・アンリ・ド・アラミス
フローランス王国の銃士。「三銃士」で有名。銃士隊長トレヴィルの甥。三銃士の中では一番若い。女癖の悪い伊達男。銃も剣もそつなくこなし、学問にも秀でる。
・柳生但馬守宗矩
柳生十兵衛の実父。徳川将軍家兵法指南役として知られる。柳生新陰流の開祖、柳生石舟斎の子で大和柳生藩(現在の奈良県)の藩主を務めた。享年七十六。厳めしい顔立ちの痩身の老人。
・柳生如雲斎利厳
柳生新陰流正当を自称し、但馬守より自分の方が正当後継者だと主張している。享年七十二。太めの体系に達磨のような顔である。
・田宮坊太郎国宗
江戸時代の剣客。歌舞伎の主人公として知られる。齢二十一にして結核で病死したとされる。田宮流居合術の使い手。三尺を超える大太刀を使う。
・サナト・クラマ
異国の服を着て杖を手にした、長い黒髪の女。テトラグラマトン時間神殿のプレイヤー。
アラミスが坊太郎を倒した事で、宗矩は形勢の不利を悟る。
特に熱波弾によって壁に開けられた大穴を見てしまっては、戦意を維持するのは難しい。
少なくとも、何か対抗策が無ければ話にならない。
「――――ならば、逃げるまでよ!」
柳生宗矩は献策によって立身出世を果たした知恵者である。
勝てぬ戦にいつまでも固執するのは如何にも愚策。
幸いな事に、アラミスが開けた大穴が逃げ道となった。
「……くっ!ドラクジンガーの有効射程は短い!」
百発百中の魔弾とは言え、欠点もある。
運動エネルギーが著しく減衰すると、デア・フライシュッツの特性―――
修道女達は外へ飛び出して追い掛けようとする。
「追わずともよい。下手に追って街中にでも逃げられてしまったら、犠牲者が増えるだろう」
宗矩が逃亡した事で必要が無くなったからか、サナト・クラマは空中から降りてきた。
そこで改めてアラミスは問う。
「貴女は天使でも悪魔でも無いと言った。しかし貴女は聖書系魔法を使った。やはり天使なのでは?」
「この世界では天使という存在に近しい場合、聖書系魔法を使う事が可能なだけだ。信仰心とは無関係だ」
「……そんな適当な」
「神は人間に信仰心など求めてはいないからな」
「では、何を求めていると?」
「生きる事を求めている」
「生きる事?」
「ゲームマスターという神が時間神殿それぞれに配置されている。そのゲームマスターによって、各種族の代表者が選定される。私はテトラグラマトン時間神殿の使徒で、
「よく分からない……俺はどうしたらいい?」
「私はルール破りをしている者を処断している。ここに来たのも、あの者達がルールを破っていたからだ。何故なら、この世界はテトラグラマトン時空だ。私は
サナト・クラマの手の平の上に金色の鈴があった。
「その鈴に何か?」
「マリア天姫という者が聖遺物を触媒に、聖母の力を鈴に宿して乙女の体内に埋め込んでいる。そうする事で命令を埋め込む事が出来る。だが、これは逆に言えば、十五の鈴が一つに集まれば聖母の力を得る事に繋がる。聖母の力は強力だ。これは回収しなくてはならない」
「俺に集めろ、と?」
「その通りだ。マリア天姫と敵対しているならば、十五人の修道女とも戦う事になる。いや、既に戦っているのだ。今まで死ぬ瞬間に
「……そういえば。では、彼女達の体内にはその黄金の鈴があったのか。しかし見た事は無かった。誰かが持ち去ったのか?」
「集めている者がいてもおかしくはない」
「……まあ、分かったよ。見付けたら保管しておこう。それから、一つ聞きたいんだが」
「何か?」
「貴女はどうして俺を生き返らせた?」
「生き返りでは無い。転生だ。それに、私は単に後押しをしただけに過ぎない。運命はあの時既に交差していた。このルートを辿った以上は必然だった」
「またよく分からない事を……それともう一つ」
「まだ何か?」
「――――お名前を教えていただきたい、マドモアゼル!」
アラミスはヘルメットを脱ぎ、生涯で最高の笑顔をサナト・クラマへと向けた。
~金の十字架(Ⅵ)これにて閉幕!次回、過去と出会うアトス~