遊☆戯☆王アズールレーン~记忆的幻觉~   作:ハンバート二世

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 あんなにミラフォ推しされたらミラフォデッキ組みたくなる、ならない……?


ターン3――その幽霊さんは初戦

「どうやら睡眠薬を飲まされたみたいですね。安静にしていれば大丈夫ですよ」

 

 ここは医務室。

 私には全く分からない薬品が棚に所狭しと並べられている。部屋の中は微かに救急箱の匂いが漂っており、少し懐かしい。

 それはともかく流石はヴェスタル。手際よく指揮官を診てくれた。

 

 と、医務室の扉が開いた。アークロイヤルだ。

 

「閣下の容態はどうだった」

「睡眠薬を飲まされただけらしい。問題ない」

「そうか。よかった。こちらは警戒態勢を上げておいた。『本物』ではないとは言え、敵に二度も侵入されるような失態を犯す訳にはいかないからな」

 

 ――『本物』、というワードがやはり頭にひっかかる。

 私はそれについて知っていたはずなのだが、どうやら記憶の一部が抜け落ちているらしい。

 

「アークロイヤル。その『本物』と言うのは、なんの話だ?」

「――あの赤城もそうだったが、どうやらあちらはオリジナルを基に量産できるようだ。同じ赤城を2、3見た事がある」

 

 つまりクローン人間か。

 

「『闇のゲーム』は負ければ死ぬのだから、実に効率のいい話だ。こちらとしては羨ましい限りだな」

「ダメですよアークロイヤル。アレはセイレーンの力で行われているのですから」

「分かっている。少し言ってみただけだ」

 

 

 しかし、そうなると確かに厄介だ。

 何度倒しても現れるのであれば、消耗するのはこちら側だけ。明らかに分が悪い。

 

「その為に、我々も日々決闘者(デュエリスト)の教育に力を入れている。だがこれが中々難しいんだ。私も駆逐艦への講師として――」

「駆逐艦への……?」

「なっ、ち、違うんだ! これは閣下から直々に頼まれた事であってだな……!」

「安心してくださいハーミーズさん。アークロイヤルさんは何もしていませんよ、まだ」

 

 ヴェスタルがそう言うのならまあ、問題ないだろう。

 にしても、慌てふためくクロを見たのは久しぶりだ。

 

「さっきのクロのデュエル、中々よかったぞ」

「ヘルメス……はっ、やめてくれハーミーズ! ヴェスタルの前だぞ! アークロイヤルと呼んでくれ」

「仲がよろしいようで。いい事です」

 

 昔はこうしてよくアークロイヤルをからかった事もあったな……この世界での、私の存在はどうなっているの分からないが。アークロイヤルやヴェスタルの反応から、私が元々この世界にいたのは分かる。指揮官も私の知る指揮官だ。

 試しにアークロイヤルを愛称で呼んでみても、私の知るアークロイヤルで返してくれた。

 

 だから、私がこの世界でもハーミーズとして生きてきた事は確実なはずだ。

 それでも、私の意識はこの世界で産まれて間もない同然。不安が取り払われる事はない。

 

「閣下への話はまた後にしよう。先に決闘者育成の現場を見てもらうとするか」

「それはいいな。私もそろそろ決闘者の血が疼いていたところだ」

 

 決闘者育成と言うと、さしずめデュエルアカデミアと言ったところだな。

 アークロイヤルの発言からして駆逐艦の子達もやっているようだし、実に楽しみだ。今までやる相手が指揮官しかいなかったので、相手が増えるのは素直に嬉しい。

 

「ではヴェスタル、閣下を頼んだ」

「はい。お任せください」

 

 部屋を出る。最初に感じたのは潮風だ。

 自分の思考以外を強く認識できるのも、私の心が以前に比べて余裕がある証拠だ。

 肩を並べて歩くアークロイヤルの体温を感じながら、海を臨む廊下を歩く。

 

 ――あの海で、私は死んだ。

 

「ヘルメス……その、よかったら後でお茶でもしないか」

「いきなりどうしたんだ」

 

 さっきまでの態度とは打って変わって、どこかよそよそしいアークロイヤル。

 まるで初めて会った時のようだ。

 

「先の質問を踏まえて、改めて相談があるのだが……」

「駆逐艦にあげるプレゼントの話か」

「どうして分かった!?」

「顔に書いてあるぞ」

 

 分かりやすい奴だ。

 昔からそうだった。クールぶってはいるが、少しでも足元を崩されるとずるずるとボロを出す。からかってはよく怒られたものだな……

 

「懐かしむな」

「それで、クロはどういったプレゼントをあげるつもりなんだ? カードか」

「デッキケースだ。持っていない子が多かったので、至急明石に頼んで仕入れてもらったんだ。その色を考えあぐねていた。色合いは暖色にすると決めたが、デザインも多様でな……それを決める為に購買部へ付き合ってもらおうかと」

 

 なるほど、そういう事なら容易いどころか専売特許と言っても過言ではない。

 先ほどからずっと、私以外も決闘をするとなった際の私の影の薄さを危惧していたが、この世界がカードで戦うようになったのはそう前の話ではないらしい。

 まだ慣れていないのではあれば私の出番だ。

 特にデッキケースともなると決闘者の命、いや命よりも大切な、剣たるデッキを守る鞘だ。選択は慎重にいかねばならない。

 

「その前に、さっきも言った通りハーミーズにもあの子達の決闘を見てもらいたいんだ」

「楽しみだな」

 

 彼女達は、私を満足させられるかな……?

 

 

「な、なんだこれは……」

 

 あまりの驚きに、アークロイヤルは珍しく狼狽えた。

 目を離した隙に何があったのか、大部屋の和室で多くの少女が倒れていた。気を失っていたりはしていないようだ。

 そして、その中心に佇む背中は――

 

「ロングアイランド、これはいったいどういう事だ」

「ふっふーん。幽霊さんのあまりの強さに、みんなばたんきゅーしちゃったの」

 

 見ると、ロングアイランドの左腕にも決闘盤が。

 あのゲーム好きの彼女ならまさかとは思っていたが、やはり相当の手練れのようだ。

 

「まあ、強いのはいいが……この子達も初心者なのだからもう少し手加減をだな」

「幽霊さんの辞書に手加減の文字はないの!」

「ハーミーズ、どうす――ハーミーズ?」

 

「ロングアイランド! だったら私と決闘(デュエル)だ!!」

 

 分からない。分からないが今私の胸は最高に熱い。

 ようやくこの時が来た。

 ずっとこの時を待っていた。

 

 決闘の瞬間を――!!

 

「は、ハーミーズ? いきなりどうしたの?」

「理由などいらない。ここにカードがある限り、私達が決闘者(デュエリスト)である限り、やる事はただ一つ――そう、決闘だ!! それとも怖いのか? 私に負けるのが」

「むっ、そこまで言うなら受けて立つの。幽霊さんにかかれば如何なるゲームでも強いという事を、見せてやるんだから」

 

 決闘盤を起動する。

 モーメントの輝きが鳴動する決闘者の鼓動と共鳴する。

 鼓動するデッキの命を感じる。

 

 そう言えば、私はいったいなんのデッキをセットしているんだ……?

 そう思って確認すると、

 

 ――”幻影騎士団(ファントム・ナイツ)”。

 このデッキは最初からセットされていた。確かに以前の世界でも、このデッキは使っていた事もあったが……偶然か?

 

「さあ行くのハーミーズ!」

「ああ――!!」

「何故こうなった……」

 

「「決闘(デュエル)っ!!」」

 

 

・ハーミーズ

LP4000/手札5枚/デッキ35枚

 

・ロングアイランド

LP4000/手札5枚/デッキ35枚

 

 

「幽霊さんの先行!」

 

 先行を取ったのはロングアイランド。

 いったいどんなデッキを――

 

「モンスターを裏守備表示でセット、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 最初は堅実な動き方で来たか。

 動きにくい手札なのか、だがあの余裕綽々な態度からするとリクルーター? それともリバース効果モンスターか? どちらにせよ、ここは臆せず攻める!

 

「私のターン、ドロー!!」

 

 

・ハーミーズ

LP4000/手札6枚/デッキ34枚

 

・ロングアイランド

LP4000/手札3枚/デッキ35枚

フィールド:裏守備モンスター1体、伏せカード1枚

 

 

「私は手札から増援を発動! その効果により、レベル4以下の戦士族モンスター1体をデッキから手札に加える!」

 

 私の手札にはレベル3の『幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダスティローブ』がある。

 これなら同じレベル3の『幻影騎士団サイレントブーツ』を手札に加えて、『幻影騎士団ブレイクソード』をエクシーズ召喚し、その効果でセットされたモンスターを破壊……これでリクルーターとリバースモンスターは潰せる。

 

「私が加えるのは『幻影騎士団サイレントブーツ』! そして、手札からダスティローブを通常召喚!」

 

 サイレントブーツはフィールドに『幻影騎士団』がいるなら手札から特殊召喚できる。

 これで――

 

「甘いの! 幽霊さんはここで~、罠発動! 『ゴーストリック・パニック』!」

「なに――!?」

「幽霊さんのフィールドに裏守備の『ゴーストリック』モンスターを表側守備表示にして、相手フィールドの表側表示モンスターを裏守備に! これで手札に加えたサイレントブーツは特殊召喚できないよね!」

 

 

・ゴーストリック・キョンシー

☆3 400/1800

 

 

 くっ……ロングアイランドのデッキはゴーストリック。

 幽霊さんを名乗るだけはあるという事か。

 

「更に、表側表示になった『ゴーストリック・キョンシー』のリバース時効果発動! 幽霊さんのフィールドにいる『ゴーストリック』モンスターの数以下のレベルを持つ『ゴーストリック』モンスターを手札に加えるの~!」

 

 ロングアイランドが加えたモンスターは『ゴーストリック・スペクター』。

 ゴーストリックモンスターが破壊されると手札から裏守備で特殊召喚され、カードを1枚ドローできる。

 

「どうだ! これが幽霊さんの実力。認めてくれた?」

「まだまだ、決闘は始まったばかりだぞロングアイランド。私はカードを4枚伏せてターンエンドだ!」

「よ、4枚も!? そ、それくらいではビビらないの。私のターン、ドロー!」

 

 

・ハーミーズ

LP4000/手札1枚/デッキ33枚

フィールド:幻影騎士団ダスティローブ(裏側守備表示)、伏せカード4枚

 

・ロングアイランド

LP4000/手札5枚/デッキ33枚

フィールド:ゴーストリック・キョンシー(守備表示)、伏せカード0枚

 

 

「幽霊さんは手札から『魔開発現世行きデスガイド』を召喚! その効果により~、デッキからレベル3の悪魔族モンスター、『魔サイの戦士』を特殊召喚!」

 

 レベル3のモンスターが2体以上――来るか!!

 

「レベル3のデスガイドと魔サイの戦士をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! ランク3、『ゴーストリック・アルカード』!」

 

 

・ゴーストリック・アルカード

★3 1800/1600

 

 

「オーバーレイユニットを1つ使い効果発動! フィールドのセットされたカード1枚を破壊するよ~! 破壊するのは、それ!」

「……っ! だがこの瞬間、破壊の対象となった(トラップ)カード、『幻影騎士団ロスト・ヴァンブレイズ』を発動! このカードはターン終了時までフィールドのモンスター1体のレベルを2にし、攻撃力を600ポイントダウンさせる。その後このカードをモンスターとして特殊召喚する! 私が選ぶのは『ゴーストリック・キョンシー』だ!」

 

 

・ゴーストリック・キョンシー(守備表示)

☆2 0/1800

 

 

「罠カードではなくなり、モンスターとして特殊召喚された事で、ロスト・ヴァンブレイズは破壊されない」

「躱された……でもまだ! オーバーレイユニットして墓地へ贈られた魔サイの効果で、デッキから悪魔族モンスター1体を墓地へ送るの!」

 

 墓地へ送られたのは『エッジインプ・シザー』。

 手札1枚をデッキの一番上に戻す事で墓地から特殊召喚できる。

 

「そして、『ゴーストリック・アルカード』1体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク4、『ゴーストリックの駄天使』!」

 

 

・ゴーストリックの駄天使

★4 2000/2500

 

 

 『ゴーストリックの駄天使』は駄天使以外の『ゴーストリック』エクシーズモンスターに重ねてエクシーズ召喚ができるモンスター。

 

 

「オーバーレイユニットを1つ使い駄天使の効果を発動! デッキから『ゴーストリック』魔法・罠カードを手札に加える――加えるのはフィールド魔法、『ゴーストリック・ハウス』。これを発動!

 『ゴーストリック・ハウス』が存在する限り、ゴーストリック以外のモンスターが与えるダメージは半分になるの! 更に、お互いに裏守備モンスターには攻撃できない!」

 

 これで、もし私のフィールドに裏守備モンスターしかいないのであれば、相手は直接攻撃ができるようになってしまう。

 

「更に更に! オーバーレイユニットとして墓地へ送ったアルカードの効果で、墓地の『ゴーストリック・パニック』を手札に戻す! これでまたハーミーズの動きは止められるの~! さあバトル!!」

 

 バトルフェイズが始まった!

 私のフィールドにあるモンスターは裏守備モンスター1体とロスト・ヴァンブレイズ。

 

「ヴァンブレイズはこのターン戦闘では破壊されない。こいつが破壊されない限りダイレクトアタックは行えないぞ!

「まだ! ここで速攻魔法発動! 『月の書』!」

「月の書だと!?」

「これでロスト・ヴァンブレイズは裏守備だね~! ゴーストリックの駄天使でダイレクトアタック!」

「ぐっぅ……っ!!」

 

 流石はソリッドビジョン、痛みも本物だ!

 これが闇のゲームだったら、これ以上の痛みなのか……!

 だがこの痛みすら、決闘の中では苦痛には感じない。

 

 感じる……感じるぞ胸の高鳴りを!!

 

 

・ハーミーズ

LP2000

 

 

「幽霊さんはカードを2枚伏せて、キョンシーの効果で自信を裏守備にしてターンエンド! 今のところ幽霊さんのペース~いい感じなの~」

「ではエンドフェイズに『幻影騎士団ダーク・ガントレット』の効果でデッキから『幻影騎士団トゥーム・シールド』を墓地に置かせてもらう」

「大丈夫かハーミーズ」

「心配するなアークロイヤル。私を誰だと思っている。私は決闘者だ。決闘者とは、最後まで諦めない者を指す!! 私のターン、ドロー!!」

 

 

・ハーミーズ

LP2000/手札2枚/デッキ32枚

フィールド:幻影騎士団ダスティローブ(裏側守備表示)、幻影騎士団ロスト・ヴァンブレイズ(罠カード&裏側守備表示)、伏せカード2枚

 

・ロングアイランド

LP4000/手札3枚/デッキ32枚

フィールド:ゴーストリック・キョンシー(裏側守備表示)・ゴーストリックの駄天使、伏せカード1枚、フィールド魔法『ゴーストリック・ハウス』

 

 

「裏守備のダスティローブを反転召喚! そしてサイレントブーツを特殊召喚!」

「この瞬間、『ゴーストリック・パニック』の効果で、サイレントブーツを裏守備表示に! これで決まりなの!」

 

 私の手札に裏守備モンスターを表側にするカードは握られていない。

 このままでは次のターン、またダイレクトアタックを受けて私の負けだ。

 そう、このままならば――

 

「ふぅん、甘いぞロングアイランド!」

「えぇっ!? 何?」

「墓地から罠カード、『幻影騎士団トゥーム・シールド』を発動!」

「墓地からトラップ!? ていうかそれさっき墓地に送った――

「トゥーム・シールドは、自分のターンに墓地から除外する事で相手フィールドの罠カード1枚の効果を無効化する!」

「ふぇぇ、それじゃあこれでレベル3のモンスターが2体……」

「私はレベル3のサイレントブーツとダスティローブでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 戦場に倒れし騎士達の魂よ。今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ! エクシーズ召喚! 現れろ! ランク3、『幻影騎士団ブレイクソード』!

 オーバーレイユニットを1つ取り除き効果を発動! 私と相手のフィールドのカードを1枚破壊する! 破壊するのはブレイクソードと、フィールド魔法だ!!」

「あっ、ハウスが!」

「破壊されたブレイクソードの効果で、墓地の幻影騎士団モンスター2体をレベルを1上げて特殊召喚! 戻れ、ダスティローブ、サイレントブーツ!」

 

 レベル4のモンスターが2体!!

 

「漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今、降臨せよ! エクシーズ召喚! 現れろランク4! 『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』ッ!!

 オーバーレイユニットを2つ使い、相手モンスターの攻撃力を半分にし、ダークリベリオンの攻撃力をその数値分アップ!! トリーズン・ディスチャージ!!」

 

 

・ゴーストリックの駄天使

★4 1000/2500

 

・ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

★4 3500/2000

 

 

「で、でもこれなら、幽霊さんのライフはまだ――

「ここからだ! 墓地のダスティローブの効果! 墓地から除外し、デッキから『RUM-幻影騎士団ラウンチ』を手札に加え、発動ッ!!

 

 煉獄の底より、いまだ鎮まらぬ魂に捧げる反逆の歌! 永久(とわ)に響かせ現れよ! ランクアップ・エクシーズチェンジ! 出でよランク5! 《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》ッッッ!!」

 

 

・ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン

★5 3000/2500

 

 

「オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスターの攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分、レクイエムの攻撃力をアップさせる!! レクイエム・サルベーション!!」

 

 

・ゴーストリックの駄天使

★4 0/2500

 

・ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン

★5 5000/2500

 

 

「攻撃力、5000……!!」

「ダーク・レクイエムでゴーストリックの駄天使を攻撃!! 鎮魂のディザスター・ディスオベイ!!」

「フィールドの『ゴーストリック』モンスターが攻撃対象になった時、手札の『ゴーストリック・ランタン』のモンスター効果を発動! その攻撃を無効にして、このカードを手札から裏守備で特殊召喚!!」

「ダーク・レクイエムの効果!! 1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使い、モンスター効果の発動を無効にし破壊する!!」

「そんなぁぁぁぁぁぁ……!!」

 

 

・ロングアイランド

LP0

 

 

 終わった……私が、勝ったのか。

 なんだこの胸の高鳴りと、痺れるような体の感覚は――

 

「ふぇぇ……パンツ見えちゃったよぉ……」

「ロングアイランド。ガッチャ! 楽しいデュエルだったよ!」

「ま、まあ、幽霊さんにだって負ける日はあるし。次は絶対負けないからね」

「ああ。またやろう!」

 

 あの時ダーク・ガントレットがなければ、何もできずに負けていたかもしれない決闘だった。

 流石はロングアイランドだ。かなり将来有望と見える。

 

「よしロングアイランド、今から決闘の練習だ! その為にはもっと体を鍛えないと!!」

「いや……それはちょっと幽霊さん遠慮しとこうかな~、ちょ、ちょっと待って! なんでカードゲームに肉体が必要なの~!」

 

 デュエルマッスルはデュエリストにおいて基本中の基本。

 いついかなる衝撃が肉体に訪れるか分からないのだから、最期の最期まで、カードをドローできればどんなデュエルだって勝てる可能性がある。

 

「お、おいハーミーズ。元気になったのはいいが、あまりはしゃぎすぎるなよ。体がもたん」

「大丈夫だアークロイヤル! 私のデュエルで鍛えられた肉体はそう簡単に音を上げない。夕方までには戻る!」

「全く……ハーミーズは変わらんな。安心したよ」

 

 アークロイヤル……

 

「ああ、私は変わらない。今も昔も、指揮官とアークロイヤルの為に戦うと決めたんだ」

「あれ~? 二人ともって、付き合ってたの?」

 

 この軽空母は何を言ってるんだ!?

 わ、私とアークロイヤルが……!?

 

「な、何を馬鹿な事をロングアイランド! 私が好きなのは小さい子どもであってだなぁ」

「アークロイヤルってやっぱりロリコんん――!?」

「さあハーミーズ、早くロングアイランドを連れて行ってくれ。私はここをなんとかしておく」

「お茶はまた今度だな。楽しみにしてるぞ」

「分かったから早く行ってくれ!」

 

 耳の先まで真っ赤にして、可愛い奴だ。

 もしアークロイヤルが本当に私の事が好きなのなら……いや、今は考えないでおこう。

 楽しい時間はすぐに終わりを告げる。

 戦いとは、得てしてそういうものだ。

 

 母港に響き渡る、耳障りなサイレンの音が、敵が現れたのだと知らせていた。

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