ジオウでとうとうアナザーディケイドが・・・今週の日曜が楽しみになって来ましたね
。そしてダーリンインザフランキスが早くも一周年!
今後とも頑張っていくのでいくので応援よろしくお願いします!
「俺は、ゼロツーと一緒に飛ぶ為に戦います!」
二番手は自分だ、と。まるでそう言いたいかのような勢いでゾロメの次に言葉を発したのはヒロだった。
「それだけじゃない。ここにいるみんなや都市で暮らしているオトナたち。俺が、この手で守りたいと思うみんなに手出しはさせない。それが叫竜でもアマゾンでも……」
力強く熱の篭った言葉で紡ぐヒロの戦う理由。
ここまで確固たる決意を見せる要因は、自分達13部隊がこれまでに戦って来た叫竜
。そしてヴィスト・ネクロという敵対組織の存在だろう。叫竜も十分脅威ではあるが、何より人と対して変わらぬ知性を持ち、明確な悪意をもって襲い来るヴィスト・ネクロはその時の場合や状況にによってはそれ以上の脅威に成り得る。現に1人のコドモだった090を自分達の陣営へと引き込み、アマゾンへと造り変えた。
しかも、それだけじゃない。
090が叛旗を翻したあの事件の後、26都市に住んでいたオトナが計30名いなくなっていた事が判明したのだ。原因、又は犯人は誰か?
そう問われれば090と同じく反旗を翻した謀反者であるスタークとその手引きで密かに侵入していたヴィスト・ネクロに他ならない。明確な証拠はない。あの混乱を利用すればできる事はまず間違いない。もしヴィスト・ネクロだと確定するならば何故あの局面で090が本性を現し、派手に暴れたのか。30名のオトナを捕らえる為に都市を混乱させ
、警備体制を崩す為の『囮』になった。
そうすれば筋の通った理屈にはなる。だとすれば今後もヴィスト・ネクロはこういった諜報・策謀を巡らせ襲い来るに違いない。
だから、何が何でも阻止する。
コドモとして、ライダーとして、みんなを守る為に……。
「……なるほど。んで他は?」
納得したかのような呟き以外には特に何も言わず、残りのコドモたちへと質問に対しての嘘偽りは許さない、そう言わんばかりの追求染みた視線を向ける。
「あたしは……ヒロやみんなを守りたい」
「俺も、イチゴと同じです」
デルフィニウム組のイチゴとゴローはそう答える。
「ミクは、こいつが心配だし……勝手にいなくなるのは嫌だから……そ、それにもし、本当にオトナになれるなら……い、一緒になりたい……から」
「ミ、ミク〜!!」
「ちょ、こら! 抱きつくなっての変態!!」
ミクは口をごもごもとしたかのような歯切れの悪い言葉の羅列で、そう言う。
ゾロメのパートナーだから。
というのは一見すると安直な理由ながらも鷹山はそれを否定するつもりはなかった。内容その物ではなく、“自分で選んで決めた”のか。それが重要だからだ。
自身のパートナーの思いに感銘を受けたらしいゾロメは人目も憚らず、ミクに抱きつくと言う奇行をしでかした。嬉しい気持ちは分からなくもないが、女の子にいきなり抱きつくと言うのは早計だろう。当然ながらミクのゲンコツを貰ってしまった。
「私もみんなの為に戦います」
「俺は、ココロちゃんを守る為に戦う!」
ココロは普段では見れない程力強くそう言い、フトシはそんな彼女を守ると、勢い良く答える。
「……僕は、僕の意思でフランクスに乗ります。誰かに指図される謂れはありませんから」
心外な。まるでそう言わんばかりの表情と言葉からは、己の自尊心を隠そうともしないある種のプライドの高さを曝け出しているミツル。そんな彼に続いてパートナーであるイクノが声を上げた。
「私は……学者になりたい。何を学んで研究するのかは、まだ決まってないけど……もしちゃんとオトナになれるとしたら、そうなってみたい」
自他共に本の虫、などと呼べるほどに知識欲旺盛なイクノはよく本を読む。本から得られる知識はその全てがオトナが教えてくれないことばっかりな為、昔から本を読むのが好きだった。ゾロメほどオトナに対する憧憬の念はないものの、そう成ってみたいという気持ちは少し程度はあった。もっと欲をかけば、ナオミと共に協力して研究したい
。大切な親友として側にいて支えてくれたらのなら、どれ程いいか。あくまで口には出さず、己の心の内に留めるに抑えたイクノは少しばかり視線をナオミへと流す。
ナオミが最後だから、と言うよりは自身の思考の渦中がナオミだから。と訂正を加えた方が正解になる。いずれにしろ、最後がナオミであることに違いはない。
「私は、みんなと一緒に変えたいと思ってる」
「変えたいって何を?」
疑問符を浮かべてミクが言う。疑問はミクのみではなく、ナオミ本人を除く全員の総意だろう。
「私達が戦わなくてもいい世界」
なんてことのない一言。しかしそれは13部隊、ひいてはコドモの存在意義に関わる発言だった。
「それって……あたし達がパラサイトでなくなるようにしたいってこと?」
「……そうだね。言葉だけ取ればそうなるかな」
イチゴの神妙な空気を孕んだ質問に少し間を開けて、ナオミは言った。
「オイふざけんなよ! 叫竜倒さないとオトナになれないんだぞ!!」
ナオミの発言にゾロメが食ってかかる。しかしこれだけ言って終わりなどと言うことはなく、当然きちんと続きを述べた。
「うん。それは分かってるよ。でも叫竜と戦って死んじゃったらさ、悲しいし辛いよ」
叫竜との戦いは全てにおいて、都市防衛を担うフランクス部隊が勝つ訳ではない。叫竜を倒すことができず、部隊が壊滅する話は少なくない。かつて090がいた26部隊も戦線で孤立し下手すればそういった結末を迎えていた可能性が高かったのだから。
「だから、コドモが戦わずに済む方法を模索して、作りたい。そうしたら私達平和にオトナになれるかもしれないよ」
叫竜と戦わず、平和にオトナになる。
それはあまりに理想過ぎる目標と言える。
「ありえませんよ」
故に否定する者は必ずいる。その一番手として声を上げたのはミツルだった。
「僕等は……コドモは全員パラサイトとしての価値があるからこそ、生かされてるんです。それを否定するなんて、随分な話だと思いますが?」
そう言うミツルが何を言いたいのか、それを理解出来ていない訳ではないナオミは、若干を顔に翳りを差してしまった。事実として、コドモの存在意義は優秀なパラサイトとなってフランクスに乗り叫竜を倒すことであり、それ以外など毛程も求められてはいない。かつて、13部隊がまだガーデンに居た頃。パラサイトとしての適正値が低下、元より上昇する見込みのないコドモは何処かへ消えていた。それは稀に見る、という少ない頻度でなく、かなり多い頻度で消えていた為、さして珍しくなか
った。
消えたコドモの行き先は……コドモたちは誰一人として知らない。教育係のオトナに尋ねても「知る必要はない」というお決まりのワードが返って来るだけ。誰であろうとそれは変わらなかった。見知った誰かが別れを告げることなく消えてしまう。その辛さ、悲しみを経験したコドモたちは少なくないだろう。
「分かってる。でもやってみせるよ……必ず」
明確な詳細を口には出さず、側から見れば計画性など皆無と断じられるかもしれない。しかしその決意がいかに真剣なもので、強固で、不屈のものか。
鷹山から見てもそれは間違いないものだった。
「…………はぁぁぁぁ〜……」
やけに長い間と共に溜息を惜しげも無く吐き出す鷹山。疲れたような、というよりも呆れの意味合いが強いか。そんな風な思いをひしひしと感じさせては徐に口を開いた。
「分かった分かった。俺がいちいち言わなくても、きちんと自分の理由を持ってるようだな」
まるで何かを諦めたような、そんな乾いた笑みを浮かべて片手を頭に乗せると、ワシャワシャと髪を軽く掻き乱すような仕草を取りながら鷹山はそう言う。
「なら、もう俺が言うことは何もない。明日は早いからな。さっさと食って寝るぞ」
そう言って、鷹山はまだ串に刺さっていた肉の一切れに齧り付き、その半分を引き千切る形で持っていき、そこそこ心地いい咀嚼の音色を奏でた。
※ ※ ※
深夜。闇に包まれた浜辺を太陽の代わりに満月と星々の光が照らす。その光景は昼とは違い、とても神秘的で、ギラつく激しさを帯びた日の輝きとは違い、静かる優美さを秘めた輝きを放っているように見えるだろう。その浜辺に二つの人影が海岸線に沿うようにしてゆっくり歩いている。
ヒロとイチゴだ。
「ごめんねヒロ。こんな時間に」
「イチゴが気にすることないよ。色々考えてたせいで眠れなかったし」
事実、ヒロは中々寝付けなかった。理由は今日一日で経験した事全てだ。あの廃墟と化したオトナたちの街とは似ても似つかない町のこと。アマゾンとしての本能に酔い、危うく殺したアマゾンの臓物を食らいかけたこと。そして……自分のパートナーのこと。
それらが頭の中を思考として飛び交い、糸と糸が乱れ絡み合いグルグルのグチャグチャ状態だった。
そんな頭で寝れる筈なく、どうやらイチゴも同じだったようでひっそりと起きていたらしい。そしてイチゴの提案で、夜の浜辺へ散歩……と言うことになったのだ。
「……あのさ、ヒロ」
「ん?」
「ヒロは、その……大丈夫……なの?」
「…………それは俺の中のアマゾンの事?」
曖昧なイチゴの問いをより分かり易く整理したヒロは、少し自嘲気味に言い出した。イチゴはもう既に気付いている。ヒロが持つアマゾンとしての本能の側面。それが“活発化している”と言う事実を
。これまでヒロがアマゾン・イプシロンとなってアマゾンと戦った光景を思い返えせば、容易に察する事はできる。アマゾンとしての彼は苛烈にして残酷。敵となる対象の肉体を八つ裂きにしてまで徹底的に殺し尽くすのだ。
それを幾度も見て来たイチゴは、前回と今回とを比べてそれがより強調されている事に気付いたのだ
。その核心を突くようなイチゴの問いに対しヒロは、乾いたような、疲れているような。そんな哀愁とした表情でヒロは胸の内を語り出した。
「……俺、生きてていいのかな?」
「え?」
「時々自分が怖くなる。俺は、いつか大切な仲間を襲って命を奪うんじゃないかって。あの時は勢い付いてゼロツーと一緒に乗って飛んで、オトナや仲間を守るんだって言ったけど……」
少し間を置いて、ヒロは続けた。
特に表情を変えず淡々と。
「いつか人間としての自分を失って、本当の獣になってしまう。そんな考えが少しだけあるんだ」
女王のアリアマゾンが生み出したワーカーのアリアマゾンたちを相手取った際、ヒロが感じたのは命を奪う事への罪悪感や嫌悪感ではなく、むしろその逆に位置する感情が絶えず湧き起こっていた。
『快感』。
『狂喜』。
『解放感』。
そして……『食欲』。
肉を裂き、骨を砕く。そんな残虐な行為を平然と行いましてや楽しんでいた。そして1匹のアリアマゾンから抉り取った中枢臓器を見て……“食べてしまいたい”と。
あの時確かにヒロはそう思った。もしイチゴが止めてくれなかったら、と考えただけで背筋が凍りつく心境だ。
「……で、でも、刃さんから抑制剤貰ってるって……それがあれば、アマゾンとしての本能を抑えられるんでしょ?」
キッシングにおける両都市防衛作戦の前に刃から渡されたアマゾンの特性……“人食衝動”を抑える為の抑制剤。その効果は今もある。だが、ほぼ完全に抑えられる訳ではない。
「そうらしい……けど、刃さんは完全じゃないって言ってた。確率で89%ぐらいあるみたいなんだけど……」
それでも、ヒロには抑えられない時がある。アマゾンとしての姿であるイプシロンになる時はよりそれが理性の蓋を押し退けて来そうになるのだ。
「勿論決意は嘘じゃない。これはあくまで俺の予感って言うか、そうなるかもしれないって言う可能性を勘で言ってるだけ……なんだけど」
それでも思ってしまう。
人の血肉を貪り喰らう獣に堕ちるかもしれない自分が生きていいのか、と。ヒロの中で決意とは裏腹に脈々と根付いている負の思考。矛盾した二面性が息衝いていた。
「でも。ゼロツーと一緒に乗ってる時だけは、それが薄れるんだ。理由は分からないけど多分フランクスに乗れば……ッ?!」
ふと、何かがヒロを抱き締めた。二人しかいないこの状況と馴染みのある暖かな匂い。いきなりの事に驚きつつもすぐに答えに辿り着いた。
「イチゴ?」
「させないよ。ヒロが怪物に成るなんて……そんなこと、私がさせない!」
ヒロを抱き締めた両腕に力を込めて、イチゴはそう宣言する。
そして……。
二人の唇が重なった。
※ ※ ※
「シャアラァッ!!」
「フッ!」
場所は移り変わり、時間を少々遡り。
片方は刃。もう片方は尾。そこいらの銃弾や兵器では一切傷を付けられないレベルにまで硬化された双方が左右エックスの字を描くように、重なり合って、火花を散らす。刃の側……ザジスは尾を払い退けて追撃の一閃を振るうが、それを弾いた尾とは別の尾が防ぐ。尾の側……叫竜の姫は、いくつかある尾の内の一つでザジスの一閃を防いだのだ。更に別の尾がいくつかザジスの身を刺し貫こうと迫る。
「ヌルいなァッ!」
だが、防がれている刃……の形状に右腕を変化ささたブレードとは別の左腕のブレードで叫竜の姫の尾を容易く切り払った。
「チッ!」
切断されてはいない。それでも痺れに近いダメージの感覚を味わう破目になった彼女はザジスから一定の距離を取り、その鋭い眼光を輝かせた。
「フン! 叫竜の姫ってのは大した事ないらしいなァ?」
「ほざけ野良猫」
ザジスの嘲笑混じりの挑発を叫竜の姫は一言で、特に何も感慨入れず吐き捨てた。
「だってそうだろ? とっくに斬られてんのに毛の先も気付かないんだからな!」
「! ッ」
ザジスの言葉の真意を察するが、時既に遅く。全ての尾の根元から一本の線が走った瞬間、青い鮮血を撒き散らながら尾は本体である叫竜の姫から離れてしまった。
「グゥゥ!」
苦痛に顔を歪め地に伏せる叫竜の姫は何としででも立ち上がろうと奮起するも、それをザジスの片足が背中に押し付け、阻止する。
「ガァッ……貴様ッ!」
「まぁ、面白かったよ。準備運動としてはな」
殺す意志を一心に込めた殺意の視線を意に介さず、淡々とそう告げるザジスは両手のブレードを叫竜の姫の首を左右に、挟むようにして当てた。
「じゃあな」
ザシュゥゥッ!
そして、感情を込めないこの一言が死刑宣告となった。生々しい裂ける肉の音と青い鮮血が二重奏となって彼女の首は、本体から離れ落ちた。
「ハァァ。呆気ねーな。ファントの野郎はまだか? さすがにデカブツ2匹は梃子摺るか?」
この場にいるのは物言わぬ屍と化した叫竜の姫とザジスだけしかいない。狭い空間では戦い難いと言う理由で叫竜の姫の取り巻きだった2匹の大蛇型の叫竜とファントは、2匹が作った大穴を通って地上で激闘を繰り広げている筈。もし、どちらかが倒されたのなら生き残った方がここへ戻って来るだろう。あるいは、相打ちか。
しかし仮にそうなったとしてもザジスに何の感慨もない。ザジスにとって自身と同じ地位に立つ幹部又は自身の下に就く部下たちは、ヴィスト・ネクロと言う群れの仲間であり、それなりの信頼を寄せている事に嘘偽りはない。だが自分に付いていき、戦うことを選択したのは他ならぬファント本人。口数が少なく、表情も一貫して無機質な無表情を貫き、まともな感情を臭わせないソレはある種の異様に違いない。そんな訳だから正直な所、ファントが何を考えているのか、ザジスには分からない。
まさに『読み難い』という言葉を体現した彼だが、その闘争本能と、それに基づく戦士の誇りは確かな真実にして事実だ。
それを理解しているからこそ、ザジスは仲間に対しての心配や悲嘆という感情を持たない。自らの意思で戦うことを選び、そして死ぬ。それは理不尽でも何でもなく、至極当たり前の道理だ。己が意思で戦い、敵を打ち倒し、仲間や自分が倒されたとしても感慨なし。それがザジスの思想に基づく戦士としての誇りなのだ。ザジスは天井に空いた大穴を見上げながら、上で起きているであろう戦いの凄まじさを想像して思い耽っていたが、すぐさま異様な気配を感じ取り、振り返りつつ一定の距離を作る為に大きく飛び退けた。
「ふむ。鈍感な猫ではないらしいな」
「な、なんでだ……」
ありえない。
そんな一言の思考が頭の中を埋め尽くす。それは確かに聞き覚えのある声だった。凛とし、幼さを残すその中に荘厳なる意志を垣間見せるようなその声。そして、青い肌の肢体を隠さんばかりの衣服にも見える黒い模様。それは間違いもなく『叫竜の姫』だった。
ザジスが切り落とした頭を脇に抱えた状態で、頭のない身体が立っているという異常過ぎる現象を除けば、だが。
「テメェッ!!」
「言っておくが、妾という一個の生命体は不老不死であっても“不死身ではない”」
そう告げる叫竜の姫の言葉に耳を貸す理由などある筈もなく、ザジスはブレードで鋭い突きを繰り出し、叫竜の姫の肉体の中心……心臓を貫いた。
だが、それは無意味に終わる。
「この身は自我を持たず、遠隔から操作されているに過ぎぬ妾のクローン体。元より生きてはおらぬ
。思念という糸で操られた人形であるが故に何をどう切られようと糸さえ繋がっていれば何の問題もなく動かせる」
ブレードが心臓を貫き通し、青い血が止め処なく溢れては瞬く間に姫の足下に血溜まりを形成してしまう。が、それでも彼女は自らの口を閉じる事はなく、淡々と告げる。
「さて。ではそろそろ礼をくれてやるとしよう」
何をする気だ。そんな言葉を聞いて疑問としてそう思うよりも早く、ザジスの危機回避の感覚が警鐘を鳴らした。左右ブレードの二本をクロスさせ、ギガを一点に集中させる。回避では絶対に間に合わない。最大限の防御で行くしかない! そう瞬間的に判断した上での行動だった。
そして……。
眩い蒼白の閃光が叫竜の姫の身体から解き放たれ、空間全てを余さずに飲み込んだ
……。