Ⅴシネマの『仮面ライダークローズ』を見て、一言。
めちゃくちゃ面白いしかねぇぇぇぇぇぇぇッッッッッッ!!!!!(万丈龍我風)
「ああ。甘美で癖になる音色だ」
マンティスは腹部にクイーンパイクの刃を刺したまま、ストレリチアを解放する。
ついでとばかりに解放した直後、軽く殴り飛ばす様は、まるで彼の狭量さを自ら語っているようにも思える。
「ハッハッハッハッ!! 元ナインズとは到底思えないなァァッッ!」
嘲笑うマンティスは、やはり不遜を崩さずに自らが高みに在るのだと言わんばかりの態度で、ゼロツーを見下していた。
『こ、んのォォォォォォッッッ!!!!』
痛みに耐えるストレリチア。
穂の部位を分離させ、ミサイルのように射出する特殊な機能『グングニル』。
これは命中すれば集中されたエネルギーが電流+衝撃波となって内側から破壊せしめる、と言う手法で敵を倒す仕組みなのだが、それが今、ストレリチアを苦しめている。
マグマエネルギーによって生じる電流が傷口から入っていき、機体の各部位から精密なパーツにまでダメージを及ぼす高熱のような激痛。
それに歯を食いしばって、ストレリチアは足に力を込めて何とか立ち上がる。腹部に突き刺さった蛍光を伴う橙色のクイーンパイクの穂の首元をガシリと握り締め、そのまま引き抜いた!
『グゥ……アッ!!』
当然、痛みがフィードバックとなってゼロツーの身に襲い掛かる。
「ハッハッ! 相変わらずタフなんだねェ」
そう吐き捨てて、追い討ちをかけるつもりで鎌を振り上げるが、ここでマンティスはある事に気が付く。
ついほんの数秒前まで、ストレリチア内部に確かに感じられていた筈の“イプシロンの気配が消失した”のだ。
ガシャンッ!! ガギィッ!
途端、ストレリチアは乙女としての姿から、獅子を彷彿とさせる獣のような形態、スタンピートモードへと一瞬の内に変形を果たしたのだ。
それは決してゼロツーの意思で無ければ、誰の意思でも無く、“パートナーがいなくなった為になるべくしてなった”、ストレリチアのフランクスとしての機能から生じる事象に過ぎない。
「……ダ、ダーリン?」
「……」
振り返るゼロツーだが、その言葉に応える声は一向に返って来ず。
振り返って見てみれば、イプシロンはヒロの姿へと戻り……
操縦席から倒れ、顔を蒼白とさせ青い血管のような浮腫を浮かべながら……その命の灯火を消し去っていた。
※ ※ ※
「◼︎◼︎◼︎ッ!!」
ほんの数時間前までは箱型に過ぎない体型と不動を貫いていた、“β”と仮称される叫竜。
しかし、今となっては13部隊と生き残りの26部隊を足止めする絶対の障壁と化していた。
「うわッ! あっぶねェェッッ!!」
「ど、どうすればいいのコレぇぇ?!」
危機感に逃げ惑うゾロメの声と何をどうすればいいのか、皆目検討もつかないとばかりに張り上げているフトシの声。
実際、状況は泥沼の混沌と化していた。相手は、とてつもない巨体を有し、恐らくだが自分たちの武装では、決定打は無いに等しい。
証拠に先程から両足へと攻撃を加え続け、何とか転倒を図ったものの、傷一つすらないのだ。
それだけでなく、顔らしき部位から青い炎を纏った岩石のような物質を吐き出し、両部隊めがけ撃ち放つという攻撃手段に転じた為、
迂闊に近付けなくなってしまっていた。
「くっそぉぉ! おい! イチゴ! 早く指示をよこせよ!」
苛立ちを隠さず、通信でリーダーであるイチゴに指示の催促を求めるゾロメだが、同時にある事を知らせる一つのメッセージウィンドウが展開する。
アルジェンティアだけでなく、13部隊全機に、だ。
「……は? “Code016生命反応消失”?」
「これって……」
「!!ッッ」
ゾロメ。フトシ。ミツル。
それぞれ三者三様とばかりの反応で、容易くその心境が驚愕と困惑、二つの感情から成り立っているのが分かる有様だった。
パートナーであるピスティルらも同様だ。
しかし、その中の1人だけは違った。
その証拠に“デルフィニウム”は、顔がのっぺぼうと化し全機能を停止させた。
「イチゴ!」
「……うそ、うそでしょ……」
大切な人の死を何てことの無い様に振る舞える程、感情を殺しておらず、それを隠す術もないイチゴはただ呆然と。両眼から止め処なく溢れては、下へと落ちていく涙の雫を出していく他になかった
。
「あたし……止められなかった……」
後悔を滲ませ言葉を絞り出すように、イチゴは語る。
「分かってた。ヒロが無茶してるって。でも、それでも……何もできなかった」
具体的にどういった事なのか。流石にそこまでは分からなかったが、しかしヒロの身に起きている不調を長年幼馴染として接して来たイチゴの勘は、決して間違ってなどいない。
だが、イチゴは止める事ができなかった。
諦めた訳ではない。悪意があって敢えてそうした訳でもない。
彼女は確かにしようとした。あの時、三体のカマキリアマゾンの出現前に強引ながらも、押しにかかる様にして問い詰めたのが証拠だ。
そして、ゴローからの言葉もあり、一度はストレリチアに乗る事を諦めかけたが、結局彼は戻って来た。
自身に破滅を齎す、死神に等しき鉄の乙女と知って尚、その機体にゼロツーと共に乗って……。
「あたしのせいだ……ヒロが死んだの、全部……あたしのせいなんだ!」
嗚咽交じりの涙声で独白するイチゴ。
何を言っても、どうやっても止められない。
ヒロを幼少の頃から見て来たからこそ、断言できる明確な答え。それを理解しながらも何とかしようとし、結果は想い人の死を止められず。
自責。後悔。罪悪感。怒り。悲しみ。その全てがイチゴの思考を底なし沼へと引き摺り込もうとする。
だが、それをパートナーが止めた。
「俺を見ろ! しっかりしろイチゴ!!」
イチゴの顔の両頬を両手で包み込むように、力強く掴んだゴローは自身の目と彼女の目を向き合わせた。
その顔は両目を赤く腫らし、涙を流し、そのせいで瞳が水面のように揺らいでいた。
「ゴ、ゴロぉ……?」
「今は、自分達が生き残ることだけを考えろ。俺だって認めたくないけど……でも、敵がすぐ目の前にいるんだ。なら、リーダーとして、どうするべきか。分かるだろ?」
望まなかった最悪の結末。
それによって生じた、思考の“混乱”。様々な激情から成る熱が頭の中を縦横無尽に暴走していたが、ゴローの言葉を機に熱を帯び過ぎた思考が急速に冷却していく。
そうだ。自分は……13部隊のリーダー。
それは誰が言うまでもなく、当たり前の事実であると共にイチゴを正常に戻す為に必要な、確実な効果を約束してくれる鎮静剤。今、ここで自分が混乱し、全てを蔑ろに放棄すればどうなる?
13部隊のみんなは勿論、リーダーが無きに等しい状態にある26部隊の壊滅は高確率で現実のものと化してしまう。
それは……ダメだ。
仲間を纏めず自らの感情に任せて責務を放棄する等、認められない。それは過去にリーダーのような存在で、誰よりも仲間を。友達を。常に大事に思っていたヒロへの侮辱になってしまうからだ。
なら、泣くのは後だ。
一つの決心を固めつつ、自分の腕でゴシゴシと両目から溢れ出していく涙を拭っていく。乱暴に。粗雑に。もう一滴も零してなるものか、と。
「………ごめん。ありがとうゴロー」
「気にすんな。パートナーだろ?」
何処かホッとした様子で、溜息混じりながらも笑みを浮かべるゴローは、なんて事ないと言った。
「みんな、聞いて」
イチゴは通信を用いて仲間たちへ指示を飛ばす。
フランクスを起動させ、己が顔を投影するデルフィニウムだが、泡のせいで一切身動きができない。力を振り絞っても亀裂一つできない頑丈な泡を前に攻撃は愚か、精々手足を少しばかり動かすことしかできない、今の現状での戦闘行為は不可能。仲間からの救出による泡からの脱出も、あの巨大な叫竜が障壁となっている為に不可能。
ならば、指揮する立場として的確な指示を飛ばさなくてはならない。
『は〜〜、やっと出たのか……おっせーぞイチゴ!』
『イチゴ大丈夫ッ?!』
ゾロメとミクが声を返信して来る。一方は呆れた半分、苛立ち半分に。もう一方は心配そうな声音だ。
「色々悪かったけど、とりあえず聞いて! 26部隊の人達も!」
イチゴの言葉に、両部隊の全員が耳を傾ける。
「これより、13部隊・26部隊の指示は臨時として、あたしが担います!」
『おい待て! そんな勝手な……』
『許可する』
堂々と指揮を担うと宣言するイチゴに、26部隊のステイメンの1人が異議を申し立てようとするが、それを阻んだのは、司令部より来たハチの声だ。
『Code015。君にリーダー不在となった26部隊の指揮権を臨時として与える。無論だが13部隊の指揮権はそのままだ。できるな?』
「はい、やって見せます!」
意気込むイチゴに不安や臆する様子は一切なく、それが建前ではなく本心と判断しハチは、同意を求める言葉を投げかけた。
『13部隊、26部隊の皆に問う。この決定に異議は?』
『ある訳ないっすよ! まぁ、ちと不満だけど……』
『あんたねぇ……そこはハッキリしなさいよ。ミクはありません!』
いの一番にアルジェンティア組が答える。
『お、俺もありません!』
『私も。イチゴちゃんならできると思います』
続くようにジェニスタ組が。
『構いません』
『了解』
ミツルとイクノのクロロフィッツ組は、特に何を言うまでもなく、賛成の意を示した。
残るは……。
『………状況が状況です。我々26部隊は、13部隊リーダー、Code015の指示に従います』
1人が代表となり、26部隊の意思を伝えた。
まだあまり乗り気ではないというか、ミツルのように不服そうな感じではあるものの、状況が分からない訳ではない。司令官であるハチが認めたのであれば、それに逆らう道理はないのだ。
『そうか。ではCode015。頼むぞ』
「はい!」
ハチはイチゴに直接戦闘における指揮を任せ、通信を切る。
「まず今の戦況を教えて。変形した叫竜……目標“β”は?」
『依然健在です。僕達の攻撃を物ともせず、ストレリチアとデルフィニウムの下へ行かせないように、僕等を牽制する防波堤と化してます』
『おまけに青い火の玉みたいなもん、ぶっ放したり、踏み付けようとして来るんだよ』
「それ以外の行動は?」
『それだけよ。どうやら都市には見向きもしないみたい』
ミツルとゾロメ、イクノから得た情報を脳内で整理し、イチゴは熟考する。
まず、都市に及ぶ危険性は皆無ではないが、それでもリスクにおける確率は幾分かは下がったと言っていい。叫竜本来の行動目的である都市のマグマ燃料に目もくれず、自分達をマンティスとストレリチアに近付けなくさせるのが最優先事項の目的であれば、好都合。都市に近付き過ぎず、一定の距離を保っていればいい。それだけの話だ。
問題なのは……叫竜を操っていると思われるマンティス。現在ストレリチアと交戦中で、両部隊に関しての対応はほぼ無関心。しかも、ゼロツーに対し、強過ぎる復讐心に基づく妄執を持っている。
その事を鑑みると何らかの妨害をされる可能性は低く、叫竜へ集中できると言えるだろう。
ならまずは、叫竜だ。
どっちみち、叫竜を倒さなければマンティスへの攻撃は妨害される為、仕掛けられない。分担、という手もあるが両部隊でやっとか……下手すれば、それでも足りな過ぎるかもしれない体格と性能を誇る『β』を相手にするには、分担という選択は悪手になる。
故に両部隊が合わさって戦う方が賢明な判断であり、これ以外にないだろう。
「まず率直に言うけど、今のままじゃ、あたし達に勝ち目はない」
『んなこたぁ分かってる! だから……』
「勝つ為の作戦が必要。でしょ?」
ゾロメの言葉を遮り、イチゴは話を続ける。
「『β』はかなりの巨体で、あたし達を踏み潰そうとしたり、青い火の玉みたいな攻撃を仕掛けて来る。おまけに耐久力もあるから、並大抵の攻撃は通じないと思う。だからまず、“足”を狙う!」
巨体を維持するのは足だ。首はないものの、人型である為、足は両足二本となっている。
動くだけでも脅威なら、その足の機能を停止させて動けなくすればいい。
『そうは言っても、あのデカさよ?』
『それに砲撃が強力過ぎてまともに近付けない。どうする気だ?』
26部隊のステイメンとピスティル、両者の至極当然とも言える正論に対し、しかし言葉を濁すことなくハッキリ答える。
「注意を逸らす囮がいる。その囮役は……」
少し、ほんの少しばかり間を置いたが、それだけ。
情が挟んで、言えない等と指揮する者としてあるまじき真似を、決心を固めたイチゴがする筈はなかった。
「クロロフィッツ。お願いできる?」
クロロフィッツ。
即ち、あの『β』の注意を引く為の囮役は、ミツルとイクノのペアだった。
『わ、私達が?』
『理由を聞かせてもらっていいですか?』
驚きと不安。それらを織り交ぜた様子で、何とも言い難いイクノとは逆にミツルは、冷静にイチゴの判断基準における理由に問いかけた。
「できるだけあたし達のいる足下から視線を逸らしたいの。クロロフィッツには、短時間だけど飛行能力が備わってるし、あの位の高さなら余裕で飛べる筈。上を向いてた方があたし達は見えないでしょ?」
『単純ですね……』
呆れたと言う風情だが、しかしイチゴの考えは単純ながらも理には適っている。もっとも、それは叫竜の視界が下まで見える程範囲が広くないことが条件だ。
相手は叫竜だ。
顔のような部位はブラフで、本当はただの模様だったでは笑い話にもならない滑稽さだ。とは言え実際確認しないことには、分からない。試して証明する。
それしか術がないのが現状だ。
『うまくできるか分からないけど……やるよ、ミツル』
「分かってますよ!」
両腕に備えられた専用武装、ウイングスパン。
大抵は内蔵された速射砲による遊撃に使用されるのだが、その真価は飛行能力にある。エネルギーはそれなりに食うが、最大で雲の上に届く程の高度を可能とし、短時間ながら長距離飛行もできる。
コンラッド相手には必要ない為、敢えて使わなかったが今はコレを使うべき時だ。
βは、地表から飛び上がるクロロフィッツの姿を確認するな否や顔らしき部位をクロロフィッツに合わせて上へ動かす。自分より少し上辺りを滞空するその機体を目にしたβは、まるで鬱陶しいハエを追い払うようにゆっくりと手を上げ、左右上下と適当で鈍い動きをもって、クロロフィッツを振り払おうとする。
が、鈍い手振り如きでは落とせない。
そう断言できる証拠にクロロフィッツは軽快に空中を舞い、隙を見ては顔らしき部位へと速射砲の雨を撃ち込む。痛みがあるのか、苦悶を滲ませたような悲鳴らしき咆哮を上げるβは、必死に両手を動かし、時折あの青い火炎弾の砲撃で仕留めようとするが、クロロフィッツは紙一重にそれを避けていく。
完全に注意はクロロフィッツのみへと向けられていた。
「よし……読み通り!」
イチゴは通信モニターの映像から確認。地表にいる両部隊への関心が皆無となった隙を、すかさず無駄にする事なく両部隊へ次の指示を送る。
「26部隊はポーンハスタのワイヤーで右足を封じて下さい! そして、エネルギーの残量もキツイと思うけど……電流を流し込んで下さい。お願いします!」
今、残っている26部隊のフランクスは三機。リーダー機は090がカマキリアマゾンとなって反旗を翻し、マンティス・フランクスに変化。もう一機は操縦していたステイメン、ピスティル共に死亡
。頭部も大きく破損している為、仮に予備のパラサイト1組がいたとしても再起不能の現状は免れない。更に三機の内一機はマンティスの一撃を受け損傷。
戦闘には差し支えないが、ダメージがある事を鑑みるとあまり無理はさせらない。
「いちいちお願いしなくていい。臨時とは言え、君が俺達のリーダーだ」
26部隊のステイメンは、簡潔ながらも当然とばかりに答えた。
「ゾロメ、ミク。26部隊を支援して」
「しょうがねぇか。やるぞミク!」
『うん!』
やれやれと溜息を吐きつつ答えたが、生意気な反論は敢えて伏せて、素直にイチゴの指示に従った。
「ジェニスタはルークスパロウの威力を最大限にできるよう、エネルギーをチャージしてて。それまでの時間稼ぎでもあるから」
『分かった!』
ルークスパロウの砲撃は13部隊の中でも一際威力が高く、最大出力の砲撃は通常でも高い威力のソレを超える必殺の一撃。イチゴは、それを決め手にするつもりでいた。
「まずは俺達が先に仕掛けるッ!」
三機がポーンハスタを構え、右足をグルグル周り始める。コンラッド級にしたようにワイヤーで右足を拘束するのだが、その範囲は予想を超えて大きかった。
「この太さ……ワイヤーで捕らえ切れるのか?」
「やってみないと始まらないだろッ!」
ステイメン同士がそんな会話を交わしつつ、ポーンハスタに備えられたスイッチを押して刃と柄を分離。突出した刃が右足表面に深く突き刺さったのを確認した26部隊三機は、そのまま周り続け、足にワイヤーを絡め回そうとする。
「!!ッ クッ……届かない!」
が、そう簡単に行くほど甘くなかった。
ただでさえ小山に等しいサイズの巨大さを誇る叫竜の体。その足もまた、尋常ではない。現に絡まそうとしても長さが足りず、ワイヤーが届かなかったのだ。もう一本分あるならば、余す事なく絡ませる事ができただろう。
せめて、あと“もう一本分”あれば……。
26部隊のパラサイトたちがそう思っていた矢先、耳の鼓膜を劈くような、威勢良すぎる聞き慣れた声がした。
「足りねぇなら、持って来ればいいだろ!」
アルジェンティアが何かを持って来る。それは、見間違う筈もない自分達がよく使う量産型フランクスの武装、ポーンハスタ。
何故それを……。
一瞬ばかり疑問が浮かんだものの、すぐ答えに行き着く。確かにあったのだ。リーダー機の物と、そのリーダー機が変質し、姿を変えたマンティスに撃墜されたフランクス一機の計2本分が。どちらのかは定かではないが、とにかくその内の一本をアルジェンティアが持っていた。
「うぉぉぉりゃああッッッ!!」
アルジェンティアはポーンハスタのスイッチを押し、刃が突き刺すと同時に足りない箇所へとワイヤーを伸ばしていく。
これで、叫竜の右足に絡み足りない箇所は……ない!
「エネルギーを流せ!」
ダメージを与える為、もう一度。ポーンハスタのスイッチを押すと強力なエネルギーによる電流が迸り、右足の体組織をズタズタに裂いていく。
『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ーーーーーーーーッッッッ!!!!』
苦痛の絶叫。そう感じさせるβの鳴き声は、まるで天まで届きそうな程だった。
『ジェニスタ!』
「ココロちゃん!」
『うん! いつでも行けるよ』
ルークスパロウのチャージが問題なく完了したようだ。右足に電流の負荷を与え、更に強力な衝撃的一撃を喰らわす。それがイチゴの算段だった。二重の負荷によって引き起こされる結末。それがどんなものなのか……答えは、今に分かる。
ドォォンッッッ!!!!
凄まじい轟音と共にジェニスタの専用武装、ルークスパロウの砲口からエネルギー弾が射出される。
それを見てすぐにアルジェンティアと26部隊は即退避。ルークスパロウから出た高密度のエネルギー弾は着弾と同時に衝撃と熱エネルギーを散開させ、嵐と化す。高熱が表皮を溶かし、衝撃が強固な体組織を砕け散らせた結果……。
叫竜βの右足は、見事吹き飛ばされた。