ダーリン・イン・ザ・アマゾン   作:イビルジョーカー

14 / 77



ダリフラ21話を視聴しましたが、なんか色々ヤバいですね((((;゚Д゚))))

とりあえず、敢えて一言だけ。


『死ぬなーーーーーーーーーーーーーー!!!!!! ゼロツーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!!!』






獣竜攻防戦 前編

 

 

 

 

 

アルジェンティアとクロロフィッツの両機による模擬戦の結果はクロロフィッツの勝利に終わり、これでストレリチアへの対戦権を獲得したミツルとイクノだが、突然の緊急事態が発生した為、急遽模擬戦は中止となった。

 

叫竜の発生。

 

人類の脅威と天敵が二つ揃って嵐の如く現れるとは、一体どういう事かと文句の一つでも

言いたくはなるが、それをウダウダと述べ垂らした所で事態は好転などしない。

叫竜はあの入隊式に出現したモホロビチッチと呼ばれる身長的に中級個体だが、その姿は前のものと違い長い四角の立方体に青い四角の穴のようなものが点々と空き、そこから動物の骨格を彷彿と感じさせる触手が奇妙なうねりを舞いつつ、這い出ている。

しかも、その先には禍々しさを強調させたかのようなエッジの多いフォルムの口部と思わしき嘴は正直、嘴と言うよりは太古の時代において人が狩猟に用いた罠の道具と称した方が相応しいだろう。

そんな叫竜から10km離れた地点にプランテーションはあり、その前にはプランテーションを守るべくして立つストレリチアを含めた5機のフランクスらがいた。

 

『この前のと同じ大きさだね』

 

『あ、あんなのと戦うの……』

 

『弱気にならないでミク。何の為に訓練して来たの!』

 

ジェニスタのココロが叫竜のサイズに圧倒されつつ、その大きさを以前入隊式を襲った時のモホ級と比べて同程度だと分析する傍らでアルジェンティアのミクは、これから戦う敵たる叫竜に尻ぼみしてしまう。

そんな彼女をデルフィニウムであるイチゴがやる気を何とか助長させようと檄を飛ばす。とは言え、イチゴも不安はあった。

初めての実戦がモホ級クラスの叫竜なのだ。フランクスより一回り小さいコンラッド級であれば初戦の相手としては相応しいが、生憎と運は甘くなかったらしい。

 

「モホ級って言っても前のとは違うな…」

 

『モホとかコンラッドって呼び方は叫竜の形より、大きさ基準だからね。モホ級でも色々いるけど…アレはボクも見たことないタイプだ』

 

淡々と、敵を見据えながら、そんな感想を宣うストレリチアことゼロツー。単なる物珍しさと何処か獲物を狩ろうとする、生粋の狩人の如き愉悦らを織り交ぜたような、そんな風に聞こえる声だった。

一方のパートナーであるヒロは、より警戒を強める。ハチの言葉によればあのような形状の叫竜はデータベースには一切存在しない、つまり新種の叫竜とのこと。情報がない以上迂闊な行動は死を招く。そこでヒロはイチゴに一つ提案を上げる。

 

「イチゴ、相手は情報が一切ない相手だ。ここは戦い慣れてるゼロツーと一緒に俺が先行した方がいいと思う。いいか?」

 

この中で数々の戦場を潜り抜けて来た実力者は他でもない、ゼロツーだけ。同時に経験を積み重ねている彼女だからこそ、一番槍としてストレリチアを先行させた方がいいとヒロは考えたのだ。

 

「………確かに。その方が良さそうだね」

 

ヒロの出した提案をイチゴは受け入れた。

臆したわけではないが……いや、臆してしまったとしても、ここは慎重に行くべきなのは

変わりない。

相手の叫竜の戦闘能力は過去のデータがない全くの未知数。いかなる攻撃が出て来るのか分からない状態では、今回が初戦となる13部隊には荷重に成り得る。

だからこそ、経験豊富なゼロツーことストレリチアから先手を打つのは理に適っている…のだが。

 

「ハッ! 一番槍はこの俺様がもらうぜ!!」

 

ここで、やってはいけない余計な単独行動を実行したのは、もう予想など容易にできそうなほど単純少年なゾロメだった。

当然ながらミクが抗議の声で諌めた。

 

『何やってんのよゾロメッ! ストレリチアが

先に行くってのに、なんでアンタが出てくんのよ?!』

 

「模擬戦での名誉挽回だよ! ミクもこのままでいいのかよ?! 汚名被ったままなんて、冗談じゃないっての!」

 

『だからって、こんな所でしなくていいでしょうが!! このバカッ!!』

 

ズシン。

 

まるで全身の力が抜けるかのようにアルジェンティアのボディが重く、鉛のように地面へと沈下するように倒れ込んでしまった。

どうやら、喧嘩のせいで数値が低下したらしい。

 

『何やってんの二人とも!』

 

『喧嘩は良くないよ!』

 

イチゴとココロが二人の様子を見るに耐えず、そう声を上げる。

なんとかデルフィニウムとジェニスタでアルジェンティアを起こそうとするのだが、その

最中ゼロツーが何かに気づいた。

 

「ッ! ……ダーリン。アイツ、何かする気みたいだよ」

 

「え? ッ!! この感じは!」

 

叫竜に動きが見られた。それを逸早く察知したゼロツーはそれをヒロに進言しヒロも何かを察知した。

 

「これって……あの時の叫竜と同じだ。あの叫竜からアマゾンの気配がする!」

 

アマゾンというのは種類を問わず、同族とのアマゾン細胞の共鳴により、位置を特定する能力が備わっている。

これがアマゾンの気配の正体だが、どういうわけか、あの叫竜……というよりはその内部から発せられる無数の蠢く気配をヒロは感じたのだ。

そうこうしている内に叫竜はゼロツーの言葉通り、アクションを起こした。

長方形の本体。その上部が三角の花弁の如く開闢して、耳の鼓膜を揺さぶる重厚な爆発音と共に何かが煙を上げ射出された。

ヒロが意識を集中させると、アマゾンの気配の発信源がその射ち出された物の中にある事が分かった。

 

「行くよ、ゼロツー!」

 

『OKダーリン!!』

 

吼えるように答えるゼロツーと共にヒロは空へと舞い上がる。ストレリチアに備えられたジェット推進機構のエンジンを荒ぶらせ、噴射口からは火を吹かし、何処までも広がる大空へと上昇していく。狙うのは一点。叫竜が射出した何からの物体だ。

肉眼でも見える範囲にまで近付くと、その全貌が明らかになる。黒一色の楕円形のボールのような塊。それ以外に表現しようのないシンプルな代物だった。

ともかく、それぎなんでアレ、破壊しておいた方が得策と直感で判断したストレリチアは

クイーンパイズの穂先をその物体へと向け、標準を定める。さすがに何があるのか分からない為、突貫ではなく投擲で仕留めようと主要武器たる槍を構える。

 

だが、それは突然起きた。

 

『ぐッ!?』

 

「ま、眩しい!」

 

突然物体が青い輝きを放ったのだ。それだけでなく、物体はポリゴンのような四角い無数の粒子へと変わっていき、最後には完全に消えてしまった。しかも、その寸前一筋の光が飛び出し、そのままプランテーションのドームへと青い放物線を描いて激突。

最悪なことにそのまま突き抜け、内部へと入ってしまった。

同時にそれは、獣たちの宴の始まりを告げる開幕ベルでもあった。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

この作戦に関して言えば、其れ相応の自負が

彼にはあった。アマゾン。別称として獣人とも呼ばれる彼等は、アマゾン細胞と呼ばれる

単細胞生物としての側面を持つ有機因子から成り立つ生命体だ。

そのアマゾンによって構成された謎の組織、ヴィスト・ネクロの幹部たる彼は組織が標的と定める敵対アマゾン、アマゾン・アルファの抹殺の役目を担ったことに内心歓喜の嵐に吹き乱れ、下手をすれば汚らしい唾を飛ばしながら高笑いしていただろう。

高笑いこそしていないが、そうしてもおかしくない程の高揚とした気持ちに支配されているのは紛れも無い事実で、加えて自身が考えた策が見事成功を収めたのだ。

それで喜ばない方がおかしい。とは言え、まだ第一段階での成果に過ぎないが。

 

「ラッキ〜だなぁ、オイ! 作戦の第1ステージはクリアってか!!」

 

あの黒い物体の中身……それはなんと、衝撃吸収の性能を有する透明な結晶体。それに覆われた計100体の虎の姿を有したトラアマゾンの一個部隊だった。

組織が捕獲し、“改造”を施した個体を用いてその内部へと潜み、ある程度の距離までプランテーションへ近付いたら射出され、更にもう一度射出される二段構えによる侵入プラン

そういったものなのだが、事は何の弊害もなく、上手く行ってくれた。

この作戦を考案したのは、トラアマゾン部隊100体以外のもう一体……部隊を指揮するヴィスト・ネクロの幹部アマゾン、ザジス。

彼を覆っていた結晶体が砕き、解放された途端、その姿をこれでもかと晒すかのように両手を広げてザジスは歓喜高揚と吼える。

 

「ケッ、シケたとこだなぁプランテーションっては!!」

 

着地点はプランテーション内部のビルの一角。そこから一望できる景色に対しての感想は

散々なもので、心底毛嫌いしているのがよく分かるほど顔に出ていた。

そうしている間に次々と結晶体が砕かれていき、部下のトラアマゾンたちが獣性を孕んだ唸り声を上げ、解放されていく。

そして、100体全てが余すことなく揃い踏みを果たす。

 

「リーダー! 全員、起きました」

 

「ご指示を」

 

トラアマゾンたちの報告を聞き、ザジスは顔に刻み込んだ笑みをより深め、黄色の蒸気を放出させてその身を大きく変質させた。

蒸気が晴れるとそこに人間の青年姿のザジスはおらず、黄と黒のヒョウ柄模様のカラーに染まった毛並みとコートを羽織っなような姿が特徴的なアマゾン。

“ジャガーアマゾン”と呼ばれる本当の姿が顕現を果たす。

 

「今すぐ暴れたいと思うが、まぁ、待てよ。そろそろ来る筈だ……俺達がその喉元を喰い、

千切るべき獲物がな!!」

 

「そいつは、俺のことか?」

 

自分達の後方から聞こえてきた声にジャガーもトラ達も一斉に後ろを振り向く。そこには片手に卵を持って、手の平で転がしながらゆっくりと歩を進める鷹山の姿だった。

 

「来やがったなアルファ! テメーの首、喰い破りに来てやったよ!!」

 

トラ達を掻き分けて、その部隊の先頭に立ったジャガーは鷹山へと吼える。しかし、彼等がここへ来た理由を宣言されても正直興味はない。

自分が狙われていることなど知っているからだ。

 

「入隊式の時と言い、今回と言い、おタクらは叫竜を飼い慣らすことに成功でもしたのか

? もし良かったらその方法を冥土のみやげに一つ、いいか?」

 

「悪いがテメーに教えるもんは何一つねぇよ。土産なら俺のこいつを味わせてやる」

 

そう返してジャガーは、両手を大きく変質させて長く厚みのある金属のブレードへと変化させた。

 

「……うわ、なんかキモ」

 

「じゃかわしいッ!! 変身するまでは待っててやる。俺の実力を疑われるのも癪なんでな!」

 

「おーおー、お優しいね。ならお言葉に甘えるとしようか」

 

そう言って、鷹山は事前に巻いていたアマゾンズベルトに卵を当てて亀裂を作り、それを口元を通り過ぎて頭上へと持っていく。

そして、卵を二つに割った。

落とされる黄卵と白身の元となる液体は予めぱっくりと開いていた鷹山の口へと入り込み

、ゴクンと。聞くに良い音で喉を鳴らし、アマゾンズドライバーのグリップ部分へと手をかける。

 

『アルファ……』

 

「アマゾン!」

 

起動の音声が反響するように周囲へと水面の波紋のように広がり、赤い蒸気を纏う形で彼はその姿をアマゾン・アルファへと変身させた。

 

「野郎ども!! かかれぇぇぇぇーーーーーーーッッッッ!!!!」

 

ジャガーの号令にトラたちは猛獣の如き唸り声を漏らし、アルファへと襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








感想待ってます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。