遊☆戯☆王アズールレーン~记忆的幻觉~   作:ハンバート二世

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 マサチューセッツの声を担当されている高橋李依さんは、アンジュ・ヴィエルジュにてコードΩ00ユーフィリアを担当されていました。
 りえりーほんとすこなのだ


ターン13――その出会いは新鮮

「デュエリスト・ロワイヤル……?」

 

 巨大な街、それを取り囲むような壁。

 壁は巨大な鉄の扉で仕切られ、中に入れば出られない。そんな蟻地獄に迷い込んだ私達は、ウィチタ曰くデュエリスト・ロワイヤルなるものの参加者となったと言う。

 

「どういう事か、説明してもらう」

「いいだろう、ついて来い二人とも。私の隠れ家に案内してやる」

 

 ウィチタの後ろについて行きながら仰々しい街を歩く。

 さっきの瓦礫の山に比べると、建造物がしっかりと形を残している。だが、中心に向かうにつれて大きくなっていく摩天楼。搭のように伸びたその先端は雲の先にまであるようだった。

 そもそも、その建物とやらもそう呼ぶには少し憚られる代物だ。コンクリートで固められた武骨な箱物。およそインテリアの欠片もないただの中が空洞な硬い箱だ。ちゃんと扉と窓は着いていたので、建物である事は間違いないのだが……

 

「ウィチタ、歩きながらでもいい。できるだけ話してくれないか」

 

 ジャマイカがウィチタに言った。

 

「仕方ない。焦るなとは言いたいが無理な話だろう。そうだなまずどこから話すか……私に本物か偽物かを聞かないのは、知らないだけなのか?」

「いいや、ファクターについては知っている」

「ふむ、なら話は早い。私達は消えない為に、この街で決闘(デュエル)をし続けている。ゲリラ的に行われるバトルロワイヤルルールでな」

 

 ウィチタ曰く、この街にいる少女達は皆事態を理解しており、消滅しない為にその気があれば互いに決闘(デュエル)をし命を懸け合っているらしい。無論、負ければ消える。どうやらサレンダーをし続けていれば消滅を遅らせる事はできるようだ。限界はあるが。

 そうやって引き延ばし、解決を待つ者もいれば、積極的に生きる事を求める者もいる。

 そんな混沌とした街がここなのだそうだ。

 

「何故オレ達を閉じ込める?」

「偽物を閉じ込める為だ。お前達が本物である事は私も理解している。そこは安心しろ」

「なるほど……」

「私達は、何もただ無為に殺し合っている訳ではない。重桜と鉄血を駆逐しつつ、外へ向けて交信を行っている」

 

 そう――外。

 恐らく日本と思われるこの場所から、私達の母港へと。

 

「芳しくないのだな……」

 

 私の言葉にウィチタはらしくもなく、力なく頷いた。その背中からも苦心が見て取れる。

 

「まるでこの場所が、世界の全てであるかのように何も見えない。だが確かにこの外のどこかに生体反応がある。母港は確実に生きている」

 

 暫く鉄の街を歩くと、変わらずコンクリートの箱の前にたどり着いた。だが少し生活感のある建前だ。窓からは明かりも漏れている。

 

「誰かいるのか」

「安心しろ。今の所の仲間だ」

 

 中は外身と比べると圧倒的な生活感だった。

 ちゃんと玄関はあるしカーペットは敷いてあるし床はフローリング。廊下はなくそのまま一つの建物が部屋そのものだったが、それにしてはまあまあの広さ。人が4人入っても余裕があるほどだ。

 そして――

 

「あ……おかえりウィチタ。遅かったね」

「お前は、マサチューセッツ!」

 

 その褐色肌に豊満な肉付きと白銀の髪、そして額の謎マークは一目見たら忘れない間違いなくマサチューセッツだ!

 

「お客さん……?」

「新しい参加者だ。よろしくしてくれ。私は茶でも淹れてくる。ロイヤルなのだから紅茶でいいな」

 

 ロイヤルだから紅茶、という完全に固まったイメージなのは少し心外だがまあ紅茶でいい。

 

「ウィチタが自分で淹れてくれるのか。意外だな」

「私をなんだと思っている。大仰な事を言っているだけの木偶の棒ではない。マサチューセッツがそういう事をしないから、私からするしかないのだ」

 

 まあ確かにそれはなんとなく分かる。

 と、マサチューセッツが、自分が座っているソファーの横をとんとん叩いている。座れ、という事だろう。

 

「なら失礼する。ほら、ジャマイカも」

「ああ」

 

 しかしやはり……大きいな。体も、胸も。

 

「二人はこれからどうするの……?」

 

 唐突にマサチューセッツがそう訊いた。

 いいや、タイミングとしては唐突ではあるが、この場での質問としては、私としても明確にしておきたい事なのでむしろありがたい。

 

「そうだな、ウィチタに協力してこの事態を何とかしたい」

「だって……ウィチタ」

 

 キッチンのウィチタにマサチューセッツが声をかける。ウィチタがそれに答えるように私に言った。

 

「協力か。有難い……と言いたい所だがその申し出は断ろう」

「何故だ。人員は多い方がいいだろう?」

「分かるか。この状況において傍に置いておける者はそれこそ、真に心を許せる者のみだ。利害の一致などという薄い関係には簡単に亀裂が入る。ハーミーズ、お前はそれを体験して来なかったか?」

 

 シムスの、私を見る表情が蘇るがすぐに首を振って振り払う。

 

「やはりな。それならば分かるはずだ。今はこの街を見て回れ、そして何度か戦えば分かる。その上でまだ私達に協力したいと言うのならその時は、その時で考えよう」

「ハーミーズ。オレもウィチタの言葉には賛成だ」

「そうだな。分かった。ありがとうウィチタ、マサチューセッツ。これからの目的ができた」

「それはよかった。ほら、紅茶だ」

 

 体に染み渡るダージリンの香りを噛み締めながらこれからの事を思案する。

 きっとまた私は誰かを手にかけるだろう。

 その時は――その時は、まだ、どうすればいいのか分からない。

 ただ、私ができる最善の行動は決闘(デュエル)をする事だけ。戦う事だけだ。それで道が開かれるのならば、幾らでも私は前に進めよう。

 

「それにしても意外だな。ウィチタにとってマサチューセッツは真に心を許せるのか」

「それはねウィチタがぼくに――

「ん゛ん゛ん゛、マサチューセッツ少し黙っていろ」

「嫌だと言ったら?」

「肉を食べたくないのか」

「分かった……黙ってる」

 

 うーむ……ますます想像できない。

 二人はいったいどういう経緯でそこまでの関係になったんだ……?

 

「ハーミーズ、お前は何か勘違いしていないか?」

「何がだ?」

「まあいい。今日は泊っていけ。飯も出してやる。夜は雑魚寝だがな」

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