遡ること数分前、都の薬師の八意永琳は薬草を採りに都から少し離れた場所に来ていた。そして、異様な気配を感じ取った。自分から離れた所に妖力、霊力、妖力に似てるが霊力とも違う何か、そして微々たる量だが神力を感じ取った。前者は一つだけだったから恐らくそれは妖怪だ。だが、後者の三つは一つの存在から放たれていた。
永琳は感覚を研ぎ澄ます。妖力の出処は、妖怪。それも、かなり上位の妖怪だ。もう一つは…力の比率からして人間に近い何かだろう。永琳はその場所に行ってみた。
「そこで何をしてるのかしら?」
いたのは妖怪が一体、人間が一人、更にその人間から出ている黒い巨人。私はその巨人に、そしてそれを出してるであろう人間に興味が湧いた。妖怪の方は逃げていった。私はただの薬師だというのに何故だ。すると、恐らく緊張の糸が切れたのか人間が倒れる。それと同時に、黒い巨人が消えた。
さて、どうしよう。ここに放って行ったら私のポリシーに反するが、都の人間じゃないから入れてもらえないかな。そう思ったその時、人間が持ってた刀に目が行く。恐らく神力はこれから放たれて…!?
(これ、十握剣じゃない!?ただの人間が伊邪那岐様の刀を持ってるなんて有り得ない…。まさか、この人間、伊邪那岐様の生まれ変わり!?)
よし、なら話が早い。ちょっと方法がアレだけど、私の権限で都に通しましょう。後、ツクヨミ様に報告しなければ。
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目を覚ますと、真っ白な天井が見えた。
(知らない天井だ…)
何故かそのフレーズが頭をよぎった。
「目が覚めた?」
女の人の声がする。声のした方を向くと、銀髪を三つ編みに編んで、赤と青が混じりあったような服装の美女がいた。
「えっと、あなたは?」
「私は八意永琳。都の薬師よ。ところで、何であなたが伊邪那岐様の刀、十握剣を持ってるのかしら?」
「…えっ!?これ、ただの日本刀じゃないんですか!?」
「あなたねぇ、私ですらレプリカをツクヨミ様に見せてもらった事しかないのに…」
と、ここで俺は自分の刀ー永琳が言うところの十握剣が無くなってることに気がついた。
「刀はどこだと言いたいところですが、まずここがどこか教えてくれませんか?」
「それには条件があるわ。まず、あなたを助けたのは私よ?まず言うことが有るのでは?」
「あ、すみません。助けて下さりありがとうございます」
「よろしい。では、説明するからある人に会ってくれないかしら?」
「うん?ここがどこか説明するのに別の人に会わないといけないんですか?」
「ちょっと確認したいことがあるからね。今から会うのはここの、都の最高責任者…ツクヨミ様よ」
…うん?ツクヨミ様?そういえば、前の世界の神話に似たような名前があったな。まさか、
「月読命のことじゃないだろうな?」
「あら、その通りよ」
何でそんな大物が一人間の、間違えた一魔法使いの俺に興味を示すのか…。俺は永琳に連れられるがまま、その部屋を抜け出す。
病院の様な建物から出ると、そこには大都会が広がっていた。前の世界よりも技術が発展してるような気がするが気のせいだろうか?
「ツクヨミ様がいらっしゃるのは、あの場所よ」
永琳が指さしたところには見たことのない巨大な塔が立っていた。…なんだか、驚くのが馬鹿らしくなってきた。
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巨大な建物の内部のエレベーターに乗り込むことおよそ五分ほど。その建物の最上階の仰々しい扉の前に通された。扉の向こうからはルーミアよりも強力な力の波動がひしひしと伝わってくる。
「ツクヨミ様、八意永琳です。例の人間を連れて参りました」
『入りなさい』
扉の向こうから女性の声が聞こえた。永琳がその扉を開ける。
「「失礼します」」
扉の向こうに待ち構えていたのは、
「二人ともよく来ましたね。とりあえず、そこに掛けて楽にしなさい」
薄紫色の長髪に、金色の瞳、赤と紺色が混ざった衣装を纏い、口元を扇で隠している少女だった。
「永琳、彼が?」
「はい、どうゆう訳か伊邪那岐様の十握剣を持っていた人間です。名前はー」
そこで空気が凍りついた。
「ごめんなさい、あなた名前は?」
「えっと…多分、鳴上悠です…」
俺はここでとんでもない事に気がついた。Mなる人物が書いたメモが無くなっていた。しかも、あそこで何をしていたのか、そもそも何でここにいるのか…。
あの森で目覚める前の記憶がすっぽりと無くなっていた。
「多分、という事はそなたは記憶を無くしておるのか?」
「…どうやらそのようです」
「…そうか…」
その時、ツクヨミから光弾の様なものが放たれた。
「!?イザナギ、ジオ!!」
咄嗟にイザナギを召喚し、ジオでそれを打ち消す。
「いきなりーー」
何をするんですかという台詞は、ツクヨミの一言に掻き消された。
「ーーお父様!?」
「え?」
今ツクヨミは何と言った?お父様?
「いいえ、有り得ません。
何故永琳が止めないのかは置いといて、今度は雷が飛んでくる。またジオで相殺してもいいだろうが、向こうが威力は上だろう。どうしたものか…。
『ここは俺に任せろ!相棒!』
誰かが俺に話しかける。心の中に響いた声の主はヘッドホンを首にかけてる青年。名前は思い出せないが、Ⅰのアルカナ「魔術師」のペルソナを使っていた。
『あなた様のペルソナ能力はワイルド。複数のペルソナを操るのが、あなた様の能力でございます』
イゴールの言葉が反芻する。それと、あのメモの最後の一文が頭をよぎる。
ーーー記憶が消えても、「絆」は消えない。
自分の手の中に魔術師のアルカナが握られる。
「ーチェンジ、ジライヤ!」
「「え?」」
イザナギが消え去り、代わりに手裏剣を持ったカエルを彷彿とさせる白い巨人が現れる。
「ジライヤ、マハガルだ!」
ジライヤは回転して忍法を使うような印を組むと、風が巻き起こり、ツクヨミの雷を相殺した。
「なるほど…。すみません、いきなり攻撃して。あなたの能力を試させてもらいました」
「はい?」
ツクヨミが言うには、さっきの奇襲は全て自分の能力を分析するためのものだったらしい。そして、判明した自分の能力、しかも二つ存在するようだ。
一つは「人格の鎧を顕現し、その力を振るう程度の能力」、つまりはペルソナ能力。
もう一つは、「絆を結んだ存在の力を借りる程度の能力」。これに関してはツクヨミ曰く、どこか遠くにいる自分と絆を交わしたであろう人物ないし存在から力を借り受ける能力。イゴールが言っていたワイルドの能力だとも思ったが、
「それは違います。後者の能力はあなたと絆を結んだ存在の力そのものを引き出す力です」
結論を言えば、ワイルドの能力の進化系。何かしらの影響で自分と絆を結んだ存在の力そのものを使える様になったらしく、どうやら他にもそれに該当する力があるようだ。
でも、その力を使っていた存在の名前を思い出せないのが物凄く悲しかった。自分のことを相棒と呼んでくれた青年に感謝の気持ちも伝えられないのが、ものすごく歯痒かった。
「さて、あなたの力を調べるのはここまででいいとして、本題に行きましょう。鳴上悠、あなたは人間ではありません」
「ええ、俺は魔法使「あなたは現人神です」いで…って、え?」
おかしい、話が違うぞイゴール。魔法使いなんて生ぬるい、現人神だったぞ!?てか、
「アラヒトカミって何ですか?」
そして、俺は後悔した。ツクヨミから言い渡された自分の本当の状態、それは、
「簡単に言えば、半分人間、半分神の存在です」
予想の遥か斜め上を上回る核弾頭だった。
ツクヨミの外見はSAOのユウキの目を金色に染めた感じにしてください。ここで主人公のプロフ更新。
鳴上悠
種族:人間→現人神
年齢:20だが外見年齢は17
能力
・人格の鎧を顕現し、その力を振るう程度の能力(ペルソナ能力)
・絆を結んだ存在の力を借りる程度の能力
悠のペルソナ能力「ワイルド」の進化系。ぶっちゃけた話、ペルソナ全書のペルソナ+仲間のペルソナ(進化系含む)を使う能力。
名前以外ルーミアと戦う以前の記憶が全部無くなった。ついでに誰かさんのメモも無くなった。そのせいでゼロから異世界ライフを送るハメになる。
種族が魔法使いから現人神になった理由は十握剣を持っているがために、それを媒介として伊邪那岐大神を降ろす事が可能だから。
後は、分かるね?