前回のジオウ『オンドゥルルラギッタンディスカー!』で有名な剣崎さんご本人が登場!
正直、活舌の悪さとか当時のままってのが本当に味になってて良かったです。これ絶対
ブレイドファン大歓喜やろうなぁ……と思ってた矢先、次回はいよいよアギト……ジオウも
面白くなって来ましたね。
そして白ウォズ……グッバイ。そしてそして更にはあの大泥棒も! つーか、あんた……
士のこと追っかけてんすか。
最後に一つ、新合体フォーム・ジオウトリニティって……まんま電王のクライマックス
フォームじゃねぇかああああああああああああああああ!!!!(魂の叫び
日頃の激戦を労っての休暇という事で、青く綺麗な水面に太陽の光が反射し、燦々と輝く海へとやって来た13部隊のコドモたち。が、今形作られている空気は休日を満喫しようという、そんな和やかなムードとはかけ離れていた。
「んじゃ、これより〜男女分かれてのビーチバレー大会を開始すんぞ〜!!」
「……なんでこんな事に……」
伸びやかな能天気口調で開催宣言する鷹山を横目に、『男チーム』にいるヒロはどうしてこんな事になったのか、とテンションが駄々下がり気味に自問自答していた。
発端はミクとゾロメの喧嘩だった。
覗きしていた男子一同をまるで『ゴミか…』か、もしくはそれに集る蛆虫でも見るかのような目で睨み、苦言を呈したのだ。
これに当然ゾロメは反発。両者互いに譲らないとばかりに恒例の口喧嘩に発展していったのだが、いつまでも続きそうだった為、面倒臭くなった鷹山はある提案を持ち出して来た。
『男女で分かれて、バトればいい。言いたい事言って実力行使っつーのも必要だ』などと、自分がそもそもの元凶である事実を棚上げにしての言葉だったが、場の雰囲気がそうさせたのかそれを指摘するものは誰もおらず。
結果、ここに男女チームに分かれてのバレーやドッチボールに似た球技勝負……という名の喧嘩の火蓋が切って落とされたと言う訳だ。
ちなみに鷹山はあくまで審判役となっている。
パワーバランスを崩す事のないよう公平を考慮してである。
「覚悟しないよ! ケッチョンケチョンにしてやるんだから!!」
「へ! お前のヘナ球が当たるボヘェッ?!」
先攻の権利を得た女子チーム。
その一番手に乗り上げたのはミクで、その意気込みを鼻で笑うゾロメだが、言葉を終える前になんと顔面にボールが当たったのだ。無論それは事故でもなんでもなく、ミクが意図的に狙って当てたのだ。
「だ・れ・が! ヘナ球ですって〜〜?!」
怒り心頭。まさにこの言葉が似合うほどミクの背後にメラメラと炎が燃える光景が幻視できた。
「尚、ルールは至ってシンプル。点数制度で10点取れたら勝ちだ」
今更ながら鷹山が簡潔にルール説明をし始める。
「点数の取り方は相手チームの誰かにボールを当てる。もしくは、相手チーム側コートの外にボールを出すかの二択になる。そういう訳で女子チームに一点〜!」
至って呑気な、さも他人事風に言ってくる男鷹山に対し、一喝言ってやりたい気分になるヒロだがそれを何とか抑え、とっとと終わらせようとこのしょうもないバトルに意識を集中させる。
「仕方ない……やるか。フッ!」
ヒロと同じく乗り気でなかったゴローは腹を括り、持っていたボールを女子チームめがけ打ち込む。ゴローのサーブだ。
しかし、それはとてつもない速さで返って来てコートの外へと出てしまった。
何故?
「フン。まだまだ、だね」
答えは簡単、ゼロツーが打ち返したからだ。
しかしゴローのサーブはそれなりに威力があり、結構な速さだった筈。それを容易く目で捉え瞬時に対応し打ち返すとは、一体誰が思うだろうか。
「は、早すぎる!」
「ホントにゼロツーが打ったの?!」
ゴローは自らの球が跳ね返えされた事実にフトシ共々驚愕。正直なところ狐か狸にでも化かされた気分を覚えてしまうほど、今の一撃は常識外だったと言わざる得ない。
「もう、いっそ降伏でもした方がいいんじゃないんですか?」
投げやりで、やる気が全くないミツルはそう言う。
しかしそれは鷹山としてはつまらない。
「おいおいミツル選手。もう負けを認めるのか? 情けないね〜」
「別に。こんな下らない事で体力を消耗したくないだけです」
「逃げ腰の言い訳だな。そんなんじゃ、ヒロに及ばないなぁ」
「ッ!」
鷹山のあからさまな挑発に対し、適当に言ってスルーしようとしたミツルだったが、ヒロの名前が出た途端、逸早く反応を示した。
「女子チームの切り札は総合的に見てゼロツー。そんじょそこらのコドモじゃアイツには太刀打ちできないが……ヒロはできる」
これは誇張でも何でもなく事実だ。ゼロツーの身体能力は通常のコドモでは不可能な動きを可能にし、単純な腕力でもかなりある。そんな彼女を相手取れるコドモは、アマゾンであるが故に同程度の身体能力を持つヒロだけだろう。
そうなると、ミツルとしては面白くない訳だ。
「どうする? 尻尾巻いて逃げるのもアリだぜ?」
「……やればいいんでしょ、やれば!」
苛立った感情を隠す事なく曝け出して、ミツルはそう言った。ミツルがヒロを目の敵にしているのには気付いていた。それは鷹山だけでなく、13部隊全員が知っている事だ。
だが理由までは皆目検討もつかない。そも、ミツルという少年が誰かを頼って相談するような性格でないことを考えると誰も知らないのは当然。
加えて、ミツルをよく見ていたり、接していたコドモは当時それ程いなかった。内気でやや臆病な性格があった、とか。病弱体質で隔離施設で過ごす期間が多かったなど。
それらの理由があって、ミツルは他のコドモたちと交流が多い訳ではなかった。そして偏屈な性分も合わされば、彼の事を知ろうなどとは思わない。そんな彼をヒロをダシに使うことで、見事懐柔せしめた鷹山は、内心ニタニタと満足げな笑みを浮かべる。
表面上は不敵な笑みだが。
「あ、あともう一つ。この勝負、“何をしてもいい”からな?
命に関わるようなヤツはダメだが、そうじゃなきゃ作戦・戦略として認める」
また一つルールを追加して来る鷹山。内容的にもうルール無用のデスマッチなんじゃ……と懸念するヒロだが言ったところで、まともに聞くとは思えないし、この状況を面白く感じて尚更だろう。
2度言うが、実に自分が原因である事を棚に上げている。
「上等だァァッ!! 人の顔にボールぶつけやがった借り、返させてもらうぞミクゥゥゥ!」
「ミク達のことヤラしい目で見てた奴が言うなっての!! そっちがその気なら、こっちも容赦しないんだから!!」
ゾロメとミク、恒例の痴話喧嘩勃発。その様子にゲンナリするか、呆れた視線を向けるか。あるいは暖かい目で苦笑を浮かべるか。2人を除く13部隊全員の反応はそのいずれかだった。
「とう!」
ミクがサーブを打ち込む。狙いは勿論ゾロメだが、今度は油断しないと意気込んでいた彼はそれを両手で上手く捕まえ、男子チームからの第2投を打って来る。
「甘いよ!」
ゼロツーがガードの為に飛び上がり、女子側のコートへの侵入を防ごうとする。ゼロツーは女子の中ではイクノと同格の身長である為、ガードにはうってつけと言えた。
ボールがゼロツーの掌によって阻まれようとしたその時、一つの影がゼロツーと同じように跳び上がったかと思えば、高さは彼女を追い抜かし、その“脚”でボールを蹴り飛ばした。
より正確に言えば脚を折り畳み、突き出した膝で叩きつけるようにしてボールを打ったのだ。
「一点、貰ったよ!」
正体はヒロだった。ボールはそのまま、コート外へと物凄い勢いで出てしまい、我に返ったココロとイチゴが追いかけて回収。コートの外へボールが出てしまった以上、審判たる鷹山は例外なく判決を下す。
「男子チームに一点。これで同点だ」
鷹山が審判として得点をカウントし、これで両者は同じ平行線上に立ったと言える。
「ま、まさかあんなに跳び上がってボールを蹴るなんて…」
「おっしゃァァァ! ヒロ! よくやった!!」
予想だにしなかった行動に対し、イクノが女子チームの心境を代弁するかのようにそんな呟きを零す。それとは対照的なゾロメの威勢の良い誉め言葉が飛び出した。
「へぇ〜、中々やるねダーリン」
「あ、ありがとう」
着地時に危うくバランスを崩し、倒れかけるヒロだが何とか持ち堪え、転倒を回避。ゼロツーからの賞賛を受け取り、嬉しさを交えた言葉で返すが、本人もまさかこんな芸当ができるとは思ってなかった。
あくまで咄嗟に出た行動で、ヒロ自身、身体能力に関して言えば平凡レベルかそれ以下か。そんな程度だった筈。最もアマゾンであることを考慮すれば矛盾した話ではないが、それでもゼロツーと同等の身体能力の向上に困惑を隠せなかった。
「おい! お前の番だぞ」
少し混乱気味だった所にゾロメの声が聞こえ、ハッとなるヒロ。意識を内側から引っ張られ現実へと戻された彼に投げ渡されたのはボールだった。
「え、ゾロメ……」
「なに変にシケた顔してんだよ。お前が俺達にとっての切り札なんだから、ちゃんとしろっての」
「僕は微塵も思っていませんが」
「いいか、絶対に負けんなよ! こいつはな、男の意地を賭けた戦いなんだ!!」
ゾロメの言葉に淡々と否定の意見で入って来たミツルだがそんな事より、とばかりにスルーされる。
「俺が……切り札」
ともあれゾロメの熱意の籠った言葉を聞いたヒロは内心嬉しかった。
落第生だった自分がこうして仲間に期待されている。実戦ではないにしろヒロにとって嬉しくない筈がなく、それが引き金になり激励に答えようと気持ちが自然高揚していく。
不本意に参加させられたとは言え、せっかくの休暇の日。本来なら有り得ない特例を与えられたのであれば、無駄なく過ごしたい。それにこうした行事なんて前に比べたら全くなく今回が初めてだ。
ここまで来たなら、いっそ楽しんでやる!
そう意気込むヒロはマイナスな考えを一切捨て去るように思考を切り替え、らしくなくやる気を見せ始めた。
「フッ……ハアァッ!!」
両手に持ったボールを力一杯、天高く投げる。
重力に従い当然落下して来るボールを正確に捉え、的確に打ち出す。その速度は豪速球と言っていい程のスピードを誇り、一回女子側のコートへと着弾。すると同時に砂を舞い上がらせ、見事な放物線を描き外側へと出てしまった。
「またまた男子チーム、一点!」
鷹山が男子チームへと一点追加を報告する。これで事実上、男子チームが女子チームより優勢の立場に上がった。
「うっしゃァァァ!! 一点リード! ナイスだぜ、ヒロ!」
「すごい、すごいよ!」
「これならイケるぞ!」
ミツルを除いて、男子チームらはヒロの功績を惜しむ事なく褒めちぎった。
まんざらでもない、やや自信に溢れた気持ちに浸ってしまいそうになるヒロだが、次の瞬間。
「ふふ……ダァ〜リン?」
ゼロツーの声が耳に届いた。
それだけなら別に何でもないのだが、聞いた瞬間背中の隅々まで舌でねっとりと舐められるような
、そんな悪寒を感じ全身の鳥肌が立ったのだ。
「ゼ、ゼロツー?」
パートナーの方を見れば、それはそれはイイ笑顔だった。但し顔半分に翳りが差しており、友好的とか敬愛など。心情的なプラスの意味合いとは程遠いものだった。
「この勝負、どうやら楽ってわけには行かなくなったよ」
前置きを挟んでから、ゼロツーは目を獲物を逃がさずに狙う狩人の如き気迫で男子チームを見据える。
「だ・か・ら! こっからは本気で行く!」
気のせいかミクと同じようにバックの背景にやる気その物を顕現させたかのような業火がメラメラと揺れ動く、そんな幻影が見えた気がした。
コレ……ひょっとしてヤバい?
遅まきながらにヒロはそう思い、同時に男子チームもまた……その考えが心中を一致させた。
※ ※ ※
本気にさせない方がいい。
そう思ってしまうような出来事と言うものは割と色々あり、今回もそれが当て嵌められるだろう。
小手調べと余裕をもってやっていたゼロツーだが、意外なことにヒロが二点を勝ち取るという実力を見せ、これに彼女が本気で乗ってしまったのだ。
本気でボールを打つゼロツーは、強かった。月並みな言葉だがそう言う他にない程、彼女のボールを食らった男子らは痛みに悶絶し、打ち返すこともままならない豪速球なのだ。
もはや手に負えない。無理だ。潔く負けよう。
そんな弱々しい諦めの声が男子達から出るが、たった1人ゼロツーを相手に奮戦している少年がいた。
「フッ!」
「ハァァッ!!」
ゼロツーのパートナーであるヒロだ。アマゾンとなった事で大幅に向上された身体的な能力と体力は、ゼロツーと同格を誇るが故に動きを捉え対応する事ができた。そして今、両者の間に火花が散りボールの応酬は苛烈さを増していた。
「オリャッ!」
ゼロツーがボールを打ち出す。
打ち方としては、今までの一般的な叩いて打つスタイルと違い、ボールを上へと投げ出す手法だった。当然それだけなので大した力は使わず、打ち返そうとすれば容易く打ち返せる。ヒロは既に目でしかと捉えていた。
(そこか!)
すぐさまボールが着弾する位置を目測で把握。ボールのスピードも豪速球とは程遠い幾分緩やかな為、余裕が持って打ち返そうと今の位置からそちらへゆっくりと移動し、手を伸ばす。だがそうはさせない、とばかりに突然砂がヒロの顔面にクリーンヒットしてしまう。
「油断大敵だよダーリンッ!」
犯人はゼロツーだった。高く上へ投げると同時に砂を掴み、ヒロの顔へと当てたのだ。
わざわざ投球スタイルを変えたのは、砂を掴み投げ付ける為の時間を作る為だったのだ。一見するとルール違反的な行為に見えなくもないが、元よりこの勝負は基本なんでもアリなのだ。
命や大きなな怪我に繋がらなければ何をしてもいい、そんな無法バトルを絵に描いたようなもの。なので、ゼロツーの卑怯とも見える行為を責める道理は全く存在しない。
「す、砂が……ペッ!」
どうやら口に入ってしまったらしく、ジャリっとした嫌な食感に耐えられないとすぐさま吐き出す
。そうやってゼロツーを見るが、とうの本人は罪悪感とかやってしまった後悔のような感覚は無いらしく、結構なドヤ顔で『どうだ!』と言いたげな雰囲気を醸し出す。
「やったな……!」
元来、寛容で優しい性格の持ち主であるヒロも、ここまでされては流石に黙ってなどいられない。すぐさま反撃に出た。
「たぁぁ!」
先程よりも速く、強いサーブを打ち出す。
たったそれだけだが、平時でもかなりあった速度が数倍に上がったのだ。それを鑑みればいかにゼロツーでも、打ち返すのは容易でなく、初見では捉えられずそのままボールが地面の砂を抉り、バウンドして外へと通過するのを許してしまった。
「そこまで!」
鷹山のストップが入る。勝負に熱中していた2人の意識が審判役を務める鷹山へと向かれた。
「この勝負、両チーム同点で引き分けだ!」
「ひ、引き分け……」
「あ〜あ、惜しかったなぁ……」
片やゼロツーを相手に結構善戦したなと思い、片や半端な結果に残念がり、など。両者がどう思い感じたかはそれぞれだが、何はどうあれ結果は結果。男女に分かれての喧嘩はある意味両成敗となってしまった。
「なんか、スゴくない?」
「う、うん。ホントにスゴいね」
「……入る余地なかったしね」
ちなみに2人の激戦がかなり熾烈を極めた為、完全に蚊帳の外となってしまった男子組と女子組の面々。
ただただ……スゴい。
そんな陳腐な言葉ででしか表現しようのない異常バトルを目にして、ミクとココロ。イクノの3人は月並みな感想を述べる他になく、それは男子チームも同じだ。
「な、なんか……これもう……スッゲーな」
「ヒロって、あんな風に動けたっけ?」
「いやいやそんな訳ないだろ」
ゾロメは女子らと同じように月並みな台詞で感想を述べる。
語彙力に優れてない所か文学よりも体育会系な性分である為、このような感想しか言えなかったのも無理ないだろう。逆にフトシはヒロが垣間見せた驚異の身体能力に疑問を抱き、ゴローに問いかけたものの、至ってまともに返答された。
長年の幼馴染だったゴローだが、ガーデンにいた幼少期の記憶を掘り起こしてもヒロがゼロツーに匹敵する身体能力を有していたことなどなかった筈。これに関しては自信を持って言えるので間違いないだろう。
「……」
一方で鷹山にあれだけ言われたにも関わらず、大して目立った活躍ができなかったミツルは心底、と言える位に悔しそうに顔を歪ませ、視線をヒロから逸らしていた。
当然と言えば当然の感情。だがあの二人に割って入ろうと言うのは竜巻に何の策も無しに突っこんでいく程に無謀な行為。これに関しては仕方ないだろう。
「あ〜、でも引き分けか〜」
「あぁぁッ〜!! ゼロツーが居たからってのもあるけどよ、お膳立てしたんだから勝てよヒロぉ〜!」
ミクは残念そうに声を上げるが、同様の感傷に浸っていたゾロメも不満を呈する。
やはりこの2人、似た者同士のようだ。
「はぁ〜……あれ?」
「どうしたのイクノ?」
疲れた溜息を吐いてふと何かに気付いた様子のイクノ。そんな彼女にイチゴは質問してみたのだが……。
「ナオミが、いないの。見なかった?」
「え?」
矢吹先生が描いている漫画版ダリフラが5月19日まで休載……いや、まぁ、仕方ない
とは言え残念……自分はゴールデンウイークでも書く気でいますが、仙台行ったり大阪
行ったりするので一話分仕上がっても、ストック貯める感じで投稿はしないかもしれ
ません。
そうなった場合はどうかご容赦を。
では次回もお楽しみに!