農民でも王女を救えば勇者になれますか?   作:甘い苦瓜

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少し間が空きました…

今回のように間が空くことが多くなるかもしれませんが気長に待ってくださると助かります


ボス戦?何の冗談でしょうか?

「リリィさんって言うんですねー。可愛い名前ですなー」

 

しばらくしてリリィが仲間になったことをアリスに伝えるとアリスはリリィの横に座って話し始める。

 

「アリスさんこそ可愛い名前ですよ…私なんてまだ…」

 

「もっと可愛いんだから自信持ったらいいですよ…えっと…職業は魔法使いねぇ…なら精霊使いとの相性はまぁまぁですね」

 

既にアリスにはリリィから精霊使いのことを聞いている。

 

俺より早く知ることができなかったことを知って悔しがっていたけど。

 

ちなみに精霊使いは前衛職として扱われるそうな。

 

その割には耐久面がそれほど高い訳ではないけど。

 

まぁともかく後衛職とは相性がいいらしい。

 

「さてと…大切な話をしましょうか」

 

俺とアリスは互いに顔を見合わせ頷く。

 

「えっ?なんです?」

 

リリィは俺たちがいきなり真面目な顔をして戸惑っているようだ。

 

「リリィさん。貴方に魔王を倒す覚悟はありますか?」

 

「ま、魔王ってあの⁉︎」

 

「そうです。あの魔王です」

 

「ってことは…」

 

リリィは俺の方に視線を向ける。

 

「ああ、名ばかりだが俺が一応な」

 

「ええっ⁉︎で、でも勇者って1人しかいないはずじゃ?この前魔王を追い込んだって聞きましたよ?」

 

「もう魔王は死にました。そして前の勇者は魔王になった。また例の呪いですよ…」

 

「ああ…でも、シオンさん勇者になるってことは魔王になるってことですよ?怖くないんですか?」

 

「そりゃあ怖いに決まってるさ。俺はアリスに無理矢理勇者にされたから覚悟はできてねぇ。だけどな俺はこの呪いを止める。成り行きでなったからこそなんとしてでも阻止したい」

 

「そうですか…シオンさんなら本当にできるかもしれませんね…確証はないけどなんだかそんな気がします。これからよろしくです!」

 

こうしてリリィと正式にパーティーを組むことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか終わりそうな流れですけどこれじゃあ終わりませんよ!」

 

リリィはいきなりギルド中に聞こえる声で叫ぶ。

 

「もう街の人達は知ってますよ!ここにもうすぐ旧魔王軍の幹部が来ます」

 

こいつは何を言ってるんだ。

 

しかし、周りを見ていると荷物を纏めている人が多く、アリスの話も嘘では無いのかもしれない。

 

「でも、何故こんな初心者しかいないような街に一々来るんだ?ってか魔王倒す前に幹部倒さないといけないだろ?」

 

「知っての通り魔王が勇者だから、幹部はそのチームメンバーです。ただ、彼らも魔の力を受けているとは言え魔王と違い生身の人間です。そんな人達が死んだらどうなるかくらい分かりますね?」

 

「未練が形となりモンスターへと変化するってことですか…」

 

リリィは青ざめながらも答える。

 

「そういうことです。厄介なのは元人間であることは記憶として残っているので思想も人間と同じです。ですから、現魔王軍を倒すべく拠点確保に乗り出したのではないでしょうか?」

 

「それなら今までもここが襲われることはあったんじゃないのか?」

 

アリスは首を振る。

 

「ここはこの国の中で魔王城から一番遠い街ですよ。もたもたしてたら魔王が力をつけてしまいます。かといって人間が攻めることは結界が張られているので無理なのですが…」

 

「何故この街なのか疑問は残るが、この街を簡単に落とされる訳にはいかんだろ?せめて援軍が来るまで俺たちで食い止めることとかできないのか?」

 

アリスは地図を開き赤と青と黄色で丸をつける。

 

「赤が王都、青が元幹部の現在の推定位置、黄色がこの街です」

 

初心者の俺が見て分かるくらいに絶望的な位置関係だった。

 

王都からここまでは恐らく本気で飛ばしても3日、対して元幹部は1日で到着する。

 

つまり俺たちで少なくとも2日は持ち堪えなければならない。

 

しかし、俺は初心者、リリィも戦闘面は初心者、アリスは強化魔法とかその程度で戦闘能力はない。

 

この面子で2日は確実に無理だろう。

 

「もうこの街捨てるしかないんじゃ…」

 

リリィは絶望的な顔をしているが、アリスは笑顔だった。

 

「お前はこの窮地も笑い飛ばすつもりか?」

 

「いやいや違いますよ。こちらに勝機があるってことですよ」

 

流石に無理だろ…俺がそう思っていた時、そいつは現れた。

 

「ふっ…この天才が手を貸すからには勝利は確実さ!」

 

そいつはゴブリンキングに殴られたアロンとか言う名前の奴だった。

 

そして、リリィは既に嫌そうな顔をしている。

 

「この人は油断さえしなければ本当に強いですし、何度も防衛戦に参加している言わば防衛戦のスペシャリストです!」

 

アリスが知っているようなすごい奴だったのか…

 

何故ゴブリンキングに殺されかけた。

 

「レディ、防衛に一番大切なものはなんだと思うかい?」

 

アロンはリリィに聞く。

 

「城壁とかじゃないんですか?」

 

リリィは嫌そうな顔をしながらも答える。

 

「ノンノン!答えはトラップさ!」

 

思ったより普通の答えだった。

 

気合いとか根性とか金ピカとかいうかと思ったけどな。

 

「そうです!つまり今からトラップを徹夜で作成していこうと思います!」

 

アリスは大声で宣言する。

 

それと同時にアロンが先程の地図に書き込みを入れる。

 

「僕達の拠点は街から少し離れたこの森さ!今日の朝小屋もどきは建てておいたからそこを使ってくれたまえ!」

 

今日の朝あそこにいたのはそういう訳だったか。

 

「トラップってどんなトラップを仕掛けるんだ?」

 

「それについては私から説明します」

 

俺の問いかけにアリスが答える。

 

「まずこの森を抜けた先に小さな草原があります。そこにリリィさんと私で沼を作ります。沼魔法カードをありったけ集めたのでこれでどうにかなるかと…次に小屋までの森には原始的ですが落とし穴や丸太などのトラップを仕掛けます。落とし穴の中には針的なやつを置いといてください。そして小屋の周辺ですが私達は一度そこで迎え撃ちます。でも、私は最終防衛ラインの街前の平原にいますので、強化系の魔法は無いものと思ってください。ある程度戦い、リリィさんの魔力が尽きる頃合いで退散してください。そのタイミングで小屋に仕掛けた爆弾を使います。ですので小屋近くまでおびき寄せておいてください。これが前半戦です」

 

「相手にも手下とかはいるはずじゃないのか?四方から囲まれたら詰むぞ」

 

「手下って言ってもゴブリン級の雑魚モンスターばかりであることは確認できているので、多分トラップの時点でほぼ壊滅するかと思われます」

 

それにしてもいきなり強敵と戦うことになるとはな…もう少し味方が欲しいところだが…

 

「残念ながら他の方には断られました」

 

アリスは俺の考えていることを見透かしたかのように言う。

 

「じゃあ君達!早速動くことにしようか!時は一刻を争う。無駄なことをしている暇はないかと思いたまえ!」

 

アロンの号令で俺達はトラップ作りへと向かうこととなった。

 




次回は予想に反して休憩回になるかも?

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