ダーリン・イン・ザ・アマゾン   作:イビルジョーカー

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今年最後の投稿……間に合って良かったです。

ダリフラの漫画もあと2話。もう少し、続けて欲しかったです。色々とありましたが、どうか良いお年を!

これからも応援よろしくお願いします!!







デルフィニウム救出作戦 part3

 

 

 

 

フランクス四機。

13部隊それぞれの特性を有するフランクスたちは全速力で、足元に装備されているブースター機能をフルに使用し、荒野を疾走する。先頭を行くストレリチアは、その中にいるヒロへと声をかけた。

 

『そんな身体で平気? ダーリン』

 

「は、はは……正直言うと、キツい、かな」

 

ヒロが受けた毒性物質によるダメージは、未だ回復には至っていない。

玉のように浮かんでは次々と流れ落ちていく汗と、上下に肩が揺れ荒く吐き出される息。

顔色もあまり良くない事を入れれば、素人目でも、彼の身体が決して良好状態ではない事が分かる。

 

「けど、さっきよりは少し良い。それにあの時に比べたらまだマシな方だよ」

 

強がりではない。

感覚としては確かにあの時、26部隊との共同戦線前の、ゼロツーから貰ったあの痛みが、今感じているものよりも、ずっと苦しかったのは事実だ。

 

『そっか』

 

ストレリチアは短く、そう呟いた。

淡々としたものだけれども、何処か嬉しそうに聞こえるのは、単にヒロが個人的に感じるニュアンスに過ぎないのか。

 

『にしても、本当に上手くいったね』

 

「でもまだ序の口だよ。本番は、ここからだ」

 

そもそも何故、ヒロがここにいて、2人の救出作戦に参加しているのか。それを問えば、門矢士から作戦の概要を聞いてた時間まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

「まず、さっきも言ったが、俺がファントとらと取り巻きの足止めをする。ついでに囮もな」

 

士は作戦説明の開口一番に、そう宣言する。

 

「囮って、引きつけるってこと?」

 

「ああ。俺ならその二役をこなす事ができる」

 

ナオミの問いに士は傲岸な雰囲気を崩さず、それがまるで息を吸って吐いてする位に当然だと語っている風情にも思える。

 

「……はっきり言って、ボクは信用できないな」

 

そんな士のことが癪に障ったのか。いや……事実、癪に障ったのだ。

彼女の表情から滲み出る、負の感情は露骨な敵愾心と疑念が凝り固まったように、不機嫌そうな、ある種無言の喧嘩をふっかけているに等しい剣呑さを孕んでいたからだ。

それを分かってはいる士だが、敢えて、その事についての言及をスルーする。

 

「信じられないのは結構。納得して貰うつもりもないが、お前達だけでどうにかできるのか?」

 

「ッ……」

 

士の言葉にゼロツーは反論しようとする姿勢こそ見せるが、それを喉の所でグッと。押し殺して黙ってしまう。

ゼロツーは戦いというものをよく熟知している。だからこそ、相手と自分の力量を見極める事に長けている。

仮にヒロが万全だったとしよう。

メンバーにストレリチアが入ったとして、あのアマゾンには勝てるか、と問われれば……。

 

答えは『不可能』

 

最も相手が叫竜であるのなら、力量差など、お構いなしに立ち向かうだろう。

アマゾンとなると、勝手が違って来るばかりか、“ゼロツーにとっての獲物には成り得ない”。

 

「まぁ、とにかくだ。俺が陽動の囮と抑え込みを担ってる間にお前らは叫竜目指して真っ直ぐ突っ切るように行け。そして、上手く敵の腹の中へ入り込め」

 

「入るって……どうやってよ?」

 

ミクが疑問符を浮かべる。士は率直には答えず、ゼロツーへと視線を向けた。

 

「お前なら、分かる筈だ」

 

「……」

 

士の言葉の意味が分からず、コドモたちに加えてナナとハチも、士の意図が分からないと言った様子で懐疑的な表情を作る。

唯一、鷹山だけは何処か納得したものだが。しばらく沈黙を貫いていたが、これ以上は埒が明かないと思ったのか。

ゼロツーは、その口を開いて解答を述べる。

 

「あの形の叫竜は、前に二回相手にしたことがある。さすがに爆発するなんてことはなかったけど、共通点があった」

 

記憶の中にある同型の叫竜の共通点。それは本当に仔細なもので、戦闘では特に役立たない為に片隅に置いて忘れかけていた。

が、今はそれが、デルフィニウム救出において必要なものだった。

 

「天辺の部分に人一人分が通れる噴出口っぽい穴があるんだ。多分、あいつも同じのがあると思う」

 

「そこから侵入するって言うの?」

 

ナナが真偽を問うかのように視線を投げる。

ゼロツーが言った『人1人分』とは、文字通り人間1人でやっと通れる、と言う意味だ。

つまり、フランクスでの侵入は不可能なのだ。

 

「まぁ……ね。中に入って2人を助けるなら、それしか……」

 

『危険過ぎるッ!!』

 

間に入るように通信越しの声が響いた。

それは、他でもないイチゴのものだった。

 

『フランクスもなしに誰かを1人、叫竜の中に向かわせるなんて……正気じゃない!!』

 

迸る声に誰もが圧されていた。必死になるのは当然だ。人1人が叫竜の中へと入ったところで、どうなると言うのか。

フランクスで入るなら話は別だが、どう考えても、この計画は何もかも破綻している。

 

「無謀には違いないな。が、やる価値は十分にあると思うが?」

 

『……どういうことよ』

 

さも当然に言う士に対して、イチゴは剣呑な声でその是非を問い質す

。それに対応している士は、あくまで余裕だが。

 

「今お前達がいる位置は何重にもある層の中の一番奥側…可燃性の液体じゃなく、純粋な体液が溜まってる場所だ。そこなら、ちょっとした威力の爆弾を使おうが起爆する危険性はない」

 

「……アレか? ようは中に一人が入って、爆弾かなんかでデルフィニウムを縛ってるモンを破壊する」

 

瞬間。全員が驚愕すると共に、背筋にぞわりとした感覚が撫で奔るような悪寒に襲われる。

 

どう考えても危険過ぎる。

 

生身の状態で、そんな芸当ができるのはアマゾンであるヒロと鷹山しかいないだろう。

尤も、仮に二人のどちらかがやるにしても、今の状態では、それも不可能だが。

 

「まぁ、そうだな」

 

「なら認めないぞ」

 

にべもなく、鷹山は断言する。

 

「俺とヒロ、あるいはどっちかがやるってんならいいが、こいつらは只の人間だ」

 

「訓練してるんだろ? なら賭けてみるのも一興だ」

 

 

ガシッ。

 

士の胸ぐらを鷹山の手が掴み上げる。

ひしひしと感じる手の力は、決して士を逃がそうとはせず、多少抗った程度では振り解けない事を容易に想像させる。

簡潔に言えば、鷹山は今、確実にキレている。

 

「お前には、合理的な判断をする思考が搭載されてねぇのか? 無理なもんは無理だって言ってんだよ」

 

「賭けてみる必要性を言っただけだが?」

 

絶えぬ士の、戯言と断じかねない言葉に鷹山は胸ぐらを掴む手に更なる力を込める。

まるで、もう限界だと悲鳴でも上げているかのように掴んでいる部位から、力で無理やりているような引き千切られる音と共に、糸が二本ほど飛び出る。

このまま行けば、服の一部を…どころか、全身 に纏う服を引き裂く形で剥ぎ取ることも、力の加減次第では容易に出来きてしまう。

 

「そもそも、お前の妙な力でやりぁ問題解決だろーが。制約がある、とか。今更そんなんで誤魔化すなよ?」

 

「別にそういったもんはない。それで誤魔化す気もな。だが、あくまでこれは、お前達の戦いだ。俺がするのは、その手助けに過ぎん」

 

その視線だけで殺せるかもしれない。そんな根も葉もない妄言を、他人の口から出しかねない程の鷹山の眼光を前にしても、士の態度が崩れるような事はない。

やはり、不敵な顔で対応するのみだ。

 

「……」

 

「俺はどんな事でも聞いて叶えてくれる神様でもなければ、お助けマンでもランプの魔人でもない。ただ旅をする通りすがりの仮面ライダーだ」

 

仮面ライダー。

 

その言葉にほんの僅かだが、痙攣するかのように身を震わせ、眼光をより強めた鷹山の反応をヒロは見逃さなかった。

 

「それに、別に俺は13部隊のガキどもの誰かに行かせるとは、一言も言ってないぞ?」

 

「……はぁ?」

 

堪らず、不意打ちを突かれたとばかりに鷹山の口から、間の抜けた声が出てしまった。

とは言え、仕方ないだろう。

誰か一人をデルフィニウムがいる叫竜の中へ送り込み、デルフィニウムを拘束から解放・救助するという話なのだから。

当然、その役は13部隊のコドモだと思うのが筋である。

しかし、どうやらそれは違ったようだ。

 

「そこの赤いのに行かせる、と言ってる」

 

「ボクが?」

 

赤いの。そう言った士が視線を鷹山から逸らすと、その先にいたのはゼロツーだった。

色と視線からして、どうやら間違いと言う訳ではないらしい。

 

「確か、そいつは正式な部隊のメンバーじゃない筈だ。何も間違ってはいないだろ?」

 

「……ガキを行かせるな、って言ってんだよ俺

は」

 

「そいつはまた随分なお笑い話だ。今までアマゾンやら叫竜やら、化物の相手させておいて、よくそんな台詞が出るもんだな」

 

士の正論は事実だ。

鷹山はコドモたちが戦う事を否定はしない。現にアマゾンの駆除や、自身の戦い方を対叫竜戦へと応用した訓練等、様々な面において、鷹山は戦う為の全てを教え込んだ上で、死地へ赴かせている。

だが、それは状況に対応できる判断力と身に襲いかかる危機に対処する為の技術と武器や道具。

そういった生存率を上げる対策を持たせた上で、だ。

 

「液体の中じゃ武器は使えない。ギガ専用武装でもな。爆弾なら使えるが何の危険もない保証がどこにある? デルフィニウムを捕まえてる触手が他にある可能性は? そもそも、体液が有害な毒だったら? そういったことを頭に入れてから物言いしろ」

 

そう言って、鷹山はぞんざいな扱いだが、ようやく手を離す。

 

「逆に聞くが、そんな悠長な事を言ってられる余裕があるのか? 爆発しないにしてもデルフィニウムの生命維持はそう長くは持たないぞ」

 

皺でクシャりと歪んだ胸元を伸ばして直しつつ、鷹山の言い分に士は反論する。

 

「……やるよ」

 

ポツリと。ゼロツーの口から言葉が漏れる。

 

「時間ないんでしょ? あんまやる気が起きないけど、まぁ、一応は仲間だしね」

 

気怠げにそう言う彼女だが、ふざけた雰囲気等一切ない真っ直ぐな瞳で士を見る。

 

「大口叩いんだから、囮。ちゃんとやってよ」

 

「上等だな」

 

ゼロツーの不敵な微笑みと挑発。それに対し士は、まるで煽るかのように不遜な嘲笑で、そう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ。なるほど……こいつは、随分な賭けに出たもんだ」

 

無数の円筒状が屹立し、左右に二列を成して並ぶ広い空間。

丸い照明があるものの、大した光力を持たない為に薄暗く、更に円筒状の窓らしき部分からは緑と紫、更には赤の妖しい色彩で染まった光が漏れており、それはまるで、得体の知れない不気味な空気を演出させているかのように感じる。

その中央。人が通れるように敢えて空けられた一筋の幅を少女、ブラッドスタークが歩みを進めながら、一言零す。

様子から察するに“向こう側にいる自分の分身体”から得られる情報を吟味し、整理しているようだ。

 

「……かなり心配だが、まぁ、仕方ない。あの忌々しい破壊者気取りも13部隊のコドモたちの犠牲は避けたい筈。ここは、様子見に徹するのが妥当だな」

 

独り言の口数を減らさず、尚も歩みを止めずにスタークは進んでいく。

 

「それに13部隊には、“人らしい人間”として成長しなければ意味がない。これは、その為の過程……試練とでも受け取るべきか」

 

やがて、足を止める。

目の前に重厚な特殊合金で出来た自動ドアが待ち構え、それが左右へと開く。

その先には先程の円筒状の物体があった空間よりも更に広く、黒一色のガスマスクと防護服を

身に纏う作業員が右往左往と忙しげに業務をこなし、再びその中をスタークは歩いていく。

作業員たちは現れたスタークに一礼する者もいれば、素通りしたり、あるいは様々な視線で見て来るなど。対応は様々だ。

その全てを無視してスタークは、ある人物がいる部屋へと訪れる。

 

「ご苦労様プロフェッサー。どう? 溶原性細胞の様子は」

 

「はっ。順調にございます」

 

資料を手に、スタークに向けて目上に対する礼節的口調と一礼で答えたのは、ヴィスト・ネクロの幹部、プロフェッサー。

 

「溶原性細胞の改良により、これまでの欠点はほぼ解消され、その感染力を利用した増殖で、アマゾネストを量産させることが可能の筈です」

 

「筈、か。まぁ実験がまだだしね。結果は追々分かるか」

 

頭を掻いて、やや溜息を吐きながらスタークは眼前にあるソレへと手を添える。

一見すると、内部に液体の詰まった円柱型の透明なガラス製と思わしき、5mほどの大きさを有する容器だ。

 

液体の色は、緑。赤。紫。

 

緑の中に赤と紫が絡み合うように隣接しているが、決して混ざり合うことなく、それぞれが淡い光を放つ奇妙な液体で満たされていた。

恐らく、あの円筒状の中にあったものと同じ物だろう。

 

「赤は、アマゾン細胞を活性化させる特殊調合の高タンパク物質。緑はアマゾン細胞を気温や衝撃から守る保護培養液。紫は、アマゾン細胞を排除しようとする免疫機能を阻害する毒性を有し、感染者をアマゾネストへと造り変える、溶原性アマゾン細胞本体…だったかな?」

 

「はい」

 

スタークの言葉にプロフェッサーは端的に答える。

 

「この三つを合わせて、粒子状に放出する装置を使ってコロニーの全区画に散布するんでしょ?」

 

「ヴィスト・ネクロの計画では、その手筈通りに。しかし我々のものは……」

 

聞き手にもよるが、それはまるで、他には知られていない別の計画があるかのような言い回しだ。

そんなプロフェッサーの言葉をスタークは自身の言葉で上乗せする形で遮る。

 

「"障子に耳あり"って言葉知ってる?」

 

「……かつてあった、極東の国の諺ですね」

 

「知ってるなら結構。幹部あろう者が協力者に過ぎないボクにそうヘコヘコするもんじゃないよ」

 

軽い口調で笑いながら、近くにあったソファーに座り、傲慢さを惜しみなく出すかのように足を組んでは、両腕をソファーの背もたれの上にだらしなく乗せる。

バイザー越しに見える彼女の目は、何処か威圧感を覚えさせるものがあった。

 

「ああ……そうだな。すまん」

 

「まぁ、とにかく。ザジスとアレニスが良い報せを持って来るのを待つとするよ。作戦実行は、その後だし」

 

そう言って、スタークは気怠そうに顔を上へと向く。天井は特に何もない。

部屋全体を照らす照明が一つ、あるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

『いくぞ、うおりゃあぁーー!!』

 

ゾロメの勢い強い声がアルジェンティアから響き渡る。

アルジェンティアは両手を合わせるように交差させ、その上にストレリチアが舞い降りる。

 

そして。アルジェンティアは一気に押し上げる。

 

アルジェンティアの腕力に加えて、腰部と両足のブースターの推進力

。この二つによって飛び上がるストレリチアは、瞬く間に叫竜の噴出口へと辿り着く。

ゼロツーがいなくなればストレリチアは動かせない為、飛行能力を駆使して共に追随したクロロフィッツが動けなくなった機体を運ぶ役目で、側にいた。

 

『本当にあった……すごい熱気』

 

噴出口は丸みを帯びた十字状の肉厚の蓋で覆われる形で閉じていたが

、それでも僅かな隙間から内部で発生した高熱の蒸気が出ている。

恐らく、かなりの高温の熱を発生させ、体液を蒸気へと変換しているのだろう。

その際に生じる熱膨張を防ぐ為、内部の気体が一定以上になると、噴出口から出す。

概ね、そんな仕組みなのだろう。

 

「開けますよ」

 

ミツルがそう言い、クロロフィッツが噴出口の僅かな隙間から両手を押し入れる。

そうすることで肉厚を押し退け、噴出口の穴を強引にこじ開けようとする。

 

だが、柔らかい見た目に反し中々固かった。

 

このクラゲのような大型の叫竜個体は、本来ならば仲間の叫竜を収納し運搬する、そういった役割を持つ個体だ。

故に攻撃は大したことないのだが、その反面、防御力に秀でており、その方法は強靭且つしなやかな弾力性。

 

弾力とは、文字通り“弾く力”。

 

同時に元に戻ろうとするものだ。

 

無理に力を加えようとすれば、元に戻ろうと抗う故に厄介と言える。

 

『ぐっ……固い……』

 

『ボクもやるよ。気張って』

 

ストレリチアも加えて、フランクス二機分の力を利用し噴出口を開かせようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

グチュ……グバァァ……。

 

 

 

 

 

 

 

生理感を刺激するような生々しい音を奏でつつ、ようやく噴出口は開いた。穴はやはり小さく、人間なら一人分。フランクスなら手首の部分しか入らない大きさだ。

そんなものでも、ソレを覆う蓋は二人分のかなりの力で、ようやっとこじ開けるのが精一杯だった。

ストレリチアは無言でクロロフィッツに向けて頷くと、噴出口の蓋を閉じないよう固定したまま、表情が電子音を立てて消失。

 

ゼロツーが接続を切り、稼働停止になった証拠だ。

 

やがて、ストレリチアの顔が開き、コックピットの出入り口も開く。

赤いスーツはそのままに、頭を覆うヘルメットの顔部分に特殊防護ガラスが覆っており、視界確保と安全はこれで完了。

 

あとは、叫竜の内部へとダイブするだけだ。

 

「ゼロツー」

 

「ん? どうしたのダーリン」

 

いざ行かんとする瀬戸際に彼女のパートナーは、何かを伝えたいかのように真っ直ぐ、彼女を見る。

 

「やっぱり、君一人だけ行かせられない!」

 

「……え? うおッ?!」

 

殆ど不意打ちに等しいヒロの宣告だが、それが僅か数秒後。

現実のものになるなど、さすがのゼロツーも予想出来る筈もなく。

ステイメン専用の操縦席から立ち上がる暇もなく跳び上がったヒロはゼロツーの側まで来ると、そのまま彼女の手を繋ぎ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アマゾン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ステイメンの操縦席に“誰かが隠した”、ベルトをすぐに巻き付け、緑色のオーラと共にその身をアマゾン・イプシロンへと変身。

 

ゼロツーの手を握ったまま、噴出口へとダイブした。

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

「クッ、クク……フハハハ……まさか、本当にやるとはなぁ」

 

サゴーゾ・ディケイドの仮面の中で士は、笑いを堪え切れないとばかりに漏らし出す。

 

「まぁ、それでこそ、と言った所か。そうでないとサプライズしてやった意味がなくなる」

 

そんな独り言を零すが、尚も重力による力場を利用した拘束を解いてはいない。

 

『ウ、グゥッ……ウォォォォォォォォォォォーーーーーッッッッッッッッ!!!!!!』

 

天に背を向けて倒れ込んでいたファントだが、突如として咆哮を上げ

、同時に重力の力場を一瞬で消し去る。

 

「ッ! ……なるほど。伊達に幹部じゃないってことか」

 

力場が一気に消失した衝撃でやや仰け反ったものの、すぐに立て直し、眼前で立ち上がる相手を見てはそんな言葉を零す。

 

「俺、幹部。お前ごとき、負けないぃぃ!」

 

「能書きはいい。来い」

 

ファントの宣告にサゴーゾ・ディケイドは挑発を兼ねて鼻を鳴らす。

それに敢えて乗り、ファントはその両足で重低音が響かせながら、ディケイドめがけ突進。

互いの打撃が通じる範囲まで両者が近づいた瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二つの拳が同時に衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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