ダーリン・イン・ザ・アマゾン   作:イビルジョーカー

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少し身内でのゴタゴタがあって、遅くなってしまいました(⌒-⌒; )




地中より這い出るモノ 後編

 

 

 

 

「ふぅ〜危ない危ない。やっぱもう1人分位作ってやらせた方がよかったかな?」

 

 草木が生い茂る森の中でブラッドスタークは、そんな独り言を零す。

 そして、“ある物”を取り出してはそれをじっくりと、まるで品定めでもするかのように一瞥。満足気な笑みを浮かべた。

 

「まっ、どっちにしろ成功したから良しだね」

 

 スタークの掌にあるソレは、一見すれば何の変哲もないただの黒いUSBメモリ。しかし肝心なのはこの中にある情報なのだ。

 それはあの七賢人たちが欲する程に価値あるもので、まだ彼等が知り得ていない情報でもある。一度でも知れば、何を犠牲にしても是が非で手に入れようとするだろう。

 

「“アレ”の本当の在り処がコレにはある」

 

 アレ、というのが何を指し示すものなのかはともかくスタークは、それを再び握り締める。そして歩き出そうと足を一歩踏み締めた時、聞き覚えのある一つの声が彼女の耳朶に浸透する。

 

「ふふふ、内緒事はイケないわぁスターク」

 

 スタークの声が少女と称するに適切なのに対し、こちらは成熟した女性の声。大人の妖艶さを醸し出すような口調と声にスタークの中で該当する人物は1人だけ。

 

「アレニス? どったのこんな場所で」

 

 ヴィスト・ネクロの女性幹部『アレニス』。

 

 チャイナドレスに浅い褐色の肌が特徴的で、主にやる任務は隠密諜報や暗殺と、裏方に回るようなものばかりだが、幹部である以上その実力は確かなものがある。

 スタークも以前から世話になっており、彼女のその腕前は常に迅速であらゆる無駄を省き、望む結果を手にする為に行動する。それがアレニスなのだ。

 前のキッシング時における作戦でも実に良く働いてくれていたのを覚えている。そんな彼女が何故ここにいるのか……とは思わなかった。

 すぐに大方察しがついたからだ。

 

「あらあら、惚けて誤魔化すのはダメよ」

 

 スタークの問いに彼女はそう答えた。

 

「貴方の持ってるソレ、例の“叫竜の兵器の隠し場所”の情報でしょ?

 

「……」

 

「私ね、こう見えて誰であろうと監視の目は光らせてるのよ。姫様以外は、ね」

 

「……なるほど。ハナからオレが怪しいと踏んでた訳か」

 

 男口調で、圧を乗せて語るスタークはバイザー越しの目を鋭くさせる。

 

「“スターエンティティ”」

 

 そして、それに合わせるかのようにアレニスは語る。

 

「叫竜たちが保有する最終兵器。APEのお偉いさん達はグランクレバスにソレがあると踏んでるらしいけど、違うんでしょう?」

 

 スターエンティティ、と言う単語を知る者は七賢人たちやフランクス博士とヴィスト・ネクロを束ねる姫君とその幹部ら。

 

 そして、ブラッドスターク本人。

 

 公に知られていないソレは、先程もアレニスが言った通り“叫竜側の最終兵器”。起動すれば容易く勝敗の天秤が叫竜へと傾き、勝利を決定させる程に強力で、災凶で、核兵器なんぞとは比較にならない破壊力を持っている。

 

「ヴィスト・ネクロの最終目的はスターエンティティの力で“世界を再構築させる事”」

 

「そんなこと言ってたな」

 

「アレにはそれだけの力がある。単純な破壊力だけを持った兵器じゃない」

 

 スターエンティティは、手にすれば世界万象の一切をコントロールできる。荒唐無稽な御伽噺に聞こえるかもしれないが、事実であるからこそヴィスト・ネクロはソレを欲しているのだ。

 人類に成り替わり、自分達がこの世界の霊長の座を獲得する為に…

…。

 

「だから、そういう勝手な真似は困るわ」

 

「勝手って言われてもなァァ……オレは別に何もしてないぜ?」

 

 ヒュン。

 

 風を裂く音と共に何かがスタークの横顔を掠めて、向こう側の木へと突き刺さる。見れば、細く白い繊維を石のように硬くなるまで雁字搦めにした……形状的に果物ナイフの刀身部分か。

 軽く切ったせいで掠った頬の箇所に一筋の切り傷が生じるも血は流れず、代わりに紫色の光が漏れ出ていた。

 

「こいつは、何の真似だ?」

 

「御託はいいからさっさとソレを寄越して。次は眉間を狙ってもいいのよ?」

 

 笑みを消し去り、剣呑な殺気を込めた視線と表情でスタークが持っているUSBメモリの譲渡を要求するアニレスを見て、スタークは観念したような溜息を吐きつつ差し出された彼女の手の平にメモリを置いた。

 

「いい子ね。でも妙な悪戯はダメよ? 下手したら自分の身を滅ぼしかねない」

 

 再び妖艶な微笑みを浮かべてはそんな忠告をするアニレスにスタークは面倒臭そうに手を振る。

 

「へいへい。仰せのままに」

 

「……それにしても不思議ね。血は流れず、紫の光が漏れ出すなんて

 」

 

「まっ、そこんとこは人間じゃないから、としか言えないな。勿論アマゾンでもない」

 

 そう言って、光が漏れる傷口に手を添えそのまま拭い去るような仕草をすると、傷は見当たらず、まるで最初から無かったかのように傷をつけられる前の状態に戻ってしまった。

 

「さて、と。オレは……私はそろそろ向こうに戻らないと」

 

 そう言いスタークは蒸気の如くスーツを消し去ると元の生身の姿…

ナオミとなる。いつまでも此処で道草を食っている訳にはいかない。

 

 少なくとも今はまだ、13部隊の“観察”を止めたくはない。

 

「それじゃ、姫様によろしく。私からのプレゼントを有効活用してね♪」

 

 奪われたのではなく、あくまでプレゼントだと嘯く少女の戯言に付き合い切れないとでも思ったのか、ナオミが去っていく後ろ姿を見つめるだけで何も言い返すような事はしない。

 アニレスは忌々しいとばかりに露骨な舌打ちを鳴らし、そのまま自らも去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっとも、中身は大分変わってるけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人知れずナオミは嘲笑う。

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

 凄まじく甲高い音が周囲に轟く。

 二つの要因……アルファのアームカッターと、女王蟻のアマゾンが持つ硬度の高い外骨格がぶつかり、金属のソレに近い甲高い音を鳴り響かせたという訳だ。

 瞬間。間髪入れず女王蟻の鎌が高速で、横一線に振り迫るがそれをアルファは回避。

 両足の裏を女王蟻の頭部に押し当て、踏み台の要領で身を翻し反転することで切り刻まれる難を逃れたのだ。

 

「とっと、尻もそうだが頭も大概だな」

 

 アルファがアームカッターで切り裂こうとしたのは、女王蟻の頭部

。無駄に強い弾力性を持った尻部を『斬撃技での攻撃するか』。

 それとも『ギガを用いた攻撃を食らわすか』か。それを実行する前に他の部位はどの程度なのかを探る意味合いでアームカッターを頭め

 がけ振り下ろそうとしたのだが、結果は今の状況が物語っている。

 

「尻以外はアームカッターが通用しない位に頑丈な硬さか。んじゃ、今度はきちんとやらせて貰うぜ」

 

 そう言うアルファは、両手を開いた状態で指を少し折り曲げ、そして両腕を左右斜めから交わらせるようにクロスさせると両腕共のアームカッターに自身が保有するアマゾン由来のエネルギー『ギガ』を収束させる。

 それにより刃の部位が赤く染まった。よく見ればまるで陽炎のように赤色の光を孕んだオーラが吹き出し、棚引いている。

 今までアームカッターの刃が同じ原理で赤く発光する事はあったがこの様になる事はなく、しかもこれは鷹山が人間からアマゾンの姿になる際に生じるものと酷似しており、ほぼ同一の事象と言っていい。

 アマゾンが人の姿から獣人形態となる際、生じる蒸気らしきものは

 変身時に活性化した細胞が発するギガの余剰エネルギーが水分を纏ったもので、時折見る衝撃波は何も纏わない状態のエネルギーがそのまま吐き出されていたものだ。

 

 蒸気ではあるが、普通の蒸気ではないのだ。

 

 そして低いランクのアマゾンは皆共通に色が白しかなく、“ノーカラー”と称され、逆に高いランクのアマゾンは様々な色があり、“カラーアッパー”と呼ばれている。そのアマゾンが下位か上位か。

 特殊な機器又は知識を持たない素人の目でも容易に判別できる。

 話が逸れたが、変身時と同じ現象がアルファのアームカッターに起きているのは通常よりもエネルギーが収束しており、それが収まり切れず余剰として漏れ出しているのだ。

 

「デカいからな。いつもより倍に食らわせてやるよ!」

 

 そんな軽口と共にアルファは収束させていたギガをクロスを左右に解き振り払うことで、一気に解放させる。

 赤熱の高エネルギーがエックスを描き一直線に女王蟻へと向かっていく。結果を言えば、アルファが放った高出力ギガの攻撃は女王蟻に見事命中。

 爆炎と黒煙を散らし、エックス文字状の火傷のような傷跡と大きなダメージを与えた所を見るとどうやら尻部の弾力性、外骨格の硬度の許容範囲を超えるには十分だったようだ。

 しかし本来であればバラバラに切り刻むことが可能だったがそれは叶わず。未だ生命を維持し、そして尚も闘争本能を剥き出していた。

 

「◾︎◾︎ッ!」

 

 だが、それも束の間。

 

 アルファの与えた高出力の一撃は紛れもなくこの女王蟻のアマゾンの命を奪っていたのだ。

 最期に気高き咆哮を上げる。それは本能しかなく矜恃や誇りなど無い筈のアマゾンという獣が僅かに垣間見せた、その一瞬だけの女王としてのプライド。

 見る者によっては、そう思うかもしれない。

 そして、まるでそれが本当だと言わんばかりにほんの数秒という時間の中で、全ての脚を折る事なく体制を崩さないまま、肉体が黒の液状に崩壊し、やがては物言わぬ液体と成り果ててた。

 

「……腐っても女王様って訳か」

 

 ぽつりと。アルファはそんな感想を零した。

 

 

 

 






昨日のジオウ……やってないんかい!

新フォームも出て、早く続きが見たいです。
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