夜の街。子供は寝静まり、一般人はほとんどが家に帰っている時間帯に、公園にいる人影が一つ。何を隠そう、私である。
此度の聖杯戦争に参加しようとサーヴァントを呼び出したはいいものの、呼んだサーヴァントが勝手に自由行動しているのだ。だから、こんな夜の公園で一人でコソコソと術式の準備をしなくてはいけない。
正直、恐ろしい。他のマスターよりも、警察が。
職務質問とかされても、なんて答えればいいか分からないし。こんな外国人の男が一人で夜の公園で作業しているところなど、だれがどう見ても不審者ではないか。
周りに人がいないか確認しながら、急速に、かつ冷静に作業を進め、拠点に戻った。
拠点に戻っても、ウチのサーヴァント、キャスターがいることはなかった。
こんな夜遅くまで、どこで何をやっているというのか。
いっそ令呪で行動を拘束してやろうか。とも考えたが、令呪の特性を思い出し、やめた。
ああ、明日こそはあいつ帰ってくるよな?
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明日になった。帰ってこなかった。
一体どこで道草を食っているのやら。
こちらから連絡を取ろうとしても断られるし。
本当、ここまで自分勝手なら強力なサーヴァントを呼ばなければよかったな。
と、思いつつ、今日は眠りについた。
外には出なかった。警察怖いし。
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そのまた次の日、昼過ぎくらいにやっとキャスターが帰ってきた。
「帰ったぞ!」
そんなの見たらわかる。
「何か収穫はあったかい?」
「ああ、2体のサーヴァントと戦闘をした」
!?まだ全てのクラスが揃っていない中で何をしているんだこのサーヴァントは!?
「・・・相手のクラスは?」
気になるしね!それに、敵の情報はしっかりと掴んでおかないと。
「戦ったのはセイバーとアーチャーだ。セイバーのマスターは確認できなかったが、アーチャーのマスターは確認出来たぞ」
「ッ!!そうかい。で、誰だった?アーチャーのマスターは。ついでにセイバーとアーチャーの真名とか分かったりは?」
「たわけ。結果を急いでは取れる物も取れぬわ。真名は諦めよ。心配せずとも、
本当、王さまの言うことは大変大きくらっしゃる。
私は、一度頭を振ると、キャスターに向かって
「それで、アーチャーのマスターは?」
「端的に言うと一般人だ。本来なら魔術はおろか、戦いに触れる事すらないようなな」
「なら楽勝じゃないか」
「たわけ。そんな短絡的な考え方だから単位が取れんのだ」
余計なお世話だ。
「一般人がサーヴァントを召喚した。この異常性が分かるか?」
指摘されて気づく。
そんな魔術のまの字すら知らないような一般人が英雄を召喚出来るとすれば、それはかなりの特殊性がなければならない。
私は、表情を強張らせ、キャスターの言葉を待った。
「奴はこの地の龍脈からマナを取り出している。奴を相手取るということはそのままの意味でこの街を相手取ることになるわけだ」
「でも、勝てるんだよな?」
わたしの言葉を聞くと、キャスターは一瞬ポカンとした後
「・・・・・・フハハハハハハハハ!まさかこのような小心者の道化が我がマスターとは。以前の我ならばすぐに殺していただろうに。今ならばその臆病も理解はできる。だかな、マスター。我が勝ち残ると言ったのだ。それは最早、我の勝ちが確定していると言ってもよい。問題は、どう遊ぶかだ」
「遊ぶ、か。凄いなキャスターは。そんなに自信があって。私には自信というものとは縁遠いと言うのに」
私がそう言うと、キャスターは怪訝な顔をしながら
「誠に不思議なものだ。マスターのような屈強な見た目の上にそこそこ有能な男が小心者とはわな。世の中はまだまだ分からんことよ」
有能・・・だと・・・。
時計塔の教授にもそんなこと言われたことがないのに。
何度申請しても、ロードエルメロイ二世に手紙すら届かないのに。
私が、有能?それもかの
素直に嬉しいな。教授にはプロレスラーの方が向いてるんじゃないか?って言われたばかりだったから。
「ともかくマスター。最初の獲物を決めたぞ」
トリップしていたアタマを切り替える。最初の獲物、つまり最初に戦うサーヴァントというわけだ。
「最初の獲物はな」
唾を飲み込み次の言葉を待つ。
「時計塔の雑種共だ」
「へ?」
予想だにしない答えに驚いた。
「奴ら、野良サーヴァントを狙っているだけならまだしも、我が財まで盗み出しよった。本来ならば相手にもしないような雑種共なのだが、今現在は家臣がいないゆえ、我が自ら出陣せねばならんのだ。全く、サーヴァントというものも考えものよな」
時計塔の雑種、というと、マイクだろうか?それともトーマス?
まあ、誰にせよ御愁傷様だ。あいつらもまさか英雄王が殺しに来るとは思ってなかっただろうに。
「行くぞマスター。思い立った日が吉日よ」
キャスターは、半ば私を引っ張るような形で外に出て行った。
このギルガメッシュについて補足を。
このギルガメッシュは、神代を終わらせた、いわば人間の導き手としての側面が大きくでた形になります。わかりやすく言うと、先生のような性格になったと言うことです。なので、人に対して少しばかり優しくなり、ちょっと説明口調で、全体的にテンションが少し高くなっています。
そういえば、マスターの名前だしてなかった。