ダーリン・イン・ザ・アマゾン   作:イビルジョーカー

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投稿する前に色々と目を凝らして編集しますから目が死にそう……。




フラップ×アップダウン 中編

 

 

 

「で、あんまし勝手な行動は慎めと?」

 

嫌気が差す。

ブラッドスタークはそんな思いをバイザーで隠された顔に浮かべては、気怠げにそんな言葉を口にする。尤も、口だけは見えている為、どんな表情をしているかなどモロ分かりだが。

 

「問われるまでもない。あの局面でのお前の行動は至極、非合理的で計画性を感じ得ないことであるのは明白だ。スターク、我等に齎してくれた数々の功績には感謝している」

 

事実ではあるが、ここで主席は“だが”と一言置いて言葉を続ける。

 

「それとこれとは話が別だ。此度の一件、そう易々と水に流すわけにもいかないのだよ」

 

七賢人を束ねる主席の言葉を聞いてスタークは反省の色もなく、ただ退屈そうな欠伸を零すだけ。そんな態度が気に障ったのか、ゴリラの仮面の賢人が異議を申し立ててきた。

 

「貴様、その態度は何だ。これは貴様自身に対する疑義を正か否かとする場でもあるのだぞ」

 

「へぇ〜、そう」

 

飄々とした口調を崩さないがしかし何か…言葉として便宜上表現するのであれば、“悪意”とも言える底知れぬ情念が篭った賢人を貫く。

 

「それってさ。現在進行形でボクが疑われてるって、言いたいのかな?」

 

「そ、それは……」

 

スタークの異様な視線に臆したのか、言い淀むの賢人だが、ここで助け舟が出された。

 

「そうは言っていません。しかし、あのような局面でCode016の能力の検証などする必要はないのでは? もし、何か意図がお有りであるのなら、包み隠さず聞かせて貰いたい」

 

女性らしき体つきと声の賢人だ。彼女の質問はスタークの行動の是非を、本質を追求する為のもの。ここで妙なシラを切れば賢人達が抱く不信は確信へと変わり、スターク自身の立場を危うくするだろう。

 

果たして、どう答えるのか……。

 

緊迫した空気の中で、スタークはアホくさいとばかりに鼻を鳴らし嘲笑う。

 

「ああ、教えてあげるさ。今後の為にデータが必要だったんだよ」

 

「今後の?」

 

「そう。ヴィスト・ネクロは確実に力を付け始めてる。いずれその毒牙が突き立てられるのは目に見えてる。そうならない為にも……アマゾン・イプシロンの戦闘データが必要なんだ。あの子にはそれだけの価値がある」

 

イプシロンの戦闘データ収集の為。そう聞けば納得はいくかもしれない。

 

だが、あくまで賢人達は追求に徹した。

 

「では、その為にあのような事を? それこそ我々に言って貰えれば、戦闘の機会など何処でも好きな時に用意できたのだが?」

 

「加えて、そのせいでアマゾンを取り逃がし、更なる被害や損失を生んでいた可能性も否定できない。今回は大事なかったが所詮結果論だ」

 

主席と副主席の言葉にスタークは笑みを消す。

 

「グランクレバス攻略の日は近い。この大規模な計画を前に混沌を齎しかねない異分子も

要素など、存在してはならない」

 

「今回の一件に基づき、ブラッドスターク。貴方を重要監視対象として認定させて頂きます。ある程度の行動の自由は認めますが、度を越す行動・行為が見られた場合は即拘束させてもらう」

 

「異論はあるまいな?」

 

別の賢人達も続くように尊大な態度を崩さず、スタークへ物申して来る。

 

彼等の言葉の羅列の数々にスタークは深く、ただ深く溜息を吐く。

 

「…………はいはい、了解しました。こっちも疑われるのは心外だし色々面倒だ。

だから、アンタらの意向に従うさ」

 

妙に長い沈黙の後に発した言葉は、賢人達にとって納得のいくものだった。

 

「おや? また何かやったのかいスターク」

 

背後から声をかけられた。スタークが後ろを振り返えれば、一般のコドモたちが着ている制服とは異なった服装に身を纏った一人の少年だった。

純白の色彩に所々派手な装飾が見受けられるその服装はまるで王族、王子と称するに相応しいだろう。金髪を癖毛に仕上げ、淡くも煌びやかな翡翠色の瞳が特徴的だった。

 

「まっ、そんなとこ。キミがボクのお目付け役かな? “ナイン・アルファ”」

 

少年の名をスタークはそう呼ぶ。図らずも鷹山が変身するライダーと同じ名を持つ少年はその顔に浮かべた微笑を絶やさない。

 

「そうだ。そしてスターク、君には彼と共にイオタの迎えを頼みたい」

 

「ふ~ん……あの子を帰還させるの?」

 

「状況が変わったのだ。

世界各地でこれまでにないほど叫竜が活発化を始め、目撃例が少なかった大型個体が多く出現するようになり、その勢力を強めている。現状ナインズが対処に当たっているが彼等には他にやるべき事が色々ある。それ故にストレチリアの力がいるのだ」

 

「なるほど。でもあの子のステイメンは正式に決まってるけど、アマゾン・イプシロンの子も?」

 

「いいえ、彼女だけです。穢れた獣の血の特殊検体とのこれ以上の交わりは悪影響を及ぼしかねない」

 

女性の賢人が答える。

 

「あの娘と組みたがるステイメンは大勢いる。特殊検体と一緒でなくとも、問題はない」

 

淡々と。今度は副主席が答えた。

 

「これ以上、博士の気まぐれやあの娘の我儘に付き合う訳にはいかないのだよ。そして、これは君の名誉挽回としての責務だ。良い結果を期待する」

 

期待の二文字とは裏腹に主席の言葉には僅かな嫌味と、猜疑心が介在していた。

言いたい事はあるものの、今は大人しく言う事を聞く方がいいと考えたスタークは右手をプラプラと振り、やる気が見られない返答を送った。

 

「了〜解ッ! んじゃ、これにて失礼するよ」

 

踵を返しそのままスタークは去ろうとし、監視役であるナイン・アルファもそれに続く。

 

「待て、聞きたい事が一つだけある」

 

主席が制止の声をかけた。

 

「なに? まだあるの?」

 

「Code016が持つあのベルト……アレの詳細については、今も話す気はないかね?」

 

主席の鋭い視線が仮面越しにスタークの姿を捉えるが、それに負けない殺気の視線が主席を射抜くように捉えた。

 

「確か、前に約束しなかったっけ? お互いの機密情報はよっぽどの事がない限り、譲渡しないってさ。覚えてないのは……ちょっとね〜」

 

空気が張り詰めて行くのを感じた他の賢人達は思わず息を呑み込んだ。それ程までに殺伐としたもので、ついさっきまで平然と微笑を浮かべていたナイン・アルファもこれには笑顔を崩し、険しい表情を形成してしまう。

 

「どうやら失言だったようだな。すまない。私の言葉は取り消してほしい」

 

謝罪を口にはするものの、悪びれることなく主席はそう言う。そんな態度だがスタークはそれに対して何も言わず、静かにナイン・アルファと共に黒の蒸気に包まれ、その場から消え去った。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

苦しい。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、……」

 

熱い。

 

「はぁッ、はぁッ、はぁッ、…!!」

 

痛い。

 

「ぐぅッ、ヴゥゥ……ッッ!!」

 

深夜の闇の中。部屋に設けられた寝具であるベッドに身を寝かせたヒロはいつもより早い

鼓動と痛み、そして駆け抜ける熱さを感じて目を覚ました。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、………なんなんだ」

 

上半身を起こし、激痛と熱さに胸を押さえるヒロは原因不明の痛みに困惑しかなかった。

 

「この痛みは……一体……」

 

ともかく、寝よう。

 

今は消灯時間。勝手に部屋を出ることを許されていない為、再びベッドへと身を沈める。

態勢を少しはがり横向きにすると痛みは若干薄れたが、それだけだ。苦痛が無くなる事はなく気休め程度にしかならない。

 

(もしかして……ゼロツーに乗ったせい、なのか?)

 

ステイメンの命を喰らう呪い。それは以前から聞かされ、ゼロツー本人も認めている。

 

それが、原因なのか?

 

思い当たる節と言えば、それしかない。

 

もしそうだったとしたら、あのステイメンの人も自分と同じ苦痛を感じていたのだろうか

? そんな考えが頭を過るが次第に微睡みの誘いに意識が徐々に持っていかれ、最終的には眠りの闇へと落ちていった。

 

「?? ……ここ、は?」

 

気が付けば、雪が降り積もる森の中にヒロは立っていた。木々には僅かながらに葉が生き

、ネズミなどの小動物が忙しなく動いている。何故自分がこのような場所にいるのかなど

皆目見当も付かない。

 

「なんだろう……どこかで……」

 

しばらく歩いていると、どういう訳か。ここを懐かしいと感じる自分に気付き、ゆっくりとした足取りで前へ前へ、進んでいく度にそれは強まった。

 

やがて、目の前に大きな木が現れた。

 

「これは……ヤドリ木?」

 

一目見ただけで、ヒロはその木の名前が頭に浮かんだ。子供の頃、植物図鑑の本を読んで知った神話にも登場する神聖な木。この下で行う誓いは、神の祝福を貰うことができるとされている。

 

朧げながらもそんな知識を得た記憶が蘇って来た。

 

「懐かしいな。そう言えばあの時、この木の下で◾︎◾︎◾︎に……」

 

自然と出て来た言葉は、

 

え?

 

あの時?

 

◾︎◾︎◾︎?

 

◾︎◾︎◾︎って?

 

誰かの名前? 何かの番号? どこかの場所?

 

視界を覆い隠すかのようにノイズが奔る。

 

「う、なんだ、これ……」

 

気持ち悪い。頭が痛い。

 

二重苦がヒロを襲い、その場に蹲って頭を片手で押える。ふと、目を凝らして見ると誰かがいた。ノイズに邪魔されているがそれでも、その姿を見ることができた。

 

頭に生えた二本の角。

 

血のように赤い肌。

 

長い白髪。

 

僅かに開いた口から覗かせる尖った歯。

 

それは、普通とは大分異なるが一人の女の子だった。

少女は怯えたようにヒロを一瞥すると踵を返し、背を向けて逃げるように去ろうとした。

 

「ま、待ってくれ!」

 

知りたい。もっと見て確認したい。

 

そういった強い思いがヒロを支配し、必死に手を伸ばす。だが無常にも少女は足を止めることはなく、やがて木々の中へと消えてしまった。それと同時にヒロの意識が途絶えた。後悔と哀愁の思いを感じながら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

ムニュッ

 

「んん…………………………え?」

 

ふと、目が覚める。

懐かしい夢を見ていたような気がするのだが生憎、ヒロ本人にその記憶は『見た』という情報だけで、肝心の『内容』は皆無だった。

 

そして、疑問が生じた。

 

何故、自分のパートナーの笑顔が目の前にあるのか。何故、右手に妙に柔らかい違和感が存在するのか。嫌な予感がする。すぐさま視線を自身の右手へと向ければその手は、ある物を掴んでいた。

女なら誰でも持ち、男が時として至宝と呼ぶこともある胸部に実ったもの……それは。

 

「ふふっ、ダーリンってエッチだね♪」

 

“乳房”だ。

 

「うわあああああッッッ??! ごめんゼロツー!! わ、わざとじゃなくて、その……」

 

すぐさま鷲掴んだ手を離し、飛び起きて早々目を泳がしながら必死に弁明をするヒロだが

、そんな必死さなど無意味だとばかりに非難の言葉を投げかける事もなく、ただ笑みを向けるだけだ。

 

「ははッ、いい反応するねダーリン。そんなに慌てなくても大丈夫だよ」

 

ベッドから上半身を起こし、座った姿勢でじっとヒロを見据える。やはり羞恥心の感じられない余裕に満ちた笑顔だ。

 

「パラサイトはエッチな方が向いてるって、前に博士が言ってたし、刃兄も仮面ライダーはエロい方がイイって言ってたよ?」

 

「え、エロい……?」

 

何ソレ?と知識にない単語にツッコミを入れかけるヒロだが、それよりも早く隣のベッドに寝ていたゴローが騒がしさから目を覚ましたようだ。

 

「ふあぁ〜……なんだ朝っぱらから……って、ゼロツー?! なんでここにいるんだよ?!」

 

驚くのも無理はない。ここは男子寮だ。本来なら入ってはいけないにも関わらずゼロツーは、ただヒロに会いたいが為に来たのだ。

 

「やっほーゴロー! おはようさん」

 

自身の行動がいかに軽率で違反したものなのか、絶対に理解してないであろう。そう思える屈託のない笑顔でゴローに挨拶するゼロツー。

 

「お、おいヒロ。ここ男子寮だぞ」

 

「いや、そう言われても……俺もゼロツーがなんでここにいるのか……」

 

「こぉぉるぁぁッッッ!! ゼロツー!!」

 

バダンッッ!

 

聞き慣れた声が大きく張り上げられ、閉ざされていた筈のドアが勢いよく開かれる。原因はイチゴだった。しかし今のイチゴは普段のそれとは異なり、怒り心頭と言わんばかりに眉間にシワを寄せている。

 

「勝手に抜け出して何やってんのよ!!」

 

「ボクはダーリンに会いたかっただけだよ? ん? 何か悪い?」

 

疑問符を頭に多く浮かべてはそんな事を宣うゼロツー。ただでさえ相当な怒りを鬱憤させているイチゴにしてみれば、もはや業火の中に燃料を投入するも同然だ。

 

「女子は女子寮! 男子は男子寮って決まってるの! だから勝手な事はしないで!!」

 

「えー、面倒くさい〜」

 

「面倒臭くない!!」

 

ゼロツーの手首を掴んで無理矢理に引っ張っていく幼馴染の姿を見て、部屋に残された男二人はただただ呆然とする他になかった。

さて。朝の一騒動があったものの、食卓にはいつも通り13部隊のコドモたちが揃って席につき食事をしていた。

 

「ダーリン! あーん!!」

 

「あ、あのゼロツー? みんな見てるし…」

 

ゼロツーは相変わらず、蜂蜜漬けの食べ物を口元まで近付けてはヒロに食べてもらおうとするがとうの本人は周りの視線を気にしてか遠慮している。そんな光景をイチゴはよく思わず、険悪とした視線で睨みつけている。

 

「いや〜熱々だね〜。見せつけくれるよ」

 

鷹山はピンク色の雰囲気を醸し出す二人にそんな言葉を投げかけては、手に持った骨付きの焼き鶏肉をガブリと頬張る。

 

「仲良いね、ヒロ君とゼロツーちゃんは」

 

「人前であんな事するのもどうかと思うけど……」

 

微笑ましいとばかりに言うココロとは対照的に、ミクは呆れた様な苦笑で言う。

 

「怪我の方は本当に大丈夫なの?」

 

「うん! 大分よくなったし、問題ないよ」

 

まだ火傷の痕が残るが熱も痛みも完全に引いて、快調となったナオミはベッドの上での療養生活から解放されたのが嬉しいらしく、いつもよりか上機嫌でイクノに答える。

 

「食欲も戻ったし、今日はセレモニーがあるから早く食べなきゃ」

 

キッシングの際は両都市で盛大なパレードや式典が開催されるのが通例となっている。

オトナたちは両都市間における交流に華を咲かせ、コドモたちはキッシング時に大量に来るであろう叫竜から都市とオトナを守る為、課せられた使命に燃える。

これに関してはオトナに憧憬を抱くゾロメにとって闘志を燃やし気合いを鼓舞させるには

十分だった。

 

「おっしゃあああああ!! どんな叫竜が出て来ても、俺とミクのアルジェンティアで余裕に完璧にぶっ飛ばしてやるぜ!!」

 

そんなことを言っては、大食いであるフトシに負けない食いっぷりで食物を胃へと流し込んでいく。

 

「はあぁぁ。ホントっ調子良いんだから」

 

呆れつつもミクはいつも以上に元気なゾロメに安堵の表情を浮かべた。

 

和気藹々としたコドモたちの食事風景。

 

それを目にしつつ、鷹山はある人物へ視線を移した。その先にいたのはナオミで、彼女に

対して向ける視線は疑惑の二文字が滲み出るほど険しいものだった。実際、鷹山はナオミに対しある疑いを待っていた。

 

“ナオミが、ブラッドスタークの正体”だと。

 

これを聞けば大抵の者は、鷹山の言葉を戯言の類として切って捨てるだろう。彼女をよく慕っているイクノに至っては嫌悪感をこれでもかと抱くかもしれない。だが冗談でも何でもなく、ナオミに疑いをかけているのは事実だ。勿論、疑いをかける以上はれっきとした理由がある。

 

“ブラッドスタークの現れる際にはナオミの姿がなかった事。”

 

そして、“左腕の二の腕にできた直線状の火傷。”

 

まず前者について述べよう。

最初にスタークがその姿を現したのは、13部隊の入隊式にて叫竜及びアマゾンの襲撃に遭った時だ。ヒロの状況説明によればあの時ナオミとはぐれてしまい、その後でスタークと邂逅し例のベルトを強制的に譲渡して来たと言った。

次に現れたのは、ヴィスト・ネクロの幹部の一人による叫竜を用いての奇襲作戦を開始されたあの日。ナオミはミストルティンの館の部屋で指示通り待機していたらしい。

その際コドモの監視目的で密かに設置されていたその部屋の隠しカメラが異常を起こし、約10分ほど映像が断絶。その後カメラの機能は回復し、ナオミは特に何もせずベッドに腰を下ろし座っていたことから単なる一時的なカメラの不調と結論付けされた。

 

だが、鷹山はこの時点で怪しさを覚えた。

 

断絶されていた空白の10分間の中というのは、ナオミという存在を観測することができず、何らかの行動を起こすのに最適だと言えるからだ。

だとしても直接行って確認すれば良かったのでは?と思うかもしれないが、あの時の状況は叫竜に加えてヴィスト・ネクロの奇襲という混乱の渦中。数少ないオトナの職員は市民を安全な場所へ避難させたりと様々な方面で駆り出されていた為、わざわざコドモ一人に時間を割く道理はない。

 

鷹山本人としてはやりたくない強引な手段ではあるが、本人を捕らえて直接問い質す形で尋問する手もあった。だが、あくまで仮に彼女が“黒”だった場合。何かしらの策を講じて来る危険性が生じるのとナオミが潔白だった場合、コドモ達からの不信を買い、関係に亀裂が綻びが生まれ後々面倒且つ厄介な問題になりかねない可能性。

 

この二点から迂闊にそういった手に出れないのは理解できるだろう。

 

それにもし彼女がスタークならば、いずれ何かしらのアクションを起こすだろう。その時に出た尻尾を掴み、喉元へ喰らいつけばいい。鷹山はそんな腹積もりを内心に抱えていた

 

そして、後者……つまり二の腕にできた火傷なのだが、これに関しては謎が多かった。

 

自分がスタークへ向けて放ったギガの波長は鋭い刃物が一直線に切るかのように彼女の二の腕を深く切り裂き、同時に保有していた高熱が炙るように重度の火傷を与えた筈だが、ナオミの場合、火傷の程度は赤く腫れ上がり水膨れができる比較的軽度のもの。

 

これでは説明にならない。

 

スタークがアマゾンであると仮定すれば完全にとは行かずとも、驚異的な治癒能力で回復したとすれば筋は通るがスタークからアマゾンの気配はなく、それはナオミも同じだ。

ナオミに至ってはパラサイトの体調検査も定期的に行なっており、結果は異常が一つたりとも見受けられない“白”。

 

ならば、所詮杞憂に過ぎないなのでは?と誰もが言うかもしないが、それでも鷹山は用心を怠る気は毛頭なかった。

 

(俺の野生の勘ってヤツ、できればハズレてほしいんだがよ……)

 

あってほしくはない。そう思うも鷹山の決心に揺らぎはなかった……。

 

(もし、お前が本当にそうだったなら……その時は殺す)

 

それは仄暗く、感情が介在しない無機質な使命感と言えるものだった

 

 

 

 

 

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