会話に入り込むようにイクノが通信を使い、クロロフィッツの顔でゾロメにツッコミを入れる。
「この中じゃ、誰が何と言おうと俺が一番! ほら見ろよ! こ〜んなことだってできるぜ」
『ちょっとぉぉ!』
まさに悪戯好きな猿と呼ぶべきか。
軽快で重量を感じさせないほどのバックステップ、その後すぐに逆立ちをしたり、ジャンプしたりと。
こういっては何だが、今のアルジェンティアはさながらピンクモンキーとでも言ってしまいそうな行為をしているも同然だった。
『ら、乱暴にしないでよ!!』
「うお、あッッ!!」
危うく転げ倒れそうになるが、そんなアルジェンティアの手を握ることで防いだのは、デルフィニウムだ。
『そこまでにして。操縦の主導権は基本男子なんだから、ゾロメはもう少しミクのペースを考えて』
「チッ、わーったよ!!」
ゾロメは納得し、何とかアルジェンティアの体制を元に戻す。
〈コネクト率はフランクスを操縦する上でなくてはならない要素。
故に低下すればそれは明確な形で現れる。たった今バランスを崩して倒れそうになったのがいい例だ。
こちらでアルジェンティアの数値が下がったのを確認した。Code666、もう少しパートナーに気を配るようにしろ〉
イチゴだけかと思いきや、ハチまで注意する形で勧告して来た以上、黙って容認する他になかった。
「は、はい!」
〈よろしい。ではこれより、第13部隊によるフランクス機動訓練を開始する! 焦らず、パートナーのペースを配慮し、ただ動かす事だけに専念しろ。いいな?〉
『了解!!』
通信で届いたハチからの言葉にコドモたちは否定せず承知し、フランクスによる訓練を開始した。
※ ※ ※
フランクス四機を用いた13部隊の機動訓練が開始された頃。その一方でヒロは鷹山と共にもう一つの姿…アマゾンとなって対アマゾン戦における訓練をしていた。
「くっ、はぁぁッッ!!」
「ほう。少しはできるようになったか」
ヒロが変身するアマゾン・イプシロンは、刃であるアルファの連続で解き放たれる、拳の嵐に対し、ギガのコントロールで強化した動体視力を駆使してギリ紙一重で避けることには成功していた。
隙を見計らっては、イプシロンも精一杯ながら拳や蹴りを繰り出すが全く及ばず。
来ることが分かっているとばかりにアルファはイプシロンの攻撃を防御してしまうのだ。
しかし何故、他のみんなとは違い、ヒロだけがアマゾン戦の訓練をしているのか。
これには理由がある。
ヒロはまだ正式にパラサイトになった訳ではなく、その為ゼロツーとのストレリチア搭乗は許されていないのが現状だった。
ヒロがストレリチアに乗るか否か、その決定権はパパこと七賢人にある。よって現段階ではどーこー言えないのが現実なのだ。
「うらぁぁッッ!!」
一旦距離を取ったイプシロン。
今度は腕を振り上げて払い、そうすることで鳥の羽根を模ったアームカッターを飛ばし、投擲による戦法で攻め始める。
投げて無くなった部位は、黒い液体がアームカッターを形成するようにして再生する為、問題はない。
「投擲武器か」
鋭く光らせ飛来するアームカッター。
それを自身の両腕に備えられたアームカッターで容易く弾くアルファ
だが、これを待っていたとばかりに急速接近したイプシロンは、右腕の拳を腹部に深くめり込ませ、更にすぐ転じて左腕のアームカッターで斜めにアルファの胸部を切り裂いた。
「グゥゥッッ!!」
訓練を始めて10分。
初めて苦悶の声を漏らしたアルファだが、膝を地に付けることも、倒れることもなく。しかし受けたダメージは明確に感じていた。
同時にイプシロンの戦闘におけるスペックの向上にも、内心驚きだったと言う他なかった。
(あの時より、少しくらい上がってるな。だが……)
「まだ足りねーよ!!」
アルファは吼えるように言い、イプシロンの首根っこを掴みそのまま地面へと押し倒した。
「は〜い、ここまで」
先程とは打って変わって、呑気で飄々とした口調で訓練の終了を宣言したアルファは鷹山へと姿を戻し、それに答えるようにイプシロンも人間の姿であるヒロになる。
ゼーゼーとかなり息を切らし、顔には大量の汗が滝のように流れていた。
「惜しかったな“ヒロ”。
アマゾンとしてのスペック自体は前より少し程度だが上がってる。けど、やっぱアレだ、殺意が足りない。そのせいでもっと引き出せる筈だった力がセーブされちまってる」
語尾に少年とは付けず、鷹山は的確に訓練でのダメ出しを語り聞かせた。
「それと、ギガのコントロールが成ってない。そんな風にかなり消耗してるのが証拠だ。今後はギガのコントロール訓練も必要だな」
「ゼェー……ゼェー…………はい」
吸って吐く。ただそれだけの行為だが、今のヒロにはそれがとても辛く、どれだけ口から酸素を取り入れようと肺が正常に機能していないのではないか?と思うほど、息苦しさが収まらなかった。
しかし、それも一時的なもの。
ようやっと呼吸のリズムを正常に戻すことが出来たヒロは、まともな返事を一つ。鷹山に返した。
「ダーリン!」
「え、うわッ、ゼロツー!」
いきなり背後から抱き着かれたヒロは、それを実行した張本人である少女の名を叫んでは、酷く狼狽した様子を見せた。
「な、なんで裸なんだ!! 服は?!」
その原因はゼロツー本人にあった。
何故なら、今の彼女には衣服の類など一つも存在しない、まさに“生まれたままの姿”だったのだ。
「フフッ。水浴びして来たばかりでさ。疲れ切ったダーリンを癒してあげようかなって」
「だから、なんでそれが裸になるってことに繋がるの?!」
「刃兄が言ってたよ。“男を癒してくれるのは女の裸だ”って」
何言ってるのこの人?!
そんな内心の言葉を込めて視線を送るヒロ。それに鷹山は、やったぜ!!とでも言いた気な清々し過ぎる笑顔で親指を立てるのみ。
そうこうして、ようやく彼女に服を着せたのはそれから10分後の事だった。
※ ※ ※
ミストルティンの湖畔。
13部隊のコドモたちが住む施設内に設けられたそこは透き通るほど澄んだ水があり、更には貝や淡水魚。微生物などが存在し一個の生態系がほぼ自然界のそれと近い状態で確立されている。
そんな豊かな場所で昼寝や読書などをする際には効果的だろう。
また“誰にも聞かせたくない内緒話をする為”という点において最良の場所と言えるだろう
。
そんな湖畔にヒロとイチゴの2人が足を運んでいた。
「はぁぁ〜……」
「どうしたのヒロ? そんな溜息ついて」
唐突に溜息を吐いたヒロに対しイチゴは疑問を投げかけた。
“さっきのゼロツーの裸の件”を正直に言う訳にもいかないので、とりあえず誤魔化しておくことにした。
「な、なんでもないよ。それより話って?」
「その、私聞いたんだ。あのコ……ゼロツーのこと」
あまり誰かに聞かれたくないから、と。
イチゴの気持ちを汲み取って湖畔へとやって来たヒロにイチゴは冗談や嘘、それらを全く感じさせない真剣な声と瞳。
そして表情たる顔でしかと彼を見据えたかと思えば、その唇から紡がれた言葉は“ゼロツ
ー”というの名だった。この名をヒロが知らぬ筈がない。
入隊式のあの日、他でもないこの湖畔で初めて出会った赤い角の少女の名前なのだから。
「ゼロツーがどうかした?」
「その、あんまり、こういう事は言いたくないんだけど……“パートナー殺し”のこと知ってる?」
「パートナー殺し……」
一種の噂としてならヒロの耳にも入っている。
曰く〈赤い角を生やしたピスティルがいて、彼女と3回以上乗れたステイメンはいないらしく、その理由は3回目で命を落とすから〉と。
根も葉もない噂だと思っていた。
赤い角に関しては本当だったが、それでもヒロは3回目に命を落とすと言う部分に関してはデタラメに過ぎないと考えていた。
「あくまで噂だろ? ゼロツーと乗ったけど、何処にも異常なんてないし、それ普通に考えたら乗った位で死にやしないだろ?」
「それは……」
「ゼロツーは普通の女の子だよ。もし…仮にその噂が本当だとしても俺は、ストレリチアに乗るよ。13部隊のパラサイトとして」
自信満々。決意は確固たり得る、とばかりの物言いで宣言するヒロに対し、やはりイチゴは抱いた不安を拭うことはできなかった。
“ヒロが死んでしまうかもしれない”
そんな考えをするようになったのは、ゼロツーが現れてからだ。
これに関しては彼女の直感と言う曖昧な表現になってしまうのだが、少なくともイチゴはゼロツーのパートナー殺しは本当かもしれないと思っていた。
無論、あくまで直感に過ぎない為、断定することは不可能だ。
だが人間では有り得ない、作り物ではなく本物の赤い角を生やした少女。それに加えてパートナー殺しの噂と来れば、イチゴとしては不安を抱かずにはいられないだろう。
しかし、同時に彼女をこの部隊の仲間として信じてみたい、と言う気持ちもあった。
「そうだね……ごめん。嫌なこと聞かせちゃって……」
だからこそ、イチゴは反論せず素直に引いた。
所詮は根も葉もない自分の直感なのだ。そんなもので、ゼロツーという少女の人柄を決めつけて判断することは、悪しき感覚だ。
それを自覚していないほどイチゴは短絡的ではない。
「俺は大丈夫だけど、本人に言ったらダメだからな? そんなこと言われて、良い気持ちなんてしないだろ」
「うん……」
そこまで。と忠告するかのように携帯端末のコール音が鳴り響き、当然ながら2人の耳に届く。
発生源は2人同時だった。コール音は緊急メールの通達を知らせるもので、確認するとハチからのものだと分かった。
“ただちにブリーフィングルームに集合せよ”
それが、メールの内容だった。
今回は日常回的な感じな為、バトルはなしです。
感想や誤字や矛盾点、アドバイスなどあればお願いします!