ダーリン・イン・ザ・アマゾン   作:イビルジョーカー

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連続投稿です。




ヴィルムvsディケイド

 

 

 

 

 

 

両者の間に緊迫した空気が流れる。

 

片や、世界の破壊者とも呼ばれる旅人。

 

片や、新しき世界を創ろうとする人でもアマゾンでもない存在。

 

両者はここに改めて邂逅を果たしたのだ。

 

 

「初めまして、だね。こうして会うのは」

 

「まぁ、お互い知ってるけどな」

 

 

何気ない会話を交わす。しかし空気は依然として緩くなどならない。

 

 

「単刀直入に言うけど、この世界から出て行ってくれない? この世界は貴方の目を引くような特別なものはないわよ?」

 

「ご親切にどうも。だが、それを決めるのは俺であって、お前じゃない

 

「……うん。まぁ、仕方ないね」

 

 

諦めたように一つ、ナオミは溜息を吐く。

 

そして腕に着けている腕輪を起動させる。

 

 

「アマゾン」

 

 

その言葉と同時に腕輪から赤と青、そして紫の粒子が放出され彼女の身を覆い尽くす。

 

しかし、その間はほんの一瞬に過ぎない。

 

粒子は容易く消え失せ、ナオミの代わりに彼女が変身した紫色のアマゾンライダーの姿が、そこにはあった。

 

仮面ライダーアマゾン・ヴィルム、フェイス1。

 

 

「変身!」

 

 

士は予め付けておいたディケイドライバーにカードを装填。ディケイドという活気な電子音声と共にマゼンタ色のエネルギープレートが頭部に深く突き刺さり実体化。

 

仮面ライダーディケイドへと姿を変えた。

 

 

「まずは小手調べだ……フンッ!」

 

 

腰に備えられていたライドブッカーを手を当てそのままガンモードへと変えると何発か発砲。

 

エネルギーではなく実弾だが、それでも並の怪人ならダメージを負う位には威力はある。

 

 

「フフッ」

 

 

何処か呆れを含んだ笑みを零すヴィルム。

 

背中から紫色の炎に似たエネルギーのマントを展開。赤と青の粒子によって彩られたそのマントをくるりと翻し、己の身を隠す。

 

すると実弾はマントと接触した瞬間蒸発。

 

ヴィルムの身体に届くことすらなかった。

 

 

「この程度で小手調べ? にしては安過ぎない?」

 

 

ナオミの口調でそう断言すると共に今度は自分の番、とでも言いたいのか。親指をクイクイっと自分へ向けるジェスチャーを送り、一気に急接近すると前腕からフレアカッターを放出。

 

炎の刃で斬りかかるがそれをソードモードへ移行したライドブッカーの刃が止める。

 

無論、ただでは防げない。

 

実体のない炎を実体ある金属で切り裂こうとしても無意味なように、防ぐ事もできはしない。

 

 

「!!ッ」

 

「驚くなよ。知ってるだろ?」

 

 

ライドブッカーの刀身をオーロラカーテンで包み込み、フレアカッターを別次元へと送るという、まさに常識を超えた埒外な方法でヴィルムの攻撃を防いで見せたのだ。

 

僅かに生じた隙を見逃さず、ディケイドは素早く蹴りを一発打ち込む。

 

おかげである程度引き離す事ができたが、別段好転した訳でもなく。振り出しに戻っただけというのが正しい。

 

 

「やるねぇ。さすが世界の破壊者なんて言われるだけはあるよ、ホント」

 

「そうかい。なら特別サービスだ」

 

 

そう言ってディケイドは一枚のカードをドライバーに装填する。

 

 

『KAMENRIDE AMAZON!!』

 

 

電子音声と共にディケイドの姿が変わる。

 

いくつもの白い影がディケイドへと折り重なることで変化したその姿は、深い鬱蒼とした森林を想起させる緑の体色に生物の血管か。あるいは傷跡のように見えなくもない赤いラインが奔り、首には白のマフラーをつけている。

鷹山やヴィルムと同じアマゾンライダーと呼ぶべき姿が其処には在った

 

 

「アマゾンにはアマゾン……ってな」

 

「なるほど。それが別世界のアマゾンライダー

ってわけ……まぁ、意味ないけどォッ!!」

 

 

あくまで自分の方が圧倒的だ。

 

傲慢さを隠さない言葉からは、そう言いたいのがよく伝わって来る。

 

しかし、ディケイドを……レジェンドライダーの一角を担う仮面ライダーの力を舐めてはいけない。

 

迫り来ては猛烈な威力を込めたパンチを放って来たヴィルムに対し、ディケイド・アマゾンはそのパンチを掴み、掴んだ手とは反対の腕に備わっているアームカッターでヴィルムを切り裂く。

 

 

「!!ッ」

 

 

一瞬動揺を見せた。その隙に獰猛な口部を使い攻撃する技、ジャガーショックでヴィルムの首元へと噛み付く。

 

 

「グゥゥッ!! 離れろォォォッッ!!!!」

 

 

鳩尾狙いの膝蹴りで引き離そうとするが、その寸前でディケイド・アマゾンは口部を離し、跳躍。

 

一旦距離を取ると、すかさず蜥蜴のような姿勢で地を這ってヴィルムの目前まで駆ける。

 

ヴィルムは拳を振り上げ、アマゾン・ディケイドの頭部へ喰い込ませようと繰り出す。

 

一発でも当たればディケイドとは言え、かなりのダメージを喰らってしまう危険性があるだろう。

 

しかしアマゾン・ディケイドは拳を難なく回避してしまった。

 

それどころかすれ違いざまに右脚の太腿と同側の腕を切りつける。

 

 

「チィッ!」

 

 

しかしこの程度では大したダメージにはならない。最初に受けた傷も今では容易く再生し、跡すらない。

 

それでも入れられたと言うのはヴィルムにしてみれば屈辱ではあるし、苛立ちを覚えたりもする。

 

故に忌々しげに舌打ちを鳴らす。

 

 

「どうした? この程度か?」

 

 

立ち上がり、来いよと人差し指を曲げながら挑発するアマゾン・ディケイド。

 

首をコキリと鳴らし、ヴィルムは何も言わず無言でドライバーのグリップを握り二度回す。

 

 

『ヴィルム……フェイス3』

 

 

正直に言えば、舐めて掛かっていた。

 

だが実際、直接戦ったことでディケイドの実力は自分の想定をゆうに超えていた。

 

フェイス1でも、2でも勝てないと踏んだヴィルムは新たに得た三つの形態の一つ、フェイス3への変身を選択した。

 

その姿はアマゾン・ディケイドやアマゾン・イプシロンと同じく真紅の複眼。

 

顔や全身に刺々しい意匠を顕にし、両腕両足は黒い外殻のままだが胸腹部の強化外殻プロテクターは複眼と両手は同じく真紅に染まっている。

 

そして背中には一対の蝙蝠の翼が生えていた。

 

アマゾン・ヴィルム、フェイス3。

 

その身に保有する遺伝子は『グレン・オオチスイコウモリ』

 

 

「ハァァ……この姿になると無性に抑えられなくなってしまうな」

 

 

呑気な口調でそんな事を宣うヴィルムは次の瞬間、音もなくアマゾン・ディケイドの背後に回り込み……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その首筋に喰らいついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

 

クロロフィッツのウィングスパンから放たれるの高エネルギー砲は、間違いなく破格の威力を誇る代物だ。

 

余波で地面が削れながら一直線に叫竜へと向かっていく様は、荒れ狂う猪突猛進を体現した獣だろうか。

 

叫竜は反撃する暇もなく、それを受けて身体の大半がコアごと吹き飛んでいく。

 

コアさえなくなれば、後は死が残るだけ。

 

間違いなく生命活動を停止させられた叫竜はバラバラになり、青い血液を滴らせながら残骸として散乱。

 

 

「は、はははは! やった! 僕だって、やれば……できるんだ!!」

 

 

成果を出せたという事実は、それ自体はどのようなものであれ、喜ばしい事には違いない。

 

幼少の頃は身体が弱く、成績もそれほど優秀とは言えない自分がこうしてフランクスに乗り、

単独で叫竜を倒せた。

 

結果という点だけ見れば、これはコドモとしての性能を……価値を示せた。

 

しかし過程はそうはいかない。

 

 

「はぁッ、はぁッ、はぁッ、はぁッ……!!」

 

 

イクノは荒い息を繰り返し吐き、両眼の焦点は合っておらず唾液が口から大量に滴り、ポタポタと落ちていた。

 

明らかに異常な状態だ。

 

 

『Code326!! 何をしてる?!』

 

 

そんな中、ハチからの通信が入る。

 

「……叫竜を倒したんですよ。コドモとして、当然の責務を果たしただけです」

 

『Code196のバイタルが異常だ! ……リーダーの指示を無視しての独断行為も含めて、君には責任の追及をさせてもらう。いいな』

 

 

プツンッ。

 

 

厳しさを孕んだハチの言葉は、丁度タイミング良く終わり、同時にマグマエネルギーの尽きてしまったクロロフィッツは沈黙。

 

ハチからの指示で沈黙したクロロフィッツをデルフィニウムとジェニスタが肩を貸す形で持ち上げ、都市の格納庫施設へと運んで行く。

 

そんな中でジェスタは……ココロは、心配した様子で表情を映すことのない沈黙してしまったクロロフィッツへ視線を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……やってくれたな」

 

 

アマゾン・ディケイドが首を片手で押さえつつ、フェイス3へと移行した姿となったヴィルムへそう吐き捨てる。

 

よく見れば胸部や肩に多量の血が付着しており、それは紛れもなく自分もの。

 

首筋をヴィルムに噛まれた際に流出してしまい、着いてしまったのだ。

 

 

「そこそこ美味な血液提供に感謝する。おかげで、"公私"の身体にエネルギーが満ち溢れるようだ」

 

 

一人称が『公私』となり、高貴さを匂わせる独特な口調になったヴィルム・フェイス3。

 

しかし首へ直接牙を突き立て、血を啜ると言う高貴なソレとは到底思えない行為に走っている時点で底が知れたものに過ぎない。

 

吸血行為を"提供"と宣っているのだ。嫌でも分かるだろう。

 

 

「言われても嬉しくないな」

 

 

アマゾンライダーの優れた自己治癒能力のおかげで、首に付けられた傷口はすぐに塞がった。

 

それを確認したアマゾン・ディケイドは、そんな淡白な返事を零す。そして同時に一気に距離を詰め寄ると両腕を交差させ、アームカッターによるギロチンを展開。

 

だが、首と胴が分かれる前に瞬時に消える。

 

次に姿を現したのは背後ではなく、アマゾン・ディケイドの目先から約3mの位置だった。

 

 

「そう急ぐな。じっくり楽しもうではないか」

 

「デートなら他を当たれ」

 

 

どうやら、この姿のヴィルムはスピードに長けているらしい。

 

士の知る限り、スピードに特化したライダーはそう少なくなく、自身もその手合いのライダーと戦った経験がある。

 

そして、その対抗策も持っている。

 

 

「目で追えないスピードなら、コイツの出番だ」

 

 

アマゾン・ディケイドはまたカードを一枚取り出す。

 

その絵柄は、表がカブトムシを意匠した赤い何者が描かれており、くるりと裏返せば同じくカブトムシと思わしきエンブレムが描かれている

 

アマゾン・ディケイドはそのカードをディケイドライバーのバックルに装填し、電子音声が鳴り響く。

 

 

『KAMENRIDE KABUTO!!』

 

 

ディケイドの姿がアマゾンライダーから赤い装甲の機械的な仮面ライダーへと変身を遂げる。

 

名は、仮面ライダーカブト。

 

文字通りカブトムシをモチーフとしたライダーで、その特筆すべき能力は"クロックアップ"と呼ばれる物理法則を超えた超高速移動。

 

 

『clock up』

 

 

カブト・ディケイドがベルトの側面に備え付けられたボタンを押すと、男性特有の低めの声が発せられ、それと同時にカブト・ディケイドの姿

が消える。

 

 

「!!ッ」

 

 

僅か数秒後、凄まじい数の打撃による圧力がダメージとして襲いかかり

、そのあまりの衝撃でヴィルムは無様に吹っ飛ばされ、後方の地面へ倒れ込む。

 

なんだ。何が起きた?!

 

拭えない困惑と混乱が脳髄を揺さぶる。ふと前へ目を向ければ、カブト・ディケイドの姿があった。

 

だが、先程と同じように姿が消える。今度は首を鷲掴みされる感触を覚えつつ、無理やり立たされたヴィルム。

 

すると顔側面に圧力が掛かり、熱く鈍い痛みが奔る。

 

姿こそ見えないが、間違いなくカブト・ディケイドが自身に対し攻撃しているという事だけは把握できた。

 

しかし。その手段方法、不明。

 

原理も理解不能。

 

攻撃している事が分かったとしても、対処法が思いつかない。あるいは頭の中でソレを構築できたとしても、現実的に実現できる条件が不十分であれば、何の意味も為さない。

 

 

「ああ、そこか」

 

「!!ッ」

 

 

とは言え、それはあくまで相手が並程度だったら、の話に過ぎない。

 

ヴィルムはそんな輩とは根本的に違う存在と断言していいだろう。

 

クロックアップ中のカブト・ディケイドを正確に視認し(・・・・・)、そして自身に向けられた拳の手首部位を掴んでみせた(・・・・・・・・・・・・・)のだ。

 

これにはカブト・ディケイドも仮面の下で、思わず驚愕した。

 

クロックアップは、ある世界における人類の敵『ワーム』という、異星からの侵略者たちが種族として保有する能力だ。

 

単純な高速移動ではなく、自分の中を流れるタキオン粒子を操作し、時間流においての活動を可能にするというもの。

 

その為、クロックアップ中の周囲は半静止状態。酷くゆっくりと動き、弾丸の軌道さえ見えてしまう程だ。

 

次に来る相手の動きが分かってしまえば、避けるなり防ぐなり、防衛など容易い。

 

それがクロックアップ発動のアドバンテージと言える。

 

しかし、その有利性は今、この瞬間に崩されたと言っても過言ではない。

 

 

「簡単なこと。お前の身体の中を流れ循環している粒子は、時間流を自在に移行する特性があるのだろう? 生憎、似たような事は公私も可能だ」

 

 

どうやら原理こそ違えど、同じような事がヴィルムには出来てしまうらしい。

 

おまけにカブト・ディケイドの内部を流れるタキオン粒子が見えるとなれば、もはやその有利性は容易く覆されたと言っていい

 

 

「フンッ!」

 

「グゥッ!!」

 

 

掴んでいた手とは反対の空いた手で、ヴィルムはカブト・ディケイドの腹部へとパンチを繰り出し、僅か程度に怯ませる。

 

そして、その隙を見逃さず、回し蹴りで壁際へと叩きつける。

 

 

「がッ……やってくれるな」

 

「さて。そろそろ幕を下ろすとしよう」

 

 

幕を下ろす。芝居ががった口調とは言え、状況を考えればその意味は容易く分かる。

 

ヴィルムは、ベルトのグリップを回した。

 

 

 

 

 

 

 

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