超・世紀王デク   作:たあたん

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浮気してキメトゥーの映画観てきました
いやー名シーンが目白押しでしたね!

・列車の上で煉獄さんと炭治郎が将棋→「こんなところでできるかー!!」と逆ギレし魘夢に将棋盤を投げつける
・小さいおっさん&大っきいおっさんの連続攻撃を受けた善逸が列車から突き落とされる→禰豆子の痛車に乗って帰ってくる
・眠ってしまうも「浸りすぎー!!」のひと言で夢から戻ってくるかまぼこ隊
・猗窩座の攻撃を炭&猪を盾に防ぎまくる煉獄さん→次カットでなぜか満身創痍の煉獄さん(炭「よくも煉獄さんを!!」猗窩座「真ん中の人ウソー!!?」)


以上が名シーン四天王だと思いました!!!!!!


凍てつく記憶(前)

 

「足を奪ったくらいで、仮面ライダーは止まらない!」

 

──頭上より迫るその姿は、まさしく魔王のごときものだった。

 

「ッ、上鳴さん!!」

「おーよっ!」

 

 百の指示で、上鳴が己の個性を発動させる。──電撃が、ライダーに襲いかかったのだ。

 

「ッ、」

 

 生物の常として、感電すれば激痛とともに筋肉が硬直し、身動きがとれなくなる。意識を失うことも……最悪の場合、死に至ることさえある。

 むろん上鳴はそこまでいかないよう調整しているが、仮面ライダーが相手とあっては遠慮が薄れるのも事実。

 いずれにせよ……ライダーであっても、痺れるものは痺れるのだ。

 

「っし!効い……きい、て……」

「……上鳴さん?」

 

 最大放電を続けていた上鳴の様子がおかしいことに仲間たちが気づいたときには……もう、手遅れだった。

 

「うえ……ウエェェェイ………」

 

 仲間たちは見てしまった。一応は整っている上鳴の顔がだらしなく弛み、無意味な鳴き声というほかない声しか発することができなくなっているさまを。

 

「ッ、ヤバい……過放電だ」耳郎響香が声をあげる。

「でも、ここまでやれば──」

「ここまでやれば、何?」

「!?」

 

──かの漆黒の英雄には、足止めにさえなっていなかった。

 

「ッ!」

 

 まったく怯んだ様子もなく迫る仮面ライダーに、彼女らは一様に恐怖した。だがそれに呑まれて戦意を喪えば、この先のステージへ進む道は閉ざされる。

 

「させるかっ!」

 

 咄嗟に割り込む切島チーム。その一員である尾白が巨大な尻尾を振るい、迫りくる仮面ライダーめがけて叩きつけたのだ。

 

「!」

 

 流石に不意打ちだったのか、その重量のままに吹っ飛んでいくライダー。しかしそれを為した尾白はじめ、歓喜を覚える者はもはやいなかった。この程度のことで、あの仮面ライダーが止められるはずがない……!

 

 果たして、それは正しかった。ライダーは空中で態勢を立て直して一回転……着地をめざす先には、彼が唯一選んだ相棒の姿があった。

 

「そろそろ良いかな、アクロバッター?」

『ウン、十分休マセテモラッタゾ』

 

 独り滞空し続けるRXに皆が気を取られているうちに、アクロバッターはすっかり回復していたのだ。

 

「なら、行こう!」

『借リヲ返スゾ!』

 

 狼狽えながらも身構える両チームを標的として、鋼鉄の蟲馬は走り出す──

 

 

 *

 

 

 

 わずかに時を戻して、同じステージ内の、もうひとつの戦場。

 B組の鉄哲チームとぶつかっていた爆豪チームは、彼らを隠れ蓑にした物間チームの奇襲を受けていた。

 

「キミらを──吹っ飛ばす」

 

 リーダー・物間寧人が放った攻撃は……爆破。予想だにしない劫火に、勝己たち四人は呑み込まれた。

 

「ははっ、他愛もないね」

 

 甘いマスクに意地の悪い笑みを貼りつける物間少年。彼の率いる騎馬に対し、そのクラスメイトが抗議の声をあげた。

 

「おいコラ物間!良いトコ持っていきやがってっ、ずりィぞこのヤロウ!」

「ふん、恨みっこなしって言ったろ?」

 

 それに、B組同士で争っても仕方がない。A組のような明確なリーダー・柱が不在なだけあって、彼らは横一線でこの戦局を乗り越えようという腹だ。むろんそれは、ひと昔前に言われていたような徒競走でおてて繋いでゴール、というような平等主義とは同義でない。話題をかっさらうA組の面々に喰らいつき、蹴落とし、決勝戦を自分たちの独擅場に変えるための策にすぎない。実際、仮面ライダーに蹂躙されながらも、こうして複数チームが生き残っているわけで。

 

(これで一個、ツブせりゃいいんだけど)

 

 爆豪チームのリーダーといえば、B組にも噂が届いている。仮面ライダー・緑谷出久とは同じ中学出身、彼に何かと対抗心を燃やし食ってかかっていると。二日目の模擬戦闘では惨敗を喫した一方で、先ごろのヴィラン襲撃では弱体化された緑谷を庇って単身敵と衝突、重傷を負いながらも奮戦したと聞く。

 

(読めないヤツだな、正直)

 

 そんな得体の知れない男が……容易く終わるとは、到底思えなかった。

 

──物間の予想は、不幸にも的中することになる。大地奔る氷結が、彼らに襲いかかったのだ。

 

「ッ!」

 

 ある程度その到来を予期していた物間チームは咄嗟に回避行動をとり、難を逃れた。同時に爆炎により巻き上がった粉塵が晴れ、敵チームの姿が露になる。

 

「不意打ちとは、やってくれるじゃねえか」

 

 切れ長のオッドアイが、物間を鋭く睨みつける。彼とのスクラムを保つ、委員長と丸顔女子──

 

「リーダーがいないぞ、物間!」

 

 チームメンバーが慌てた声音を発する。そんなこと、見ればわかる。どこへ行ったかも。

 

 頭上に翳が差すより寸分早く、物間は"爆破"の個性を使って飛んでいた。

 

「上に吹っ飛べなんて言ってないけどねえ、僕は!」

 

 目の前で不敵に笑う男を挑発する。尤もその程度のことで、彼の笑みが崩れることはなかったけれど。

 

「てめェに指図される謂れはねーんだよ、モノマネ野郎!」

「……ま、別にモノマネを否定する気はないけどっ」

 

 空中で肉薄し──互いに右腕を、振りかざす。

 

──BOOOOOM!!!

 

「ッ!」

 

 爆炎と爆炎とが互いを喰らいあい、その衝撃を発信元にまで伝播させる。堪らず後方に吹っ飛ばされるふたり。しかし重力によって地上に落下しながらも、双方とも敗退と見做されることはなかった。

 

「爆豪くんっ!」

「物間!」

 

 互いのチームメイトが、その身を無事に受け止めてみせたためだ。

 

「大丈夫か、爆豪くん!?」

「舐めンなヨユーだわ!」

 

 仲間の気遣いに乱雑に応じつつ、勝己は内心相手への評価を改めていた。

 

(あの野郎、モノマネのくせにまあまあ使いこなしてやがる)

 

 爆破の勢いを利用して、飛翔する──勝己自身はこともなげに行っているが、これはまぎれもない応用技だ。それをたった今コピーして、完璧に真似てみせた。よほど鋭い観察眼と、すぐれた運動神経をもっているのだろう。能力の高さは認める──だが、

 

「1年A組17番、爆豪勝己。個性は爆破で、仮面ライダーこと緑谷出久とは同中の出身」

「!」

 

 まるで資料でも手繰っているかのように、ぺらぺらと勝己のパーソナルデータを紡いでいく物間。こちらの集中力を散らす算段か。ますます警戒心を強める爆豪チームとは裏腹に、彼は碧眼の奥に意地悪い光を宿らせていく。

 

「で、緑谷をライバル視して何かと突っかかるも初日の模擬戦闘でボロ負け。その後のヴィラン襲撃じゃ弱体化した彼を押しのけてまで突っ込んで返り討ちに遭ったんだっけ?いやぁ少しは懲りておとなしくなってんのかと思ったけど、馬鹿は死ななきゃ治らないみたいだねぇ?あははははは!!」

 

 悪意に満ちた言葉を憚ることもなく放ち、哄笑する。映像はもちろん観客席にもその声は届かないが、オーバーな挑発であることは伝わる。チームメイトらが驚くでもなく呆れているところを見るに、元来こういう性格なのだろう、彼は。

 ともあれ、物間は勝己の激発を狙っていた。実力者揃いではあるが、そのぶん我が強くまとまりのないメンバー。さらに苛烈な性格をもつ司令塔が彼らをまとめているが、それが冷静さを失えばたちまち瓦解へと向かうだろう。

 

 彼の挑発はなるほど、差向けられた者の怒りを買った。だがそれは、物間の意図とイコールではない。

 

「その口を閉じろ!!」

「!」

 

 そう怒鳴ったのは他でもない、勝己と犬猿の仲であったはずの我らが委員長だった。眼鏡越しの四角ばった瞳が、烈しい瞋恚を露わにしている。

 

「確かに彼の、当初の緑谷くんへの接し方は褒められたものではなかった……。だがだからといってっ、何も知らない人間に馬鹿呼ばわりされる筋合いなどない!!」

「飯田くんの言うとおりや!」お茶子も同調する。「だいたい、爆豪くんよりあんたのほうがよっぽどむかつく!」

 

 彼女の素直すぎるひと言に……物間のチームメイト、そして鉄哲チームの面々までもがことごとく賛同した。いや賛同とまでは言い過ぎだが、少なからず納得の空気が漂っていることは否定できなくて。

 

「……なんでもいいが、お前らは敵だ。──潰す」

 

 唯一感情の揺らぎを見せない轟焦凍が、宣戦とともに放った氷結。それが、戦闘再開の端緒となった。

 

「ッ!」

 

 咄嗟に掌をかざし、爆炎を放つ物間。地面を奔りながら生まれ出づる氷山が衝撃で一挙に粉砕され、さらに溶融していく。

 

「轟焦凍……こっちはこっちで、馬鹿のひとつ覚えだね」

 

 むろん、強力な個性ではある。だからこそ工夫のひとつもない、ごり押しの戦法を好みがちになってしまう──勝己に言わせれば"モノマネ"のお得意な物間は、個性とその持つ人ごとの特徴をよく理解していた。

 だが、今この場はチーム戦である。こちらが物間だけでないように──敵もまた、轟あるいは勝己だけではない。

 

「──ッ!」

 

 もうもうと立ち込める水蒸気を突き抜けるようにして、一迅の疾風が迫る。──飯田天哉が自らの個性"エンジン"で仲間を引っ張り、一気に迫ってきたのである。

 

「轟くんッ、もう一度だ!」

「ああ」

 

 冷静に応じる轟の"右"から、再び氷結が奔る。──しかし……先ほどまでより、勢いが弱々しい。

 

「円場、回原っ!」

「「ああ!」」

 

 馬を務める男子生徒、円場硬成と回原旋がリーダーの指示に応えた。

 

「ふぅ~~っ!」

 

──円場硬成、個性"空気凝固"。吐き出した空気を固めて透明の壁をつくり出す。

 奔る氷柱はその壁に阻まれてふたつに割れてしまう。ただ、氷結の余波までは防ぎきれるわけではない。一部は未だ、彼らに喰らいつかんとしている。

 

 そこで、

 

「お、らぁッ!」

 

──回原旋、個性"旋回"。身体の一部分をドリルのように回転させることができる。今回は、腕。オーソドックスだが、意表を突く必要のない非生物相手なら最も威力を発揮する。回転させた状態で勢いよく突き出せば、迫っていた氷の群れは容易く砕け散った。

 

「ふん、それだけかい?轟焦凍」

「……ッ、」

 

 ぎりりと歯を食いしばる焦凍。その右半身が急速に冷えて結露すら起こしていることに、彼に担がれている勝己は気づいた。

 

「おい、半分野郎。てめェの個性──」

「──黙れ!!」

 

 彼の口から入学以来聞いたことのないような怒声が、仲間の鼓膜を震わせた。

 

「俺の力は……これだけだっ!!」

 

 仲間の当惑など気にとめるそぶりもなく、ただがむしゃらに氷結を繰り出す轟。しかしなんの策もなく一度読まれた攻撃を放ったところで、相手に通用するはずがない。物間が放った爆破によって容易く散らされてしまう。

 さらに、

 

「俺らのこと、忘れてねえかぁ!!?」

「!」

 

 いい加減一騎打ちを傍観するのも我慢の限界だったか、ここで鉄哲チームが攻撃を仕掛けてきた。鋼鉄化した拳が、騎手に迫る。

 

「──ッ!」

 

 勝己が回避行動をとろうとするより早く、飯田が動いた。脹脛のエンジンを勢いよく噴かし、鋭い回し蹴りを放つ。

 

 拳と、足。一応は生身同士のぶつかりあいであるにもかかわらず、その余波は激しい旋風を巻き起こす。

 

「ッ、おめェA組の委員長だったか?やるじゃねえか!」

「きみこそ……!」

 

 睨みあう両チームは、今度こそ総力をかけての死闘を演じようとしている。

 

「……おい物間、今度は俺らが締め出されちまったぜ?」

 

 股下の回原の言葉に、物間はふぅむと顎に指を当てて考え込んだ。この騎馬戦、色々とルールに縛りはあるが一騎打ちを強いてはいない。多数で少数を取り囲んで戦うことも、絵面を考えなければ問題はないのだ。というかそうでないと、仮面ライダーの独擅場になってしまうのだが。

 

「さあて、どうするか……?」

 

 言葉とは裏腹に、物間の肚は決まっていた。爆豪チームが鉄哲たちとのタイマンに熱中したところで、後方からひと突き。正面切っての対決を好む鉄哲は怒るかもしれないが、そんなの知ったことではない。

 点数を得る──それ以上に重要なのは、爆豪チームを潰すこと。論に値しない仮面ライダーを除けば、この連中はA組のトップクラスに位置する面々である──約一名は微妙だが──。最終戦でA組に上位を独占されないためには、なんとしてもここでご退場いただく必要があった。

 

 ……いや、それは表向きの理屈だ。そうでなければ、この西欧人のような甘い顔立ちの少年がこんな、獲物を狙って舌なめずりする肉食獣めいた表情を浮かべることはないだろう。

 

「なァんかさ、いけ好かないんだよな」

 

 全員そうだが、特にあのアンチヒーローめいた言動のリーダー。ヤツの鼻を明かし、顔を真っ赤にして悔しがる姿を見てみたい欲求に駆られるのだ。

 それはひょっとして、近親嫌悪というやつではないか──仲間たちは内心そう思ったが、あえて口にすることもない。あの厄介な難敵たちとガチンコで戦うことは、可能な限り避けたかったのだ。

 

「俺たちはいつでもいいぜ、物間」

「……じゃあ──」

 

 再び動き出そうとする物間チーム。そのとき、

 

「おい」

「!」

 

 唐突に背後からかかった声。半ば反射的に振り向いたその瞬間に、彼らの運命は決していた。

 

 

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