復讐したい奴(アロマセラフィジャスミン)がいる……
「私の先行ですわ」
先行を自ら宣言したのは赤城。
怪しい笑みから零れる自身が見て取れる。
対するアークロイヤルの表情は険しい。どうも、この二人には何かあるようだ。
・赤城
LP4000/手札5枚/デッキ枚数55枚
・アークロイヤル
LP4000/手札5枚/デッキ枚数35枚
「私は手札から『隣の芝刈り』を発動」
ディスクにカードが叩きつけられると同時に、言われた通りのカードが赤城の前に浮かび上がった。
やはりこれは
「その効果により、私のデッキの枚数が相手より多い場合、その差分、私のデッキの上からカードを墓地へ送る。貴方のデッキは40枚。よって20枚のカードを墓地へ送らせていただきますわね」
「早速お出ましか……」
苦虫を嚙み潰したようなアークロイヤルの表情からするに、一度戦った事があるようだ。
「これはいい落ち方です。私は墓地の『インフェルノイド・シャイターン』1体を除外し、手札から『インフェルノイド・アスタロス』を特殊召喚――そして、『インフェルノイド・デカトロン』を通常召喚。デカトロンは召喚時に、デッキから『インフェルノイド』モンスター1体を墓地へ送くり、そのレベル分、自身のレベルをアップする」
・インフェルノイド・アスタロス
☆4 1800/0
・インフェルノイド・デカトロン(チューナー)
☆1 500/200
「デカトロンの効果で『インフェルノイド・ルキフグス』を墓地へ送り、デカトロンのレベルは4となります。レベル4のアスタロスに、レベル4となったデカトロンをチューニング。
シンクロ召喚――
・PSYフレームロードΩ(シンクロ)
☆8 2800/2200
「更に、墓地のアスタロス、ベルフェゴル、ルキフグス3体のインフェルノイドモンスターを除外し、墓地から『インフェルノイド・ネヘモス』を守備表示特殊召喚します。これでターンエンドですわ」
赤城のターンは終了したが、予想していた以上だ。
まさか赤城がインフェルノイドを使うなんて。炎属性のスピリットを使うかと思っていたぞ。
それはともかく、だ。
ネヘモスはその効果でフィールドのモンスターを生贄に魔法・罠カードの発動を一度だけ止められる上に、Ωは自身を除外して手札を1枚除外する。これで少なくとも2枚のカードが無駄となる。
アークロイヤルが切れるカードは、ドローカードも含めて手札4枚か……アークロイヤルのデッキが分からない以上、まだどうなるかは分からないが。
「赤城、今こそ貴様の首が落ちる時だ」
「ふふ……落ちた私の首が見るのは貴方の死に顔かもしれませんわよ? それとも、指揮官様の……」
「私のターン! ドロー!!」
・アークロイヤル
LP4000/手札6枚/デッキ枚数34枚
アークロイヤルはいったいどんなデッキを使うんだ……?
ソードフィッシュと名の付くモンスターはいたような気がするが、流石に安直すぎるか。
「スタンバイフェイズにΩの効果を発動します。除外されている『インフェルノイド・ベルフェゴル』を墓地に戻します。どうぞ、アークロイヤルさん」
「ふん……私は手札から『
RRだと!?
確かによくよく考えればイメージが合わない事もない。少し別の意味になってくるが。
だがRRとインフェルノイドなら、手札によるが互角の戦いも夢ではない。
しかしここで赤城が動いた――
「この瞬間――PSYフレーム・ロードΩの効果! このカードと相手の手札1枚を次の私のスタンバイフェイズまで除外します」
Ωの効果で除外されたカードは、『ハーピィの羽根帚』!!
赤城のフィールドに伏せカードはない!
「はずれだったようだな」
「くっ……」
「バニシング・レイニアスの効果により、手札から『RR-トリビュート・レイニアス』を特殊召喚! トリビュートの効果、デッキから『RR-ミミクリー・レイニアス』を墓地へ送る。
墓地のミミクリー・レイニアスを除外して効果発動。デッキから『RR』カード1枚を手札に加える。私が加えるのは『RR-レディネス』」
・RR-バニシング・レイニアス
☆4 1300/1600
・RR-トリビュート・レイニアス
☆4 1800/400
『RR-レディネス』は発動時したターンに『RR』モンスターが戦闘破壊されなくなる罠カード。
つまりこれ以上の手札からの展開はせず、次ターンへの準備を始めた……? だとするとあの手札は――
「レベル4のバニシング・レイニアスとトリビュート・レイニアスでオーバーレイ!」
開かれた空間に粒子となった2体のモンスターが吸い込まれていく。
顕現するは冥府の猛禽――!!
「冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ! エクシーズ召喚! 飛来せよ! ランク4! 『RR-フォース・ストリクス』!
フォース・ストリクスのモンスター効果。オーバーレイユニットを1つ使い、デッキから『RR』モンスター1体を手札に加える!」
・RR-トリビュート・レイニアス
★4 100/2000
「フォース・ストリクスを出したところで、ネヘモスの効果で貴方は魔法カードを1枚無駄にする事になる。RRお得意の
「――それはどうかな。
私は手札のRUM1枚を墓地へ捨てる事で、フォース・ストリクス1体でオーバーレイ!
ランク6! 『RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド』!」
「RUMを捨てる事でランクアップする、エクシーズモンスター……!?」
「エアレイドのモンスター効果により、相手モンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを、貴様に与える!」
ネヘモスの攻撃力は3000、よって赤城には3000のダメージ!
・赤城・赤城
LP1000/手札2枚/デッキ枚数35枚
「まだだ! ネヘモスが消えた今、魔法を縛るものはない! 手札から『RUM-スキップ・フォース』を発動! ランクアップ・エクシーズチェンジ!
ランク8! 『RR-サテライト・キャノン・ファルコン』!」
そのまま攻撃すれば勝てるはず……なのに何故アークロイヤルはまだ続けるんだ……?
まさかあの時、『隣の芝刈り』で墓地へ送ったカードの中に――
「更に、墓地に捨てた『RR-レイド・フォース』の効果。このカードと墓地の『RR』モンスター1体を除外し、墓地のRUM1枚を手札に戻す。
『RUM-スキップ・フォース』を手札に戻し、これを再び発動!
究極至高のハヤブサよ。数多なる朋友の遺志を継ぎ、勝利の天空へ飛び立て! ランクアップ・エクシーズ・チェンジ! 現れろランク10! 『RR-アルティメット・ファルコン』!」
・RR-アルティメット・ファルコン
★10 3500/2000
「アルティメット・ファルコン……そんな」
「赤城、貴様の墓地に落ちたカードの中に、『光の護封霊剣』があるのは分かっている。そのカードの効果によって、私はこのターン直接攻撃できない。
だが――アルティメット・ファルコンはあらゆる効果を受け付けない!!
これで終わりだ!! ファイナル・グロリアス・ブライト――!!」
金色に輝くアルティメット・ファルコンの灼熱が赤城のフィールドを焼き尽くしていく。
勝負は決した。
アークロイヤルの勝利だ。
「驚きました……まさかこうも簡単に敗北するとは」
「分かっている。どうせお前も、本物ではないのだろう」
「ふふ……当たり前ですわ。本物の私なら、指揮官様をこの手から零すはずありませんもの。残念ですが、この私はここまでのよう、ですわね」
炎鱗となって、赤城の体が消えていく。
これは『闇のゲーム』だった。闇のゲームで負けた者に訪れるのは、紛れもない死。これは、この戦いは遊びではない。遊びではないが、『闇のゲーム』なのだ。
「ふふ……あは、あっははははは!! 次の私に会うその日まで、指揮官様を大事にしておいてくださいね――
気が付くと、そこにいたはずの赤城は完全に消えてなくなっていた。
聞こえたはずの命の鼓動はどこにもない。
「アークロイヤル、これは……この世界はいったいどうなってしまったんだ」
「もしかすると、その質問にすら、間違いがあるのかもしれない」
「どういう、事だ……?」
「最早、奴らには兵器では太刀打ちできない」
「待ってくれアークロイヤル、まるで意味が分からないぞ!!」
頭の整理が追いつかない。
私がいるこの世界は――いいや、そうか、私がおかしくなった訳でも、この世界がおかしくなった訳でもない。そうだ、やっぱり、こう考えるしかないんだ。
「私は、別の世界に来てしまったのか……?」
「ハーミーズの話が、全て正しいとするのなら、そうなるだろう。勿論私はハーミーズを信用している。だからこそハーミーズ。生きる為には、戦わなくてはらない」
「それは……私がハーミーズとして生まれたその日から覚悟した事だ」
「その戦う手段が決闘だ。混乱するのも無理はないだろう。だが剣を取れ、カードと言う名の剣を。生きる為に、閣下を守る為にはそれが必要だ!」
アークロイヤルの言葉は深く胸に突き刺さった。
そうだ、いつまでもこうして呆けている訳にはいかないんだ。たとえ何かが違ったとしても、この世界で私がハーミーズとして存在している限り、私は指揮官を守らなければいけない。
それに、いつまでのアークロイヤルにこうして言われているのも、先輩としての顔が立たない。
「どうやら、心は固まったようだな」
「ああ。だが、決闘に関してはアークロイヤルには負けない自信があるぞ」
「分かっている。ハーミーズに叶う決闘者がこの港にそうそういるとは思わないよ」
それにしても……私以外も決闘者の娘がいるとなると、私のアイデンティティが薄れるような気がするのだが、そこは大丈夫だろうか……?
「そうだ、まずは指揮官を医務室に運ばないと」
「ヴェスタルを呼んでくる。ハーミーズはここで待っていてくれ」
「分かった」
――指揮官、また会えて嬉しい。
もう会えないかと思っていた。
あの時確かに、私は死んだのだから。
そう、私は死んだ。
その時に何かが原因で、この世界に来てしまった。
戦いが『闇のゲーム』によって行われる世界に。
決闘は好きだ。
戦いへの覚悟はできている。
だけど、また指揮官と別れる事があるのかもしれないと考えると、心が耐えられない。
だから、だからこそ、次こそは最後まで指揮官を守り抜くと決めたのだ。
「指揮官――」
この手に感じる
セットされたデッキから感じる熱が、私の心と同調していた。