ダリフラが終わった……1話から見続けて早六ヵ月……本当に面白かったと。自分としては今でもそう思います。
終盤の部分がちょっとアレかな?とか不満な部分があったのは否定できませんが、それでもそういった事を含めて見続けて良かったと思います
本編の物語は終わっても、この二次創作としてのダリフラ……いや“ダリアマ”は、まだまだ
続きます!
「第13都市セラススにおける戦いでは獣人共の襲撃もあったようだが、なんとか事無きを得たようだな」
「その件に関しては我々はお前に礼を言わねばなるまい。お前の助力のおかげで叫竜を倒せたからな」
空中要塞コスモスにて、七賢人達は自身らが腰を下ろす円卓の椅子に囲まれたような位置で対面する少女…ブラッド・スタークに労いの言葉を送る。
「よしてよ。ボクはボクの目的の為にやった。お互いギブ・アンド・テイク! だろ?」
しかし当のスタークはおチャラ気な雰囲気でもって、ピースサインを送りつつそんな事を
宣う。
「それで…フリングホルニの建造はどの程度かな?」
「お前のデータを基に作業は順調に進んでいる。しかし関心なのは……」
「“グランクレバス”。かの兵器が眠る場所。あそこは叫竜の数が尋常じゃないから、そう簡単には行かないわけか」
賢人の言葉を繋げるようにスタークは言う。
グランクレバスとは、様々な叫竜が右往左往と跋扈し無尽蔵に湧き出る魔の巣窟。
更に言えば、七賢人らが求める“ある兵器”が存在する場所でもある。
「あそこを押さえなければ、フリングホルニを建造しても意味がない」
「あの場所を手にすることは長きに渡る悲願そのもの。何としてもグランクレバスを制圧しなければならない」
首席と副首席の言葉に対し、スタークはふぁぁと欠伸を零しつつその真意を問うた。
「ボクに何かしてほしいの?」
「簡単なことだ。13都市の監視をしてもらいたい。13都市にいるあの娘……イオタは悲願の要だ。または“鍵”とも言っていい」
「その鍵をグランクレバスまで無事運搬したいから、監視を?」
「できれば13部隊の助力もしてもらいたい。やってくれるかね?」
首席からの直々の依頼に対し、スタークは特に嫌な顔一つせず、いつも通りのニヤニヤとした顔で言った。
「OK。13部隊にはボクも興味があるから、
やってもいいよ」
答えは、承諾だった。
「それじゃあ、こっちも用事があるからこれにて。チャオ〜!」
最後に定番と言える台詞と共に黒い蒸気に紛れ、スタークはその場なら消え去った。
※ ※ ※
ゆっくりと瞼を開け、意識を明確化させていく1人の男…鷹山刃圭介は見慣れない天井に
疑問を抱いたものの、すぐにここが病室だと認識する。
「じん!」
声が聞こえた。誰のものかは明白だった。
「よぉナナさん。………なんて顔してんの。せっかくの美人が台無しになっちまう」
ナナ。鷹山が愛する女性であり、13部隊にとって保護者とも呼ぶべき立場と信頼を寄せられている人物。
そんな彼女は今、顔をくしゃりと歪ませて、少しばかり両の瞳に潤いを纏わせていた。
鷹山にはその理由が分かっていた。
他ならぬ自分なのだと。
「起きて早々何言ってんの!! 心配したのよ……バカぁ…」
「あ、いや、わ、悪かった! ごめんナナさん!! 泣き止んでぇぇ〜!!!」
なんと、涙を流し泣き出してしまったナナ。
当然と言えば当然の結果だが、困惑するしかない鷹山は何とか宥めようとするが、これが
また中々上手くいかない。
「ヒック……ウゥ……よかったぁ……」
「ナナさん……」
「このまま……死んじゃうんじゃないかって、思っちゃった……ダメね、私」
片腕を失くし、中枢臓器を一個損傷する程の重傷を受けた鷹山の容態は決して楽観できるものではなく、下手をすれば命を落としていたかもしれない。それほどだったのだ。
そんな危機的な状態に愛する人が陥っているのを平然と受け入れられるナナではない。
彼を思い慕っている。それは信頼からであると同時に恋慕の情から来るものでもある。
そんな彼女が鷹山の容態に不安と恐怖を抱かない筈がないのだ。
「刃さん!!」
「刃兄ぃ!!」
二つの声と共に病室のドアが開かれる。
入って来るのは13部隊のコドモたちだ。先程の声はヒロとゼロツーのもので、誰よりも早く鷹山の側へ寄った。
「大丈夫ですか?!」
「腕失くしたって聞いたけど、なんで?!」
「おーおー落ち着けって、お二人さん。この
通りのザマだが生きてるよ。あと、腕もな」
一度失ったものの、アマゾン細胞の再生力で元に戻った腕をヒラヒラとさせて“大袈裟だな〜”と苦笑を零す鷹山。
本人はこんな感じなのだが、断じて大袈裟と言って笑えるものではないのは事実だ。
ここへ運び込まれた時には既に死んだに等しい危篤状態だったのだから。
「で、叫竜の方はどうなった? まぁ、見舞いに来てんだから倒したよな」
「倒したには倒しました。でも……」
ヒロは叫竜との戦いの顛末を隠す事も誤魔化す事もせず、ありのままに伝えた。
全てを話し終えた頃には鷹山は顔の眉間に皺を寄せて、疑念を孕んだような表情を作っていた。
「ブラッド・スターク、ねぇ。お前にベルトをくれてやった奴が助けた……本人は善意とかじゃなくて、目的があってやった…って、言ったんだよな?」
「はい。その目的が何かは分かりませんけど……」
ブラッド・スタークに関してはヒロの検査をする上で既に本人からある程度は聞いていた為、一応知ってはいる。もっともスターク本人を直で見たことは一切ないが。
「まっ、色々思う所はあるかもしれねーけど、叫竜は倒せたんだろ? なら問題ない」
「それは…そうですけど……」
何処か煮え切らないと言った表情で言葉を濁すイチゴだが、これに関して言えば13部隊のメンバー全員が心中を一致させており、誰もがイチゴと同じ悔しさと屈辱を織り交ぜたような顔で雰囲気を沈殿させていた。
そして、それを代弁するようにゾロメが口を開いた。
「俺たち、今回が初めてなんですよ。叫竜と戦うの。なのに最後の決め手をあんな奴に取られて……そもそも、アイツの助けがなかったら俺たち……多分」
その先を言いたくなかったゾロメは、そこで言葉を絶った。
敗北の一択だったと。既に分かり切っていることを声に出して再確認などしたくないのだ
。記念すべき13部隊の対叫竜における初戦はスタークの手によって成し遂げられた。
何処の馬の骨とも分からない人物の手を借りなければ、どうにもできず壊滅は必須だった
。
その事実が何より情けなくて堪らない。
「だったら、強くなれ」
しかし鷹山はそんな事など、どーでもいいとばかりの口調で言葉を一つ紡ぎ出す。
「悔しいのはいい。情けないって、そう思えたらそいつは上出来だ。後はそれをどう活かすか。こいつが重要だ」
普段はアレなところもあるが、鷹山の語る物は決してどーでもいいと一蹴できる程度ではなく、その証拠に誰もが鷹山に注目の視線を投げていた。
「スタークって奴に手柄横取りされたみたいで癪に触るのなら、そんなことさせない位に強くなれ。まずはそっからだろ」
呑気に欠伸して気の抜けた空気と声を吐き出す鷹山。せっかくの雰囲気が台無しになった
感じも否めないが、しかし彼の言葉は理に適った合理的なもので、コドモらの心には十分響くものがあった。
「そうっすね!! 初めがダメでも次で決めりゃあOK!ってことですよね!?」
「まぁ、バカっぽく言えばな」
「確かにバカみたい」
「バカだね」
「バカですね」
連鎖反応でも起きたのか。そう言いたくなるような現象が鷹山のゾロメに対するバカ発言を筆頭にミク、フトシ、ミツルが同一の意見を連結させては口々に言う。
当然、そんなこと言われて黙っているゾロメではない。
「んだとゴラァッ! なんでお前らにまでバカ呼ばわりされなきゃいけないんだよ!? つーか、刃さんも酷いっすよ!!」
「いやぁ、現にそうじゃん?」
「落ち着きなって。あんたがバカなのは皆知ってるから」
「ひでーよミクゥゥッ!!」
先程の真面目だった空気は何処へやら。いつの間にか病室には笑いと活気が溢れ満ちていた。
※ ※ ※
鷹山の見舞いを終え、ミストルティンへ戻ろうと通路を歩いていたヒロとゼロツー。
他のみんなは先に戻っており、みんなより遅れて戻ることになったのは鷹山に対する相談事があったからだ。
何故、あの叫竜戦でストレリチアのアマゾン化ができなかったのか。
そこがヒロとって気になる所だった。
初めてのストレリチアに乗ったあの時、叫竜から感じ取ったアマゾンの気配に呼応するかのように変身しアマゾンとして覚醒したヒロ。そして、同時に無意識に出てきたあの触手
はゼロツーに纏わりつくようにして、彼女に同調。
ストレリチアがアマゾン化のような現象を意図せずして成し遂げたのだ。
何故、あの時の触手が出せなかったのか。
あの時と今回とで何が違い、何が足りなかったのか。
次々と沸き起こる疑問に対し、鷹山は有無を言わせない真剣な瞳でヒロを見据え、そして
答えた。
「わりぃ、全然分からん」
「え」
「いやね、こーいうのってさ、マジで前例がないんだよ。一応調査とかそーいうのしてる
けどよ、中々上手く進展してねぇんだよ」
死にかけたにも関わらず上半身を起こし、何事なく普通に会話する鷹山。そんな彼にヒロは面と面で向かい合っているこの男の人外ぶりに戦慄すると同時に、その口から紡がれた言葉は望んだ答えのソレではなかった。
「爺さんに聞いても無駄だ。色々調べてくれてるみたいだが、俺と同じ。まぁもうちっと
時間が経てば何か分かるんじゃないか?」
「そう…ですか。すみません。時間を取らせてしまって」
「気にすんな。何かあったらいつでも言え。
子供なんだから、大人を頼れ」
オトナに頼る。
七賢人のパパや彼等の導きに従うオトナたちの為に叫竜と戦うコドモ、パラサイト。
その1人であるヒロにとってその言葉は異質で、考えた事もない発想だと言えるものだった。
幼少の頃からコドモたちはオトナの為に在れと様々な教育を施され、その存在意義を一個の命として生きることではなく、フランクスに乗るパラサイトとしての真価に見出す。
今のヒロもそうだ。
パラサイトになれない、フランクスに乗れないコドモに何の価値があるのか。
ゼロツーに出会ったからこそ、こうしてパラサイトとしてフランクスに乗ることができる
が、もし出会わなかったら……。
現在というこの時間にいるヒロは全く存在せず、違った未来があったのかもしれない。
「あ、ありがとうございます」
鷹山の言葉に戸惑いつつ、不思議と安心感も芽生えて来たヒロは感謝の意を込めた言葉で
返すヒロ。
それに対し鷹山はいつもの飄々とした雰囲気とニヤけ顔を作る。
「だから、いいんだよそーゆーの。力になれてねーし」
頭をボリボリ掻いて、若干照れ臭そうに言う鷹山にヒロは意外性を感じつつ、病室を出て
今に至る訳だ。
「ねぇ、ダーリン。ちょっと寄り道してこ♪」
「え、ちょっ、ちょっと!!」
突然何を思いついたのか。ゼロツーはヒロの手を取って引っ張り、急ぎ足でミストルティンとは別の道をどんどん進んでいく。
「待ってゼロツー! どうしたの?!」
「いいからいいから。絶対驚くと思うよ?」
問い質しても聞く耳持たず。普通に流すゼロツーにヒロは困惑しつつも、彼女のリードに逆らわず、されるがままに手を引っ張られていった。そうしている内に一つのゲートに行き当たった。
「ゼロツー、ここは無理だよ。コドモの認証IDじゃ通れない」
13都市の施設内には、ゲートと呼ばれる物が何百という単位で設けられており、これは謂わばセキュリティの一種だ。
一見すると緑色に文字表示が浮かぶホログラムの膜のように見えるが、認証コードが一致しない者が通ろうとしても通れず、その際はブザー音を鳴らして赤くなる仕様となっている。
「ふふ、大丈夫。見ててよ」
それを前にしてもゼロツーは動じることも、残念がることもなく。
ただ、通れる筈のなかったゲートを通り抜けてしまった。
「え、えぇ?!」
びっくり仰天とばかりに目を剥いて驚き面を晒すヒロ。そんな彼にゼロツーは不敵な笑みを浮かべながら、向こう側から手を開いて見せた。
手の平には、なんとAPE上層部にしか持つことを許されないS級認証IDがあったのだ。
コドモの持つ認証コードでは決して入ることのできないそれをゼロツーは難なく突破し、
しかも自分の掌を開いてS級認証コードの所持を明かして見せた。
これらの事実のおかげでヒロは思わず呆気に取られる他にない状況だが、そんな彼の心境なぞ露知らずとばかりにゲートから半身ほど乗り出し、またもやヒロの手を掴んで強引に引っ張る。
するとどうだろう。
ホログラムの壁は壁としての機能を果たす事なく、ヒロを通過させてしまった。
「知らなかった? こうやって行けばいいんだよ」
変わらず不敵な笑顔を崩さないゼロツー。
そんな彼女に内心ヒロは苦笑しつつ、されるがままに彼女と共に先を進んで行った。
2人はしばらく歩いていたが、やがて出口へと辿り着き、ヒロはその出口の先の光景に思わず息を飲む。
「ここって…オトナたちの街?」
煌めきを放つオレンジ色の建物が無機質に佇み、ただ静寂が支配するだけの閉ざされた世界。ゾロメが見たらきっと喜ぶに違いない。
だが少なくともヒロはそんな気にはなれなかった。
「なんだか……死んでるみたいだ」
「ボクもそう思うよ。こんな閉ざされた世界、棺桶も同然さ」
誰も生きてなどいない死の街。それがヒロがこの街を見て感じた素直な気持ちで、それにゼロツーも同意見だと言う。
永遠の命が約束されたオトナたちが住む都市。
しかし、ヒロはこことは違う街の景色を何処かで見たような気がしていた。曖昧過ぎて、明確には言えないが、それでも何故だかそう思うのだ。
「? どーしたの、ジロジロ見て」
ゼロツーはヒロの自分を見る視線に気づき、疑問符を浮かべ怪訝な表情で問い質す。
慌てつつもすぐに弁解を述べた。
「ご、ごめん。名前考えてたんだ」
「名前?」
「うん。得意なんだ。誰かに名前付けるのって。ほら、なんかゼロツーって番号みたいだし、味気ないっていうか……」
「ほっといて」
「え?」
「ボクにとって大切な人が付けてくれた名前なんだ。ダーリンからしたら味気ない番号に
聞こえても……ボクにとっては本当に大切なものなんだ」
心外だ。そう言わんばかりの非難するような声質でヒロを睨むゼロツーの瞳は、まるで冷え切った鉄のようで、暖か味など存在しなかった。
「ご、ごめん!! そんなに大切なものだったなんて……」
「別にいいよ。それよりさ、ダーリン。キミとボクでここから逃げちゃう?」
気分を悪くしかねない、そんなつまらない話など早く終わらせたいとばかりに話を摩り替えるゼロツー。
だが彼女の口から紡がれた言葉は、ヒロの脳では秒速と呼べる素早さで回答できるものではなかった。
「に、逃げるってどこに……そんなの無理だよ」
「そう? ボクならキミを連れ出してあげられる。こんな閉ざされた世界じゃなくて、海も空も、いろんなものがある外の世界へ」
ゼロ距離と呼ぶに相応しい位にまでヒロに近付くゼロツーは、妖艶な笑みを浮かべては人差し指と中指を艶めかしく動かし、パートナーの唇をなぞる。
それはまるで、蠱惑的と呼ぶに相応しい誘いの言葉。行動も伴ってか、一歩間違えばどんどん引き摺り込まれてしまう。そんな魅力をゼロツーは嫌と言うほど醸し出している。
それ故か。自身の胸がより高く鼓動する感覚を覚えたヒロだが、ゼロツーの言葉に視線を外すことなく、しかと見据えて言う。
「それはダメだ。ここにはみんながいる。俺の仲間たち……13部隊が戦うなら、俺も戦いたい」
その瞳に嘘偽り、揺らぎは一切なかった。
彼の言葉が真実と悟ったのか、しかしゼロツーは絶えず笑みを浮かび続けるばかりか、更に笑みを深める。
「冗談♪ そろそろ戻ろっか。ナナとかハチに見つかると面倒だし」
そう言ってゼロツーは先程と同じようにヒロの手をとって、その場を去ろうとする。
自信を引っ張っていくゼロツーの後ろ姿。
それを見て、ヒロはある事を思った。
なんで、君はそんなに悲しそうなんだ?
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