この素晴らしい世界にΨ難を! 作:さい
「はい、確かに。ジャイアントトードを三日以内に5匹討伐。クエストの完了を確認いたしました。それとこれは三匹多く討伐されたようなので追加報酬になります。お疲れさまでした」
冒険者ギルドに戻り報告すると規定の報酬が貰えた。今回の報酬は13万エリス。クエスト事態で受けた五匹で10万エリス。残り三匹は各一万エリス
めぐみんとわければ一人6万5000エリス、宿代が3000エリスと考えれば6万2000エリス余る計算になる。やれやれたかが蛙の癖に図々しい値段だな。さて、僕の能力でコーヒーゼリーを生成させて食べるという方法もあるがあくまでもコーヒーゼリーはデザートだ。主食ではない。
金に余裕はあるし何か頼むとしよう。
ギルド内の空いている席に座りメニューを開くと知りたくもない現実が待っていた。
おふっ.....メニュー表の中にビッシリと蛙がいた。少し語弊があるかもしれないが落ち着いてほしい。メニュー表で一番人気の場所に書かれていたのは、ジャイアントトードの唐揚げだった。
メニュー表を静かに置いて見なかったことにした。ご飯を食べるために、めぐみんも同席している。めぐみんは、何を注文したのだろうか。
暫く待っているとめぐみんの前に香ばしい匂いのするぶつが運ばれてきた。
何かの肉だ。
それは一目で分かった。問題は何の肉なのか、ということだろう。何かの生き物、そう、蛙によく似た生き物のような足。それをめぐみんは美味しそうに頬張ってる。
だが落ち着け、めぐみんが食べている肉は先程討伐した蛙の足よりも小さい。牛蛙の1.5倍はありそうなのでかなり大きい。足の形さえしていなければ七面鳥かと思うほどだ。しかし、肉は肉なのか、中々食欲をそそる匂いをしている。
「サイキは何も食べないのですか?」
お腹は空いているから、食べたい。だがメニュー表を見てから気分が悪い。めぐみんが肉に頬張りつくと、どうしても蛙が頭をよぎるのだ。あの、ヌメヌメはどうやって取ったのか、とか考えただけで寒くもないのに体が震えてくる。
だが流石に何も食べない、という訳にはいかない。オススメは見ないようにしてメニュー表を開くことにしよう。
「その、サイキ....まだ言っていなかった事があるのですが...私は先程見せた爆裂魔法しか使えないのです」
勿論知っている。だがあれほどの威力があるんだ問題はないだろう。
「え?...良いのですか?」
何か問題があるのか?
「いえ...私は爆裂魔法しか使えないという理由で様々なパーティから断られた続けてきました。ですから...また駄目かと思いまして」
確かに、一度しか攻撃出来なくてその後、動けなくなるとかパーティ的には、荷物以外の何者でもないだろうからな。だが僕といれば爆裂魔法は、少なくとも二度は使える。テレポートがあるから移動もそこまで手がかからないし、そもそもピンチの時以外頼るつもりはない。巨大な蛙がいたんだ、巨大なGがいると考えただけで身震いが止まらない。この世界に母さんはいないんだ。なら母さんの代わりをこなせる人物を探さなくてはならない。だが仮にGが出てきた場合だが、誰かが引き付ける役目を負わなくてはならないのか、絶対に無理だ。
めぐみんのあの魔法は、発動まで時間がかかる。それまでGが大人しくしているはずがない。しかも奴等は飛べる馬鹿だから自分が飛べる事すらも知らないが奴等は飛べる。考えただけでも恐ろしいな。つまりは、引き付け役が必要だな。あと一人パーティメンバーを募集することにしようか。
そうだな、今回は。相手を自分に引き付けておく自信がある人。
こんな所か。流石に直ぐには来ないと思うが待っていればそのうち来るだろう。僕は冒険者ではあるが、もう一人のめぐみんは、上位職のアークウィザードだ。
2日経過して気付いた事がある。
僕が貼り出した募集要項を見て足を止める者は複数いた。だが誰も入ろうとはしない。その原因は。
「メンバーを募集し始めましたが、誰も来ませんね」
目の前に座っているこいつだ。募集要項にめぐみんの名前を書いたのは誤りだった。名前が珍しいからなのか、めぐみんを覚えている冒険者が多かった。そのせいで皆首を横にふり地雷だと心で思い立ち去っていく。
「な、何を睨んでいるのですか」
誰も来ないのがお前のせいだからだ。
「な!何を言うのですか!?私はアークウィザードですよ!数少ない上位職なのです!代わってサイキは最弱職の冒険者ではないですか。どちらに原因があるかなんて火を見るよりも明らかではないですか」
因みにめぐみんは知らないが僕はそこそこ優秀なのが知れ渡っている。僕も馬鹿じゃない。パーティメンバーが集まらない間何もしなければ金は無くなる。朝、昼、夜のご飯代が一日に約2500円。一日の宿泊費3000円。合計。一日に5500円使うのだ。少なくともこの金額は使うので手持ちは多い方がいい。そこでめぐみんがトイレに行っていたり、用事があると行って席を外している隙に一人でもこなせるクエストを受注していたのだ。
初日こそジャイアントトードしか無かったが、次の日からは、様々なクエストが発注されていた。
その中で僕が選んだのは、
-----迷子になったペットのホワイトウルフを探して欲しい
というクエストと、
----魔法実験の練習台探してます。※強靭な肉体か、強い魔法抵抗力のある人!
という二つのクエストだ。
ホワイトウルフは念写を使いある程度の場所を調べ依頼があった場所に向かいテレパシーで見付けた。どうやって広大な森の中で見付けたかだって?格好いいホワイトウルフに絶望してしまうかもしれないぞ?時には知らない方が良いこともあるのだ。見付けた後は暴れるので脳内子守歌で眠った所を瞬間移動で飼い主に届けて依頼完了だ。
二つ目は単純にバリアを張っていた。全てを無に反したが問題ないだろう。抵抗するな、とは言われてないのだからな。二つのクエストをこなした僕は15万エリス程貰っていた。暫く困ることは無いだろう。
受けたクエストの難易度が始まりの町である、この町では高いので、受付のお姉さんが少し騒いだせいで、僕は少し有名になってしまったのだ。
一人の女性が貼り紙の前で立ち止まり此方に向かってあるいてくる。その姿はまるで歴戦の剣士を彷彿とさせる。身長は170㎝と高く、頑丈そうな鎧に身を包んでいる。
一見すれば優秀そうに見える外観に喜ぶのかもしれないが、僕は非常に悩んでいた。現在目の前にいる
恐らく募集要項にあった、相手を引き付ける役目は果たしてくれるだろう。だが先程からテレパシーを切りたくて仕方がない程の雑念が脳内に流れてくる。
(相手を引き付ける役を募集するとは....一体どのうような..はっ!まさか、やはりそうか...この男は私にわざとモンスターのタゲを取らせ、観察し、モンスターに防具が少しずつ剥がされていく様を悦にしたりながら眺めるつもりだな!!なんて男だ!素晴らしい!!)
「.....すまない。ちょっといいだろうか」
脳内で考えていることを隠しているだけましか、と鳥束を思い出す。あいつがいれば全てを押し付けていた所だ。
「私の名前はダクネスという。この募集。貴方のパーティの募集だろう?もう人の募集はしていないのだろうか」
募集はしている。だが斜め上の人物に戸惑っているだけだ。
流石の僕も中2病を患わせたロリと変態のパーティなんて嫌である。
「で、では!ぜひ私を!ぱぱぱ、パーティに!!入れてもらえないだろうか!」
手をがっしりと掴みながら鼻息を荒くする女騎士。正直顔もスタイルも良いのに台無しである。
「壁役が必要なのだろう!?私ならその役目を誰よりもこなせる自信がある!むしろ私にその役をやらせてくれ!!」
壁役を募集したわけではない。あくまで、相手を引き付ける役を募集したのだ。まあ大差無いだろうが、語弊が生まれては困るからな。
「いや違う!あんな年端もいかない少女に何かあっては可哀想だ!!私はクルセイダーというナイトの上位職だ!必ず守ってやれる!」
良い感じで言っているが本音はこうだ。
(ああ、あんなことやこんなことを...勿体無い!!私にやらせてくれ!!)
流石の僕も怖くなってきたぞ。こんな恐怖は照橋さんと二人で街中を歩いたとき以来だぞ。所々で聞こえる、攻撃が当たらない、というのは別に構わない。此方にはめぐみんもいるし、最悪、僕が倒せば良い。あくまで相手を引き付けてさえくれれば良いのだ。
目の前の女性。ダスティネス・フォード・ララティーナと言うらしいのだが。本名を言わなかったのは、大貴族ダスティネス家の令嬢だからだろう。
先程問題が増えたがダクネスという女性が騒いでいるせいで、周りにいる冒険者達が僕達のパーティを変人が集まっているパーティだと言っている事だ。やれやれ、僕は変人ではない。僕以外は変人であっても僕は変人ではないのだ。一緒にしないでもらいたい。
だがこうなると、これ以上のパーティメンバー募集を見込めないだろう。気は乗らないが、仕方がない。精々引き付け役をやってもらうとするか。
「本当か!それでは今日からよろしく頼む」