ダーリン・イン・ザ・アマゾン   作:イビルジョーカー

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更新遅くなってすみません。(-_-;)

今回はいよいよ13部隊の“駆除班”としての活躍を描いた新章です。

どうぞ。

※大幅に修正しました。






~狩り、始動~
Den of Beasts《獣の巣窟⦆前編


 

温室でのミツルとココロのやり取りがあった同時刻。ヒロとゼロツーは、湖畔へと足を運んでいた。

その理由はゼロツーが“ある事”を確認したいからだった。

 

「ダーリン。身体に異常はない?」

 

「う、うん。特に何ともないよ」

 

今現在のヒロの身体の状態。それがゼロツーは知りたかったのだ。何故そうしたいのか……その真意は薄々ながらも感付いていたヒロは、それについて後ろめたさを覚えつつも、敢えて追求しようとした。

 

「パートナー殺し。ダーリンも知ってるでしょ? 僕の噂をさ」

 

が、それよりも早く、本人がヒロの言いたかった事を口にした為に彼の決心は杞憂に終わったが。

 

「………君に三回以上乗れたステイメンはいない。何故なら、三回目で必ず命を落とすから……だったよね」

 

「うん。悲しく恐ろしいことに事実なんだよな〜それ。だから、ボクはいつも独り」

 

まるで何でもないかのように陽気めに言うが、それでも。

ゼロツーの表情に悲哀の翳りが見えたのはヒロの見間違いではない。あの男性ステイメンがそうであったように彼女にはパートナーが何人もいた。

“いた”、という過去形なのは彼等がもうこの世には存在しないからだ。命を吸う呪い。叫竜の血を引くが故の何かしらの能力なのか、あるいは本当に呪いという概念に位置する超常のモノなのか。

ゼロツー本人でさえ知り得ないが、確固たる現実の事象としてそれはあった。

ステイメンは肉体的負荷と共に急激な老化に見舞われ、最後には命を落としてしまう。

だが、例外はいたのだ。

今のパートナーであるヒロというアマゾンの少年が。

 

「ゼロツーは、どう思うの? 今まで君と乗ったパートナーたちの事。……それに、俺の前任だったあの人も」

 

あまり聞くべきでは無いと思うが、それでも知りたいと思い、ヒロは戸惑いを感じながらも質問を投げかけた。

そんな彼を一瞥したものの、すぐに後ろを向いて湖畔へと視線を逸らす。まるで、ヒロの真っ直ぐな双眸から逃るように。

 

「………どうなんだろうね」

 

ヒロの問いに対し、彼女の答えは曖昧としたものだった。

 

「少なくとも、どーでもイイなんて思えないのは……確かなんだけど」

 

自分でも分からない。彼女の答えはそういった類のものだが、それでもゼロツーの真意を聞けた気

がしてヒロは内心安堵した。彼女は普通の人間……特にパラサイトであるステイメンからすれば過剰な恐怖を抱かれてしまいかねないのは否定できない。

乗る度に命を吸われ、最後には死に至る。

そんな呪いを持つゼロツーに今まで、彼女と共に乗ってきたステイメンたちは純粋な信頼や友情をもって、頼れるパートナーとして戦って来たのだろうか?

否、恐らく違うだろう。

忌々しさ。憎しみ。嫌悪や恐怖。そのような目で見ていたのかもしれない。断定はできないが、それでも前のパートナーだったステイメンはあの棘のある言葉もそうだが、それ以上に忌々しさや憎悪と言った

、所謂“負の感情”という言葉が相応しい目でゼロツーを見ていた事にヒロは気付いていた。

彼とゼロツーの間に何があったのか。

それをヒロは知らないし、知ろうとして聞いたとしても彼女は答えようとしないだろう。なんとなくだが、ヒロはそう感じた。

 

「で、どうするダーリン? 今は大丈夫だったとしても、次は分からないよ? もしかしたら…死んじゃうかもしれない」

 

ヒロの顔に自身の顔を近付けて、ゼロツーは不敵、あるいは艶美とも取れる独特な笑みで問いを投げかけて来た。

 

「乗るよ。君のおかげで俺はパラサイトになれた。だから、これからも君と一緒に乗り続けて、戦いたいんだ!」

 

「!!……ふふ、あっはっはっはっ!!!」

 

力強く、大胆ともとれる宣言。

その言葉にゼロツーはまさに花のような笑みを浮かべては、狂喜とばかりに笑い上げ、踊り舞う。

そんな2人を何処までも広がる空だけが見つめていた……。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

「おお〜!! かっけ〜なコレェェ!!!」

 

ゾロメが目を輝かせて、その両手で持った物をマジマジと見つめる。

それは一般的に見て銃と呼ばれる武器で、型で言えばマシンガンのそれに近いデザインだ。

 

「おい。いくらセーフティーシステムが掛かってるからって、雑に扱うな。怪我するなんてもんじゃ済まなくなる」

 

そう言ってゾロメの両手にあった銃を没収した鷹山は、その銃を大きめのテーブルの上に置く。見ればそのテーブルの上には今さっき置いた銃だけでなく、形状や大小において色とりどりの武器の数々が陳列されていた。

これらは昨日の夜にコロニーから13部隊のいるセラススに届けられたもので、前に鷹山が言っていた通り、この武器全てがコドモ用に扱い易く安全性においても問題ない特注の逸品となっている。

そして今回はそのお披露目と言うことでミストルティンの館の居間で13部隊のコドモ達に見せているのだ。

 

「いっぱい、ありますね……」

 

「戦闘でメインになる武器が1種類に近接型の武器が6種類。戦闘及び緊急事態を想定しての補助・医療用器具10種類。全部合わせて17から成る個人武装一式だからな」

 

イチゴの言葉に鷹山が一つ筒型の物を取って手の平で弄るように確認しつつ、そう答えた。

 

「それ、なんですか?」

 

筒型が何なのか。それが気になった様子で人差し指をそれに向けて鷹山に質問するナオミへの返答は、こうだった。

 

「爆弾」

 

「うぇっ?!」

 

至極平坦。

何てこと無いかのように答える彼はそう答えるものの、それを聞いたナオミや他のコドモたちは冗談として処理できない、そう言わんばかりの引きっぷりリアクションを展開させた。

その際ナオミは咄嗟に変な声を漏らしてしまい、ゾロメに至ってはテーブルの下に潜り込んでしまう始末だ。

 

「んな驚くなって。頑丈なロックが掛かってるから、安心しろよ」

 

「そ、そうだとしても普通驚きますよ?!」

 

鷹山の呑気な言葉にヒロは反論の声を上げるものの、そのパートナーたるゼロツーは先程の発言に動じることは一切なく、普通に手に取って武器を観察しているが。

 

「刃兄。なんかこーさ、ドカンってぐらいに火力の強い武器ないの? バズーカみたいな」

 

「バズーカレベルの武器なんか使わせるわけねーだろ。言っておくけどな、あくまで俺とヒロの支援がお前らの役目だから。もし何かあって爺さんやあのクソジジイ共にドヤされるのはゴメン被るぞ」

 

彼の言う“クソジジイ共”とは七賢人の事だ。

正直な所、鷹山自身は七賢人のことを良く思ってはおらず、むしろ嫌悪感を剥き出す程に心底毛嫌いしている。

これに関してはフランクス博士も似たようなもので、度々意見の衝突が起きるのだが大抵はフランクス博士が押し通すのが常だ。今回のテストチームにおける13部隊結成も長年の実績をダシに無理矢理押し通した結果なのだ。

とにかく。そんな鷹山のボヤきを軽くスルーし、また別の武器や装備品を品定めしていくゼロツーの姿に堪らず溜息を吐いてしまう。ここで一応断っておくが爆弾…厳密には『設置型手榴弾』はあくまで閉鎖空間に閉じ込められた際の脱出手段であり、または行く手を遮る障害物の爆破を目的とした物である為、決して戦闘用ではない。

 

「はぁぁ……まぁ、今に始まったことじゃねーわな」

 

皮肉混じりにそんな事を宣う鷹山。そんな彼に今度はヒロが質問して来る。

 

「あの、刃さん。俺の武器って無いんですか?」

 

「ん、ねーよ」

 

一切間を空けずの即答だった。

 

「お前のベルト……多分、可能性の話だけどそれに武器を生成する機能があると思うぞ。俺の奴もそうだし。詳しく調べたくてもお前以外に触れさせてくんねーからなぁ〜アレ」

 

ヒロの持つアマゾンズベルトはまるで、磁石の同極の反発力に似た感覚の不可視のバリアで守られ、解析装置にかけてもその内部構造を知ることはできない。バリアはそれなりの力があれば突破できなくはないが、触れた瞬間に強烈な電流が発生してしまい、結局はほんの爪先程度の分解さえできない始末。

 

「つーか、俺と同じで変身できるから実質必要ねぇだろ。俺も使ってないし」

 

「そう言われるとそうなんですけど、ほら、何があった時の為に必要かなって」

 

本心的には自分もカッコイイ武器を使ってみたい、などと考えているのだが恥ずかしさが邪魔をしていた為、正直に言えなかったのは内緒だ。

 

「なるほど。一理あるな。けどまぁ、それは後で試してみるとして、今は試運転だ。13部隊パラサイト専用武装一式の性能をな」

 

そう言って、鷹山はニヤリと不敵に笑って見せた。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

訓練は問題なく実行された。

まず始めに行ったのは全員が持つ共通武器『リザスターガン』の射撃訓練からだ。

この銃はその外装を見るにライフル銃それだが実弾でなく、ギガのエネルギーを収束させて弾丸状に射出する機関が備わっている。その為、実弾を使うことはできないが状況に応じて四つのモードの切り替えが可能。

一つ目は、自動照準で敵を捉え、連続で弾丸を射出できる近距離戦闘型『オートマシンモード』。

二つ目は遠距離の敵を狙撃する『スナイパーモード』。

この2種類のモードを戦闘時においてどう使い分けるのか。それが、使いこなす上で重要点になるだろう。

この訓練の成績結果は全員ばらつきはあったものの、合格点だった。特にミツルとイクノのクロロフィッツ組は射撃型の武装を有したフランクスに乗っている為か、銃の腕前に関しては並以上の実力を持っていると言ってもいい。

この次に行われた訓練は近接型の武器を用いてのもので、近接型はリザスターガンと同様に各員共通で10種に分かれている。

まず1つ目に真鍮色の対アマゾン用有毒色素を有するコンバットナイフ『メナゾス』。

2つ目はガットフックと呼ばれる先端に返しがあるタイプのナイフにしか見えないが、一度振るえば刀身のパーツが分割され、刃渡り20cmから最大で1mほどに伸びる蛇腹剣のような仕組みを秘めた逸品。名を『ヨルムンガンド』。

3つ目は先の方の半身を幅広くしたような形状の『ブッシュナイフ』と呼ばれるタイプの刃物で、一見すると変わった形状以外は普通のナイフに見えるがこの武器の名は『ヒートブッシュ』。

熱を意味する英単語の“ヒート”の名が指す通り、刀身から150℃の高熱を発して対象を焼き切る武器だ。アマゾンには高熱を嫌う者もいる為、こうした高熱を利用する武器はある種の切り札にもなる。

4つ目は黒い長方形型の盾を備え、更には刃渡りが30cmに伸びる剣が仕込まれたガントレット『アームシールド』。強度は手榴弾レベルに近い威力の攻撃にも耐えることができ、射撃能力を持つアマゾンに対し有効な成果を誇る。

5つ目は戦闘用の斧である『アマゾン・トマホーク』。特徴としては投擲に特化しており、投擲武器としても利用可能。また刃の部位に軽度の衝撃波を発生させる装置が組み込まれており、これを用いて威力を倍増させるができ、場合によっては敵の意識を奪う事も可能。

6つ目は対象に蹴りを入れると同時に電撃を放つ、電磁発生端末を搭載したレガースブーツで、名は『ミョルニル』。アマゾンは共通として電気に対する性質的弱点があり、これはその弱点を突くと同時に防具としての面を兼ね備えた打撃武器だ。

以上で13部隊が扱う近接武器は終わるが、これらを用いての訓練はリザスターガンと比べると難航を示した。

と言うのも、フランクスでも接近戦に特化したアルジェンティアに乗るゾロメとミクは特に問題なかったのだが、イチゴは体術のセンスが悪く、ゴローはナイフを操る剣筋はいい方なのだが斬りつける際の踏み込みが甘く、付け入る隙が出来てしまうのが難点だった。

ココロはこれと言って問題はなく、射撃の腕は優良な部類に入るがそのパートナーであるフトシはと言うと、盾を持って防げるにも関わらず、つい怯んでしまう癖があった。更に戦闘の際の動きも緩慢な部分が随所に見られる。これでは付け入る隙がかなり多く、そこを突かれても文句は言えない。

イクノはイチゴと同様、体術方面に難があり、ついでに言ってしまえば近接武器全般の腕前は中々だが、まだ基本レベル。

これに関しては時間が必要な為に文句は言えないが、ミツルは伸びる剣という特異な武器であるヨルムンガンドの使用が難しいらしく、標的に向かって切るという初歩すらできていなかった。

ゼロツーはさして問題なかったが、敢えて言うのなら少し協調性に欠ける面があり、今後の戦闘における不安要素になりかねないのが悩みの種だろう。

最後にナオミ。彼女は近接武器全般の扱いが上手く、体術のセンスも文句無しで基本レベルを容易に出られる程こなす様はさすがの鷹山でさえ、驚愕する他になかったらしい。

こんな具合に13部隊パラサイトたちの近接武器による訓練結果を見て、鷹山はどこか顔に苦々しさを含ませているかのようだった……。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

「まだ始まって間もないってのもあるが……こいつは、拙いなぁ」

 

都市内部の廊下を歩きながら、パラサイト達の訓練の詳細データが記されたタブレットの画面を見つつ、歩を進めていた鷹山はそんな独り言を零した。

 

「仕方あるまい。彼奴らは今までフランクスに乗る為の訓練しかされてこなかったのだ。そう易々と望む成果など得られまいよ」

 

その前にはフランクス博士とハチがおり、彼の言を耳に入れたフランクス博士は返す必要がないにも関わらず、そう言った。

 

「とは言え、鷹山博士の言葉にも一理あります。現状パラサイトとしては着々と成果を上げてはいますが、アマゾンを狩る“駆除員”としての成長は芳しくありません」

 

今度はハチが鷹山に同調するように言う。

確かに13部隊のパラサイトとしての成長速度は早い。あの襲撃から3週間という短期間で叫竜を11体倒す戦績を収めており、他の隊では同期間で5体か7体といった10に達しない割合が殆どであるのに対して、だ。

これを鑑みれば13部隊がいかに異例な存在であるのか。それがよく窺い知れる。このテストチーム特有の産物とも言えるだろう。しかし

、その一方で鷹山指導の対アマゾン訓練では全くないと言うわけではないが……あまり良いとは言えなかった。

 

「筋は悪くない筈なんだが……こりゃあ、てっとり早く実戦させた方がいいかもな」

 

まだ実戦できるかどうかも怪しい段階だと言うのに実戦させる。楽観的且つ、いい加減な思考判断とも取れる鷹山の案にハチは無表情ながらも難色を示した。

 

「まだ実戦レベルに至ってない段階で彼等にそれを課すのは……」

 

「いいやハチ。ワシも其奴の意見に賛成だ。実践という一つの経験は、数百の訓練による経験よりも遥かに勝ると言える」

 

ハチはあまり薦められないと言ったものの、逆にフランクス博士はこの案を良策ととらえたようだ。

 

「真に命を賭けた戦いだからこそ、秘められた能力が開花する場合もある。訓練が上手くいかないのであれば、そういったアプローチで試してみるのも悪くなかろう……だが」

 

唐突に一区切り置き、フランクス博士はつい一瞬前とは違った空気を発した。

 

「刃よ。コドモ等を死なす様な真似だけは、するなよ?」

 

一旦立ち止まり、鷹山のいる後ろへと振り向いたフランクス博士の眼光には学者気質な年寄りとは思えない気迫が確かにあり、それは鷹山へと向けられていた。

 

「彼等は貴重なテストチーム。そしてゼロツーは“鍵”なのだ。よく肝に命じておけ」

 

「…………分かってるって爺さん。俺は、子供を守る大人だ。ここで惰眠を貪ってるだけのオトナじゃない」

 

“コドモに守れるオトナではなく、子供を守る大人”。

いつもの飄々とした雰囲気を一切感じさせない、確固たる信念できたような視線でフランクス博士を見据え、鷹山はそう言った。その言葉に対しフランクス博士は特に何かを付けることはなく、平坦に『それでいい』の一言で済ませたものの、その表情には気のせいか嬉々としたものがあった気がした。

少なくとも、ハチにはそう見えた。

 

「しかし実戦をするのであれば相応の獲物が必要だな。そんなに都合良く……ん?」

 

ふとフランクス博士が来ている白衣のポケットが震えていることに気付き、手を入れて弄り、震えの正体を手にする。

 

「む、いかん。マナーモードにしておったわい」

 

コドモたちやハチなどがよく使う通信端末だった。マナーモードにしていた為音が鳴らず、その代わりに微細に振動していたらしい。

 

「マナーモードとかあんのかよ、それ」

 

「どうした?」

 

鷹山のそんなどーでもいいツッコミをスルーし、フランクス博士は通信端末を開き連絡者を確認する。半透明の黄色に染まるホログラムのモニターには、無機質な仮面を付けたオペレーターの女性の顔が映し出されていた。

 

『博士。至急ハチ司令官及び鷹山博士と共にオペレーション・ルームへ来て下さい。微弱ながらアマゾンの生体反応がこの都市内部に観測されました』

 

「分かった。すぐに行く」

 

そう言って通信を切り、フランクス博士はやれやれと言わんばかりの溜息を吐いた。

 

「はぁぁ。どうやら、お目当の獲物が都合良く向こうから現れてくれたようだ……」

 

「そうかい。そいつはイイ」

 

うんざりしたようなフランクス博士とは違い、鷹山は至極当然とばかりに嬉しそうに小さく笑う。何処か、獲物を狩ることを楽しんでいる狩人のようだった。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

「ここか。確かに匂いがする……それに気配もな」

 

第13都市セラスス内部に存在するビル群の中で、一際大きい建物の前には13都市を守護するフランクスのパラサイトであるコドモたちが全員揃い、鷹山はその眼前に立っては

建物から漂う臭いと気配に当たりと目を光らせ、獰猛に口端を釣り上げる。

 

「刃さん。ここに、本当にアマゾンがいるんですか?」

 

イチゴがリザスターガンを両手に持って質問して来る。その質問に対し鷹山は隠す事なく普通に答えた。

 

「ああ。けど“間違いないか”って言われたら微妙なとこだな。観測機器の装置だと反応は出てるが

弱過ぎてイマイチだからな。俺の気配感知や嗅覚をフルに使っても結果は同じと来りゃあ……こいつはぁ、結構キナ臭い」

 

アマゾンの中には、同族同士の感知能力を掻い潜る能力を持つ者がおり、今回の狩りの獲物はそれに該当する可能性が非常に高かった。

 

「ヒロ。何か感じるか?」

 

ゴローの問いにヒロは首を横に動かす。どうやら、鷹山と大して結果は変わらないらしい。

 

「それが、刃さんの言った通り反応が弱過ぎて……建物の中にいるのは分かるんだけど、中のどこにいるのかが分からないんだ」

 

「まっ、とにかく入って確認しなけりゃ始まらないだろ」

 

そう言って今回の任務内容を鷹山は説明した。

 

「この建物から微弱過ぎるがアマゾン反応が観測された。ここは500人にいるオトナの居住施設のマンションで、観測後ここに住んでる連中に連絡したが音信不通。そこで俺達が調査に来たってわけだ」

 

「す、すげ……こ、ここがオトナの街!!」

 

「ちょっとゾロメ! ちゃんと聞きなさいよ!

!」

 

鷹山が説明中にも関わらずゾロメは目をこれでもかと煌びやかに輝かせ、憧憬のそれらしき感情で顔を彩る。その横ではミクが諌めるように言うものの、どこ行く風だ。前々からゾロメがオトナに対して煌びやかな憧れを持っていることに関しては、既に周知の事。当然それは鷹山も分かってはいるが

、だからと言ってこのまま為すがままにさせておく訳にはいかなかった。

 

「…………まぁ、なんだ。うん。俺達に課せられた遂行事項は三つゥゥッッ!!!!」

 

ここでわざと大きく声を張り上げ、鼓膜へと声を叩きつけんばかりの勢いで吼える男の声にさすがのゾロメもハッと我に返り、堪らず背筋を伸ばし、聞く体制を整える。

 

「一つ、もし生き残っているオトナがいたら救助を優先し、怪我をしていた場合は迅速な応急手当てを。二つ、決して独断専行や勝手な行動を取らず、アマゾンを発見したら即退避して俺に知らせろ。そして三つ……なにがあったとしても、死に物狂いで生きろ。絶対だからな? そこんところ頭に入れておけよ……特に!!」

 

語尾をやたら強調し、無骨な手で鷹山はゾロメの頭をむんずと掴み、変身した時の複眼と同じ色に瞳を光らせながら彼のアメジスト色に染まる瞳へと覗き込む様に、視線を合わせた。

そして、鬼すらも裸足で逃げ出しかねない程の猟奇的スマイルを浮かべる。

 

「俺の話を聞いてなさそうな……ゾロメ君はなァ」

 

「は、はひ…」

 

わざわざ言わずとも分かる。怒ってる。

それをよく理解したからこそゾロメは何も言わず、いや、言えなかった。醸し出す怒気と凄惨な笑顔の二重奏という迫力が反抗心を根こそぎ奪い、完全に黙らせたからだ。

 

「分かればよし。んじゃ、鬼が出るか蛇が出るか……狩りの開始だ」

 

この言葉を合図に第13部隊のパラサイトによる“アマゾン狩り”が、幕を開けた……。

 

 

 

 

 






この話の元ネタ、実は原作アマゾンズのシーズン1の3・4話のトラウマ回です。
あの絶望感は個人的に“駆除班何人か死ぬんじゃないのか?”と思ってしまいましたし、
実際そう思った方も少ないかなと思います。





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