ダーリン・イン・ザ・アマゾン   作:イビルジョーカー

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 連続投稿です。



目覚めるケモノ×角ノ少女 後編

 

 

 

 

溢れる極光。それは神々しく、そして荒々しい脈動を感じさせるに足るほどの輝きだった

 

 その中にソレはあった。

 

 純白のカラーにボディの各随所に見られる鮮血の如き赤のライン。その手に握り締める槍【クイーンパイク】は敵を一度穿てば、敵が死すその時まで離さぬ鋭利さと攻撃性を秘め持つかのような威厳。

 

 戦神の乙女と称するに相応しい姿のソレの名は『ストレリチア』。極楽鳥花の名を冠する

 

「すごい……」

 

「ひ、人型になった!」

 

「あいつ、フランクスなのか?!」

 

 自身が搭乗していたフランクスから避難した13部隊のコドモたち…その中でイチゴがその威厳溢れる姿に魅入られ感嘆の声を漏らし、ミクは獅子型から人型になった変形機能に驚きを示し、ゾロメはアレがフランクスなのかとまるで問う様に叫んだ。

 

「いかにも!」

 

 すぐ隣にいたとは言え、独り言だったゾロメの言葉を自らの耳に律儀に聞き届けたフランクス博士は、当然とばかりに声を張り上げて答える。

 

「凹型因子《ネガティブ》と凸型因子《ポジティブ》、この二つの男女が組み合わさり心重ねた時、鋼鉄の乙女はその本当の姿を映し出す!」

 

「な~るほど。さてはあのステイメン君と一緒に乗ったな、あのジャジャ馬姫」

 

 テンション高めなフランクス博士の言葉とは相対的に平淡な声が聞こえる。フランクス博士以外のナナやハチ、そして13部隊の面々はその声のした方向へ視線を向けるがその姿を見た途端、コドモたちはその声の主に驚き他なかった。

 

「あ、アマゾン……!!」

 

 イチゴが叫ぶ。他でもない刃ことアマゾン・アルファ本人だった。

 

「そう怖がるなって。喰いやしねーよ。疑うのならそこのナナお姉さんに聞いてみな」

 

「彼の言う通りよ。敵ではないから安心して」

 

 そう説明するナナの言葉に未だ疑念は晴れないがとりあえずは納得する他ないだろう。

 

「か、カッケェェェェェェェッッ!!」

 

「ん?」

 

『え?』

 

 突然のゾロメの叫びにアルファとコドモたちが疑問符を含ませたように声を漏らした。

 

「なんか色々カッケー! 真っ赤な色に胸んところの傷跡とか、その刃みたいなもんが付いた両腕両脚とか!」

 

「……あんた、バカァ?」

 

「あ、あーうん。とりあえず誉め言葉として受け取っとくな」

 

 完全に緊迫した空気をぶち壊しているゾロメ。そんな彼にパートナーであるミクは呆れをこれでもかと入れ込んだイタイ視線を送り、そんなゾロメの少年心を無自覚とは言え、鷲掴みにしてしまったアルファは適当に相槌を打つ形で対応。

 

「ぬおっ! コレは!!」

 

「どうした爺さん」

 

 いきなり驚愕とばかりに叫ぶフランクス博士にアルファは問いを投げかけ、ストレリチアと叫竜に視線を変える。

 

「おいおい……こいつはどうなってやがる?」

 

 理解できないと言う風情のアルファの視線の先には、ストレリチアが人型へ変形すると同時に変形をし始めた叫竜の姿があった。叫竜の変形能力はさして珍しいものではなく、何度かそういった個体は確認されている。それについてアルファは愚かフランクス博士も十分承知している情報に過ぎない。では何を驚くことがあるのか?

 

「なんで叫竜から“アマゾンの気配が濃く感じられるんだ?”」

 

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 

「の、乗れてるのか、俺?」

 

「うん! すごいねダーリン。普通なら最初でダウンしちゃんだけど……」

 

 ストレリチアのコックピット内。ヒロは席に腰を下ろし、操縦トリガーを握りしめて今、この瞬間に自分がフランクスを動かしているという事実が未だに信じられず、困惑をありありと顔や挙動に出している。

 

 そんなヒロにゼロツーは、彼の前にあるピスティル専用の座席から肯定の意と共に再度ヒロが自分にとって相性のいいダーリンであることを自覚し、満足気な笑みを浮かべていた。

 

 ピスティル専用の座席はステイメン専用のものとは違い、円形状に凹んだ窪みにあり、同じく複座式だがフランクスを操作する為の操縦トリガーはなく代わりに両手両足を入れる四角型の接続口がある。

 

「さぁ行くよダーリン! ボクとキミでアイツを倒すんだ!」

 

「ああ、ゼロツー。行こう!」

 

 意気投合した二人はストレリチアを動かし、主力武器である槍クイーンパイクの矛先を叫竜へと向け急速に突進を繰り出す。しかし、丁度変形を完了させた叫竜は一気に飛び上がり、ストレリチアの刺突による一撃を回避してしまった。

 

「なにッ?!」

 

「変形したのか?」

 

 コックピットに映し出された映像には、先程の叫竜がコウモリのような巨大な両翼と耳のような部位を生やし、ゆっくりとした羽ばたきで空に舞う姿が悠々と映し出されていた

 

「ぐっ!」

 

「ダーリンッ?!」

 

 急に胸を押さえ苦しむ様子を見せるヒロ。心臓が熱く疼いて体内を焼いていくかのような感覚に侵されていき、心臓の鼓動も早くなった。

 

 何故、自分はこんな状態になっているのか? 原因はあの叫竜だ。 

 

 涌き出る疑問はすぐに本能によって回答された。あの変形した叫竜を見た瞬間にヒロは、今までにない妙な感覚を感じた。それを分かり易く言い表すとすれば“存在感”とでも言うべきか。アレは同じ存在。自分と同じ存在。種において同一存在。

 そんな言葉が心臓の鼓動と共に伝わって来る度に苦痛が増す。

 

「グッ、ガァァッ!」

 

 熱を伴なう激痛の中で自然と操縦トリガーから手を離したヒロは、離した手……左手をアマゾンズドライバーの左側のグリップへ移動させ強く、力強く握り締めて回す。

 

『イプシロン……』

 

「アァァァァァァァァマァァァァァァァ……ゾォォォォォォォォォォォォンッッッッッッ!!!!!!!!!!」

 

 電子音声と共にヒロは吼える。“アマゾン”と。

 

 緑色の蒸気がヒロの身体を包み込み、その肉体を大きく変質させていく。蒸気が消え失せるとヒロの姿は著しい変化を遂げていた。頭には閉じた翼のような意匠と、翼を思わせる鋭く赤い目のある顔。全身は明るいエメラルドグリーンだが随所に赤いラインが奔り、両腕両脚は刃の変身するアルファと同じ漆黒の外骨格が形成されている。

 

「ガルル……ガァァァッッ!!」

 

 この状態から更にグリップを回す。すると腰に装備されているアマゾンズドライバーの目の瞳が赤く荒々しく輝き、無数幾多と伸びる血管のようなラインが広がっていき、コックピット全体……果てはゼロツーへと伸びていく。やがて彼女の身体へとラインが這い上っては神経や感覚を侵食していく。

 

「なに……こ、れ……ああああッ!」

 

 突然の事態に驚愕と困惑に動揺を隠し切れないゼロツーだが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりの途方もない快楽が身に染みて来る。下手をすれば溺れそうな程に。だがゼロツーはあくまでも意識をしっかりと保ち、むしろこの快楽がいつも以上の活力を彼女に与えてくれる。

 

「フ、フフ……ハッハッハッハッハッハ!! 最っっ高だよダーリン! やっぱり、キミはボクのダーリンだよォォォォ!!!!」

 

 狂喜を顔に張り付かせ、高らかに笑っては改めてヒロを自身のダーリンとして感じ入るゼロツー。異様な空気が包み込み支配するコックピット内部だが、その外ではもっと異様なことが起きていた。

 ストレリチアの身体が深緑色に染まっていき、ボディ全体に赤く血管のように波打った斑模様が浮かび上がる。ピスティルの顔が投影される顔の部位にはギザギザとした口が形成され、その目はより鋭さを増して悪鬼羅刹と呼ぶに相応しいのかもしれない。更に両腕両脚部位にはアルファのようなアームカッターのような刃状の突起物が形成され、瞬く間に変貌を遂げたストレリチアにフランクス博士は驚嘆の声を上げる。

 

「なんと、なんとォォォォォォォッッッ!!!!」

 

「……もしあのステイメン君だとすると……なるほど。やっぱそうだったのか」

 

 アルファはクラッシャーに手をやって何かを思案している様子だったが、誰もが大きく本来ならばありえない変貌を遂げたストレリチアに首付けで誰も指摘する者はいなかった

 

「アレはどういうことですか博士。ストレリチアにあんな機能はない筈」

 

「スタンピードモードとも異なる第三の形態……」

 

「ハチにナナよ。驚愕に絶えんかもしれんがワシもそうだ。そしてどのような過程で、どういう原理でああなったのかが分からん以上、何も説明できんが……これだけは言える。アレは、通常のストレリチア以上の強さを秘め持っていると!」

 

 興奮気味に語るフランクス博士。13部隊のコドモたちも食い入るように刮目している。

 

『ガルル……グギャァァッ!』

 

 まるで爬虫類に近い鳴き声を上げる、緑色のストレリチアは膝を折り曲げて屈んだかと思えば、空に舞う叫竜へめがけ一気に跳ね上がる! クイーンパイクは既に構えられ、いつでも叫竜へと突き刺させる状態にあった。

 それを視認した叫竜は、クイーンパイクが自身のコアへ届く前にそうはさせぬと言わんばかりに尾を円錐状に変形させ、青白いエネルギーを収束させる。そして、口と思わしきか。あるいは口部に相当する箇所が大きく裂けるように開闢し、凄まじい閃光の奔流がストレリチアを包み込む。

 

「やられた?!」

 

「いいや、大丈夫だ」

 

 ナナの悲痛さを帯びた言葉にアルファは問題ないとでも言いた気に断言。事実そうだった。

 

『ギィィィ、ギャァァァァァァッッッッ!!!!!』

 

 閃光が裂かれる。その現象の根源はクイーンパイクを向けて叫竜へ迫るストレリチアだった。クイーンパイクの先端の刃は通常よりも禍々しいエッジの多いデザインと化し、赤色のエネルギーを纏って閃光を難なく切り裂いていく。

 そして。閃光の一切を斬り捨てて屠ったストレリチアが叫竜との距離をもう間近、近接攻撃が届く範囲にまで近づいた瞬間!

 

 

 

 

 

 

 

 大・切・断!!

 

 

 

 

 

 

 

 クイーンパイクを振るい、叫竜の身体を生命維持の中核を成すコアごと真っ二つに切り裂いた。

 

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 

 黄昏の夕日が見え始める頃。元の姿へと戻り起動を停止したストレリチアのコックピットから二つの人影が出てくる。

 一つはゼロツーだ。もう一つは……。

 

「あれは……ヒロ?!」

 

「な、なんでアイツが?!」

 

 逸早く気付いたイチゴ。それに続くのは声に疑問を孕ませたゾロメだ。しかし誰もゾロメの疑問の言葉に答える者はおらず、もう危険は無いと判断した為元の姿に戻っていた刃はそっと。フランクス博士に耳打ちする。

 

「爺さん、ちと手伝ってくれ。色々調べたいことができた」

 

「うむ。ワシもだ。これは今までにない前代未聞と呼ぶに相応しき事と言えよう」

 

 驚愕と困惑。そして、両科学者の思惑。それらが複雑に絡む中でゼロツーはたった今、意識を失って倒れたヒロへ視線を向ける。彼を見るゼロツーの顔は、まるで今までにないものを見つけたかのような。そんな思いを感じさせる含みのある笑みを浮かべている。

 

「これからもよろしくね、ボクのダーリン♪」

 

 彼女は実に楽しそうにそう言った。 

 

 

 

 







~今回の補足説明~



『仮面ライダーアマゾン・イプシロン』

 本作オリジナルのアマゾンライダー。モチーフは始祖鳥で変身者はヒロ。
名前の由来は『ε』から。主な必殺技は跳躍から急降下して翼に似たアーム
カッターで切り裂く『バイオレント・エアパニッシュ』。




『ストレリチア・アマゾンモード』

 変身状態のヒロとゼロツーが搭乗しコネクトすることで成し得るストレリチアの
第三形態。全身が緑色になり原作アマゾンのような斑模様が浮かび上がる。また口
元が原作アマゾンやアルファのようなギザギザのクラッシャーへと変形。これで敵
や物に噛みつくことが可能。主な必殺技は刀身部位が禍々しく変化したクイーンパ
イクで敵を切り裂く『大切断』。
・正直やっちまった感はありましたが、個人的にはすごく気に入ってます。必殺技
は原作を意識してまんま大切断。制作会社がグレンラガンを手掛けたトリガーなの
で、ちょっとそれっぽさを意識してみました。


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